Archive for November, 2010

民主主義は魔法の杖か?

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嫌中派の方が中国を批判する理由の一つとして、民主的な政治体制でない事をあげる方が多いようです。日米を含む先進国においては、国家を経済的・文化的に発展させる土台として、民主主義は重要な制度の一つであると考えます。しかしながら民主主義が完璧な制度でない事は、民主化されたロシア連邦政府がチェチェン共和国などの連邦国家の独立を武力阻止している状況を見れば明らかです。そういえば、日本の東条内閣も、ドイツのヒットラー政権も、民主的なプロセスによって誕生しました。

中国に高いレベルでの民主化を要求する米国ですが、誕生した瞬間に現在のレベルの民主主義を実現した訳ではありません。植民地時代には、非民主的手段で江戸幕府の鎖国をこじ開けました。また奴隷制度という歴史があり、南北戦争後もタスキーギ梅毒実験のような問題があり、それらを自らの力で乗り越えて、現在の民主的レベルに達しました。民主主義というのは、現代の米国人や日本人にとっては自明と感じられるかもしれませんが、初期には形式的な民主主義の時代があり、政治や人権など、国内のいろいろな問題を乗り越え、国民自身の文化的成熟のレベルに応じて、民主主義のレベルアップが行われてきた事を忘れるべきではありません。

民主主義政府ができる前は、政治を国(=独裁者とその政府)が独占しているので、行政に不満があっても、国民自らがなんとかしようという積極的な参政意識は希薄です。独裁から民主制へ形式的に移行しても、大多数の国民の参政意識が自発的に高まるまで、一部の人間による政治の独占は続きます。参政意識が高まっても、大多数の国民の文化的成熟度が高まるまでは、長期的に民主主義を維持できるようになる迄にはいくつもの落とし穴があります。強い民族主義や利己主義のぶつかり合いによって合意形成が困難になり、イラクのようにグループ間で内戦に突入する可能性があります。あるいは多数派の国民の民族主義的エゴを達成しようとする、ロシアのような政府を生み出すかもしれません。こうして考えると、国民の文化的成熟度と無関係に民主主義や自由主義を導入する事は、当事国の国民にとって更なる不幸を生み出す可能性があります。

中国は清の滅亡から毛沢東の時代が終わるまでの長い混乱と停滞の時代がありましたので、現代の中国という社会が、民主主義とか自由主義という概念を十分に理解しているとは考えられません。鄧小平が改革開放の結果、最近になって2億人くらいの国民が文化的な生活を享受できるようになりました。彼らは民主主義というものを理解しつつあると考えますが、残りの大多数(11億人)はいまだ、そこに到達していません。民主主義の基本は多数決です。一部の人権活動家の意識が高まるだけではどうしようもありません。国民の大多数が文化的に未熟な状態で、形式的な民主主義を与えられたら、いったいどうなるでしょうか。世界最大の民主的社会が生まれるか、漢民族の独裁政権が生まれて「もともと中国の領土」を回復する為に韓国やベトナムへ侵攻をはじめるか、あるいは国家が細かく分裂して21世紀の戦国時代がはじまるか、誰にも予測できません。もし内戦が始まれば、欧米の武器輸出産業にとっては絶好の商機でしょうが、中国国民と、日本を含む周辺国家にとって、非常に困った状況になるのは明らかです。

世界のある地域の政情が安定している時、それを納めているのが独裁者であれ共産党であれイスラム原理主義者であれ、パワーバランスが保たれている必然的な理由がある事を忘れるべきではありません。民主主義は魔法の杖ではありませんから、議会制民主主義に移行した国が、たちまち日本や米国のようになる訳ではありません。無責任な民主主義のプッシュは、単にパワーバランスを壊して、当該地域の国民を不幸にするだけかもしれません。中国は毛沢東の時代にチベット民族を激しく弾圧し、その後も2度の天安門事件を起こしました。しかしながら現在の政府は、国の発展(=経済的発展)という戦略的目的の為に、段階的な民主的レベルの向上(=治安維持を目的とした規制の緩和)を行っている事実を認識するべきです。

中国政府が民主的レベルを向上させる必要がなぜあるかですって?合理性を重んじる中国人にとって、規制を緩和しなければ経済が発展しない事は自明だからですよ。

*)本記事は、アゴラへ投稿した記事です。


Be the first to comment - What do you think?  Posted by bobby - 2010/11/29 at 11:14

Categories: 1.政治・経済   Tags: , ,

言論の自由が無い中国人は不幸か

イギリスの環境保護団体であるFriends of the Earthが公表している尺度を用いた地球幸福度指数によれば、中国は20位、日本は75位、米国は114位だそうです。

これをみると、中国人は自分の事をわりに幸福と感じているようです。これは私が中国での経験で感じる事と一致します。同じく社会主義国家で共産党一党独裁で改革開放路線のベトナムのランクは更に高い5位です。ベトナムのホーチミンを先月訪問した時に会った人たちの目はみんな希望に輝いていました。(地球幸福度指数に関する批評はこちらを参照されたし)

中国政府を悪と決め付ける人もいるようですが、共産党が国民を抑圧して苦しめているかどうかは、中国人自身が判断するのが適当かと思われます。この調査に一定の信頼をおく事ができるとすれば、言論の自由の有無と幸福度には、必ずしも因果関係がない事がわかるような気がします。

私自身は、たとえ84位でもレッセフェールを標榜する香港(中国の特別行政区)が気に入っているのですが...

