電子出版が中間搾取されない方法

中小零細出版社が多い出版業界は、物流を制した共同販売会社や取次が、永く中間搾取を行ってきました。再販制度は、いってみればこの中間搾取層を保護する為にあるようなものです。そのために、著者が受け取る印税は10%かそれ以下と僅かであり、本の返品率は40%にもなるそうです。出版業界の構造は、こちらを参照ください。(図1図2

出版社というのは大小あわせてたくさんの会社があり、ひとつの出版社が過去から現在に渡り、累積でたくさんの書籍を出版しているので、現在流通しているものだけでもかなりの点数にのぼります。末端の書店は、ひとつひとつの出版社から直に注文するのは困難なので、中間で問屋としての機能を持つ会社が必要だったのでしょう。

さて、書籍が電子化するとどうなるでしょうか。まず物理的な印刷が不要になり、したがって物理的な在庫や、物理的な物流が不要になります。これで、中間在庫機能としての問屋は不要になります。池田信夫氏は、電子出版の経済学の中で、「このように仲介機関を「中抜き」してユーザーがネットワークをコントロールするend-to-endの構造は、インターネットの誕生以来のものだが、その構造変化が出版の世界にも及ぶわけだ。」と述べています。

しかし別の問題もあります。書籍が電子化されても、出版社は多数ありますので、ネット販売業者は、どの書籍がどの会社から出ているのかを調べるだけでも大変です。出版社とネット販売業者の間に、「電子書籍データベース機能」があれば、出版社により新規登録された新書が、自動的にネット販売画面に表示される、というような事も可能になります。これは、双方の利便性を高めます。

但し、このデータベース機能を運用する組織に、出版社との決済機能を付加するのには絶対に反対です。これをすると、「物流を制した」のと同じ現象が生じて、出版社とネット販売業者よりも政治的に強い権力を持つ組織になってしまう可能性が高いのは、いまの音楽業界を見れば明白です。

書籍データベース機能は、出版社と販売業者が廉価の月額サービス料を支払う事で運営する独立したネット企業をつくり、ネット販売業者は販売した電子書籍の代金を出版社へ直接に支払う仕組みとするべきです。

しかし、ネット販売業者がどれだけの電子書籍を販売したか、出版社と販売業者の間で「信頼」だけで商売を行うのは合理的とはいえません。ネット販売業者は、販売が確定した書籍情報を、ネット販売のシステムから外部の「販売情報データベース」へ自動的に吐き出すしくみを組み込み、出版社は、どのネット販売業者へいくらの請求書を出すかを容易に確定できるようすれば、当事者間の直接取引が容易になります。

販売管理データベース機能は、出版社と販売業者が廉価の月額サービス料を支払う事で運営する独立したネット企業をつくり、出版社がネット販売業者へ、どの書籍が何月に何冊販売されたかの明細情報を入手して、販売業者へ直に請求できる仕組みが良いかと思います。。

もぐりのネット販売業者が、違法に電子書籍の販売を行わないように、行政は電子書籍のダウンロード販売を「届出制」にして業者が把握できるようにし、ネット販売業者は「届出番号」をネット販売画面上に明示する義務を負わせると共に、業者情報を開示して、販売管理データベース企業と出版社が、それらの販売業者が登録されている事を確認できるようにすると良いのではないでしょうか。

もしもぐりのネット販売業者がいて、どこの「販売管理データベース」にも接続していない場合には、行政による立入検査などの行政監査が実施できるようにすれば、違法販売の発見と取締が可能になるかと思われます。

このようにして、書籍データベースと、販売情報データベースを運営する独立した会社があれば、日本における電子書籍のネット販売は、アマゾンのようなオールイン型独占企業ではなく、多くのプレーヤーが競争する健全な市場として発展できるのではないでしょうか。

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