Archive for May, 2010

次世代無線LANは3Gbps

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池田信夫氏は、IEEE802.11nの利用が許可されれば、最大600Mbps(実効速度100Mbps)が出ると指摘しています。更に言うと、IEEE802.11 vhtという次世代の規格があり、日本のNICT(情報通信研究機構)では3Gbpsに成功しているそうです。ソフトバンクの孫さんや松本さんは光ファイバを使った100Mbpsという「枯れた技術」に拘っているようですが、1Gから3Gの無線LANが可能になり、無線だから遅いという常識が覆される日が早晩やってくるようです。イノベーションは常に、人の予測を(良い意味で)裏切ってくれるみたいですね。


7 comments - What do you think?  Posted by bobby - 2010/05/31 at 13:45

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なぜ中国人はルールを守らないのか

たかじんのそこまで言って委員会の最初の話題の表題ですが、は、「なぜ中国人はルールを守らないのか」という事です。日本人の駐在員の間でも、そのような話題が良く出ます。ところでルールを守らないのは中国人だけでしょうか?実際には、アジア全般で言える事かと感じます。欧米は契約違反を裁判で争うしくみがありますし、信号無視はあたりまえと聞いています。欧米でもルールは必ずしも守られている訳ではないといえます。

では、ルールを守る理由は何でしょうか。恐らくルールを守る目的は、自分にとって利益があるからです。ルールを守る利益が、破った時の利益より上回れば、ルールを守る人は増えます。たとえば車のいない真夜中の交差点で、青信号まで待つのは、世界中で日本人だけだと言われます。

ルールには必ず目的があり、目的を達成する為の道具にすぎません。ゆえに真夜中の車がいない交差点で、交通ルールを守る事に意味はありません。それでもルールを守らせようとする日本人は、ルールを守る事が「目的化」していると言えます。

では、ルールを守る事が目的化する事は良い事でしょうか?私は自分では車の往来に応じて、交差点を渡るかどうか判断し、必ずしも信号を守りません。しかし自分の子供が小学生の間は、杓子定規に「青信号を守れ」と教育しました。車の横断の判断が自分でできるまでは、ルールを厳格に守る事が、子供にとっては正しいと考えます。自分で安全の判断ができるようになれば、自分の責任において、自分の判断で渡ればよい。だから彼が中学になったときに、横断歩道を渡るルールを変更しました。

ルールは守るもの、ルールを守っていれば問題が起きない、そういう考え方ははたして正しいのでしょうか?私は、間違いだと考えます。ルールが生まれた背景にはかならず目的があります。その目的を達成するのが最重要であって、その道具であるルールを「どうするか」は、各自が自分の頭で考えて判断するべきでしょう。

31 comments - What do you think?  Posted by bobby - 2010/05/30 at 12:36

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政治が招いた口蹄疫禍

10年ぶり、2度目の口蹄疫禍が宮崎を襲っています。井上晃宏氏はアゴラで、口蹄疫殺処分は、食肉輸入の非関税障壁を維持することが目的であると述べています。口蹄疫の予防や感染拡大阻止にはワクチン接種が有効です。ワクチン接種すると、口蹄疫清浄国でなくなり、非清浄国である南米からの安価な畜産品が輸入されるので、国内畜産業者を保護する為に、汚染地で口蹄類を大量に殺処分する事が行われているのだそうです。口蹄疫清浄国が畜産業化の意思であり、それを自民党政権と官僚が維持してきたという事でしょう。

ところで井上氏も引用した人獣共通感染症の宮崎で発生した口蹄疫によれば、口蹄疫ウイルスは生物外に排出された後も数週間以上死にません。(ウイルスは生物ではないので死ぬという表現は妥当でないかもしれません)

