Archive for September, 2012

尖閣諸島で1ミリも妥協できない理由

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昨日の昼間、ブロゴス総合ランキングの1位(内田樹氏の中国離れについて)と2位(橘玲氏の尖閣問題で、海外メディアは日本に対して予想以上に厳しい)が、尖閣問題について冷静を説く記事である事は興味深い状況です。

アメリカの後ろ盾があり、強い自衛隊がいるという事で、日本のネット世論は戦後かつてないほど舞い上がり、「戦争の危機」に鈍感になっているのではないでしょうか。そういう方には、橘玲氏の記事のコメ欄に私が書いた内容を改めてご覧頂きたいと思います。

1)マスコミは日本に好意的な記事だけを国内で紹介し、あたかも中国人を除く世界中が日本の見方であるかのように印象操作している。(各社とも海外特派員がいる筈ですが、否定的な記事は日本側が握りつぶしているのでしょう)

2)多くの領土問題には正解も正義も無く、戦争以外で解決する為には互いが歩み寄る(互いが納得できる何処かで妥協する)しかない。(外交とはそういうものである)

3)印象操作された国民は、自国の主張(自国の正当性)を世界が認めていると思い込み、中国の意見の(客観的に見た)正当性の有無を考慮しなくなり、戦後最も好戦的な世論が形成されている。(と欧米のメディアも考えている)

4)仮に現在の状況がエスカレートして、尖閣を巡り日中で戦争が起きれば、先に撃ったのが中国だったとしても、国有化という「引き金」で中国を刺激し、外交交渉で妥協の余地を与えなかった日本は、欧米社会から見ると戦争に対する相応の責任を免れない。(と欧米のメディアは考えるだろう)(本件で太平洋戦争におけるアメリカの責任を持ってくるのは無意味である。)

5)マスコミ(特に本社で報道内容の選別に責任を持つ者)は以上の内容を理解して、売る為に煽るのはやめて、国民に対して正しく情報を提供し、国民が冷静に考える事ができるようにするべきである。

これはマスコミだけではなく、我々ブロガーにも同じ事が言えます。中国の軍艦が尖閣諸島の近辺まで出張っている時に、脳天気かつ無責任に戦争を叫び、反中を煽る事は戦前の東京朝日と同罪で、ネットメディアのひとつとしての我々の信頼性を損なう行為ではないでしょうか。

 

 

もう1点、内田樹氏の記事(こちらこちら)から下記の2つの文章を引用したいと思います。

外交とは両国の「利害の一致点」を探すことにあるのではない。「利害がずれるところ」を探すのである。

「尖閣なんかどうだっていいじゃないか」というのは中国を生産拠点、巨大な市場として依存している日本企業にとっては「口に出せない本音」である。

私は「尖閣なんかどうだっていいじゃないか」とは思いませんが、「外交とは両国関係の利害のずれるところ」はあるのではないかと考えます。その件について、以下に少し意見を述べたいと思います。

1)固有の領土って何?
固有の領土ってなんでしょうか。自民党や民主党だけでなく共産党までが、尖閣諸島は日本の固有の領土だと言っていますが、固有の領土って何でしょうか。国際法では固有の領土を説明できないらしいので、「固有」という言葉の意味を調べてみました。これは「本来もっている事」、「そのものだけにある事」という意味です。

では、日本政府の言う固有の領土の説明を見てみましょう。以下は外務省ホームページから引用しました。

尖閣諸島は,1885年から日本政府が沖縄県当局を通ずる等の方法により再三にわたり現地調査を行い,単に尖閣諸島が無人島であるだけでなく,清国の支配が及んでいる痕跡がないことを慎重に確認した上で,1895年1月14日に現地に標杭を建設する旨の閣議決定を行って,正式に日本の領土に編入しました。この行為は,国際法上,正当に領有権を取得するためのやり方に合致しています(先占の法理)。

上記の説明によれば、国際法的な手続き論として尖閣諸島は日本の正当な領土である事には疑いがありません。しかし、正当な領土の事を固有の領土というのはなんだかおかしい気がします。本州や四国が固有の領土であるという文章があるとすれば、それはそうだろうと思いますが。

