Archive for July, 2012

生活保障と最低賃金

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2日前に配信されたJMMメルマガで信州大学経済学部教授の真壁昭夫氏は、「最低賃金が生活保護の水準を下回る、いわゆる”逆転現象”が生じている自治体が11都道府県に上っている」事について、「かなり奇妙な現象」であり、「最低賃金水準を引き上げて逆転現象を解消する必要」があると述べています。私はこの意見に2つの点で違和感を覚えました。

最低賃金でフルタイム就労時の月収が生活保護の水準を下回っているという意味と思いますが、最低賃金の高低を論じる前に、まずは生活保護の水準の妥当性を検証する必要があります。最低賃金の生活でも場合によっては、月末に支給額が余ると聞きます。また、国民年金も生活保護の水準より低いそうです。フルタイム就労でない非正規労働者も増加している現在、「健康で文化的な最低限度の生活」水準を、現在より引き下げる事は検討されるべきです。ちょうどアゴラで辻さんが、生活水準を下げようと提案しています。

次に、生活保護が妥当な水準であると仮定した場合に、これと比較するべきは最低賃金ではなく最低月収であるべきです。最低賃金とは単位時間あたりの給料の水準を指すと考えられます。賃金の時間単価が高くても、1ヶ月の合計就労時間が少なければ、生活に必要な十分な月収を得る事はできません。逆に、雇用主が寮や食事を提供すれば、最低賃金を下回ってもそれなりの生活を送る事ができます。

では、企業に対して雇用者への最低月収を保証する事は可能でしょうか。フルタイム労働者にもパート労働者にも最低月収を保証しなければならないとすれば、企業はパート労働者をすべて切り捨てる以外に選択の余地はなくなります。すると雇用されている労働者は最低月収で生活できるが、切り捨てられた労働者は生活保護に救いを求める以外に手段がなくなります。最低月収を労働者個人ではなく世帯で捉えた場合、扶養家族の多い世帯の労働者はより大きな最低月収を要求する事となります。企業としては必然的に、扶養家族がより少ない労働者を選択せざるを得なるでしょう。

要するに、労働者の最低月収(生活の保証)を企業に求めるのは筋が悪いと言わざるを得ません。もしそれを考えるならば、政府によるベーシック・インカムを検討するべきでしょう。

 


1 comment - What do you think?  Posted by bobby - 2012/07/25 at 14:33

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