「口蹄疫の最大の発生地域に日本は囲まれています。そして、口蹄疫ウイルスは物理的処置に非常に抵抗性が強いウ イルスです。藁に付着した口蹄疫ウイルスは夏では4週間、冬では9週間生存すると いわれています。家畜の飼料や 敷き藁として輸入される稲藁や麦藁に付着して入ってくる可能性もあるわけです。台湾や中国との人や物の往来を考えれば、これまで日本に口蹄疫が入ってこなかったのは、むしろ幸運だったのかもしれません。今回と同様のことは これからも起こりうるものと考えるべきです。」

宮崎に口蹄疫が再来し、山内一也東京大学名誉教授が予想した通りになりました。口蹄疫ウイルスの特性、ワクチンの存在、そして日本周辺の状況を考えると、口蹄疫清浄国である事を長期的に維持する事に合理性はありません。過去からの約束を守る必要のない民主党政権は、この機会に是非、ワクチン接種後の殺処分を止めて、口蹄疫防止に踏み切るべきです。

9 comments - What do you think?  Posted by bobby - at 11:56

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電子カルテは道具である(2)

電子カルテの問題には、病院全体の管理システムの問題もいろいろと述べられています。また、Mixiの医療とITコミュには、こんなトピもあります。しかし、病院管理システムの問題は、医療業界の特別な問題に起因しているのでしょうか。

最初からシステム化されていない病院では、受付であれ、医療事務であれ、診療業務であれ、人間の担当者を中心として業務フローや書類がつくられます。その後で、より少ない担当者で、より多くの仕事をこなせるように現場レベルでの改善が行われます。ところが現場担当者の実作業の効率を改善する度に、管理部門や他の部署との情報の整合性は減少傾向が増し、結果として組織間での事務書類の負担はより増大します。そして最後は事務作業が手に負えなくなって、なんとかする為に病院管理システムの導入を検討します。

病院管理システムを含めて業務管理系のほぼあらゆるシステムは、リレーショナルデータベースというデータを管理する道具を利用します。これは大量の情報を管理する為の非常に強力な道具である反面、柔軟性が低くて融通が利きません。予め、必要とされるデータの定義(長さや文字の種類)や情報の因果関係をきちんと決める必要があります。そしてデータベースの構造は、業務フローと密接に関連します。病院管理システムのデータベース設計をする事は、病院の業務フローを設計する事とほぼ同じ意味になるほどです。

システム導入前に構築されていた、人間を中心とした業務フローを、システムにあわせて変更する事ができれば、(導入するパッケージソフトに問題さえなければ)その病院のシステム導入は比較的スムーズに終了するでしょう。しかし、システム導入は現場の担当者の(事務作業以外の)作業効率を改善しませんし、むしろシステム導入前よりもっと多くの担当者を必要とするでしょう。何故なら、これは事務作業を軽減する為のシステムですから、「より少ない担当者でより多くの作業を行う」事が目的ではありません。基本的に、管理系の生産性アップと、現場の生産性アップを、同時に行う事はできないのです。

多くの病院では、どんなに優れたパッケージソフトでも、それに合せて組織や業務フローを変更する事には現場担当者からの非常に大きな抵抗があるので、その方法は選択できません。その結果、管理系ソフトであるのに、現場の作業効率を維持する目的で、「現在の業務フロー」に従ってシステムの改造を始めます。するとどうなるでしょうか?管理系の生産性アップと、現場の生産性アップは、本来は矛盾した課題です。それを同時にやろうとすれば、システムは見るも無残な改造結果となり、プロジェクトが頓挫するか、バグだらけで使えない「出来損ない」が生まれるでしょう。

まさに、二兎を追うもの一兎を得ず、となります。

Be the first to comment - What do you think?  Posted by bobby - 2010/05/26 at 17:08

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電子カルテは道具である(1)

日本では既に、電子カルテの導入が始まっていますが、電子カルテの問題はなかなか複雑です。電子カルテは導入事例がまだまだ少ないので、IT業界としてノウハウの蓄積が少ない事は間違いありません。また、井上晃宏氏の医療情報電子化は手段であって目的ではないと、医療関係者らしき方々による否定的コメントを読むと、医者=職人の気質的な問題が大きなウェイトを占めている可能性も否定できません。