2)尖閣諸島は歴史的に琉球の領土か?
いまは沖縄県という日本国の地方自治体ですが、明治政府による武力的威圧(琉球処分)で強制的に日本国に編入された琉球王国が、日本固有の領土でなかった事は事実です。

でも、それでは話しが終わってしまうので、100歩譲って、いまは沖縄県も日本固有の領土だと仮定して、尖閣の問題について考えてみましょう。

私の知る限り、釣魚島(中国人がつけた尖閣諸島の魚釣島の名前)は16世紀頃に明と琉球の双方の文献にはじめて出現し、「航路の途中の目印」というニュアンスで記述されているそうです。その後も釣魚島という名は時々文献に出てくるようですが、日本政府が述べているように、どんな国の支配も定住者も所有者もいなかったという理由で明治政府が沖縄県に編入した島を、実は琉球政府の領土でしたとは言えないような気がしていますが実際にはどうなんでしょう。

いや、法的支配ではないが昔から漁師や船乗りが利用していたというのであれば、それは日本だけでなく、中国と台湾でも同様という事になり、日本だけが強く主張できる正当な理由とは言い難い気がします。

3)領土としての尖閣諸島の価値とは何か?
領土って何でしょう?私は思うのですが、日本人が定住している訳でもなく、経済的なメリットも生まない領土というのは、領有しているメリットがあるのかと思います。ましてその島が隣国との火種になっているとすれば尚更に、領有し続ける経済的メリットは、失った場合の経済的メリットを上回らなければ意味がありません。政治(軍事)的なメリットの重要性を説く人もいると思いますが、それらも最終的には経済的なメリットに行き着くので、政治(軍事)と経済を分けて考える事に意味があるとは思えません。では、尖閣諸島を失った場合にどんなデメリットがあるのかについて考えてみます。

5)漁場の価値
わざわざ中国からも沢山の漁船が来ている訳ですから、この周辺の漁場には一定の価値があると思います。しかし漁業権というのは外交的な交渉の中でも、それほど難易度が高いものであるとは言えません。したがって尖閣諸島の領有が絶対に必要であるとは言えないような気がします。

6)海底油田の価値
尖閣諸島周辺の大陸棚には「非常に厚い堆積物がある」ので中東なみの油田・ガス田が眠っている可能性があるというのは1968年に国連のECAFEという下部組織の調査報告ですが、現在までに1本の試掘も行なっていませんので、巨大な油田・ガス田の有無というのは、実際のところはまったく不明です。仮に油田が見つかったとしても、自衛隊の護衛艦に守られながら石油を掘る会社は、日本には1社もありません。仮に中国からの武力威圧もなく、油田の開発に成功したとして、尖閣諸島から九州までの間には深い海溝があって海底パイプラインは無理なので、低コストで効率良く本土へ運んでくる事はできません。

そういう問題をすべて除外したとしても、もっとも大きな問題が残っています。国連海洋法では大陸棚条項と排他的経済水域のどちらが優先するか明示されていません。中国は沿岸から最大350海里までを権利主張できますが、沿岸から尖閣諸島までは195から220海里の範囲です。もし国連で中国の主張が認められれば、日本が尖閣を領有しつづけても、島周辺の領海(12カイリ)から外側の油田は、いまは日本の排他的経済水域として日本に権利が認められていますが、あとから中国に(国連海洋法に従い合法的に)取られるかもしれないという大きなリスクがあります。(これは春暁ガス田にも共通する問題です)

話しが長くなったのでまとめると、尖閣諸島周辺の大陸棚に中東なみの石油やガスがあるかもしれないというのは、「非常に厚い堆積物がある」というだけで、誰も実際に確認していません。もしあったとしても、中国の威圧や、あとから中国に取られるかもしれないというリスクがあるうちには、日本の会社は手を出す事はできません。あっても無いのと同じなら、何の意味があるのでしょう。

7)シーレーン防衛のリスク
尖閣諸島を取られるとシーレーン防衛に重大な問題が発生するという意見を目にしますが、実際問題としてどうなのでしょうか。中国が仮に尖閣諸島を領有して軍事基地をつくったとして、先島諸島と沖縄諸島の隙間が物理的に広がるという訳でもありません。この付近の海は内側から太平洋へ抜ける通路も限られており、潜水艦の出口には米軍の探知装置が見張っているそうなので、中国が尖閣諸島に潜水艦基地をつくったとして、何の意味があるのかわかりません。

