医療と情報リテラシー

9月 7th, 2009 Categories: 1.政治・経済, 健康

「情報リテラシー」とは、wikiによれば「情報を自己の目的に適合するように使用できる能力のことである」という事です。ネット上には様々な情報があります。以前には医者でなければ知る事ができなかった医療情報や医薬品情報や治療情報なども、専門家や経験者が多くの情報をネットにアップし、googleのような検索エンジンの発達などによって必要な情報が容易に入手できるようになりました。しかし、どんなに情報が目の前にあっても、見る事をせず、正しく理解するノウハウを身に付けなければ、それらを正しく使う事もできません。

私の息子が先週木曜から突然に39度の高熱を出して寝込み、その状況から、インフルエンザであろうと推測しました。日本領事館のホットライン(新型豚インフルエンザに対応する為)へ電話して、香港政庁の最新のポリシーを確認すると、インフルエンザ様の症状を示す病人が家族に出た場合、数ヶ月前とは異なり、政府指定の病院で検査・治療を受ける義務はもはや無く、病人は自宅療養が選択可能という事でした。息子が新型豚インフルエンザだったとしても、日本でも香港でも感染前に健常者であった人の死亡例はまだ無いというであり、病院へ行くと面倒(40度近い熱があればほぼ間違いなく入院を勧められる)だし、寝ていれば治る病気であるから、息子は自宅で妻が看護して、日曜の朝には熱が38度を下回り、家の中を動き回れるまで復活しました。

この場合の情報リテラシーとは、新型豚インフルエンザに対するリスクと治療方法を、ネット上の情報から正しく理解し判断する事。そして香港政庁の新型インフルエンザに対するポリシーを確認し、自分の選べるオプションを理解した上で選択するという事だと思われます。

さて、日曜の午後から妻も熱が39度まで上がりました。wikiによれば、インフルエンザの潜伏期間は通常1-2日(最大7日)であり、木曜夜から妻は看病の為にほとんど外出していないので、妻の病気も息子から家庭内感染したと考えるのだ妥当と思われます。息子の病気が妻に感染した可能性が高いと考え、症状とも合わせて考えれば、この病気をインフルエンザであると考えるのは合理的です。

そこから導き出されるのは、私も数日以内に発熱する可能性と、インフルエンザはA型(新型豚インフルエンザを含む)でもB型でも抗ウイルス剤のタミフルが効くという事です。そこで私は、会社内でインフルエンザを感染させないように、今週は自宅で業務をする事とし、また妻と自分(発熱した時)の為にタミフルを2箱(1箱5日分)を調達しました。

この場合の情報リテラシーとは、インフルエンザの情報(症状、潜伏期間、治療法)を理解し、妻の病気の原因を推測し、治療法としてタミフルの調達を行うという事です。

ここで日本に住んでおられる多くの日本人は、自分で病気を勝手に診断し、勝手に薬を買って服用するのは良くない事だと考えるに違いありません。この記事を読んだ日本人の医療関係者の多くは、自分勝手に診断してもしもの事があったらどうするのか、と考えるでしょう。

実はそういう方の為にこの記事を書きました。医療において、日本人は情報リテラシーの能力があまりに低いと思われるからです。私は、自分の健康は原則として自分で守るものであり、国や医者はそれを制度および専門技術で支援してくれるにすぎない(そうあるべきだ)と考えています。

我々が日常的な生活の中でかかる代表的な病気の治療は、どの薬で治療するかという定石(あるいはテンプレート)のようなものが既にあり、どの病気にどの薬をどれだけ処方するかは、ネット上で調べる事は難しくありません。難しいのは、自分(あるいは子供)が、何の病気であるか、という診断部分です。

では自己診断について述べます。まず、自分あるいは子供が病気で発熱したとして、その症状をこれまでの経験で得た病状と比較して、同じなのか違うのか、どう違うのかを自分で判断する事がどうしてできないのでしょうか。

自分が過去に経験した(自分以外にはだれにもわからない)痛みや不快感とその箇所、その強度と性質意、その継続時間や頻度などを、その時に診断された病名と結びつけて記憶しておけば、次回に自己診断はできるでしょう。ただ、自分が自分の体調変化や症状に対して注意深くあれば良いのです。

自己診断し、その薬を調達して、数日間服用し、改善が見られなければ、ネット上で良く似た症状の別の病気を疑うか、あるいはその時点で医療機関へ行きコンサルを受ける事を検討すれば良いでしょう。情報リテラシーには自己責任が伴います。我々は、「病気を治すのは医者の責任」と考えるべきではありません。医者は全知でも万能でも完全でのありません。専門知識をもった、ただの人です。そして病気を治療する主役は貴方です。ですから医者の診断や処方に対して、あなたが理解している情報や症状の中で納得がゆかなければ、医者と最後までよく相談するべきです。

最後に、一般常識を持つ人の能力の範囲内で普通に使える薬(たとえば抗生剤や抗アレルギー剤、避妊薬など)を薬局で個人に販売する事を政府が規制する事は、医者と病院の利益を守る役には立っても、患者にとっての合理性は低いと考えますから、医者が処方する薬でも家庭内で服用できる薬は基本的にすべて、処方箋無しでも薬局(あるいはネットショップで)購入できるようにすべきです。1回の服用量や服用期間や効果の期待値は、ネット上で調達可能ですし、ネットにアクセスできない人でも、薬局には薬剤師(薬のプロ)がいて、そのような情報をおしえてくれるでしょう。

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