経団連主体の「雇用改革」は日本を変えるか

10月 11th, 2009 Categories: 1.政治・経済

終身雇用が足かせになって、企業は不況時でも正社員の整理解雇による経費削減が困難な状況です。これに対応すべく導入された派遣労働者の制度も、いまや社会的な非難を浴びて先行き不透明です。グローバルに展開する日本企業が、国内の足かせによって世界的な競争力を喪失してゆく事を多くの人が予測し始め、ゆえに池田信夫氏の「希望を捨てる勇気」という本が売れているようです。この状況を打破する為には、閉塞した雇用環境をおおきく変革する必要があります。ここでは、日本の政府や官僚に頼らずに、終身雇用という社会的慣習(労働者の既得権)をいかに終わらせるかについての提案を経団連に対して行います。

wikiの解雇によれば、「労働基準法には、解雇の要件(30日以上前に予告する、または同日数分以上の平均賃金を払う)が「労働者の責に帰すべき事由」があれば免除されるとあるため、これを解釈すると「30日分の賃金を払えば、特に理由が無くても解雇できる」となる。これは当初は解雇について一般的な見解であった。これに従って、「解雇の自由」を支持する判例が出されている。 しかし、1950年代に下級裁判所において判例を積み重ねた法体系ができあがっていく中で、裁判所は労働者に対し様々な法的保護を与えていき、この結果、「解雇の自由」は「解雇の制限」へと変わっていった。」とあります。現在では整理解雇の四要件を満たさない限り、解雇権の乱用と判断されてしまいます。

裁判所で判例が積み重なってゆく背景には、企業側が生み出した「終身雇用」という社会的な慣習を、裁判官が労働者の既得権として認識した事が重要であると考えられます。しかし社会的慣習は企業側の主体的な行動によって変革可能です。

具体的には、下記のような「雇用改革」を、経団連(日本経済団体連合会)に所属する、日本を代表する各業界の大企業が率先して実行する事により実現可能であると考えます。

企業のより主体的に実現可能な雇用改革の具体案:

1)新卒採用中心から、経験者採用中心へ改める。
  通年での経験者採用枠を広げ、4月の新卒者定期採用枠を順次縮小する。
  通年での採用者数が一定数に達したら、4月の新卒者定期採用枠を廃止する。
2)部門別・職務別の採用と管理制度へ改める。
  総合職や一般職というコース別管理制度を廃止する。
  部門別に営業職や一般事務職など職務別の採用と管理制度を行うように改める。
3)大規模な配置転換の制度を原則として廃止する。
  採用された所属部門や職種の壁を越えた人事異動を原則廃止する。
  別部門や別職種への自発的移動を可能にする為に、社内求人制度を設ける。
4)採用時の雇用契約書に、整理解雇の条件を明記する。
  解雇(出口)条件を明確にする。(以下はひとつの例)
   整理解雇を発動する条件:
    勤務部門が通勤不能な場所へ移転する時。
    所属部門が、何期連続でどれだけ赤字を計上した時。
   整理解雇対象者:
    赤字対象部門に所属する労働者。

上記の雇用改革の目的:

1)「終身雇用」神話を終わらせる。
  企業側の自主的な雇用制度の改革により、労働者の「雇用の流動性」を社会的に高め、労働者にとっての「転職」が、人生における「普通」のイベントと認識される社会環境をつくる。

2)「社内失業対策」を終わらせる。
  部門や職種の壁を越えた大規模な配置転換という慣習は、裁判官から見れば、「解雇を避けるための努力目標」として認識される事は明白です。社命による部門や職種の壁を越えた配置転換を非一般化する事で、部門別収支の改善を部門内の整理解雇だけで収められるような社会的合意が得られるようにします。

雇用改革のメリット:

1)複数の企業で職務経験を持つ人材が集まる為に、業務処理の標準化が促され、業務効率が改善されます。
2)大規模な新卒社員の研修やOJTに投じていた経費の相当額が削減されます。
3)大卒新卒者の大半が、まずは中小企業に就職して業務の知識や経験を習得する状況が生まれ、大企業の下請けとなる中小企業が活性化されます。
4)正社員の雇用が保障された社会では、政府の経済政策において、経営者と労働者の利益が一致しませんでした。雇用の流動性の高い社会では、不況=失業、好況=就業というおおきな構図が出来上って、経営者と労働者の利益が一致するようになります。

雇用改革のデメリット:

1)景気がよくなると、転職する者が増えます。
2)年功ベースの賃金から、能力ベース賃金になり、賃金が高騰します。
3)管理職には、より高い管理能力が問われるようになります。
4)経営者には、より高い経営能力が問われるようになります。
5)残業やサービス残業でみかけの生産性を上げる事が不可能になります。
6)掃除やお茶汲みなど業務に関係ない仕事は、それ専門に雇う必要があります。

今日のサンプロでは、「脱・霞が関で活性化」と銘打ち、政府の助けを借りずに自力で村を発展させた2つの村を紹介していました。これをみて、雇用の流動化も官でなくても出来る事があるのではないかと考え、上記の案をまとめてみました。日本を代表する企業である経団連の方には、官に頼らず、大企業同士力を合わせて、雇用の流動化の実現を果たして頂きたいと願っています。それが日本の国力を回復させ、派遣などの非正規労働者を減少させて、多くの労働者の生活をも豊にするものだと考えています。

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