6)台湾を中国の武力侵攻から守る為の戦略的重要性
中国の武力侵攻から台湾を守るのは自衛隊じゃなくて米軍の責任(仕事)だと思います。米軍から見て尖閣諸島を中国に奪われる事がそんなに大きな問題であるならば、10年も20年も前に、日本が安定して領有できるように、米政府による工作があってしかるべきではないでしょうか。米政府が「命がけで領土を守る覚悟が日本人になければ日米安保は発動しない」と言うのなら、そもそも尖閣諸島には、客観的に見て戦略的な重要性など無いという事かもしれませんね。

7)尖閣諸島の次は沖縄?
こういう事を言う人もいますが、意味不明です。日本国の一部である沖縄に武力侵攻すれば、日米同盟が100%発動する事は彼らも分かるでしょう。故に、そのような状況が起こる事はあり得ないでしょう。沖縄県が日本国から合法的に独立すれば話しは別ですが、どんな理由で独立するのであれ、独立した後でどうするかは沖縄人次第じゃないでしょうか。

8)尖閣で1ミリも譲歩できない本当の理由は何か?
上記で検討してきた内容に大きな間違いや見落としがない限り、実は日本が尖閣諸島を手放しても、経済的にも軍事的にもおおきなデメリットは無いのかもしれません。その一方で、尖閣問題で今後ともに中国と対立を続け、中国進出した日系企業の不利益や、日本企業が中国市場へアクセスを失う不利益を考えれば、日本側が尖閣で妥協するメリットは十分あり、日本の国益にかなうと感じられます。

現在のように反日騒動が大きくなってしまうと、中国政府は経済面よりも政治面のウェートが大きくなります。尖閣問題での(元の棚上げ状態へ戻るより大きな)妥協は共産党の敗北となり、一党独裁政権にとっては極めてまずい状況で、現時点では彼らの方が選択オプションの幅が狭いように思います。こういう時こそ、日本が尖閣の札を切って、別の利益を得るチャンスではないでしょうか。

しかし日本政府が妥協案を出すのを難しくしているのは、国益うんぬんという経済的な問題ではなく、ナショナリズムという感情問題ではないでしょうか。1ミリも譲れないというのは、実はここから来ているのだと思います。ところで、中国は最近、ロシアに実行支配されていた(もともと中国領土だった)島を、互いに譲歩する事で半分取り戻すという大きな成果をあげ、ロシアと中国は互いの国境線をすべて合意の上で確定しました。

反日騒動で盛り上がっている今のような時こそ、中国から見た尖閣カードの価値は、逆に高まっています。日本政府はそのカードをどのように切り、かわりに何を要求するのか。そういう事が、日本にとって本当の国益と言えるのではないかと思います。


2 comments - What do you think?  Posted by bobby - 2012/09/28 at 11:13

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大型の猛烈な台風17号(2012/09 – 910hPa)

ようやく今日の記事です。9月20日に発生した台風17号は大型で猛烈な台風に発達しました。前の16号に比べると台風の目がキュッと締まっている感じです。

大型の猛烈な台風 第17号
9月26日15時現在
フイリピンノヒガシ
北緯18.0゜東経126.1゜ 北西 7 km/h
中心気圧 905 hPa
最大風速 55 m/s
最大瞬間風速 80 m/s
暴風半径(25m/s以上) 170 km
強風半径(15m/s以上) 500 km
予報27日15時
猛烈な台風
フイリピンノヒガシ

北緯19.6゜東経123.4゜ 西北西 15 km/h
中心気圧 910 hPa
最大風速 55 m/s
最大瞬間風速 75 m/s
予報円の半径 130 km
暴風警戒域半径 300 km

9月26日現在の衛星画像

Be the first to comment - What do you think?  Posted by bobby - 2012/09/26 at 17:28

