ドラゴンエアーの腰抜けキャプテンに乗客怒る

1月 2nd, 2005 Categories: 1.政治・経済, 3.中国ネタ

年末の上海空港、ほんのちょっと雪が降った為に、私が搭乗したドラゴンエアーのKA899便は、離陸直前にキャプテン(主パイロット)の判断でキャンセルとなりました。他の飛行機(JAL、ANA、MUなど)の臨時便が次々と離陸する中、我々だけが滑走路に取り残されて、最低の年越しを迎える事となりました。

年末に上海へ出張しました。客先で打ち合わせを初めて間もなく、窓の外では雨が降り出しました。昼食を食べに外へ出ると激寒で、雨もみぞれになっていました。夕方頃、ビルの窓から下界を眺めると、花壇の草木に既に雪が積もっていました。
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客先の事務所を出るときに、「明日の飛行機は大丈夫でしょうか?」とお客様に心配されました。今晩の出発でないのが幸いでした。「まさか、この程度の雪でどうこうなるものでもないでしょう」と楽観的に答えました。

31日朝。午前9時。人民広場近くのホテルをチェックアウトする。荷物があるので、地下鉄2号線の龍陽路駅までタクシーを飛ばす。料金はRMB40元。地下鉄を使えば数元で行けるはず。地下鉄駅の真横に、磁気浮上列車の始発駅がある。ここで雪景色の記念撮影。
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午前9時40分。磁気浮上列車2号が、上海駅へ向けて出発する。最大時速は430キロ。空港までの所要時間は7分。この列車、大いなる無駄という気がしないでもない。
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午前10時30分。飛行機の出発時間は12時15分でしたが、早めにチェックインする事にしました。幸い、カウンターに並ぶ人の列は少なく、あっという間にボーディングパスをもらいました。ボーディングパスに印刷された搭乗時間は11時45分でした。
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11時50分。搭乗予定の27番ゲートにつきました。もう搭乗がはじまっているものと思っていたのに、まだだれも並んでいません。登場カウンターの表示パネルには、同じく香港行きのMU便が表示されていましたが、なんとDelayと表示されていました。各便の出発スケジュールを表示している表示機を見ると、多数の便がDelayと表示されていました。ドラゴンエアーの地上スタッフはどこにも見当たりません。搭乗のアナウンスも、依然として流れません。

午後1時半頃。27番ゲートの前で、MU便のお客向けに弁当を配り始めました。ドラゴンエアーの地上スタッフが現れましたが、何時出発できるのか、だれも知りません。カウンターの周りを、講義する台湾人が幾重にも取り巻いています。みんなの講義が効を奏したのか、RMB90までレストランで食事をしても良いというアナウンスが流れました。みんなお腹が減っていたのか、あっという間にカウンターの前から人が消えてしまいました。

午後2時半、食事を終えた人たちが再び27番ゲートのカウンター前に集まりました。ドラゴンエアーの地上スタッフがやって来て、KA899の振り替え便は、今日の午後3時に香港を出発して、6時半に上海から香港へ出発できるとアナウンスしました。すると台湾人たちが更に猛烈な抗議を始めました。昨日の夜は4便が雪の為に欠航した(離陸できなかった)そうですが、それは昨夜のうちに判っていた事ですね。更に、今朝の便も12時頃までに4便があります。予め予測できる問題の対応にこれほど時間を要し、今日の2時半すぎになって、ようやく「これから振り替え便を飛ばしますので、あと4時間ほどお待ち下さい」といわれても、容易には納得できません。

私も輪の最前列まで突入して、「飛行場には今、4機もドラゴンエアーの機体があるのに、なぜ1便も飛ばせられないのか?」、「MUや他の飛行機会社は、どんどん臨時便を用意しているのに、なぜドラゴンは対応が遅いのか?」、「搭乗する機体がないのに、我々乗客をチェックインさせたのは詐欺ではないか?」と地上スタッフへ質問しましたが、「ウグッ」と言葉を詰まらせたきり、返事ができないようでした。っ答えを持っていない相手を、いくら追い詰めても意味がありません。抗議の輪を出て、気晴らしにビールでも飲もうと、レストランへ行きました。