電子カルテに否定的な医療関係者の多くは、当然の事ながら医療業界の事しか知らないでしょうから、医療とは特別な業界であるとの前提に立ち、そもそも医療情報の電子化なんて無理があり、現場の医者や看護師の生産性を下げるだけである、という固定観念に囚われておられる方が多いようです。しかしシステム屋の私の経験から言うと、あらゆる業界が他業界と比較すると特別であり、普通の業界など一つとしてありません。医療業界も、無数にある「特別な業界」の一つに過ぎません。この点で、システム化について医療を特別視する医療関係者の認識は間違っています。

業界それぞれに特別な問題がある訳ですが、電子カルテの問題で一番大きいのは、医者が診断時に記入するカルテ本体情報を、どう電子化するかです。

単純にカルテを電子化して紙の保管スペースをなくし、受付でカルテを探す時間を省くだけなら、タッチスクリーン画面にペン入力でカルテ本文を記入し、イメージ情報のまま管理すれば良いでしょう。これだけのシステムなら、小規模の院内サーバーを置き、受付はデスクトップパソコンで、お医者さんは(最近流行りの)電子ブック型アンドロイド端末の組み合わせでシステム開発すれば、数ヶ月程度で開発完了でしょう。(受付や医者の端末を直にクラウド接続すると、ネットが切れた時に現場が混乱するので、間接的なクラウド接続が運用的にはベターです)

全国の開業医を対象とすると、電子カルテの需要は非常に大きな反面、小規模開業医は何百万円もIT投資するのは厳しいでしょうから、ハード+システム+導入人件費込みで100-200万円程度に納まる必要があります。その為には、ITゼネコンや医療に特化したソフトハウスではなく、あなたの街の零細ソフトハウスやフリーランスがシステム導入できる必要があります。

これを可能にするには、電子カルテの本体機能をGPLライセンスでオープンソース化して無料で配布できるようにすれば良いでしょう。(最初に誰かが、それを無償で開発する必要がありますが...)フリーランスプログラマが、オープンソースによる電子カルテシステムを収入源にできるようになると、小規模な開発が全国でたくさん発生して、導入事例が一桁か二桁増えるでしょう。導入数が増えると、オープンソースのメリットであるシステム全体の機能や安定性が飛躍的に高まります。そこまで到達すれば、電子カルテはありふれたシステムになり、導入事例は更に増大し続けるでしょう。電子カルテが一般化すると、IT業界にノウハウが蓄積して、電子カルテの本体情報を少しずつ、ペン入力によるイメージから分離して、検索可能なコードやテキストへ置き換える事ができるようになると予測します。

医療業界とは関係ありませんが、ウェブショップ用のソフトは、一頃は数百万円以上の開発費を要したものです。しかし今は、オープンソースの無料ウェブショップソフトがいくつも入手可能になりました。その為に、数十万円程度で、自前のウェブショップを開く事ができるようになっています。

9 comments - What do you think?  Posted by bobby - at 16:09

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通信のグランドデザインは独自技術を廃しオープン化の方向で

小池良次氏はアゴラで、NTT経営問題は、イノベーションの視点で、と主張されました。松本徹三氏はそれに対して、「光の道」はあくまでNTTの構造分離がされた上でなされるべきであると反論されています。

私は松本氏が以前から述べてこられた電柱や鉄塔などを共有化してどのキャリアも利用できるようにするという案は悪くないと考えています。電柱や鉄塔の多くは、NTTが公社時代に立てたものでしょうから、これをNTTが(会計上の簿価の話ではなくて)市場価値という観点での正当な対価を支払わずに民営化された会社の資産に取り込んだ事には違和感を感じています。また、独占的地位を築くに至っている光ファイバについては、民営化時に保持していた圧倒的な市場競争力の結果であると考えれば、鉄塔や電柱と同様と考えられます。