7 comments - What do you think?  Posted by bobby - 2010/11/25 at 22:25

Categories: 1.政治・経済, 3.中国ネタ   Tags:

中国の治安維持規制と緩和状況

アゴラに投稿した記事で、kaku360さんから下記の質問を頂きました。内容がすこし長くなるので、アゴラのコメント欄ではなく、こちらで回答します。下記内容は、私が思い出せる限りのもを列挙しており、体系的な資料をもとにしていない事をご了承下さい。

>「治安維持を目的とした規制の緩和」とありますが、本当にそのような緩和が起きているのでしょうか?

私がはじめて香港(当時は英国統治領)から中国大陸に足を踏み入れた1989年当時は;

1)中国人が遠距離移動する為に飛行機のチケットを買うには、役所の許可が必要だったようです。
2)外国人は、開放都市以外への出入りが認められていませんでした。
3)一般人の外国旅行は極めて困難でした。
4)中国ではじめてできたシンセン市の中のシンセン経済特区は、第二国境と呼ばれるゲートで人の」出入りを管理しており、中国人が経済特区へ入るには専用の許可証が必要でした。
5)外国人を宿泊させる許可を持つホテルは限られており、外国人がビジネスホテル級の安ホテルに泊まるのは比較的困難でした。
6)外国人が一般の民家を訪問して宿泊したり居住するには公安警察への届出が必要で、民家に外国人が出入りすると、周辺の家から公安へたちまち通報されていました。
7)個人が公的な場所で意思表示する事は、壁新聞であろうとビラであろうと極めて困難でした。
8)中国人の労働者による労働者の為の労働組合は事実上禁止されていました。

2010年11月現在は;

1)中国政府が発行する身分証があれば、だれでも、国内の何処へでも、飛行機のチケットを買って、移動する事ができます。
2)チベットのように暴動など治安上の理由で出入りを制限されている場合を除き、中国全土が開放されています。
3)沿岸部都市に戸籍を持つ一般人などの比較的多くの人が海外旅行を行うようになりました。
4)シンセン経済特区の第二国境は事実上なくなりました。
5)地方都市の安いビジネスホテルの非常に多くが、外国人を宿泊させる許可をもっています。
6)外国人の民家への滞在には公安への届出が必要なルールは今でもありますが、大都市の公安は、平時は黙認しているところが増えているようです。周辺家庭からの通報もあまり無いようです。(みつかると罰金を取られます)
7)ネット上の掲示板やブログでは、1日に膨大な数の更新があり、日常的な行政への不満など含まれていますが、おおくの更新についてはいちいち削除される事はありません。一部の中国人がわざわざVPNなどでTwitterへアクセスして情報交換する事も黙認されているようです。
8)労働者による労働者の為の労働組合が認められています。

ちなみに、今でもけっこう厳しく規制されていると感じるのは;

1)言論の自由や、民主化を目的とした集会やデモ。
2)政治的な意見を伴うデモや集会。
3)多くの注目を集める、ブログや掲示板の政治的記事。
4)大企業や地方行政への苦情の意思表示を、街頭などで行う。

1と2は、主に民主活動家によるもので、予防的措置と推測。
3は、一般人の記事が、たまたま多くの注目を集めた場合で、予防的措置と推測。
4は、地方名士の企業や地方政府の不正・腐敗を、地方政府の公安が庇う場合。本来これは中央政府的には不正対象が処罰されるべきだが、中央政府のポリシーから逸脱した地方政府が自己防衛的にもみ消そうとし、そういう不法な処理に中央政府の目が届かないケースと推測。私は常々、実世界で不正対象に対して直接的な活動を行うよりも、ネットを使って、世論と中央政府に対して効率良くアピールする方が、抗議者のリスクを小さく保ちながら不正の暴露と処罰という目的を達成しやすいと考えますが、抗議したい当事者達はネット・リテラシーが低い人たちが多いのを歯がゆいと感じています。

Be the first to comment - What do you think?  Posted by bobby - 2010/11/24 at 22:48

Categories: 1.政治・経済, 3.中国ネタ   Tags: , , ,

中国は一党独裁の資本主義国家である

尖閣諸島問題に端を発して、俄か愛国心が国内に高まるなか、間違った前提に基づく対中戦略の議論が行われていると感じています。間違った前提から出発して、正しいゴールにたどり着く事はできません。「大量破壊兵器が有る」という前提でイランへ侵攻した米軍は、ついに大量破壊兵器の倉庫へたどり着く事ができませんでした。正しい前提条件で議論をする事は大変重要です。

テレビの政治討論番組やブログで中国脅威論を唱える方の多くが、中国を脅威と感じる理由のトップに、中国が社会主義国家である事を掲げているようです。wikiによれば、中国共産党は「産主義を実現するための初級段階として社会主義を行っている」とあります。しかしながら私は、中国が社会主義国家である事に大きな疑念を抱きました。

そこで、社会主義の定義をwikiで調べてみました。

社会主義は、資本主義の原則である自由競争を否定または制限し、生産手段の社会的所有・管理などによって、生産物・富などを平等に分配した社会を実現しようとする思想と運動の総称。