良く考えれば、チェックインする前ならいろいろなオプションを選択する自由がありました。多少のお金を要しても、他社便へ変更するとか、飛ぶルートを変更してマカオ、シンセン、広州空港等へ行くとかです。ところが、搭乗券をもらって(つまりチケットはなくなる)、通関を通ってしまうと、乗客のオプションはほとんどなくなってしまいます。上海飛行場内には、乗り継ぎカウンターもないようなので、地上スタッフが搭乗カウンターから姿を消すと、だれかに文句を言う事すらできません。航空会社へ依存せざるをえない状況になるのですね。

チェックインしてから、夕方までに上海空港を出発したドラゴンエアー便は(私のメモによれば)以下の通りです。

KA803(11時15分出発予定) 搭乗を促すアナウンスを聞いたのは14時50分
KA875(15時55分出発予定) 搭乗を促すアナウンスを聞いたのは16時25分
KA877(13時10分出発予定) 搭乗を促すアナウンスを聞いたのは16時44分
KA805(14時15分出発予定) 搭乗を促すアナウンスを聞いたのは17時47分

その都度、上記便の登場口へ走って行き、「KA889より後の便が、先に出発するのは何故か?」、「開いてる席があれば、こっちへ乗せてくれ」と、時に怒鳴り、時に懇願しながら試みましたが、うまくゆきませんでした。

KA803便の登場口では、ビジネスが3席あいているという情報をキャッチしたのですが、地上スタッフは「イミグレーションの役人が、ボーディングパスを発行済みの乗客を、空港内で別の便に変更させる事を却下した」と言われて、「イミグレーションの役人になんの関係があるのか!」と文句を言いながらも、結局は諦めざるを得ませんでした。

そうこうしているうちに6時になりました。27番ゲートで「本当にKA899は飛ぶのかー!」と騒いでいると、KA899は搭乗ゲートが35番になりましたというアナウンスがついにありました。みんなダッシュで移動しました。35番ゲートに集まって、待つこと30分。数人のドラゴンエアー・スタッフがカウンターに集まり、いよいよ搭乗開始のアナウンスがありました。

午後6時半。本当に大丈夫なのか、という拭いきれない不安を胸に、皆はバスに乗り込んで飛行機へ向かいました。

午後7時。あっという間に客席は乗客で満員になりました。本当にひとつの座席も空いていません。みなが座席でくつろいでいると、だれが「また雪だ」と言いました。窓の外を見ると、本当に雪が降っていました。たいした事はないと思っていたのですが、キャプテン(機長)からアナウンスがあり、「ただ今、雪で、飛行場が閉鎖されました。この機は、今日はもう飛びませんので、みなさんは空港へ戻って下さい」との事。

ガーン。大ショックです。NHKの紅白には間に合わないが、なんとか年越しそばと、好物の濁り酒にはありつけそうだと油断していたら、たちまちこの様です。あーもう、今度から冬の上海はMU便に変更だー、などと心の中で叫びました。

午後7時半。何故か、乗客がだれも席を動きません。というか、バスが来たので降りて下さい、というアナウンスもありません。となりの台湾人の乗客と話していると、再びキャプテンからアナウンスがありました。「雪は止みましたが、翼が氷結しているといけないので、その検査を8時までに行い、問題がなければ香港へ出発します」ですと。ワァーと歓声が上がりました。私もつい、そのような話しを信じてしまいました。

午後8時半。翼の検査が終わったので、これから管制塔へ離陸の許可を申請する、というキャプテンのアナウンスがありました。予定より30分も遅れました。

午後9時。再び外に、雪がちらほらし始めました。ヤバッ。

午後9時20分。「再び雪が降り出したので、この機はキャンセルします。」というヘタレたアナウンスがありました。嗚呼やっぱり、悪い予感って当たるんだなー。

午後10時20分。「今晩のホテルは既に用意しました。バスすぐに着ます。乗客のみなさんは空港ロビーへ戻って下さい。乗務員一同、お詫び申し上げます。」という日本語のアナウンスがありました。ところでビジネスエリアの最前列では、台湾同胞を代表してボスキャラのおじさんが、乗務員へ激しい抗議をしています。いつの間にか、彼は、皆から拍手などを浴びながら、乗客の利益を守るために闘っていたのでした。そんな状況は、となりの座席の台湾人から入手しました。そういうわけで、ドラゴンエアーが乗客へお詫びのお金を払うまで、「だれも機体から降りないぞー!」というわけなのです。

