競争不足がもたらす格差

9月 4th, 2009 Categories: 1.政治・経済

格差が際立っている業界の代表選手である建設業界を見てみましょう。この業界は戦後の復興期に抜きん出た大手企業がゼネコンと呼ばれて業界に君臨しています。(詳しくはこちらを参照ください)現在ではゼネコンの中でもスーパー格の超大手から地方ゼネコンまで、何段階かのクラス分けされた企業格差がほぼ固定されています。

大規模なトンネルや橋やビルなどの建設は、発注時の業者選定において、過去の経験やノウハウの有無が多きなウェイトを占める為、ひとたびある企業が競争集団から抜きん出ると、業界内でアドバンテージを持ちトップを走り続けます。このようにして、日本の建設業界の企業格差が定着したものと考えられます。

ところが大手ゼネコンが喰ってい行く為に必要な大規模建築物というのは、大都市間や都市と工業地域を結ぶ交通インフラを作り終われば、GDP増大に寄与するような橋も道路も残っていません。そうなると国内で大手ゼネコンは何社も必要ありません。

企業が恒久的に供給過剰になれば、市場で自然淘汰されねばならず、そこに生まれた空白を埋めるべく、新たなサバイバル競争が始まります。このような企業の成長と自然淘汰の繰り返しが、市場で企業格差の固定を防ぐ事ができます。

しかしながら日本の政府と中央官僚は、社会不安を恐れてか、はたまた重要な献金団体を重んじてか、建設業界へ「公共投資」というシャブ注射を打ち続け、とっくに倒れているべきゾンビ企業の延命措置を続けてきました。

このような例を見ると、国内の経済がどうして成長できないのか容易に理解できます。建設業界、通信業界、放送や新聞業界、医療や薬品業界など、役所の許認可と政令による規制がセットになって、既存大手企業の厳重な保護政策を行ってきた為に、国内市場という森には老木ばかりになり、新しい木が大木に育つ余地がありません。

それではどうしたらこの状況を改善できるでしょうか。まずは役所から許認可権をできるかぎり取り上げる行政改革を行います。役人は常に社会を安定させる為に既存の大企業を保護しようというバイアスが働くので、あるべき競争を阻害するからです。問題が起これば、個別に司法(裁判所)で白黒つければ良いでしょう。

次に、既成勢力にアドバンテージを与える機能を持つ規制を原則として撤廃する規制改革を行います。既存の大企業も新参企業も、同じ土俵で同じ条件でフェアに戦える条件を整えます。

最後は企業がサバイバル競争を行えるように、正社員の整理解雇を行う条件を緩和し、年齢給と年功序列制度や同業他社からの転職抑制に対する行政指導を行って、雇用の流動性(良質な人材が業界全体へ拡散し易い条件)を確保するなどの雇用改革を行います。

これらの改革によって、既得権者が許認可と規制で守られた業界の風通しを良くし、企業の新陳代謝が正しく行えるようにする事で、市場に正しい競争が生まれて、企業格差が是正されます。

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