つまり社会主義の要素とは、
1)自由競争の否定あるいは制限
2)生産手段の社会的所有・管理
3)富の平等分配

確かに昔の中国は、大企業はみな国有で、自由競争の代わりに、第○次5カ年計画とかいう計画経済であったと記憶しています。

鄧小平は1978年12月に、改革解放という国内体制の改革および対外開放政策を開始し、それは現在に至るも中国共産党によって続けられていると理解しています。改革開放とは社会主義経済から資本主義市場経済への移行です。その要素とは、
1)市場における自由競争
2)資本と生産手段の私有
3)資本家への富の集中

次に、資本主義の要件をwikiで調べてみましょう。
1)私有財産制
2)私企業による生産
3)王道市場を通じた雇用、労働
4)市場における競争を通じた需要、供給、取引価格の調整、契約の自由

私は昨年、深圳に販売会社を設立して、パソコンやソフトウェアの販売を行っていますが、上記の要件をすべて満たす企業活動を行っています。

1972年以降の経済体制を、中国共産党は社会主義市場経済と呼んでいるようですが、これは共産党が国民に対して面子を保つ為の詭弁といえます。いまでも国有企業は計画経済を名目的に行っているようですが、その国有企業の多くはシンセン・上海・香港等の株式市場へ上場して資金調達しており、計画より企業の利益を優先するようになっているようです。

つまり、いまや中国の経済は基本的に資本主義市場経済と言えます。

「社会主義」とは社会主義的手段に基づき、富みの平等分配を行おうとする運動を表す言葉です。「社会主義国家」とは、それを行う政権を持つ国家の事だと考えます。この前提が正しければ、改革開放を続ける中国は、たとえ共産党の一党独裁国家であれ、理論的には社会主義国家ではありません。

なるほど、やっと私の疑念を晴らす事ができました。やはり中国は既に、社会主義国ではなかったのです。

故にみなさんも、中国について議論を行う場合、共産党の一党独裁ではあるが、資本主義市場経済を行う国家資本主義国であるという前提で、正しいゴールにたどり着くように、実り有る議論を行って頂きたいと願っています。

*)本記事は、アゴラへの投稿した記事です。

16 comments - What do you think?  Posted by bobby - at 15:48

Categories: 1.政治・経済, 3.中国ネタ   Tags: , ,

自民党はいつから社会主義に転換したか

TPPの問題では、偽の弱者を守る為に新農水族議員が100人もいるそうです。ところで、TPPに加盟したとして、「誰」が、安くて品質の良い米や野菜を日本に輸入すると思われますか?

中国、ベトナム、タイ等の東アジアと日本では、主に食されている米や野菜の種類がかなり異なります。米の種類や品質が違うのは周知の事ですが、野菜にしても、中華料理の野菜は、日本人に馴染みのないものが多い。おなじ種類の野菜でも、見た目の品質がかなり違うものが多い。そのまま輸入しても、スーパーの店頭で消費者に受け入れられるものは少ないでしょう。

しかし、TPPに加盟すれば、そういう問題を克服して、日本の消費者に受け入れられるような品質の米や野菜を輸出する業者がかならず現れるでしょう。ところで、それは「誰」かといえば日本の商社です。

日本の消費者の嗜好を知り尽くしているのは同じ日本人。TPPによって日本の農家を苦しめるのは、外国人ではなく、同じ日本人だという事。そして、安い「輸入野菜」を選択するのも日本人なのです。TPPに加盟しても、日本人が現地で「商品開発」しなければ、中国やベトナムの現地企業だけで頑張っても、商売として成功するには長い時間を要する事は明らかです。日本人が日本人を苦しめても良いものでしょうか。

ここで考えなければならないのは、日本は民主主義国家であり、民主主義の原則は多数決です。人口比で3%といわれる農家の為に、残りの97%の農産物消費者が不利益を受ける事を強いる事が、民主主義と言えるでしょうか。消費者が「国産野菜しか買わない」と態度で示せば、TPPがあろうと、輸入野菜がいくら安かろうと、商社がいくら頑張っても、日本の農家がダメージを受ける事はありません。そういう判断を下すのは消費者自身だという事が重要です。

そして日本は資本主義市場経済の国でもあります。資本主義の主要要件のひとつは生産手段の私有と自由競争です。なのに農業だけは、企業による農地の所有と自由競争が大きく規制されています。これではまるで、中国共産党が標榜する社会主義市場経済と同じではありませんか。それらの社会主義的農業を後押しするのが、自民党と国民新党の政治家達というのが、なんともシュールです。

日本の農業が社会主義を脱して、企業による農地の私有と自由競争が可能になるのは、いつの事になるのでしょうか。

8 comments - What do you think?  Posted by bobby - 2010/11/13 at 11:39

Categories: 1.政治・経済, 3.中国ネタ   Tags:

中国の東莞でSE募集のお知らせ

私の本業は会計や在庫管理や生産管理などの業務システムの開発です。広い中国のあちらこちらへ会社を進出させて中国市場を制覇するのが私の人生の目標なのですが、いまのところ私一人では華南が手一杯の状況です。

そこで、私が上海や北京や大連を制覇するためにチャレンジできるように、弊社のホームグラウンドである華南市場をまかせられる将来の経営者を募集する事にしました。

既に人材バンクとかにも連絡済みなのですが、考えてみればネットを使う事で、日本で派遣プログラマとして人生に限界を感じている人とかにもアプローチできる事にさっき気づきました。そこで、このブログ上で試験的にSEの募集を行います。(このブログの読者と、募集対象が一致しているかどうかはわかりません)

