大腸・内幕物語(2)

8月 2nd, 2005 Categories: 健康

坂田隆さんの「大腸・内幕物語」を読んで、下痢の原因と対策について考察してみました。

なぜ下痢を起すのか、原因は様々です。食べすぎ、飲みすぎ、病原性の細菌、ストレス、抗生剤の副作用、消化器系疾患、アレルギー。とりあえず、そういうのは置いておいて、もっと根っこのところについて考えてみたいと思います。

【下痢の直接の原因】
直接の原因は、
 腸内に入った水 – 腸壁から吸収された水 > 0.2L

本書では、大人の普通のウンチに含まれる水はおよそ0.2Lとの事です。話しを単純化する為に、とりあえずそれより水の多いウンチを下痢としておきます。(実際には、軟便とか水状便とか、何レベルもの状態があると思いますが、話しを単純化する為に単に下痢とします)

【小腸、大腸に流れ込む水の量】
腸の内容物に含まれる水は、どこからくるのでしょうか。本書P79ページイラストを参考に、下記にご説明します。

 ●体内で分泌される水分の合計
  だ液     1.5L
  胃液     2.5L
  胆汁     0.5L
  すい液    1.5L
  腸液     1.0L
  ——————-
  体内で分泌  7.0L

 ●外部から来た水
  飲食した水 2.0L

 ●腸内に流れ込む水
 外から来た水 (2.0L) + 体内で分泌された水(7.0L) = 合計(9.0L)

  実に、9リットルの水が腸内に流れ込むのです。

【腸内で吸収される水の量】

 小腸     7.5L
 大腸     1.5L
 ——————-
 合計     8.8L

【普通のウンチに含まれる水】
さっき、ウンチに含まれる水の量は0.2Lと言いましたが、その理由は下記の理由です。
 腸内に流れ込む水(9.0L) - 腸内で吸収される水(8.8L) = ウンチに含まれる水(0.2L)

口から入る水の2.5倍の量が、胃やその他の臓器から分泌されるのです。

【もう一度、下痢の原因】
上記から推測される下痢の原因は、極論すれば下記のどちらかに収束されると思われます。

  (飲用した水 + 体内で分泌した水 + 0.2L) > 小腸・大腸から吸収された水

この差が大きくなればなるほど、ひどい水状便になると思います。

【下痢を緩和させる方法】
大腸で水の吸収を良くする方法として、内容物をより長い時間、大腸に留まらせるというアプローチもあるかと思います。

「大腸・内幕物語」のP153に記述がありますプロピオン酸は、単独では中身の通過を9時間遅らせたという実験結果があるそうです。

酪酸は、単独では中身の通過を10時間短縮したそうですが、実際の大腸の中のような割合で混ぜて大腸へ入れると、35時間も通過時間が長くなったそうです。

シェルビュという人の実験では、大腸に入った短鎖脂肪酸の刺激が、神経やホルモンなどの情報伝達系統と、大腸にある「地方区」的な神経系統の両方を通じて、大腸の筋肉に伝えられているはずなので、このような結果になったのかもしれないとの事です。

大腸で酪酸をつくるのは酪酸菌ですが、菌が食物にし易いのは水溶性の繊維だそうです。

【大腸からも分泌される水】
大腸でウンチができたあと、ウンチを腸の奥へ(直腸へ、肛門へ)と滑らせて行かなければ成りません。その時に、腸壁から粘液(水)が分泌されます。大腸は水を吸収するだけでなく、水を分泌する臓器でもあるのです。

これは、継続的で激しい下痢の原因を考える上で、思わぬ落とし穴でもあります。上記で体内から分泌される水の中で、腸から分泌される水の量は1.0Lと書きましたが、もし大腸から水が分泌し続けたらどうなるでしょう?

コレラに感染すると、米のとぎ汁のような水状の激しい下痢になります。1時間に2リットルから3リットルの水が出続けます。大腸の容積は2リットルくらいなので、こんなに沢山の水が流れ込むと、大腸はくびれがなくなって筒抜け状態になり、中の水はスコッと出て行ってしまいます。ですから、ほっておくと、脱水症状で死んでしまいます。コレラによる下痢は、大腸の腸壁から分泌した水による下痢なのです。

【大腸からの水の分泌を止める】
コレラ毒で水を出し続ける大腸内に、酪酸を入れると、コレラ毒素による水の分泌を抑えて下痢を止める事ができるばかりか、大腸が水を吸収するようにさせる事ができると本書に書いてあります。酪酸の恐るべき機能といえます。

Facebook Comments
Tags:
Comments are closed.