午後11時。だれも動く気配はないのですが、この機が飛ばないのは明白となっています。それに機内に留まっているのも飽きてきました。なんか労働争議でピケ破りする裏切り者労働者のようでしたが、荷物をまとめて機を出る事にしました。私の後に、数人の乗客が続きました。

午後11時30分。実はまだ、空港の35番ゲートにいます。乗務員に預けたコートを返してもらった時に、私の搭乗券を返してもらってなかったみたいです。私の搭乗券がないんです。飛行機に戻ろうとすると、「規則違反だから駄目です」と制止されて、自分で探しにも行けません。それで、乗務員さんたちが、私の搭乗券を探し出すのを待っているところです。搭乗券がないと、空港のイミグレーションを通してもらえない(外に出られない)という話しもあるようです。かなりの乗客は、既に去ってしまいました。

午後11時45分。なんとなく、これが最後じゃないかというバスがやってきて、乗客が35番ゲートを潜りました。これはヤバイです。日中はガンガン文句を言っていた地上スタッフの方々に、「私も外へ出たいですので、一緒にイミグレまで付き添って下さい」とお頼み申し上げました。

午後11時55分。チェックインした自分の荷物をみつけました。

午後11時58分。到着ロビーで出てきました。ゲート8に行けば、ホテルへゆくバスがあるという話しだったのですが、こきたないバスが数台あるだけで、ドラゴンエアーの奇麗でゆったりとしたゴージャスなバスはどこにもありません。

1月1日。新年になりました。午前0時3分。底冷えする、古くて汚いドラゴンエアーのバスに乗っています。私を含めて乗客4人。なかなかバスは出発しません。運ちゃんにお願いして、ヒーターを入れてもらいましたが、窓からの隙間風で、ちっとも暖かくなりません。

午前1時半。突然、大勢の乗客がバスに乗り込んできて、満席になりました。へっ、まだこんなに居たの?どこに居たの?などと沈思黙考していると、となりの座席に座った台湾人の(アクセサリー工場の)社長さんが流暢な日本で説明してくれました。「私たちは1時まで、乗務員と闘争していました」お疲れ様でした。

午前2時半。虹橋(旧国際空港)の近く、展示会場に併設したホテルへ到着して、即効でチェックイン。湿った室内で、暖房を強にしてもなかなか暖かくなりません。部屋自体が冷え切っていたせいでしょうか。衛星写真で明日の天候をチェックしようとしたのですが、インターネットはつながりませんでした。おまけにルームサービスが(時間外で)出来ず、すきっ腹をかかえて寝ることに。
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1月1日午前6時45分。朝です。頼みもしない強制モーニングコールで目覚め、シャワーを浴びる。テレビをつけると見そこなったNHK紅白を衛星放送でやっています。ちょっとでも見れたのでラッキー。

午前8時15分。荷物をまとめてチェックアウト。部屋に入るカードキーが見当たらなかったので、「すみません、部屋に忘れてきました」といって許してもらう。部屋の支払いはドラゴンエアーが持つので、カウンターの女性は、機械的にチェックアウトの手続きを終える。(ほんとはワイシャツのポケットに入っていた)

午前8時30分。最初に出発するバスに乗って、空港へ向かう。今日のフライトの搭乗券を持っている人を見つけ、「えっ、俺はまだないよ!」とあせる。あせってまわりを見渡すと、他にも搭乗券のない人が多数いて、とりあえず安心する。お空は昨日同様に晴天。

午前10時10分。ドラゴンエアーの団体チェックインカウンター(向かって一番左側)で、新しいボーディングパス(KA899D)をもらう。搭乗時間は10時45分。末尾のDは手書き。全員の搭乗券は既に印刷してあったようで、束の中から私の名前を探しているので、座席番号(26D)を言ってみつけてもらう。私の2人前でチェックインした小太りのおばさんが、パスポートと財布の入ったバッグが見つからないと、カウンターの前で大騒ぎをはじめる。みんなあせってるなあ。
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午前11時30分。昨日と同じゲート35番で、予定より遅れて搭乗を開始する。真っ先にバスに飛び乗って飛行機へ向かう。お空は依然として快晴。

