日本が小国になる為の条件

9月 3rd, 2009 Categories: 1.政治・経済

池田氏は日本は小国になれるかというブログ記事の中で、「GDPを大きくしないで分配を平等にしようという民主党の「高福祉・高負担」路線は、結果的にはもっと不平等で貧しい社会をもたらすおそれが強い」と述べています。

簡単な例をあげましょう。3世代6人家族が同居する世帯で、貯金がゼロとした場合、世帯収入が減れば生活費として使えるお金も減り、生活は貧しくなります。生活費が減る中で、妻が子供をもう一人産む(世帯人数が増える)事になれば、貧困度は更に高まります。いまの民主党の政策は、「成長しなくても良い」でも「出生率は上げよう」という貧困推進政策です。

この家庭でもし、祖父母は公営無料の老人ホームへ入居し、子供も一人になったとします。減少する世帯収入に見合った世帯人数になれば、生活のレベルを維持する事ができます。これがトンデモ系の記事という事をお断りした上で、この例を参考に、貧困にならずに小国になる手段について考えて見ます。かなりきわどい内容も書きましたが、それらについての真剣なコメントも歓迎いたします。

日本が貧乏でない小国になる為にもっとも合理的な手段は、人口を減らす事です。経済規模を縮小させても、食わせる国民を減らせれば、貧乏になる事はないという理屈です。適度な人口数は、国内農業が生み出す食料で完全自給できる人口数を逆算で求めます。それに関して、こちらの記事では(少し古い時代のものですが)3000万人という数字をあげています。明治以降に農地が大きく拡大していないとすれば、この数字は参考になると思われます。

小国を目指すのであれば、日本国政府が海外へのプレゼンスを拡大する政策は不要です。自衛隊の海外派兵も、途上国への経済援助も、国連への多額の支払いも、もはや不要になります。中央政府はグローバリゼーションの防波堤としての外交と、近隣諸国からの軍事的侵略を抑止する自衛隊の保持・運営に限定した役割をこなすようにします。

国内の行政は、道州制度の導入によって、基礎自治体による高度な自治を行うようにします。中央政府の多数の省庁とその官僚のほとんどは地方公務員へ移し、更に、各道州政府(基礎自治体)の税収で維持できる規模に縮小します。地方行政サービスを円滑に行う為に、大幅に減少するであろう国内税収の7-8割は地方税として道州政府から基礎自治体へ配分します。

小国政策においても、輸出型企業が海外工場から吸い上げる配当金や特許料、ライセンス料などは貴重な外貨であり経済収入です。そういう企業の本社を海外へ移転させない為に、法人税の減税、連結決算企業の優遇、ホワイトカラー労働者の整理解雇規制の緩和などを行います。

更に税収を効果的に使用する為に、非農業人口は道州内の大都市部に移転させて社会インフラと行政サービスの効率化を行い、余剰の平地は積極的に農地として利用します。

農業を効率的に行う為に、農業の株式会社化を積極的に行って大資本による大規模農業を可能にし、個々の農業従事者は株式会社の中でサラリーマン化する事で労働条件の緩和と生活の安定化を推進します。農林水産業はみな、株式会社化によって安定した資本投入による事業の安定化と労働条件の改善を図ります。効率化によって農産物収穫量が増大すれば、人口増大の「枠」を増やす事ができます。しかし人口は急激には増大しないので、余剰農産物は東アジア経済圏への輸出を(小規模に)行う事で、多少でも外貨獲得と税収増大に寄与できます。

農地に適しない山間部で、林業にも適しない土地はすべて地主から廉価で買い取って国有化して自然公園にします。

教育は、保育園から高校までは、基礎自治体の居住者は無料にしても良いが、原則としては自治体の税収の範囲内で規模の維持を行うものとします。大学は道州政府の居住者までを税収で維持できる範囲内で無料にします。しかしながら教育を行政サービスで行う事は、自治体の固定費増大につながりますので、教育はすべて民営を原則とし、教育バウチャーによって無料化を行います。貧乏な自治体では、バウチャーの金額が減額されるので、差額は自己負担になります。ところで成長しない事を前提とした社会では、高学歴である事は必ずしも必要ではありません。ですから中卒生徒の高校進学は100%でなくても良いし、高卒学生の大学進学率が100%である必要もありません。大学や大学院は、社会のエリート(企業の管理職、自治体や中央政府の行政官僚、政治家など)を養成するに足る容量があれば十分だと思われます。それとは別に、社会人の教養を高める目的で別途に社会人大学を設けて、向上心や勉学欲の高い人のニーズに答えれ良いと思われます。

