成功したターゲティング政策

池田氏のブログに、経済の成長を高める3つの戦略についての記事があります。その中のひとつに「ターゲティング政策:特定の産業を政府が助成する」という項目があります。アジアの政府は、経済成長を為に外資を呼び込むターゲティング戦略をしばしば行いますが、その中で成功したと思われるものをいくつか列挙します。

【中国】
1)組み立て加工貿易
組み立て加工を行い、製品を海外へ輸出する外資メーカーを特定の工業区へ誘致する政策。免税手帳(生産合同書)によって輸入税免除で材料輸入、製造機械の輸入税免除、製品の輸出販売時の増値税還付あるいは免除、企業所得税の低減措置など大きな利点があった。沿岸部の経済が繁栄する牽引車となり、更に国内企業への技術移転の効果も大きかった。
2)保税区、物流園区
外資系の貿易商社が上記1の外資工場で生産された製品を中国内の別の企業へ販売する場合、本来は海外へ輸出しなければならない規則であるところ、その手間を省く為に、一旦保税区へ入れる事により輸出したものとみなす事にした。代表例である上海浦東保税区では、保税区内に形式的に住所を登記(ダミー事務所)して、実際の事務所を市内に持つ事と、輸出と国内販売の両方の営業を許したので、多くの商社が保税区へ登記して大きな成功を収めた。
3)ソフトウェアパーク
遼寧省の大連ソフトウェアパークが代表例。中国で最も日本語教育の盛んな黒龍江省(これ自体がターゲティング政策です)と、日本語に堪能な朝鮮族が多くすむ吉林省が背後にあって、日本語(能力検定1級・2級)を持つ人材の調達が容易であり、外資企業のおよそ3割が日系のソフト開発やコールセンターである。日本の労働者の給与は生産性に比べて高く、企業は経費削減と正社員雇用リスクを避ける為に、今後益々、サービス業務のアウトソーシング化が進行すると思われる。

【フィリピン】
1)輸出加工区
PEZA(Philippine Economic Zone Authority)という政府組織による輸出加工区の運営を行い、日本や米国の製造メーカーの誘致を行っている。区内への材料や生産設備などの免税輸入と、企業所得税の5年間免除などの優遇措置を行っている。2000年前後まではかなり成功したが、現在は外資メーカー誘致で中国に負けている。
2)セブ市内ITパーク
PEZAの認定を受けたIT系企業誘致の為の特区。欧米のコールセンターやソフト開発企業、建築デザイン企業が多く誘致されている。フィリピンは現在も文化的に米国文化の影響を非常に強く受け続けており、英語は米系に近い。その為に、北米市場の為のコールセンターとしてメリットが高く、10年以上の導入期を経てやっと根付いた感がある。欧米サービス業のアウトソーシングでは、これからアジアを牽引してゆく可能性を秘めている。

Facebook Comments
Tags:
Comments are closed.