研究者を必要としていない技術立国

10月 2nd, 2009 Categories: 1.政治・経済

自民党時代に始まった「緊急人材育成・就職支援事業」が、民主党政権で見直しされるようです。jyoshigeさんは職業訓練なんて誰も求めちゃいないと仰っています。日本企業は職務ベースではなく、「新卒・正社員・総合職」といった出自に基づいた身分制なので、そもそも職務というものへのニーズが薄いためだそうです。

香港・東莞で多くの日系企業のお客様を見てきた私も同じ意見です。営業部から購買部へ異動させられたり、製造部から営業部へ異動させられるなど、辞令一枚でどんな僻地へも飛ばされ、どんな業務でもそこそこにこなすゼネラリストである事が大企業サラリーマンに要求される能力のようです。20数年以上昔の話しで恐縮ですが、大学時代の私の友人も入社時に辛い体験をしました。工学部の修士課程を卒業して某F社の本社採用になりましたが、新入社員研修後に決まった配属先は海外営業部でした。研究所は無理でも、最低でも技術職を期待していた彼にはすごいショックのようでした。営業をさせられる事が入社前に判っていたら、たぶん別の企業を探していたでしょうね。そういう訳で、いくら職業訓練をしても行き着く先は「派遣社員」しかないようです。

ところでjyoshigeさんの「“博士”という最高の訓練を受けた人材でさえ敬遠される国。悲しいけど、それが日本の実情である」に反応した小倉弁護士は、職業訓練のニーズの中で、「博士課程は基本的に研究者になるための訓練をするところなので,研究者を必要としていない企業が「博士」を敢えて採用したいと思わないことは自然ではないかと思われます」と述べていますが、かなり認識が古いといわざるを得ません。たとえば渡辺千賀さんはアメリカで働くのに修士は意味があるかの中で、「大雑把に言って、アメリカでは、学士は、日本の高卒+アルファ、くらいの価値です。修士を出てやっと日本での4大卒くらいの価値になります。アメリカの博士=日本の修士、って感じ」と述べています。何処の国でも同じでしょうが、大学の数も教授の椅子も限られているし、毎年あたらしい博士が世に出ます。たとえば北米のいまどきの博士(特に理数化系)は、企業の研究所や先端技術製品の開発、あるいは自分の研究アイデアを持ってIPOを狙う人が圧倒的に多いのではないでしょうか。

そういう意味で、小倉氏が述べられている「研究者を必要としていない企業」ばかりの日本の惨状を、jyoshigeは嘆いておられるのではないでしょうか。

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