希望者はこの記事のコメント欄へ一言、そしてメルアドを残してください。こちらからメールいたします。

いろいろ勉強する事があるので、最初にオファーできる給料はかなり安いですが、飢え死にする事はありませんので安心してください。そして頑張れば、キャリアの最終着地点は社長です。以下に業務内容を書きます。あなたの応募をお待ちしています。

私のポリシー:弊社はソフトを販売する会社ではなく、ソリューションを提供する会社です。(ただのスローガンではありません。けっこうこれに拘っています。)

業務内容:シンセン市、東莞市、恵州市、広州市にある日系の製造業と販売会社の、受発注・在庫・生産管理・会計・通関などのシステムに関わる、マーケティング、営業、業務分析、業務改善、システム提案、システム設計、ドキュメンテーション、開発、プロジェクト管理、テスト、教育、導入支援、導入後のフォローなど最上流から最下流までのあらゆる事。東莞とフィリピンにグループの開発会社(開発チーム)がいるので、主な仕事は考える事、ドキュメンテーション、統括と管理です。

開発環境:
主な開発環境はVB.NetとMS SQL、PHP(Java Script含む)とMySQLです。
ウェブ・システムあるいはインターネット経由(.Net)です。

必須条件:
正社員、派遣、アルバイトを問わず、業務系ソフトの開発経験が5年以上ある人。
働いていた会社の上司に、あなたの推薦状(文章はこちらで用意)をもらえる人。

約束できる事:
非日常的でエキサイティングな人生。
徹夜の作業なんてめったにありません。
人生が楽しいと感じられます。
お客の役に立つものを作るので、仕事にやりがいを感じられます。
日本語の通訳兼業務のパートナーがいますので、中国語は現地でゆっくり勉強してください。

約束できない事:
あなたが社長まで到達できるかは、あなたの努力次第です。
あなたの給料の上昇速度も、あなたの努力次第です。

連絡をお待ちしています。

Be the first to comment - What do you think?  Posted by bobby - 2010/11/12 at 20:44

Categories: 1.政治・経済   Tags:

中国の力が増大する時、どこまでが適正な距離といえるのか

尖閣諸島問題に端を発した中国脅威論的な意見について、ap_09さんと議論を続けています。私にとって中国は母国である日本にとって顕在化しつつある近未来の脅威であり、増大する影響下に不利な条件で日本が飲み込まれないように、日本の政治的リーダーには十分に気をつけてサバイバル戦略を作成・実行してほしいと願うものです。

と同時に、私は中国(香港、上海、広東省)に20年以上居住しており、ビジネスを営む「市場」としての付き合いもかなりの長さになりますから、中国の現実というものが自分なりに見えていると考えます。自分が実際に身近な状況で接している中国の情報と比較して、ap_09さんをはじめ、(たとえ数週間でも)中国に居住した事のない人たちが取り上げる情報は、単に不正確なだけではなく、反中キャンペーンを意図的に流す人たちのバイアスに汚染されていると強く感じます。

普段は興味深い記事を書くブロガーたちが、ちょこっと愛国心に揺さぶられただけで、(冷静に考えれば分かるような)バイアスのかかった情報に疑念を抱く事もせずに中国批判の材料にしているところを見ると、なんとかして「正したい」という気持ちになります。

思い返せば米軍がイランへ侵攻した第二次湾岸戦争直前、米国から「大量破壊兵器はある」という情報がながれて来た時、日本の政治討論テレビ番組の中で、つい先日まで「国連決議がなければ日本は米国のイラン侵攻に手を貸すべきでない」と言っていた論客達が、世論の盛り上がりと共にみな沈黙してしまった事を思い出します。あの時に感じた違和感を、私は忘れたくありません。議論の前提となる「事実」は、可能な限り最新のものを正確に把握するべきです。また、誰かに情報操作されたくありません。そうでないと議論そのものが無意味となってしまいます。政府から洗脳されている訳でも、情報遮断されている訳でも、養育が足りない訳でもないブロガーの我々が、日本の領事館へ投石して「愛国無罪」と叫ぶ人たちと同じレベルで議論する訳にはゆきません。

さて、中国とは適正な距離を保つのが良いと思うというのは、それが可能であれば、私もそうしたいと心底願う者の一人です。しかしながら中国は、経済101の指摘を深読みすれば、500年間も経済成長がなかった事が驚くべき事であって、絶対的水準をみれば、いまの何倍も経済発展する「伸びしろ」があってもおかしくないという見方もできます。

そうなった時に、日本が米国との軍事同盟から離脱して、自立しようとすれば、中国にとっては単なる「鴨が葱背負ってきた」ように見えてしまう事は十分に考えられます。日本が単独で、パワー増大する中国と釣り合いを取ろうとすれば、いったいどれだけの軍事費が必要になるでしょうか?経済的に落ち目の日本が、赤字国債を何百兆円も積み上げて戦艦や戦闘機を購入すれば、中国に飲み込まれるより先に福祉制度(医療、年金、雇用保険、生活保護)が崩壊してしまうのは明白です。