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大型の猛烈な台風16号(2012/09 – 900hPa )

tenki.jpの会員登録をして過去データへアクセスできるようになったので、大型で猛烈な台風をもう一つアップします。910hPaとは凄いですね。今年のいちばん最低記録ではないでしょうか。記録によれば910hPaは9月14日との事ですが、14日の衛星画像は画面の下側で切れているので、ここへ載せられないのが残念です。 台風16号 最低気圧:900hPa 期間: 9月11日から18日 15日 16日

Be the first to comment - What do you think?  Posted by bobby - at 17:08

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ツイン台風14号・15号(2012/08 – 910hPa)

気象庁のtenki.jpに会員登録したら過去の気象衛星記録にアクセスできるようになったので、今年の後半に発生した大型の台風を記録として残しておきます。 台風14号 最低気圧:945hPa 期間: 8月19日から30日 台風15号 最低気圧:910hPa 期間:8月20日から29日 15号は猛烈な台風と言って問題ないでしょう。今年はこれまで非力な台風ばかりでしたが、8月後半から猛烈な台風が立て続けに発生しました。 8月25日   8月26日    

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尖閣の奪い合いは誰にとってもろくな事になりません

緊張が高まっている日中間の尖閣諸島問題で、中国とアメリカの政府関係者にぜひとも考えてもらいたい事について問題提起します。 日本でも中国でも、尖閣問題を巡って日中間で戦争(武力紛争)を行う事について肯定する意見が強まっているようです。大陸在住の香港人の友人と昼飯を食べながら話したのですが、中国のネット上では釣魚島(尖閣諸島)を武力で奪取せよという意思というか期待のようなものがものすごく高まっているのだそうです。これは非常に悪い兆候です。このような人民の熱気が高まると、政府は尖閣諸島への武力侵攻を踏み止まれなくなる可能性は低くありません。このような中国政府に圧力をかけられるのはアメリカ政府だけですが、米国の国債を世界で一番持っている中国ですから、アメリカは自国の国益をどのように守るべきか難しい判断があるでしょう。 そこで、中国軍が尖閣諸島への武力侵攻して実行支配を開始した場合にどのような事が起こるか、下記の2つの可能性について検討してみます。 1) 日本政府は武力による反撃を自衛隊に命じて、戦闘を開始する。 日本政府が開戦を決断すれば、自衛隊は短期勝負ではアジア最強なので、戦闘を開始すれば少なくとも1回は、短期間で尖閣諸島を取り戻せるでしょう。しかし中国がメンツにかけて物量にものを言わせた再戦を挑んでくると、双方とも消耗が大きくなり、少数精鋭の自衛隊だけでは苦しくなります。しかし自衛隊が戦い続けていれば、ついには日米安保が発動して米軍の戦力投入が始まり、物量と質の両方で勝る日米連合軍が最後には勝つでしょう。 この場合、日系企業と米系企業は中国大陸から叩き出され、日本とアメリカの経済は短期的に大きな打撃を受けます。その一方で、チャイナリスクの大きさに恐れを抱いた外国資本が中国大陸から撤退を開始し、中国の経済は日米より更に大きな打撃を受けます。中国の経済が悪化すると、人民の不満は極大化して大規模な暴動が主要都市で発生し、政府はもはや民意を掌握できなくなり、共産党政府が存亡の危機に立たされる事が考えられます。このように、日米連合軍が勝利しても、関係各国はおおきな不利益を受けます。 2)日本政府は「竹島」の前例に習い、抗議はするが武力による反撃を自衛隊へ命令しない。 現実に目を向けると、日本側の最大の問題点は、政府が自衛隊による反撃を決断できないのではないという事です。もし適時に決断できず開戦のタイミングを逸すれば、日米安保は発動せず、尖閣諸島は「第二の竹島」になって膠着してしまい、どうにもならなくなるでしょう。今の政府を見ていると、こうなる可能性は低くありません。中国政府もこのシナリオを想定しているのでないかと思われます。 このような状況が発生すると、中国政府はまんまと尖閣諸島を手にして人民は熱狂し、横で見ている韓国政府も「ざまあみろ」とほくそ笑むかもしれません。ところがどっこい、実はこちらの方が中国、韓国、アメリカにとって面倒な事態を生み出す可能性が高いのです。 日本は黒船ショックという外圧によって江戸幕府からアジア最強の帝国主義国家へ短期間に変貌しました。もし太平天国の日本が尖閣諸島を戦わずして奪われるような事態が発生すると、日本の国民は短期間に右傾化し、あっという間に憲法改正(9条破棄)して軍国主義へシフトし、最終的には日米安保を破棄して核武装まで行き着くのではないかと危惧しております。 中国も韓国も、自国の目の前にある日本が核武装した軍事大国になってしまうと、長期的に大変困るのではないでしょうか。 アメリカにとっても、アジアの盟友が仮想敵国の一つになる事態はなんとしても避けたいでしょう。中国とアメリカの政府関係各位は、尖閣諸島(釣魚島)の奪い合いは、誰が勝ってもろくな事が無い事を理解して頂き、中国の武力侵攻回避の方向で最大限に努力して頂きたいと熱望するものです。

