政府機能をアウトソースする条件

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愛国心という言葉の真ん中にある国の意味を紐解きながら、政府機能を外国政府へアウトソースする可能性について言及したところ、オーツの日常生活さんから8つの質問を頂きました。その質問に答えながら、政府機能をアウトソースする場合の状況について掘り下げて行きたいと思います。

(1)日本人の考え方・文化をきちんと把握してくれるか

  内向きの行政については、アウトソース政府内に、民間人によるアドバイザー組織を入れて、民の文化的行事や行動がなるべく阻害されないようにすれば良いかと考えます。

(2)日本とアウトソース先とで利益相反が起こった場合、うまく調整ができるか

  利益相反の対象は、外地で企業間の経済利権の競合や、国連・国際会議での交渉、他国との条約提携などでしょうか。利益相反が起こりやすい国を考えると、まず地理的に近い国、経済的な結びつきの強い国、これらの政府とは、利益関係の調整が難しいので除外されるべきでしょう。加えて、社会体制や文化・宗教などのバックグラウンド条件を検討し、なおかつ経済発展や社会福祉で実績のある国というと、北欧のどれかの国は候補として悪くないのではないでしょうか。

(3)どこまでをアウトソースするか、大量の公務員を外国人に置き換えてしまうのか

  政府機能のアウトソースをし易いように、国内の行政形態を、予め地方主権的道州制にかえておくべきと思います。そして、内閣、防衛省・外務省以外の、ほとんどの省庁の中央機能は最小限化され、大半の出先機関は地方自治体へ移管されるでしょう。アウトソースする対象である中央省庁の組織を最小限に絞り込み、機能を単純化しておく事で、外国人へ置き換わる国家公務員は最小限になると考えます。そして地方公務員は原則として置き換えないものとします。

(4)アウトソース先の人々と十分なコミュニケーションができるか(日本語が使えるか)

  契約期間中、日本に駐在するアウトソース組織団に、日本語を期待するのは諦めましょう。彼らが行うのは、考えて判断する仕事です。政府内の会議や公式文書は、ぜんぶ英語にします。それを国民や地方公務員へ伝えるスポークスパーソンや組織スタッフ(つまり日本人)が、日本語での放送や、外部組織への日本語文書を作成して指示すれば良いでしょう。その為にも、中央省庁で雇用される日本人国家公務員は、資本主義社会の世界共通語である英語でのコミュニケーションができる事が前提となります。どうしても置換えができない職人的生き字引のような下級スタッフについては、特例として、その部内に日本語通訳をつければ良いでしょう。

(5)適当な報酬を受け取ることで、他の国の経営を引き受ける主体があるのか

  報酬の額と、費用対便益と、その国の国民の理解とによるでしょう。

(6)アウトソース期間が終わったときに、国の体制を元に戻せるか

 (3)で説明したように、中央省庁の大幅縮小と、地方主権的道州制の導入を行って、中央政府のポータブル化が実現している事を前提とします。この場合、中央政府のしくみも、地方自治体とのインターフェイスも単純化され、マニュアル化されているので、別の外国政府団であれ、国内で再編された組織であれ、仕事の引継ぎは容易であろうと考えられます。ちなみに、現在の政権交代では、引継のインターフェイスは各省庁の役人が人的に吸収しているので、政権交代による官僚依存からの脱却が困難な原因となっています。

(7)アウトソース先が日本の不利になるような政策をとった場合、それを拒否できるか

  契約の条件設定で対応できると思われます。中途解約の条項を盛込めば良いでしょう。

  アウトソース政府が警察や自衛隊の指揮権を掴んで暴走した場合は、米政府(あるいは米軍)の一時的な介入による暴走阻止の条約(もちろん発動した時は対価を支払必要があるでしょう)を結んで、それを保険とする事は可能かと考えます。

  その米国が日本政府を乗っとったら、という質問に対しては、私の記事を再読願えれば明白ですが、「それも結構」という考えです。日本が米国の信託統治領になった場合は、日本人による政府に戻るでしょうし、米州のひとつとなった場合には、日本国政府が州政府になるだけで、民の生活に大きな変化があるとは考えられません。

(8) 賢明な王様がいたら、一切をその人に任せてしまうというのも一つのアイディアです。しかし、その王様が「賢明」かどうか、事前に判断できるでしょうか。(記事中より抜粋して筆者が追加)

  王様は、一旦選ぶと辞めさせるのが大変ですが、アウトソースは期間を定めた契約だし、(7)で説明したように中途解約も可能にできます。事前の判断材料はある程度可能かと考えます。日本国民が望む政策(経済や社会福祉)について、アウトソースを検討する対象国の、政策実施状況や、政策実施能力を検討すれば良いでしょう。契約期間が過ぎて、満足する結果が残せなければ、まだ考えれば良いのだと思われます。