青色発光ダイオード

1月 15th, 2005 Categories: 1.政治・経済

青色発光ダイオードの製造技術に関する404特許の裁判で、当事者が和解した。和解といっても、中村氏にとっては敗訴にも等しい不本意な選択であったようだ。中村氏が日本の裁判所へ向けた怒りについて考えてみる。

壇弁護士のブログのリンクを辿って、日系BPのTech-Oh!スペシャルレポートで「日本の司法は腐っている」、中村修二氏が記者会見で怒りをあらわにという記事を読んだ。

以下、引用先のニュースページが消えたときのために、記事内容の一部を青字で引用する。

東京高等裁判所の裁判官に対して「審理のために用意した準備書面に目を通さないまま,和解勧告を出していることが最も腹立たしい。何のために分厚い準備書面を作成してきたのか分からない」と怒りが収まらなかった。

和解案(和解金)の算出においては、両者の意見を存分に聞いて評価した後に、双方に納得ゆくであろう理屈を示す事が和解のプロセスではないかと考えていたのだが、その考えは間違っていたのだろうか。中村氏が用意したという準備書面になにが書いてあるのかは知らない。しかし、裁判官が原告側の準備書面を読まなかった事により、和解案に「企業側を優遇する」態度を感じたとしたら、裁判所のやり方はなにか間違っていると感じざるをえない。

同氏は東京高等裁判所が6億857万円と示した対価について「東京地方裁判所が判断した600億円という対価があまりにも高く,その1/100の6億円程度が妥当だと数字を先に決めてから,それにつじつまが合うように貢献度などが算出されたもので根拠がない」と断言し,その判断に強い不満を示した

裁判所側は、中村氏の裁判目的を金額と考えて、和解案作成するときに「いくらを落としどころにするか」に重点を置いたのかもしれない。もちろん金額が大事でないとは言わないが、それを裏付ける「納得できる理屈付け」が貧弱だった事が問題だと思う。こじつけたような根拠しか示されなければ、「個人だから、こんくらいの額で十分だろう」的に裁判所が考えていたと誤解されてもしかたがないと思う。

同氏は,3年前に米国で日亜化学工業に秘密漏洩で提訴され,その後すぐに日本で日亜化学工業を反訴した。日米の両国で裁判を行ってきた経験から「日本の司法制度はおかしい」と今回の会見では何度も繰り返し述べた。特に,米国では裁判に当たり係争に関わる証拠をすべて原告と被告が開示するのに対し,日本の場合は都合の悪い証拠を提出する義務はなく,「個人は大企業に勝てない」とした。さらに「米国が陪審員制度により世論が反映されるのに対して,日本は裁判官だけの判断で決められてしまう」と述べた。

訴えられた企業が、証拠を自由に選択でき、都合の悪いものを隠す事が許されるのであろうか。もしそれが本当なら由々しき事態だ。本当なのだろうか?日本の裁判が、膨大な情報を保持する企業側に一方的に有利なのであれば、個人が企業に裁判で挑むのは、まるでドンキホーテのようだ。

同じく日系BPの特集コーナーには、中村氏の貢献度は「5%」,「404特許」の価値は「約1000万円」──「青色LED訴訟」和解決着で東京高裁は計算式を示すという記事がある。この記事では、和解金の計算の内訳を示している。

そのなかで非常に興味を引く内容が書かれている。

興味深いのは,中村氏が相当対価を求めたのは,青色LEDなどの窒化ガリウム(GaN)系化合物の結晶成長法「ツーフローMOCVD装置」の特許「404特許」1件についてだったが,東京高裁が示した和解勧告では,中村氏が日亜化学工業に在職中に発明者として名前を残した全特許について相当対価を計算した点だ。

つまり、中村氏がこの企業に在籍していた期間に名を残したすべての特許の対価が含まれているという。たのまれもしないのに、裁判所が大きなお世話をしたようだ。

これに関して,東京高裁は和解に際して示した「和解についての考え」に,「被控訴人(中村氏)のすべての職務発明の特許を受ける権利の譲渡の相当の対価(相当対価)について,和解による全面的な解決を図ることが,当事者双方にとって極めて重要な意義のあることであると考える」と記述した。「中村氏側は404特許の次は,他の特許についても訴えるということを主張していた」(日亜化学工業)が,東京高裁は「将来の紛争も含めた全面的な和解をするため,和解の勧告をする次第である」(和解についての考え)という判断を下した。これにより,中村氏と日亜化学工業との訴訟による争いは完全に終結したこととなる。

「和解による全面的な解決を図る」とは聞こえが良いが、見方を変えれば企業と裁判所が結託して、中村氏による特許訴訟の息の根を止めるのが目的であったと勘ぐる事ができる。1個人が企業へ、何億百円という莫大な対価を求める訴訟は、現在の日本の良識をひっくり返す「非常識」と裁判官が考えているのだろうかと、誤解したくなるような内容である。

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