掛け算を教える
時計の針を再び昨年の夏ごろに戻します。K-2(幼稚園の年長)組みのクラスにもようやく慣れた息子は、近所に住む年上の友達の影響を受けて「掛け算」に興味を持ちはじめました。
我が家のあるアパート群の隣棟に、息子の友達でR君兄弟(R兄とR弟)が住んでいます。当時5歳の息子は、日本人学校2年生のR兄君に心酔していました。(今でも子分である事は変わりません)
U君兄の前で自慢するために、U弟君へ足し算や引き算の勝負を挑んだのでしょう。その勝負の行方はさておいて、R君兄は威厳を保つ為に「掛け算」なる秘技を繰り出してきました。息子がR君兄への尊敬の念を深めた事は間違いありません。
その夜、息子は私に、掛け算について聞いてきました。
日本人にとって掛け算とは九九です。ここで九九を教えるべきか考えましたが、インター校とは教え方が違うだろうという事で、別の方法でアプローチする事にしました。
簡単なところで、2X3を、2を3回足すのと同じだと教えました。息子はすぐに理解しました。
しばらくして、息子と「掛け算」の話しをすると、やけに自信を深めているようでしたので、試しに簡単な問題を出してみました。
3X4は?
九九を覚えていれば一瞬で答えが出るのですが、これを足し算の暗算でやるには、
3+3 = 6
6+3 = 9
9+3 = 12
と3回足し算をして、毎回出た答えを次の足し算へ繰り越さなければなりません。
息子は左手の4本指を使い、
1本目の指 : 3
2本目の指 : 3+3 = 6
3本目の指 : 6+3 = 9
4本目の指 : 9+3 = 12
何回足したかを右手の指で確認しながら答え(12)を計算しました。指から指へ進む毎に加える3は、暗算で計算しているようでした。
私はしばし考えた後に、ちょっと意地悪な問題を出してみました。
4X8は?
これだと、右手の指で左手の指を指す事ができません。息子もしばし考えた末に、右手に5本、左手に3本の指を出し、指を折りながら計算を始めました。
右手の1本目の指 : 4
右手の2本目の指 : 4+4 = 8
右手の3本目の指 : 8+4 = 12
右手の4本目の指 : 12+4 = 16
右手の5本目の指 : 16+4 = 20
左手の1本目の指 : 20+4 = 24
左手の2本目の指 : 24+4 = 28
左手の3本目の指 : 28+4 = 32
これにはちょっとびっくりしました。親ばか大将の私ですから、息子への誇大なる期待を抱いたのも無理からぬこと。このまま秀才への道を突き進んでくれれば、などとおバカな期待を抱いたのですが、あっという間に息子の興味は日本で話題の「虫キング」に向かい、今はヘラクレス大カブトや5本角大カブトなどの甲虫を英語の学名で覚えています。
子供の興味はうつろいやすし。