ところでap_09氏は法輪功を健康増進法と定義しているようですが、たぶん知識がたりないだけでしょう。九龍のスターフェリー乗り場へ行くと、法輪功の会員達による、なかば常設化した宣伝場を実際に見る事ができます。うちの事務所の近くのホコ天にも、ときどき出張してきます。こういっては何ですが、あの人たちは、控えめに言ってもなんかの宗教の強烈な信者さん達に見えます。ネット上には、(信憑性についてはわかりませんが)第二のオウム心理教団という意見もあるようです。

考えてみれば、中国政府から「法輪功の会員でいると逮捕するよ」といわれれば、ただの健康増進法の会員なら、とっとと退会するでしょう。つかまって拷問されたり殺されたりすると知れば、まともな人は、そんな健康増進法集団に残る人なんかいません。そんな状況でも法輪功の会員でいたい人というのは、どんな人なんでしょうか?最初に頭に浮かんだのは、江戸時代の隠れキリシタンです。やはり宗教色バリバリですね。今の時代に、こういう人たちの事をカルト教団というのでしょうか?(カルト教団=犯罪者集団なんて言ってませんので誤解のないように!)

>中国政府が、なぜ法輪功をそれほど危険視するのか全く理解できないが、

中国政府が法輪功を恐れる理由は、聞くところによると、弾圧される前の一時期、中国内では共産党上層部とその身内に多くの「信者」を獲得。しかも教団の規模が中国全土で非常に大きくなってしまい、中国共産党を分裂させるポテンシャルを持つほどの強力な結社になってしまったのが弾圧の引き金のようです。結社や集会の自由が(まだ)無い中国では、結社や集会は政府の許可が必要です。政府から禁止された結社を、政府に逆らって継続する事は、単に法律違反というだけでなく、(私はそれが良いとは思いませんが)反政府活動団体と判断されてしまいます。中国政府が、(私はそれが良いとは思いませんが)いかなる反政府的な団体と個人をいかに強力に取り締まっているかはご存知の通りです。つまり、「まったく理解できない」というのは、法輪功が中国では反政府団体だという事をご存知なかっただけという事ですね?

もう一つ、wikiの法輪功のページには「臓器狩り」というセンセーショナルな記事があります。しかしながらwikiでも言及されているように、中国には大量の死刑囚がいますし、法輪功容疑者を尋問の為に拷問しているのなら尚更、痛んだ臓器をわざわざ使うという理論には合理性が乏しいと考えます。

>日本人が苦しめられた戦時中には、特高というのがあって...中国人のするような残虐な方法は取られていなかった

ap_09氏はどうしても日本人だけは特別だと考えたいようですが、日本人も中国人もアメリカ人も、根っ子のところではあまり違わないようです。それを物語るのが黒太陽731という映画なのですがap_09さんはご存知でしょうか?日中戦争当時、関東軍に所属した731部隊が実際に行った人体実験を題材にした映画です。捕虜をマルタと呼称し、3000本以上のマルタが生体実験の犠牲になったそうです。アメリカはその研究成果が喉から手が出るほど欲しくて、731部隊の細菌研究者の戦争犯罪責任を免責し、最終的に研究成果は米軍の手に渡ったそうです。

仮に中国政府が非道な拷問や、その結果として容疑者を殺してしまう事があったとすれば、それ自体は非難されるべきです。中国でも、拷問が法律で認められているとは思いませんし、まして容疑者が裁判によらずに殺される事は認められていない筈です。しかし、担当者が頑張りすぎて暴走してしまう不幸な出来事は、イラク占領下の米軍や、米政府のアルカイダ関係者への取調べではしばしば発生しているようです。ゆえに、あたかもそれが中国政府の専売特許のように主張されるのは事実に反するしフェアとも言えないと考えますが如何でしょうか。

補足:
間違った情報・意見や、バイアスのかかっていると思われる情報・意見に反論しているだけで、中国政府の行為を正当化したり、中国の肩を持つ事が目的ではない事を繰り返し述べておきます。間違った前提から出発して、正しいゴールにたどり着く事はできません。

4 comments - What do you think?  Posted by bobby - 2010/11/11 at 21:45

Categories: 1.政治・経済   Tags:

なぜユニクロの致命的欠点なのか

加藤鉱氏はユニクロの致命的な弱点として、「洋服の好きな人」がいない会社になってしまった事を上げています。一方で賢太郎の物書き修行氏は、「日本を代表するアパレルメーカーが次々に破綻している理由は、この「洋服が好きな人」がいることが原因なのだと述べています。実際のところどうなのでしょうか?

アパレルによらず、似たような例は他にもありそうです。「技術の好きな人」がたくさんいる電機メーカーは、グローバル市場で、ハイエンドは韓国勢に、ローエンドは韓国・中国勢に負けています。パソコンや携帯電話のグローバル市場には、国産のメジャープレーヤーは1社も見当たりません。

ルノーに買収される前の日産は、「技術の日産」をキャッチフレーズにしていましたが、自慢の技術を駆使した車が市場で売れず、販売台数でホンダに抜かれ、企業としての危機を迎えていました。日産を救ったカルロス・ゴーン氏の手法は、危機を乗り越えた後に読んだ雑誌記事の記憶によれば、日産の技術を「売れる車」にする為の社会改革を行い、それにより販売台数が伸びて業界2位に復活したようです。

