「ソフ倫」の自主規制問題と規制緩和との不整合性

実名による言論プラットフォームであるアゴラで、田辺氏が始めたエロゲーの「ソフ倫」自主規制批判に対して、松本氏が自主規制擁護の立場からこちらこちらの2つの記事で田辺氏の批判を行いました。二人が議論の為に投稿した記事のコメント欄では、オーディエンスによる議論も非常に盛り上がっています。

松本氏はこちらの記事を読んで、ソフトバンクモバイルの経営に携わる者という立場を超えて、日本の通信業界の既得権を守ろうとする行政や企業に対して、業界の長期的な繁栄・発展という目的を持ち、規制改革という立場から闘っておられる方と認識しておりました。しかしながら今回の議論では、、表現の自由を守る権利とか、子供の健全な育成を守る権利という議論の前に、私は松本氏の規制改革者という姿勢に対して、意見の一貫性が欠けているように感じています。

以前に池田氏のブログでネットの自主規制が議論された事があります。しかし本件は、その問題と似ているようでいて、実際には条件が異なると考えます。松本氏の記事のコメント欄でも既に指摘されている通り、エロゲーはエロ画像とは異なり、ブラウザーの操作だけでは通常は取得できません。店頭かウェブショップで「購入」する必要があり、入手したソフトをパソコンへインストールする行為が必要なので、未成年者がインターネット上で、たまたまエロゲーに触れるような事は有り得ません。それだけでもかなり効果的に、未成年者をユーザーから排除できると考えます。

それでも不心得な製作関係者、物流関係者、購入した大人の中から未成年者へ配布する者がいれば、それは事前の規制で管理するよりも、事後に警察が犯罪事件として個別に摘発すれば良い事ではないでしょうか。

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3 Responses to “「ソフ倫」の自主規制問題と規制緩和との不整合性”

  1. ひろ”ゆ”き
    6月 15th, 2009 at 19:37
    1

    >松本氏が自主規制擁護の立場からこちらとこちらの2つの記事で田辺氏の批判を行いました。
    私もこのスレッドに鋭い関心を持っていますが、bobbyさんの”規制改革者としての松本氏”に対する意見に”違和感”を感じましたので、この点について自説を述べさせて頂きます。

    >松本氏(「MVNO論議の不思議」)の記事を読んで…日本の通信業界の既得権を守ろうとする行政や企業に対して、業界の長期的な繁栄・発展という目的を持ち、規制改革という立場から闘っておられる方と認識しておりました。
    >しかしながら今回の議論では…私は松本氏の規制改革者という姿勢に対して、意見の一貫性が欠けているように感じています。

    「MVNO論議の不思議 – 松本徹三」の中で松本氏は、MVNO-自らは通信回線設備を持たず、既存事業者から借り受けるが、顧客に対してはあたかも自らが事業者であるかのごとく携帯通信サービスを提供する(会社)のことについて述べています。

    >>一面で競争関係にある複数の企業が、別の一面では協調し、お互いに有無を通じ合ってコストを下げようとするのは、ビジネスの世界では日常茶飯の事であり、色々な業種で行われていることです。
    と、述べていることもガソリンやセメントなど、製品のブランドが違っていても中身は「同じ」ということは多々あることです。
    また、自動車業界においては、2位以下の会社がOEM生産で他メーカーにクルマを融通している例が有ります。
    このように様々な製造方法があったとしても製品に大きな差異がなく性能が似通ったもの、については製造コスト・運送コストを省くために販売面では覇を競っているにしても、製造面では協調する、という”経営判断”は有り得るのではないでしょうか?

    確かに「1,2位連合で市場の過半以上を取る」との行為は間違いと感じますが、今回の「ソフトバンクとイーアクセスの場合は、業界第三位と第四位の会社」の提携でむしろ、携帯電話市場での競争を促進し、私達消費者にとって有益ではないでしょうか?
    また、「モノ(設備投資)に儲けを投入するのなら、もっと料金を引き下げて欲しい」と言う素朴な思いを持ち、それが以前の「料金と電話機本体」のアンバランスを是正した、とも考えています。

    私はこのような理由で松本氏の立場は「アリ」とこの記事を読んだ時に考えました。

    >規制改革者という姿勢に対して、意見の一貫性が欠けているように感じています。
    “規制改革者”-これを規定することはナカナカ難しいのではないかと思います。

    それは何を最大の目標として設定するのか?それを実現するために所管・監督官庁をどのように”利用”するのか?そもそも国の役割を認めるのか?それともそれを排除するのか?…

