医療は効率と経済のバランスが重要

12月 14th, 2009 Categories: 1.政治・経済, 健康

To be determinedでap_09さんは、一連の医療の効率、経済性、そして医師の倫理感シリーズ記事で、「医療に市場経済はそぐわない」と結論付けているようです。

しかし私は、医療は「ある程度」の政府による社会主義的な管理と、「ある程度」の市場経済的な合理性がバランス良くミックスされた方が、長期的な視点で全体最適化された制度になるのではないかと考えています。

医療から市場経済的な要素を取り去って、現在行われている社会主義的な運営を行うとどうなるでしょうか。現在の医療では、政府が使う医療関係の予算は、厚労省の大臣と役人により年間予算が金額が決められます。すると役人は、ただでさえ不足しがちな医療費を更に高める要件(医師増員、医師の給与増大、新薬の承認、先端医療の保険適用など)を排除しようという方向で動きます。役人の一義的な仕事は、予算という決められた枠が守られるようにするからです。ゆえに、経済(税収)が縮小してゆく日本で、これまでのような行政まかせの社会主義的な医療だけに依存する事は、各論として医療の質的向上に反対する事と同じ意味となります。

ではどうするか。国税収入が減少し、税金でまかなえる医療予算が減少していゆく事を前提とすると、政府が提供する医療保険の適用範囲を、どれかの対象に絞るしかありません。たとえば、軽微な病気や怪我と、高額医療は保健医療の適用対象外(あるいは個人負担率をの増大させる)とします。軽微な病気や怪我は薬局等で自己負担で薬を購入するようにします。高額医療は、自己負担(あるいは半額負担等)として、差額は患者負担(実際には患者の加入している民間の医療保険が負担)として、生活保護者家族と年金生活をしている高齢者家族等を例外的に高額医療費の政府負担を認めるようにします。

このようにすると、病院勤務医の給与と労働環境の改善ができます。また先端医療や新薬の承認が医療費予算を圧迫する度合いが緩和されるので、役人が承認にブレーキを踏む度合いも減り、英米との新薬承認時差も緩和されるのではと思います。

そして、現在は高額医療費負担制度によって、事実上無用の長物になっている民間の医療保険が、医療費負担という真の意味で有効になります。民間保険が活用されて、高額医療や新薬の市場が日本で拡大すると、欧米の大手製薬会社も当然の事ながら、日本政府への承認プロセスの促進を働きかける事になる筈ですので、これも新薬の時差ギャップ縮小の方向へと動き出す事になるでしょう。

さて、上記のように書くと、民間の医療保険を購入できない人は、政府の医療保険適用外の高額医療(高額な新薬)を受ける事ができなくなってフェアでないのでは、という議論が起こる事が予想されます。日本は民主主義社会であり、すべての人が、民間の医療保険に加入する自由と「機会の平等」を与えられている限り、私はこのような経済格差は受け入れられるべきである、と考えています。

更にもうひとつ、上記によって医療費予算に余裕を生み出して、それにより、全国の一定範囲内に、公立の救急病院を設置し、(真の意味で緊急性の高い)救急患者の受け入れは税金によって全額無料で行ってはどうだろうかと思います。救急処置の後の、安定した状態に以降後の治療は、その患者の保険レベル(民間の医療保険の有無とレベル)によって、患者が選択可能にすれば良いでしょう。

上記の内容をまとめると、医療は三階建(一階は軽微な病気・怪我で10割自己負担、二階は国の医療保険(3割自己負担)の範囲での治療、三階は国の医療保険と民間医療保険の両方での負担(負担率は検討)を前提とした高度医療・高額医療)の制度にする。そのかわり海外の先端医療や新薬を時差無しで国内でも使用できるようにする。救急医療は、国が一定範囲内に公立救急専門病院を設置して、税金だけで運営する。病院は原則として専門的治療に絞り、勤務医の給与は大幅に増額(勤務時間は大幅に減少)。開業医の給与は減額し、良質の医師を病院の専門治療へ政策的に集める。

最後に、国民背番号製を政府の医療保険にも導入し、患者の医療情報がオンラインで厚労省の医療保険データベースに更新されるようにして、医師の紹介状の無いドクターショッピングのようなケースでは、二件目の病院からは自己負担率を上げてゆくようにする事で、医療予算の減少を防ぐようにする。

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