こうしてみると、企業に「高い技術」がある事は重要だか、それだけで成功する訳ではない事が理解できます。高い技術があっても、稚拙な経営者が運営する会社では、きちんと利益に変える事ができません。

さて、ユニクロとアパレル業界の話に戻ります。賢太郎の物書き修行氏は、より正確に言えば「洋服が好きなだけの人」「洋服のことしか分かってない人」しかいないことだからだ」と述べていますが、日本を代表するアパレルメーカーが次々に破綻している理由としては、それが正解ではないかと思います。社内のデザイン力や商品企画力を生かす事ができる経営者が不在な事が、大手の破綻を招いているのでしょう。その点で、ユニクロにはプロの経営者が居たので成功したと言えるのでしょう。

それでは、アパレル企業が成功する為には、デザイン力や商品企画力や素材の開発力などは不要なのでしょうか。そういうものは全て外部調達や、外部との共同開発を行えば良いという事でしょうか?

加藤氏の以前の記事である知られざる第三のビール戦争がヒントになるかと思います。ユニクロに拮抗する競合が現れた時、ユニクロも競合他社も、みんなが東レなどの繊維メーカーと共同開発を始めたら、ユニクロはいったいどうやって、自社商品のオリジナリティーを維持するのでしょうか。あるいは競合他社が東レの有力な担当者を引き抜いたら?

このように考えると、いまは独走状態で問題が見えないユニクロですが、デザイン力や商品企画力を自社内に蓄えておく事は、長期的なリスク管理の視野で見た場合には、やはり必要になってくるかと考えます。そのような力を蓄える為には、「洋服のすきな人」がやはり必要になってくるのでしょう。

Be the first to comment - What do you think?  Posted by bobby - 2010/11/09 at 17:33

Categories: 1.政治・経済   Tags:

結納の起源

スパーム・ドナー(精子提供)―人工授精の子供達(1) のコメント欄で、ap_09さんと結納の起源について話す機会がありました。この記事は、その時のコメント内容をまとめたものです。

結納の起源を調べると、

「結納の起源は4世紀から5世紀頃、仁徳天皇の時代に遡る。仁徳天皇の皇太子(のちの履中天皇)が黒媛を妃に迎えるときに贈り物(納采)を贈ったことが最初とされ、宮中儀礼の「納采の儀」として脈々と受け継がれている」

とあります。日頃炉路お世話になっているwikiですが、日本の結納が国内で単独で発生した文化であるとは、なかなか信じる事ができません。私は香港に長年住んでいますが、香港人同士の結婚式には結納と良く似た儀式があります。香港の結納が日本から伝わったとは思えません。

中国で結納は何と言うのでしょうか。wikiで日本の結納のページを開き、ページの左側にある中文(結納の中国語の説明)をクリックすると、納徵のページが開きます。納徵は、「三書六禮」とい中国の伝統的な結婚の儀礼を定めたルールブックの中の主要な儀式のひとつのようです。三書六禮のルーツは、西周(紀元前11世紀から紀元前771年)まで遡る事ができる大変古いもののようです。

さて、三書六禮で納徵(又稱過大禮)の内容を見てみましょう。

納徵(又稱過大禮):即男家把聘書和禮書送到女家。在大婚前一個月至兩週,男家會請兩位或四位女性親戚(須是全福之人)約同媒人,帶備聘金、禮金及聘禮到女方家中;此時,女家需回禮。

(以下、意訳)
夫側の家は「招聘状」と「贈り物リスト」を妻側の実に送ります。「大婚」の1ヶ月前から2週間前までに、夫側の実は女性の親戚が仲人を伴い、結納金と贈り物を持って女性側の家を訪れます。この時、妻側の実は返礼が必要です。

これはどうやら、日本の結納に非常に近い儀式のようですね。ところで三書六禮にはもうひとつ、納采という儀式があります。その内容は、

納采:當兒女婚嫁時,由男家家長請媒人向物色好的女家提親。男家在納采時,需將大約達三十種有象徵吉祥意義的禮物送給女家;女家亦在此時向媒人打聽男家的情況。

(以下、意訳)
息子の縁組み相手の女性を探す時、夫側の実の家長が仲人に、妻になる良い女性を探してもらい、縁組を持ち込んでもらいます。夫側の実は「納采」(仲人経由で縁組を女性の家に持ち込んでもらう)の時、大体30種類に達する「めでたい贈り物」を女性の家に送ります。女性の側の家も、この時、仲人に夫側の家の情況を尋ねます。

これって、息子を持つ家の親が、仲人さんにお願いして、縁組相手の女性を探してもらう手続きの事ですね。この時に、男性側の家から女性側の家へ、30種類の目出度い贈り物を贈って、「どうかうちの息子をよろしく!」と売り込む為の儀式のようです。

さて、日本の結納の起源である「納采の儀」が、三書六禮の納采と同じ文字である事は、偶然の出来事でしょうか?何の物的証拠もありませんが、本来は納采というべきであった結納の儀式が、翻訳ミスあるいは伝達ミスによって、同じく結婚の儀式である納采という名称で宮中の儀式として定まったというのが、私の推理です。

みなさんはどう思われますか?