11 comments - What do you think?  Posted by bobby - 2012/09/20 at 22:15

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河野太郎氏へ、反原発政策の再考を望む

私は河野太郎氏を応援しているファンですが、今日は貴殿に対して、ちょっと辛口の批判をしたいと思います。 貴殿は今回の自民党総裁選に出馬する事を希望しています。それで「自民党総裁選にあたって」というブログ記事の中で、自分が政権をとったら(つまり総理大臣になったら)こんな政策をやりたいという事を書いておられます。経済、社会保障、農業、エネルギー、外交、教育と幅広い内容ですが、おおむね同意できます。その中で一つだけ、普段の合理的な思考と相容れない、辻褄の合わない政策があります。原発問題への姿勢です。私はいつか、貴殿が本当に総理大臣になる日が来ると思っています。故にあえて、反原発という主張にツッコミを入れ、再考してもらいたいという事を、ネットという場を借りてお願いしたいというのがこの記事の趣旨です。 貴殿は自身のブログで、超党派の「原発ゼロの会」のメンバーであるとしており、原発は採算が合わない、使用済み燃料の廃棄ができない、だから新設もしないし、既存原発の再稼働もしない、という事を主張されているようです。(もし誤解があればご指摘ください) GEのCEOは原発が(天然ガスなど)他のエネルギーと比較して相対的にコスト高になっていると指摘し、「(経済的に)正当化するのが非常に難しい」と語ったようです。また日本では、原発を立地する為に地元へ支払う費用などもあり、合計すると更にコスト高になっています。経済合理性の観点から、いま新たに原発を新設するのが望ましくない事は私も納得します。(長期的に見たエネルギー安全保障の観点から原発の技術と運用知識を温存する事については、ここではあえて触れません。) さて、問題は既存の原発をどうするかです。貴殿は、使用済み燃料の地層処分ができない、天災時に広域の放射能汚染リスクを解決できないので、既存の原発も再稼働するべきではない、という意見かと思われます。しかし、そこには1点、おおきな問題があります。 地層処分が見解決のまま全ての原発を廃棄しても、いまそこにある核燃料、使用済み核燃料の行き場がければ、原発内のプールで永遠に仮貯蔵を続ける以外に現実的な方法はありません。福島第一の4号炉の火災と放射能拡散で明らかなように原発の放射能拡散リスクは炉心だけではありません。使用中や使用済み燃料を保管しているプールは冷却の為に電気と水とその施設を動かす人間が必要です。このまますべての原発を廃炉しても、最低50年間は、原発プールの維持費が必要になります。廃炉費用とは別に、この間の維持費の全額が電力料金へ上乗せされます。プールの冷却が不要になった後も、使用中・使用済み核燃料はまだそこにあるので、施設メンテと警備の費用がほぼ永久に必要になります。 電力料金は、悪名高い総括原価方式を改める事ができたとしても、化石燃料費用の増大で発電コストが増大しています。ここへ更に原発の廃炉費用やプール維持費用を加えれば、電気料金の大幅アップは必然です。原発の天災リスクは、稼働していてもいなくてもそれほど差がないと仮定すれば、使える原発は稼働させ、原発で利益を稼ぎながら段階的な廃炉や、使用済み燃料保管のコスト負担をするのが、経済合理的に考えて、国民はより大きなメリットを受ける事ができると考えます。 つまり貴殿が原発行政に最優先で向き合わなくてはならないのは、地層処分を行う場所を政治的に決める事です。 次に、既存の原発の天災時リスクについて述べます。 福島第一の教訓から言える最も重要な事は、全電源喪失しても、2次冷却水を喪失しても、非常時の炉心冷却機能と炉心圧力の減少機能が仕様通りに作動すれば大きな問題は生じないという事です。これは技術的な問題でもあり、管理能力の問題であり、スキルの問題でもありますが、福島第一の後は電力会社も真剣に取り組む事ができるので、乗り越える事が可能と考えます。必要に応じて、すべての原発で非常時炉心冷却の机上シミュレーションを行い、それでも不安なら実際のリハーサルを行う事で仕様上の機能を確認する事ができます。 原発稼働については、効果の見えない「ストレステスト」などではなく、非常時の炉心冷却機能と圧力弁開放機能の確認をする事で、まずはボトムラインとしての、福島第一の再発を防ぐ事ができます。この方向で考える事が合理的です。 最後に除染と避難地区の問題ですが、なし崩しに行われている1mシーベルトという基準を見直し、5から20シーベルトの範囲へ収まるように、法律で決めるべきではないかという事です。各方面から指摘があるように、1mシーベルトは平時に政府が核物質を管理する為の政治的な基準であって、健康を守る為の基準ではありません。日本の(自然界に普遍的に存在する放射性物質による)被曝は年間2.5mシーベルトだそうです。年間で100mシーベルト以下(の継続的な被曝の蓄積)では、統計的には、喫煙や大気汚染による癌の死亡率の中に埋没してしまい有意な差が見られないというのが現在主流となっている科学的な知見かと思います。そして、福島第一の放射能被曝で死んだ人はまだ1人も確認されていませんが、非難途上と避難地で死んだ人は既に600人以上と言われています。 真の国民の利益を考えるならば、政治家として今やるべき事は、1mシーベルト以上は危険だという国民の認識を改め、除染レベルを改めて、非難解除できる地域をできるだけ増やす事です。 国民の願望はときに合理的ではなく、思い込みや刷り込みに大きく影響されます。そんな時に、本来どうあるべきか、現在から長期的な未来について、どのようにすれば国民の得になるのかを考えて、そのアイデアを国民に納得させる事が国会議員の仕事であり、貴殿はそれができる資質と実行力があると信じております。