ゆえに、物理的な伝送路(電柱、鉄塔、電話線、光ファイバ)と交換機等を収容した建造物を、国策によりNTTから取り上げてアクセス会社へ所有権を移管し、更に経営分離する事は、物理的な伝送路の上にのっかる個々の通信企業の市場競争をフェアに行わせる為に、一定の合理性があると考えます。あるいは、一旦分離したアクセス会社を、NTTが(莫大な)市場価格で買い戻させ、NTTの財務に大きなハンディキャップを課すという方法も検討の余地があるかもしれません。

ところで、松本氏の下記の思想には大きな懸念を感じております。

>私の最大の関心事は「日本に理想的な(米国をはるかに超える)情報通信サービス環境を創ること」

仰るように、グランドデザインは極め重要です。あとからの調整はいろんな意味で困難を極めるので、実質的に「手遅れ」になる可能性が有る事は理解できます。ゆえに松本氏の「米国をはるかに越える理想的な」という考え方には、再び日本だけのガラパゴス技術となる事を懸念します。

長期的に勝利するのは、常に標準化されたオープンな技術です。過去を見れば、日本人が世界的な標準化組織で政治力や交渉力を行使する「能力」が無いのは明らかです。(それだけでなく、政治家や外交官の交渉能力も無に等しいといえますね)

世界初の先端技術を目指すより、世界で最も安定して費用対効果の高い製品を目指す」のが、日本の通信業界の正しい戦略ではないでしょうか。

Be the first to comment - What do you think?  Posted by bobby - 2010/05/24 at 15:43

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NHKの埋蔵金はGoogleで掘り出せ

池田信夫氏によれば、NHKには60万本にのぼる番組のアーカイブがあるそうですが、民放連が「民業圧迫だ」として妨害し、総務省が独立採算を求めるなどの規制をしたため、NHKはオンデマンドによるコンテンツ提供は実現されなかったそうです。

現在のオンデマンドは有料放送のようですが、NHKが受信料以外に視聴者から料金を取るのは納得ができません。かといって60万本のアーカイブをメディア変換したりビデオストリーミングの経費は少ない金額ではないと考えられます。

そこで提案ですが、NHKのアーカイブを編集し、メディア変換する費用をGoogleが負担し、出来上がった番組をお互いが共有するというのはどうでしょうか。これはNHKとGoogleと、番組を見るユーザーのすべてにとって大きなメリットがあると思います。

NHKオンデマンドは高解像度を選択可能とし、Youtubeからは低解像度かつ10分程度に細切れされた番組になります。最終的には、NHKオンデマンドをGoogle TVへ統合して、NHKはGoogleから番組著作権料をもらうようにすれば良いでしょう。

Be the first to comment - What do you think?  Posted by bobby - 2010/05/22 at 11:00

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宝くじの天下り団体

今日の夕方のニュースで、宝くじの仕分けが話題に上りました。役人の天下り団体へ、多額の現金が流れているらしいのです。

宝くじの年間売り上げは1兆円(すごい額ですね!)だそうです。その内訳として、当選金が4761億円、自治体へが4178億円、経費が1480億円。このうち、経費から280億円が日本宝くじ協会自治総合センターへ。自治体への金額から80億円が全国市町村振興協会という外郭団体へ。この3つの団体から普及宣伝の名目で、更に100余の公益法人へお金が流れて、宝くじとは関係のないDVDや雑誌がつくられているそうです。まさに官僚OB天下りの温床になっているようです。

仕分け人からは、「なんでこんなに複雑な構造をつくって、重なりながらやっているのか」とか「あいだでいろんな団体がはいって中を抜いていますね、ほんとにこれで良いと思いますか」などの意見がありました。