    >>通信業界に関して言うなら、国がやるべきは下記の4点に限るべきであり、あとは原則的に民間企業の知恵と努力に任せるべきです。
    1)安全且つスムーズな通信サービスを阻害するような行為の取り締まり。
    2)独占体制を切り崩し、公正競争環境を整備する為の諸施策の遂行。
    3)国民の共有資産である電波資源の有効活用のための政策の立案と遂行。
    4)消費者の利益を守りその便宜を拡大する為の、その他の様々な努力。

    松本氏の上記の見解は、市場の効率化・利益の最大化と言う大目標を達成するためには適切な「国の介入」を辞さない・利用すると言う立場、を表しているように私は理解しました。
    私はこのように市場の役割を最大化するためには、規制当局を「利用する」と言う考え方も「アリ」と考えます。

    この点、bobbyさんは如何お考えでしょうか?

  2. bobby
    6月 15th, 2009 at 23:14
    2

    ひろ”ゆ”きさん、コメント有難うございます。

    >>通信業界に関して言うなら、国がやるべきは下記の4点に限るべきであり、あとは原則的に民間企業の知恵と努力に任せるべきです。

    私は松本氏の、上記に続く意見に賛成です。また、もともと国の独占事業であった電話や、少数の認可された放送事業に対して開放する時に、後発組がフェアに競争できる条件設定を国が行う事も悪いとは思いません。それらはエンドユーザーに利益をもたらし、市場を活性化する事で国民全体に利益をもたらします。そういう意味で合理的な意見だと考えています。

    しかしながら今回の「ソフ倫」規制は、もともと規制があまりなかった業界に対して新しく(自主的とはいえ)規制を加えるものであり、その規制はエロゲー業界を拡大繁栄させるものではないし、エンドユーザーにとっても利益をもたらしません。更に松本氏が反対する動機は、氏の書き込みによれば、エロゲーを嫌悪する情緒的なもののようです。

    これではまるで、「雇用の自由化を促進すると、資本家が労働者を搾取する」という一段階論理で思考する情緒的な労働者となんら変わらないのように考えました。

  3. bobby
    6月 15th, 2009 at 23:23
    3

    >更に松本氏が反対する動機は、氏の書き込みによれば、エロゲーを嫌悪する情緒的なもののようです。

    上記意見の根拠を、記事のコメントから下記に引用しますのでご参照ください。
    http://agora-web.jp/archives/642977.html

    * 3. 松本徹三
    * 2009年06月07日 09:42
    * nekonyanさんへのご返事です。
    「私の人権に対する挑戦」という言葉遣いは、短絡的で大袈裟だったかもしれません。「私にも、他の人達と同様、社会で起こっている好ましくない事をストップさせる権利がある。それをストップさせないという考えがあるなら、それは私自身への挑戦と考える」という意味と理解してください。「訴訟する」云々の問題ではありません。
    それから「被害者がいない」とおっしゃっていますが、刺激的なソフトが流通すれば、犯罪行為が誘発される可能性は高まり、潜在的被害者の数は増えます。「直接被害を受けてしまった人はまだ存在していない」わけですから、刑法上の構成要件は成立させませんが、「潜在的被害者」をなくするためにこういうソフトを規制することは、「安心して暮らせる社会を守る」為の行動として、当然正当化されて然るべきです。

    * 4. 松本徹三
    * 2009年06月07日 09:45
    * コメントの字数に制限があるので、nekonyanさんへの返答の続きを新しいコメントとして下記します。
    日本発の多数の「児童ポルノ」は確実に存在しています。現実に私はある米国人からそのことで攻撃されました。nekonyanさんがおっしゃっているのは、「表現の自由を確保する方が重要だから、そんなものは放置しておいてもよい。外国の潜在被害者などどうでもよい」という事ではないのでしょう? おそらくは、「潜在被害者を生む可能性のあるものとして、どこに一線を引くかが重要」と言っておられるのだと思います。もしそうであるなら、国が介入する前に、業界や一般市民が自主的にこの「線の引き方」を議論して決めるべきではありませんか? いずれにせよ、現状には明らかに「表現の自由」の行き過ぎがあると、私自身は考えています。

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