2 comments - What do you think?  Posted by bobby - 2012/09/09 at 12:35

Categories: 1.政治・経済   Tags:

人類は衰退しました(笑

少しばかり荒唐無稽な未来の可能性について書きますが、なにとぞご容赦ください。 内田樹氏の「アメリカ抜きの日本外交がありうるか」という記事は、私の想像力を刺激するに十分な内容でした。ブロゴスで読む経済や教育に関する内田氏の記事は、残念ながら良いとは思えないのですが、「領土問題は終わらない」と今回の記事には深い洞察を感じました。 日本が終戦から今日までの対米従属と日米同盟の合理性については内田氏も認めております。この合理性は、しばらくの間は続くと思われますが、未来のいつかの日に、日本が対米従属以外の道を「選ばざるを得ない」状況が来かもしれません。そのような未来が来るとすればどういう世界になっているのか、という(ちょっと荒唐無稽な)状況について考えてみたいと思います。 日本に平和憲法をつくり、日米安保条約を結び、自衛隊の主要な兵器がアメリカ製となっているのは、内田氏の指摘する通り、アメリカと戦争しないように、アメリカによって誘導された状況です。これは終戦から冷戦の最中につくられたシステムですが、東西冷戦が終わり、共産主義国家もほとんど姿を消し、世界市場のグローバル化による融合が進む今日、東アジアの植民地争奪戦などは無意味ですから、日本がアメリカと戦争をする理由はちょっと見当たりません。 そこでアメリカ国内にも、アメリカが一方的に日本を守る(アメリカにとって不平等な)安保条約を改めようという意見もあるようです。しかし、安保条約によって安価に基地運用できる日本の米軍基地は、日本と言うよりアジア全体におけるアメリカの国益を守る目的で役に立っている事から、アメリカが日本に対して「そろろも安保条約を終わりにしようよ」と言う事はないと思われます。つまり、アメリカからそういう提案が来るまでは、日本の対米従属が合理的である状況は続くという事ですね。 ところでアメリカが、日本を含む海外に軍隊の基地を持っている理由は、アメリカ人(企業)が海外で安全に商売する事で、アメリカ政府へたくさん納税できるようにする為です。これを支えているのは世界市場のグローバル化です。経済的観点から見たグローバル化の目的は、単に市場を拡大するという事ではなく(もちろん、そういう目的もあるのですが)途上国と先進国の価格差を利用して、より大きな利益を得る事が主要な目的となっています。逆に考えれば、グローバル化による経済的なメリットが大きく損なわれると、現在のように多くのアメリカ人(企業)が海外へ出てゆく事を止めるかもしれません。そうなれば、多くの税金を消費するアメリカ軍の海外基地を維持する目的は失われ、アメリカが「そろそろ日米安保を辞めたいんですが」といって来る日はかなり近いかもしれません。 では、グローバル化の経済的なメリットが大きく損なわれるのはどのような状況かについて、以下に列挙してみました。 