これら天下り団体の官僚OBの給与が高すぎる(理事長クラスで年収2000万円)事について、宝くじの発行人の立場として出席した(総務省出身の)伊藤鹿児島県知事は、「各省庁の事務次官のOBの取り扱いはだいたいそれくらいを念頭においている」とし、仕分け人に向かって「議員さんもそれくらいもらっているでしょう」と開き直って、「天下りでこの金額が高いというのを宝くじで言うのは言いすぎで、他の団体の事も良く見てもらうとありがたい」と述べていました。

要するに、みんなもらっているのに俺たちだけ突っ込むのはフェアじゃないよ、という事でしょうね。言いたい事はわかりますが、メディアが入っているところで、そういう「本音」を言ってしまうのはどうなのでしょうか。(笑

また伊藤知事は、宝くじが一方的な仕分けの対象になる事について、「地方自治の観点からどうなのか」などと苦言を述べていました。仕分け人は天下りOBへの無駄を削減しようとしている訳です。この削減分を当選金と自治体とで分ければ、自治体の収入も増える訳ですから、伊藤知事は地方自治体側として喜ぶべきでしょう。それを反対するという事は、天下り団体に関係する既得権議員の利益とつながっているから、という深読みをしたくなります。もしそうなら、そういう人が地方自治体の知事であり、なおかつ宝くじ発行人の立場にいる事は、双方の組織の利益に背反する事になるのではないでしょうか。鈴木知事は、なんとも微妙な立場のようです。

3 comments - What do you think?  Posted by bobby - 2010/05/21 at 20:24

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光の道を征する者が通信業界を征する

既存の出版業界で最も成功しているのは、出版社と書店の物流を結ぶ、本の取次ぎ業者です。NTTが依然として強力なのは、データを結ぶ物理的な広域ネットワークを所有しているからです。デジタル情報における物流といえば、バックのインフラとなる「光の道」かと思われます。つまり、光の道を征する者が、この先数十年の通信業界を征すると考える人がいて当然です。

池田信夫氏は、独立したアクセス会社が税金を1円も使わず10%の光ファイバ未達エリアをカバーし、月額1400円で全国各戸へインフラを提供する事は経済的に困難ではないかと述べ、そもそもユニバーサルサービスの必要性に疑問を提起しています。リスクの高そうなアクセス会社ですが、ソフトバンクの孫さんは、総務省の「光の道」構想を強力に支持しているようです。いったい何故でしょうか。

我々は、ソフトバンクが通信業界に参入して以来、NTTによる「不公平な競争」を強いられてきた事を忘れるべきではありません。孫さんは、アクセス会社の社長をやっても良いと述べたそうですが、「やっても良い」ではなく、「ぜひ私がやりたい」が、光の道構想を支持する目的ではないでしょうか。

原口総務大臣は政府側の価値観を持つ人間ですから、通信はユニバーサルサービスだと言われれば納得するしかありません。しかし光ファイバはNTTの経済合理性の問題により全土の10%に未達であり、ユニバーサルになっていません。孫さんはそこをコミットする事で原口総務大臣の心を動かし、全国の光ファイバをNTTからまるごと「釣り上げよう」としているのではないでしょうか。

孫さんはこれまで、リスクの高い投資を繰り返して成長を続け、現在のソフトバンクを築きました。彼が過去に会社を成長させた方法を思い出せば、今回のアクセス会社は、リスクよりリターンが何倍も大きな事業だと考える事は当然かと思います。たとえば、10%に光ファイバを引く費用を捻出する方法は、税金だけではありません。孫さんなら、投資ファンドからお金を引き出す説得力はあるでしょう。光の道を使って、ソフトバンクがNTTを追い越し、世界市場へ進出する成長戦略も、とっくに考えているかもしれません。我々がまだ見えていない、隠し玉もいくつもあるかもしれません。