エネルギーの輸入を大幅に減少させる為に、家庭、会社、物流の「電化」を行います。電力供給は、発電事業は小規模な原子力発電(高速増殖炉を復活させて原子力燃料の効率的な利用を行う)を都市部周辺の郊外の地中へ設置して、効率的な安定供給を図ります。他に水力・風力・潮力・太陽光発電による分散発電を推進します。得に風力や太陽光による家庭内発電とその余剰電力を「効果的に買取る」しくみを導入して、エネルギー自給率も大幅に増大させます。食料もエネルギーも、できるだけ道州内で自給できるように、エネルギーの輸入は、原則としてその道州内企業の外貨獲得の枠内で行うようにします。

人口が減れば医療や社会福祉に要する予算も減ります。人口抑制を維持する為に、出生率の管理と同時に、60歳を超える高齢者への医療制限によって、高齢者の平均寿命を低下させ、高齢者死亡率の管理も行います。その一方で、公営で食住無料の老人ホームを都市郊外へ設置して、高齢者に一定の老後生活を保証します。

人口を減少させ、適度な人口数を保つ為には、人口抑制政策が必要です。出産は政府の許可制として、死亡率と出生率を管理します。中国では「一人っ子政策」によって人口増大の抑止に一定の効果をあげています。(出産の自由を奪う事は、欧米式の人権思想によれば明らかな基本的人権の侵害で。しかし日本人がグローバリゼーションを拒否するのであれば、思想的鎖国を行う事も非合理とはいえません。もともと日本には江戸時代から現代に至るまで、藩や村や企業の為に個人の権利に制限を加える事を甘んじて受け入れる文化的傾向があります。)

人口が十分に減り、余剰食糧や海外からの企業収益による経済効果によって、地方税がある適度の余裕が生まれる場合は、社会保障としてベーシックインカムの導入を行う事ができます。導入の可否や、支給する金額は、各道州政府の財政状況に応じて決めます。ベーシックインカムの導入により、人々の生活は労働収入への依存から部分的に開放されますので、貧しくとも豊かな生活が、フィリピンやタイなどの途上国へ行かなくとも実現可能となります。

国内経済で経済自給できるだけの人口数まで減らし、基礎自治体の集約化と社会インフラ・行政サービスの効率化を行う事い、更に大手企業の海外からの収益を加えれば、日本は小国として、グローバリゼーションの波から(完全にではないが)距離を置き、貧しくはないがゆったりとした(精神的に)豊かな生活を送る事ができる国になる事ができると考えられます。

いくつかの制約事項を受け入れる事により、成長の夢は無いが、成長のストレスも無い、まったりとした生活を行う小国になる事ができるかもしれません。あなたはこういう国になる事を望みますか?

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One Response to “日本が小国になる為の条件”

  1. 9月 14th, 2009 at 07:28
    1

    こんにちは。コメントありがとうございました。

    日本が小国になって政治的経済的なプレゼンスが低下すると企業の体力も失われて、競争者が少なくなって免疫力が弱った日本の市場に海外からどんどん外国企業が入ってきて市場を支配するようになるような気がします。また、産児制限を課すことによって、高齢者の数が多く子供の少ない逆三角形型の人口構造に永続的に固定されてしまうことで特に高齢者福祉の維持が困難になるでしょう。

    国内経済が人口の減少に伴って縮小する結果一人当たりGDPも減少して税収も減少していくと思います。国内に投資する対象が減ってマネーが海外に逃避し、海外の企業が日本の市場に入り込んでくれば海外への送金も増えるでしょう。当然輸出も減ります。最終的には円建て日本国債を買う酔狂な人はいなくなるでしょう。

    縮小均衡が国家解体にならないためには、外資や外国人労働者の流入を防ぐ鎖国が必要だと思います。さらに海外からの侵略に備えて中国のような強大な国家に朝貢することや、少ない国民をかき集めて強大な陸軍を編成し、無数のミサイルや大砲でハリネズミのように武装し山々を全て洞窟陣地に変え….あれっ?これって最近どこかで見たような….。

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