午後11時35分。KA899Dへ乗り込む。昨日顔見知りになった戦闘的な台湾女史は、私の顔を見ると「今日のキャプテンは、昨日の腰抜けとは違うんだって」と嬉しそうに声をかけてくれた。私の座席である26Dへ座る。周りの乗客を見渡すと、やっと香港へ行けるという安堵感と、土壇場でまたなにか起こって離陸出来ないのではという不安のないまぜになった複雑な表情をしていた。

午後0時少し前、いよいよ出発というときに、「わが機へようこそ。我々は上海空港へ取り残されたお客様を香港へ連れ戻すレスキュー・ミッションでやってきました」と威勢の良いアナウンスをして、飛行場を飛び立つ。テイクオフする最中に、大勢の乗客が(やっと上海をおさらばできると)盛大に拍手する。

さて、昨夜みんなのリーダーになったボスキャラおじさんが、みんなに紙を廻している。なにかと聞くと、これはドラゴンエアーへ見舞金を払えという要求書への署名だという。面白そうなので、私も住所、名前、搭乗券のシリアル番号を書く。

午後2時半。香港のイミグレの前に来たときに、ボスキャラおじさんと、それに続く何人かの台湾人の方々が、みんなが署名した紙の束を片手に、ドラゴンエアー・スタッフの先導で歩いているのを見ました。うーん、あくまで闘争を続けるつもりなんですね。さすがあっぱれ。昨日はあんなに怒っていた私も、日本人の性なのか、もう香港に着いたんだから水に流してもいいじゃないか、なんて思ってしまいました。

長々とドキュメンタリータッチで書いてきましたが、ドラゴンエアーがみんなを怒らせた問題点を私なりにまとめてみました。もし、どなたかエアライン関係者の方の目に触れるようであれば、今後の参考にしていただければと思います。

●チェックインするときに、今日の状況をきちんと説明すべき。
 カウンターに説明文や謝罪文を張り出すとか、印刷して配るとかすべきである。
 乗るべき機体がないなどという事が登場口で初めて明らかになるというのは乗客への詐欺である。
●乗客に多大な迷惑をかけているのに、きちんとした説明を、しかるべき筋から行わなかった。
 搭乗口カウンターで地上スタッフの説明は足りなさ過ぎ。
 昨晩欠航して●百人の乗客がおり、その振り替え便として以下の便を使うので、今日の乗客にはこのような手配をしている、等という説明が最初にあるべきだ。
 会社側も地上スタッフへ、もっと情報を流すべきである。
●搭乗後の説明もまったく足りない。
 搭乗後にまったく説明のない待機時間がずいぶんあった。
 他社の便が離陸しているのに、「なぜこの便は飛べないか」という説明がまったくなかった。
●キャプテンの優柔不断さは、乗客に過度の期待を抱かせ、最後には大きな幻滅を招いた。
 明らかな理由で飛べないなら、キャプテンは早々に決断して実行すべきである。
 何度も方針が変わったので、乗客は「最後には飛べる」という期待を持ちすぎて、「キャンセル」という現実を受け入れられなくなった。乗客が怒って「補償の約束を取り付けるまで機を降りない」という騒ぎに発展したのは、キャプテンの優柔不断さが原因である。

また、今回のトラブルから、下記の教訓を得ました。
●フライトの前日に悪天候があったときには、欠航した便の有無を確認する。
●当日が快晴でも、チェックイン時にかならず遅れがないか確認する。
 できれば航空会社の本拠地の事務所へ電話する方がなお良い。
●遅れそうなときには、多少お金を要しても、可能なかぎりビジネスにアップグレードする。
 ビジネスラウンジの方が、長時間の待機に適しているから。
●出張先で帰国時に悪天候が予想されるときには、相手側空港をベースにしている航空会社を選択する。

みなさんも、冬に寒冷地へ出張されるときにはお気をつけ下さい。

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