上記はすべて私の想像です。しかし、もし大筋で正しいとすれば、ソフトバンクは全力でアクセス会社を支援し、日本の通信バックボーンを合法的に独占するアクセス会社が大きな成功を収め、孫さんがNTTを制して、日本の通信業界のドンになる可能性は決して低くないと考えられます。

日本の通信業界を征したあとは、その力をもってグローバル市場へ参入しようとする事を想像するのは容易です。NTTのふがいない内弁慶ぶりを見れば、そういう未来が来るのも決して悪くないかもしれません。

10 comments - What do you think?  Posted by bobby - 2010/05/19 at 09:54

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ブロードバンドはアプリケーションである

原口総務大臣の「光の道」構想でネットが沸いています。全国で10%ほどの、光ファイバが未達の弩田舎(私の田舎とか)や離島の各家庭へも光ファイバを到達させて達成率100%とし、固定電話の銅線と取り替え、それの運営と保守を行う会社をNTTから分離して、独立したアクセス回線会社にしようという案のようです。(総務省資料はこちら

コンクリートの道にしろ光の道にしろ、道というものは、それが通る先の経済やニーズと密接に関係を持つと考えられます。人口数百人の弩田舎の村から村へ、片側3車線の立派な道路を作ったとして、誰がそれを使うのでしょうか?道路を作ったから、用途はあとから自然に生まれるものでしょうか?池田信夫氏はアゴラで、ブロードバンドは経済問題であると述べていますが、私もまったく同意見です。

私の田舎は松山市から車で1時間ほどの山中にある林業主体の町です。田舎町ゆえ若者の就職先となる地元産業がなく、人口分布は中高校生までの若年者と高齢者に偏っており、地上波テレビは見るが、インターネットの需要はほとんどありません。ADSL加入者すら少ないので、実用十分な速度でネットにつながります。こういうところに光の道(高速インフラ)を引いてきてもお金の無駄です。

光の道が既設されている都市部はどうかというと、ネット需要の高いヘビーユーザーが帯域を要求するアプリケーションのニーズは、Youtubeやニコニコ動画やustreaで画像閲覧がメインであり、600K-1Mbpsの速度が出れば十分です。自宅居間の40インチテレビで地上波番組とレンタルDVDしか見ない人には理解できないかもしれませんが、いつもネットで画像を見る人達にとっては、これで十分なのです。自宅で100M出る事より、出先でどこででも「そこそこに速い」速度でネット接続できる方が、多くのネットユーザーにとって嬉しいでしょう。

通信インフラは土管です。土管を何にするかより、土管の中に何を通すかの方がもっと重要です。これからのネット時代に、誰がどんなアプリケーションを必要としているか、それは誰がつくるのか、それをもっと良く考る必要があります。確かな事は、ネットの中心は家庭の居間からどんどん遠ざかっています。

Be the first to comment - What do you think?  Posted by bobby - 2010/05/18 at 10:46

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SIMロック排除で端末が標準化される理由

heridesbeemerさんから、「SIMロック排除などをやれば、寡占オペレータの術策に陥り、政治的負債をかかえこむことにより、日本のガラパゴス化は、よりすさまじいことになることでしょう」との意見を頂きました。

私は、SIMロック排除は効率的なビジネスモデルの再構築を促進するとの意見を述べ続けていますが、なかなか理解して頂けません。松本氏も、SIMロック解除論について再論されていますが、SIMロック解除により、キャリアのエコシステムが修正される事を理解できないようです。

そこで、SIMロック排除から、端末とキャリアのサービスがオープン化するプロセスを図に表してみましたのでご参照ください。

政府がSIMロック排除指導を行って、キャリアがSIMロック無しの端末にします。しかし、端末は他所のキャリアでは使えません。そこではじめて、ユーザーは専用端末+専用サービスの問題を認識します。ユーザーからキャリア間で端末の移動ニーズが出ます。キャリアが端末の移動を可能にするには、2つの方法があります。

