日本に1億は多すぎる

7月 29th, 2009 Categories: コンピュータ及び科学全般ネタ

池田信夫blogのこちらの記事では、民主党のマニュフェストに盛り込まれたばら撒き政策をねずみ講と批判しています。日本経済は、組み立て加工輸出産業を強力な牽引車として高度成長してきました。しかしながら工場労働者の賃金上昇と生産性低下によって、もはや国内で組み立て加工が発展する可能性は極めて低いと言わざるを得ません。

ところで池田氏の記事のコメント欄によれば、民主党のマニュフェストには「子供手当て」があるそうです。以下に引用します。

>民主党のマニフェストで評価するのは子供手当です。
>中学まで年間31万円の予算を子供に使う。
>将来、医療・年金を財政的に維持出来ないという問題の発端は、少子問題です。
>それを解決するには、少子問題を解決する意外にない。
>このマニフェストで子供をつくるのが投資の対象となり、若い世代が子供つくるのは損から、つくるのが得になれば問題が解決する。
>自分は、財政問題を解決するには少子問題を解決する以外にないと思っています。
>一時的に財政赤字が高まってもベビーブームが起きれば、財政は健全化出来ると思います。
>少子問題が解決すれば、日本は鬼に金棒でないですかね。

私は以前、年金問題や経済発展の為に、少子化傾向を改善する必要性を考えていました。しかし世界へ目を向けた時に、人口を増やす政策がいかに近視眼的であるかに気がつき、人口を増やす政策は必ずしも正しくないのではないかと考えるようになりました。

20世紀後半に、私たちは人口爆発の問題を認識しました。世界人口は、この100年間で6倍に増えました。産児制限が行われていないアジアの諸国は、所得と医療が向上すると、人口が爆発的に増大し得ます。中国(13億)、インド(12億)、インドネシア(2.2億)、パキスタン(1.8億)、バングラディッシュ(1.6億)、日本(1.2億)がその良い例です。アフリカ諸国でも、ナイジェリアは既に1.5億です。戦争や内戦がなくなれば、たちまちアジアの人口に追いつくでしょう。

増大した人口は、より多くの食料を求めます。中国の中産階級が1億を突破した時に、食料の輸入量が急増して、世界の食料需給バランスが崩れる事を懸念する人がいました。買い手が増えれば食料の市場価格は上昇し、最後にはだれもが満足な量を調達できなくなります。地球温暖化は100年で海面上昇数センチの問題ですが、アジア、アフリカ、中南米の発展途上国の人口は100年で何倍にもなり得ます。こちらの方がより優先順位の高い問題といえます。

そういう背景を踏まえて考えると、これからの日本が目指すべき経済発展の方向は、人口増大を要するものでなく、人口が半減しても成立し得るものであるべきです。人口減少のデメリットは、大規模歩兵戦や大規模組み立て加工が困難になるだけです。そういう時代はもう終わりました。

知識や技術レベルを維持したままで、出生率低下による人口の自然減を行うのですが、これは年金や医療の問題を考えると、一時的には極めて「痛み」を伴う状況が発生します。しかし痛みを乗り越える事ができれば、最終的には国内の組み立て加工業産業への依存体質から脱却して、柔軟な産業構造の構築が可能なるのではないかと考えます。

日本の人口をどこまで減らすべきかは、どのような社会構造および産業構造を目指すかによって差が出てきます。基本的には、十分な社会サービス(行政、教育、医療、セーフティーネット)が無料または廉価で提供できる税収額とバランスした人口であれば良いと考えます。収入と支出をバランスさせて、しかも少しずつ貯蓄も行う。これは家計簿(経済)の基本といえます。

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2 Responses to “日本に1億は多すぎる”

  1. ハシ
    7月 30th, 2009 at 16:57
    1

    はじめまして、いつも興味深く拝見させていただいています。

    わたしも人口問題については、少子化より爆発の方が問題だと思っておりました。
    マルサスの人口論の否定により、経済学的には人口問題は解決できると考えられているようですが、
    生物学的に見て、これ以上の人口の増加は生命の多様性を犯すだけで
    ひいては人類にも悪影響を及ぼすほどになってきているのではないかと思っています。
    とはいえ、人口を減らしていくのはつらいことです。
    しかし、日本にとってこの少子高齢化はチャンスではないかと思っています。
    これを上手に乗り越える方法を苦しみながらも生み出せれば、未来の世界に向けてよき範を垂れることができるのでは?と思うのですが、
    そういう発言をする政治家が現れないのは少し寂しい限りです。

  2. bobby
    7月 31st, 2009 at 14:32
    2

    ハシさん、コメント有難うございます。人口爆発、原油枯渇、エネルギーや食料の争奪戦、そして太陽系への経済進出など、21世紀も波乱に富む世紀になる可能性があります。そういう時代へ柔軟に対応するには、科学技術力を保持しながら、しかし養う国民は少ない方が良いのではないかと考えます。日本の、そういう長期戦略を考える政治家(政党)が出現してほしいものです。

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