2 comments - What do you think?  Posted by bobby - at 16:00

Categories: 3.中国ネタ, 5.閑話休題   Tags: , ,

高度成長を実現する具体的予算

池田信夫氏の記事に触発されて、団塊世代を再現する事により高度成長を起こす方法について考えました。そこで今日は、それを実現する具体的費用について考えてみたいと思います。

1)子供手当ては、1月5万円として1人当たり年間60万円支給。1300万人の子供へ支給すると年間7.8兆円。但し、初年度にいきなり1300万人生まれる訳ではなく、5年目で1300万人に達する計算ですので、制度開始6年目に、年間7.8兆円が必要になります。

2)出産祝い金は、1世帯で平均2.5人出産すると仮定すると、1人目20万円、二人目40万円、3人目の半分が30万円、2.5人分の総額で96万円。それを平均すると36万円/人になり、年間で4.6兆円が必要になります。(より正確な世帯数の計算方法をご存知の方はコメントでご指摘ください

3)教育バウチャーですが、公立高校の学費が年間150万円のようなので、とりあえず1人年間150万円とすると、年間で19.5兆円が必要になります。(公立学校と私立学校へ通う生徒の統計資料をご存知の方があればぜひコメント下さい

4)所得保障は、1世帯で平均2.5人出産するという前提だと、1300万人から逆算して520万世帯。その5%が貧困家庭だとすると補償対象は26万世帯。そこへ年間240万円を支給すると、年間で0.6兆円。(貧困世帯の統計資料をご存知の方はぜひコメント下さい

これらを合計すると、年間で32.6兆円になりました。

32.4兆円はかなりの額です。

ところで、教育バウチャーとして計上した150万円ですが、公立学校へ進学する子供の場合、小学と中学の学費は既に(税金で補填済みなので)無料です。教育バウチャーの計算はなかなか複雑ですね。学費の要件を下記にまとめてみました。

1)出産初年度から幼稚園就学年齢になる迄の最初の2年間は不要。
2)公立幼稚園と高校の学費は月額2万円。
3)公立小学と中学は既存の補助で学費無料だが制服や食費が必要。
4)私立の学校に通う場合だけ、年間150万円をバウチャーとして支給。

私立の学校へ通わせるには、残りの半額相当は自己負担になりますから、経済的に豊かな世帯が前提になります。そこで下記の条件で再度計算してみました。

公立学校へ通う子供を全体の8割と仮定して年間24万円の現金支給。私立学校へ通う子供を全体の2割と仮定して年間150万円を支給。両者を平均すると年間50万円の金額になります。これをもとに再度計算すると、下記のような計算になり、年間の支払額は21.4兆円になりました。

10兆円減って、年間20兆円になりました。

この費用を捻出する第一候補は道路特定財源です。それが駄目なら消費税の増税を7%に増税。どちらも困難であれば国債を発行します。

新団塊世代が世に出て経済活動を開始すれば、40年間に渡り、日本を新しい高度成長期へ導いてくれるでしょう。

Be the first to comment - What do you think?  Posted by bobby - 2010/11/06 at 12:50

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高度成長の具体的な再現方法

高度成長は復活できるという本を池田信夫氏が紹介しています。私のブログでも最近、高度成長期は団塊の世代によって引き起こされた現象だという話を紹介したばかりです。池田氏が指摘する「実質GDP成長率は農村から都市への人口移動率と強い相関」は、団塊の世代の活動とも一致するのではないでしょうか。2つの説は、互いに補完しあう関係ではないかと考えます。

wikiでは、団塊世代の経済との関係を次のように述べています。「団塊の世代の就職時期は、中卒で1962年~1965年、高卒で1965年~1968年、大卒で1969~1971年となる。団塊の世代の中卒のいわゆる「金の卵」が労働推進力となった時期は高度経済成長期と重なり、最も人数が多かった高卒就職者は高度経済成長中期・末期と重なる。...団塊の世代が中堅となって支えた時期は、世界の機関車時代と対米攻勢時代(30代)、バブル景気時代(40代初期)である。」

池田氏が紹介する本では、高度成長を再現する為に「都市の再開発」を提唱しているようですが、私は「新しい団塊の世代」を生み出す事により、もういちど日本が経済成長モードに切り替えようという案です。

具体的には、5年間という期間限定、かつ出生数が1300万人で打ち切りにするという条件で、下記の政策を実行します。

1)期間中に出産した子供に、出産祝い金を国から支給する。一人目は20万円、二人目は40万円、三人目は60万円というように、一人増す毎に20万円づつ積み増してゆく。双子は2人、三つ子は3人と数える。
2)期間中に出産した子供は、子供が18歳になるまで、子供手当てを一人につき、毎月5万円づつ支給する。
3)期間中に出産した子供は、高校卒業するまで、教育バウチャーを配布し、公立学校なら全額、私立学校なら学費の半額を国が負担するようにする。
4)期間中に生まれた子供を持つサラリーマンと小規模自営業の家庭の所得税と住民税を、子供が20歳になるまでの期間、子供一人について20%減税し、一人増える毎に20%ずつ減税率を加算する。(減税率の上限は100%とする)
5)期間中に生まれた子供を持つ家庭の子供手当てを含めた世帯収入が30万円に満たない場合には、子供が18歳になるまで、世帯収入が30万円になるように政府が所得補填する。(準生活保護制度を設ける)
6)上記4のケースでは、母親が妊娠時に、国が出産バウチャーを配布し、妊娠時の通院と出産費用を無料にする。

