Archive for September, 2014

「香港を助けて!」ってどういう意味?

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前の記事に続き、香港の民主化運動について書きます。ハフィントン・ポストの記事で、デモを行っている学生(と思われる女性)の一人が、youtubeで「香港を助けて!」という画像をアップしました。

「香港を助けて!」デモ参加者の女性、YouTubeで訴える【動画】 <The Huffington Post>

私は香港特別行政区の民主化が進む事に反対するものではありませんが、この記事で女性がが述べている意見には、ちょっと違和感を感じました。以下に、記事中から意見の和訳した部分を引用します。

「私たちは、この動画を見ている皆さんと同じく、何の罪もありません。私たちはただ香港行政府の人たちに抗議しようとしているだけなんです。私たちは、これまで世界で一番安全だった街で繰り広げられる惨劇を見たくなんかありません。シリアやウクライナ、そして中国で起きているような惨劇はごめんです」

これの何処に違和感を覚えるかというと、

1)ただ香港行政府の人たちに抗議しようとしているだけ
セントラル、コーズウェイベイ、旺角など中心的な市街地を大量のデモ隊が占拠して機能麻痺させる事を「ただ抗議しようとしているだけ」というのはどうかと思います。

2)これまで世界で一番安全だった街
香港という街(擬似都市国家)は英国の植民地として誕生し、植民地政府の総統が統治していました。中国へ返還後は、行政長官を任命していたのは、事実上は北京政府でした。香港は昔から、経済第一、政治は二の次。多くの香港人がレッセフェール(政治が経済に首を突っ込むな)を信奉し実践する事で、「世界で一番安全な街」として発展してきました。そういう歴史をきちんと認識しているのでしょうか。

2)シリアやウクライナ、そして中国で起きているような惨劇はごめん
シリアやウクライナ、そして中国で起きているような惨劇というのは、そもそも、彼女達がいま行っているような「過激な民主化運動」が引き金となっている事を、きちんと認識しているのでしょうか。

学生たちは、台湾学生による立法府占拠の影響を受けているのかもしれませんが、台湾と香港は、政治的な環境がまったく異なります。台湾は北京政府からかなりの政治的な距離があります。香港人の自由を反保している「一国二制度」は、北京政府によって生み出され、維持されています。これ以上の運動の過激化は、「金の卵がもっと欲しくて鶏を殺す」ような状況になってしまうのではと危惧しています。


Be the first to comment - What do you think?  Posted by bobby - 2014/09/30 at 15:39

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香港の民主化運動は誰の為?

香港では今、2017年の行政長官(香港特別自治行政区のトップ)を選ぶ選挙の方法を巡り、北京政府が出した条件に反発して、若者を主体とする大規模なデモが「あちこち」で発生して大騒ぎとなっています。大規模な民主化デモは、これまでも定期的に行われてきましたが、特定の時間帯に定められた径路を大勢で歩く、行儀の良いものがほとんどでした。なので、今回の騒ぎは例外的なイベントとなっています。私は香港に85年から住んでいますが、記憶にある限り、89年の6月に起きた、北京の天安門事件に呼応して発生した大規模デモに迫る「勢い」が感じられます。

今回の民主化デモの経緯をご存知ない方は、下記の記事を参照下さい。要点がよくまとまっていると思います。

香港民主化デモ、知っておきたい5つのこと <The Wall Street Journal>

昨日聞いた話しですが、知人が日曜の夜にセントラルで飲んでいました。夜の10時頃に帰ろうとしたところ、セントラル地区の地下鉄入口がデモの為に閉鎖されており、地下鉄に乗れません。1駅先の金鐘駅まで歩いて、やっとタクシーを拾って、旺角へ行きました。その時点で、既に12時を回っており、地下鉄は営業を終えています。しかし香港は、夜中まで繁華街で飲んで帰る人の為に、深夜ミニバスというのが在り、そのバス駅へ行こうとした訳です。ところが、旺角の手前でタクシーを降りてネーザン道を歩いていると、どんどん人が増えて行き、旺角の中心部はやはりデモの人で大混乱。深夜ミニバスもやってません。仕方なく、もう1つ先の太子駅まで歩き、そこでようやくタクシーを拾って、夜中の2時頃に帰宅でしました。「めちゃくちゃ大変だった」と笑いながら話してくれました。

また、昨日の昼前は、HSBCという香港の最大手銀行の(弊社に近い支店)へ行く用事がありました。綺麗なオフィスビルの12階にある、コーポレートアカウント専用のオフィスです。そのドアを入ったとたん、いつもと違う「雰囲気」を感じました。受付前の壁にある大型液晶TVで、商品宣伝のビデオではなく、旺角のデモのニュースを流していました。その前にHSBCのスタッフが6人くらい集まって、深刻そうな表情でニュースを凝視していたのです。TVの画面には旺角のHSBCのビル前に集まっている群衆が映されており、旺角エリアは閉鎖されてしまい、HSBCの旺角支店も営業できずクローズしたとの事でした。