1)地上から途上国が消滅した場合。 地球上のすべての途上国が経済発展の最終段階に至り、世界中の国の経済が「それなりに裕福」な状態で均衡すると、多くの戦争の原因が失われるので、アメリカ軍の海外基地も日米安保も不要になります。(そういうバラ色の未来が来ればありがたいんですが、現実にはあり得ないでしょう。) 2)燃料高騰で遠距離物流が壊滅した場合。 グローバル化の推進剤である「地域間の価格差」は残っていても、物流コストの上昇が海外貿易の利益を吹き飛ばす状況が長期化する事態が生じると、ミャンマーで製造してアメリカで販売する事は困難になります。つまり途上国の工場も輸入貿易も壊滅します。その要因として考えられるのは化石燃料の供給不足で燃料費が高騰した場合です。(化石燃料以外で効率的に輸送機関が実用化されなければ、数百年後には避けられない未来となるでしょう。) 3)世界の経済が衰退した場合。 グローバル化がたどり着くバラ色の未来として1のケースを書きましたが、世界が一様に貧しくなる可能性も考えなければいけません。世界中の経済的に採掘がペイする地下資源を使い尽くすと、あとは資源の価格上昇がエンドレスで始まります。2のケースで書いたように物流コストも上昇しますので、「地域間の価格差」があるからと言って、地球の反対側から輸入する事はもはや困難です。すると先進国の経済が落ち込んで途上国のレベルと交差し、最後はどこも貧しい国ばかりという事になります。(最近、「人類は衰退しました」というTVアニメを毎週見ていますが、なかなか秀逸といえます。こんな未来なら衰退しても良いかもしれませんが...) 上記のストーリーにおける固定パラメタは、「世界の市場は地球上で閉じている」です。先進国である日本やアメリカが永遠に右肩上がりの経済発展をする為には、地球はあまりにも狭すぎると言えます。そこで、ホリエモン氏やエノモト氏が目指しているように、先進国の企業(と大勢の宇宙移民)が宇宙へ進出する事ができれば、市場は拡大に継ぐ拡大で、何百年にも渡って右肩上がりの経済成長を続ける事が(理論的には)可能となります。 ただし、人類が宇宙へ進出すると、今度は宇宙のあちこちの資源や植民地の利権を巡って、やっぱり戦争があるのでしょうね。その時にまだ日本やアメリカという国家制度が残っていれば、日米の宇宙戦争という可能性もゼロではないでしょうけど。 宇宙へ経済進出するには、技術的に乗り越えなければならない壁もあるし、ガンダムの世界にあるような植民地間の宇宙戦争の可能性も否定できませんが、それはそれとして、地上で文明が枯れてゆくよりは、経済に余力があるうちに、なんとか人類の宇宙進出が本格化してほしいものだと願っております。

Be the first to comment - What do you think?  Posted by bobby - 2012/09/06 at 00:17

Categories: 1.政治・経済   Tags:

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