上記の政策は減税と子供手当てを飴につかい、主に下記の狙いを実現する。
A)中・高額所得のサラリーマンと自営業世帯で、最大18年間の減税措置による可処分所得増大と、教育バウチャーによる教育費軽減により、自発的な出産の増加。
B)低所得サラリーマン世帯で、祝い金と子供手当てを目的とする自発的な出産の増大。
C)シングルマザーを含む貧困世帯で、所得保障により安心して子供を育てられる条件を整える事により、自発的な出産の増大。

この中で、特に3と4と5は、将来に不安を抱くフリーターのカップルに結婚と出産を促す目的があります。

この政策における出産数の目標は、第一次ベビーブーム(3年間で800万人)と同レベルで、5年間でに1300万人(年間260万人は2007年度の出生数の2.6倍)です。

期間中に生まれた子供の補助を18歳で打ち切る理由は、日本の経済を下支えするのは給与の安い高卒労働者である事。大卒増=フリーター増の可能性が高い事。大卒がGDP増大の役に立たないのなら税金で補償するのは高卒迄で十分。(高所得家庭、高学歴家庭では、依然として大卒を目指すので全体としては問題ない)そして低所得家庭の子供を高卒就業へ誘導する事により、世帯が貧困から脱する事が容易になる可能性が高まります。

蛇足ですが、出産家庭は老人家庭より消費性向がかなり高い事が推測されますので、お金をばら撒く事で、短・中期的にもおおきな経済活性効果が期待できます。新生児を持つ家庭では、とにかく短期的に家の中に育児に必要なモノが沢山増えるので、その経済効果だけでもかなりのものになるかと考えます。

2 comments - What do you think?  Posted by bobby - 2010/11/05 at 15:24

Categories: 1.政治・経済   Tags: , ,

社会主義と資本主義は相容れないか

チベット問題を通じて、中国の人権についてap_09さんと議論を続けています。まず印象的なのは、世間で盛り上がっているステレオタイプな「反中」意見の問題点を正そうとする事が、「中国礼賛」であると受け止められる事です。最近、似たような意見を耳にしましたが、世の中にこのような風潮があるとすれば、民主主義の趣旨に反するものであり問題ではないかと考えます。ちなみに私は、親中でも反中でもなく、偏見やバイアスをなるべく排して、事実に基づいた合理的な判断を行いたいと願っています。

さて表題の件ですが、78年に鄧小平により改革開放へ転換して30年、私は中国の社会が大きく民主化されたと延べました。その理由として、資本主義と民主主義(政治体制としての民主主義ではない)は表裏一体であり、資本主義的経済体制を維持する限り、中国全体が豊かになれば社会がより民主化されると述べました。

しかしながらap_09さんは、下記のように述べ、中国は社会主義国である事を理由に、私の意見を否定されました。そこで、本意見の問題点を更に批判してみたいと思います。

>社会主義は経済体制として、資本主義とは相容れません。

まずは社会主義の理論的な定義を見てみましょう。「資本主義の原則である自由競争を否定または制限し、生産手段の社会的所有・管理などによって、生産物・富などを平等に分配した社会を実現しようとする思想と運動の総称(wikiより)」とあります。

確かに、中国が上記の国であれば、そもそも論として資本主義制度を導入する事は不可能です。逆に、資本主義制度を導入するようにルール変更した時点で、中国は定義上の社会主義国ではなくなります。

さて、現実はどうでしょう。中国は78年に社会主義経済から改革開放(資本主義経済)に実際に転換しました。その結果、現在の中国では、中国人であれ外国人であれ、(一部の規制業種を除き)自由に会社を設立できます。社会主義の定義で禁止されている「資本」や「生産手段」や「知的財産等」を所有し、「自由競争」により利潤の追求を行う事が認められています。(私が深圳に会社設立した経験に基づく記事はこちら

今度は資本主義の定義を調べてみましょう。「社会に貨幣を投下し、投下された貨幣が社会を運動してより大きな貨幣となって回収される場合、この貨幣が「資本」とよばれる。資本が利潤や剰余価値を生む社会システムのことを「資本主義」という(wikiより)」とあります。

もう一度、現在の中国が持つ経済制度の特徴を列挙してみましょう。これは、私が深圳に設立した会社で、企業活動を通して行っている事ですので間違いありません。
1)私有財産が認められているか? YES
2)私企業による生産が認められているか? YES
3)労働市場を通じた雇用、労働が認められているか? YES
4)市場における競争を通じた需要、供給、取り引き価格の調整、契約の自由が認められているか? YES

さて、結論です。

「社会主義と資本主義は相容れない」は理論的に正しい。しかしながら現代中国の経済制度は、定義上は明白な資本主義である事を示している。資本主義と民主主義は表裏一体である(私の意見)。故に中国が、この経済制度を維持したまま経済発展し、中国全体が豊かで安定した国家になる事により、国内がより民主的な社会体制に移行する可能性を理論的に否定する事はできない。この可能性と、改革開放の30年間で大きく民主化された事実により、この先も富裕エリアの拡大と共に民主化が進む事を期待する事は合理的である。

上記に論理的な破綻や事実誤認があればご指摘下さい。

9 comments - What do you think?  Posted by bobby - 2010/11/03 at 10:40

Categories: 1.政治・経済, 3.中国ネタ   Tags:

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