先に、89年の大規模デモに迫る「勢い」があると書きましたが、違う点もあります。

89年の天安門事件の時には、若者だけでなく、大企業から零細企業まで、中年のヲヤヂ経営者達が社員を先導して、デモや集会に参加したり、新聞に抗議広告を出したりしていました。当時は20代だった私は、うちの社長の友人である中国人経営者達が、ミーティングの後で、「これから社員を連れてデモに行くんだ」と言うの聞いて、大きなショックを受けた事を覚えています。それまで私は、香港人のビジネスマンは政治には関心が薄いと聞いていたからです。

その中年ヲヤヂの経営者達からは、今回のデモでは共感を得ていないようです。私と同年代(中年)の友人で、レッセフェールを信奉する香港ビジネスマンにSNSで聞いてみたところ、今回のデモ騒動には「興奮」しているものの、それではデモに参加するのかというと、彼も、そのビジネス・フレンド達も「NO」でした。「あれはKIDS達のものだ」という認識のようです。その辺をうまくまとめた下記の記事も一緒に参照下さい。

香港、抗議行動で露呈した世代間格差 <The Wall Street Journal>

記事では経済的な視点から述べており、私も同感です。40歳から上の香港人では、月曜から金曜まで広東省(深センや東莞など)の工場で働き、週末に香港の自宅へ戻る生活を続けている人が多くいます。こういう人達は、中国あっての香港経済であり、政治は二の次だという事を肌で知っています。

一方で、香港の30歳前後までの若者はどうかというと、理屈の上での国籍は「中華人民共和国」ですが、アイデンティティーは「香港人」という人が多いと思います。多くの若い香港人は、香港と深センの間に横たわる擬似国境から向こう側(大陸側)へ行きたがりません。「怖い」と感じている人が(弊社の香港人社員を含めて)たいへん多いのです。

香港の中で、世代間のギャップについて述べましたが、それでは大陸側の中国人は、今回の騒動をどのように見ているのでしょうか。

ほぼ全ての大陸側中国人は、「香港は昔から中国の一部である」という価値観を持っています。香港独自の「民主化運動」は、香港を中国から分離させる運動と捉えて、心理的に反発するようです。また、香港人が大陸側中国人を「見下す」発言がしばしばあり、それに対して大きな反発心を抱く人が多い状況があります。更に、「お上」意識が強く、直接選挙や政治的な権利への関心が薄いのです。その結果として、今回の件で香港人の若者達に共感している人は多くないようです。

最後に、香港と大陸中国でビジネスをしている中年ヲヤヂ世代である、私の個人的な意見を述べます。香港がより民主化される事は歓迎します。しかし、そのプロセスとして治安を悪化させ人々の生活を脅かすような「過激な運動」が起きる事は望みません。どんな政治体制も、人々が幸せに生活する為の「道具」でしかないからです。より良い道具を追求する事で、生活が悪化したり市民の人命が失われるのであれば、それは本末転倒だと言わねばなりません。過ぎたるは及ばざるが如し、です。

Be the first to comment - What do you think?  Posted by bobby - at 15:01

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はじめに正義ありき

米国がシリア領内のイスラム国の施設を空爆しました。この空爆では、シリア政府から米国への要請があるどころか、「空爆は国際法違反」と主張し、ロシアも「米国が国連決議を得ないままシリア空爆に踏み切れば「侵略とみなす」と警告した」そうです。

米の「イスラム国」空爆方針 イラク要請、拡大解釈も(東京新聞)

米国の空爆が自衛権の行使にあたるかについては、国際司法裁判所がニカラグア事件の判決(1986年)において、武力攻撃を受けた国による「事実の宣言」と「他国への援助要請」が必要であるとの判断を示し、国際法上、第三国が自分の判断で集団的自衛権を行使することはできないという歯止めをかけました。

シリアを空爆した米国と有志国の正当性は?(木村正人)

上記のような状況にも関わらず、いまのところ欧日の政府や議会から、シリア空爆に対する強い非難の声があがっているという話しは聞きません。その一方で、国民投票によるクリミアのウクライナ離脱や、ウクライナの正規軍と親露派軍による内戦では、第三者の検証に耐えられる明確な証拠が無いにも関わらず、ロシアは欧米政府から一方的に責められているように見えます。

これらの状況を見て感じるのは、「法治主義」というのはあくまで国家内部の事であり、国家間の関係においては、欧米先進国の「正義」という名のご都合主義が世界を動かしているんだな、というおおきなガッカリ感です。

安部政権の国連改革に多少なりとも期待しておきます。

Be the first to comment - What do you think?  Posted by bobby - 2014/09/24 at 16:51

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