1)2社の専用サービスに対応したソフトを端末へ入れる。この方法は、端末がより高額になります。しかし、キャリアは販売時に、どの端末があとから移動の対象になるか判別できないので、すべての端末を移動可能にします。そうすると、すべての端末がいまより高額になり、キャリアは利益減となります。

2)W-CDMAの標準端末で対応できるようにサービスのしくみを変更する。この方法は、W-CDMA端末が本来持っている機能だけを使うので、端末はソニエリやサムソン等のメーカーのアジア仕様の標準端末を日本語化するだけで利用できます。つまり端末価格は2万から4万円となり、現在の端末の半分程度になります。国内メーカーの端末も、同程度の価格帯にしないと競争できないので、価格が海外端末に片寄せされます。キャリアの販売奨励金も半分になるので、通信費が同じなら利益は増加します。

どちらの方法を選択するかはキャリア次第ですが、キャリアが利益の増大を前提に行動すれば、(2)を選択するのが合理的です。

よって、政府によりSIMロック排除規制が行われると、結果として、端末は標準化され、キャリアのサービスも端末の互換性の範囲内に収束されるようになります。

17 comments - What do you think?  Posted by bobby - 2010/05/11 at 22:58

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日本のエコシステムの合理性について考察する

松本徹三氏がアゴラで、SIMロック解除論について再論を試みていますが、その論旨はまったく変わっていません。しかし、今回記事の冒頭文は、松本氏の意見がシンプルにまとまっているので以下に引用します。

「通信事業者が、端末、コンテンツ、ネットワークの「三位一体」の「要」となり、ワンストップショッピング、ワンストップサポートのメリットを実現している「日本の携帯のエコシステム」は、歪んでいるどころか、極めて合理的、且つ先進的なものであり、欧米の通信業者にも「一つの模範」と考えられているものです。」

日本のキャリアが行っている「三位一体」のエコシステムが先進的である事は確かです。しかしその合理性は、海外(欧州、北米、アジア)でも合理的と言えるのでしょうか?

日本は、「三位」のすべてを国内企業が提供でき、全国一律料金が可能なほど国土が狭く、島国なので日常的な海外ローミングが発生しません。人口が1億人を超える市場規模なので、国内だけでメーカーが食ってゆけます。ガラケーにおける「三位一体」のエコシステムの合理性は、日本市場の特殊性と切り離す事はできないようです。

上記をふまえて、いくつかの国を見てみましょう。

中国は、自国で端末開発とネットワーク構築ができる技術力と市場を有するまでに成長しています。しかし国土が広く、同一キャリアでも全国一律料金になっていません。上海から蘇州へ転勤すると、多くの人は現地調達のSIMに買い換えて、同じ端末を使い続けたいという強い要望があるようです。

フィリピンは、国土が狭いので全国統一料金です。しかし、自国で端末とネットワークを開発する技術力がないので、ガラケーをつくれず、標準品のGSM/3Gのセットを導入する他に手段がありません。

欧州大陸は、国境を越えた人の移動が日常的に発生しており、自国の特定のキャリアでしか使えないガラケーや、そういうサービスを望む人は非常に少ないでしょう。

このような例を見ても、松本氏が主張する「三位一体」の合理性を満たす前提条件は、日本以外では非常に難しいと言えます。

3 comments - What do you think?  Posted by bobby - at 13:52

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政府の仕事、企業の仕事

市場原理主義という言葉があります。wikiによれば「政府が市場に干渉せず放任すること」とあります。これを原理主義的に追求する人の事のようです。昨年前半に雇用問題の議論が沸騰した時、私を「市場原理主義者」と罵倒した方もおられましたが、繰り替えし否定しました。私の信条は、「目的を達成する為に合理的である事」であって、市場を原理主義的なレベルで信用してはいません。

市場の参加者が自由に競争できる環境があり、参加者が公正な競争を行っている場合に、政府はなるべく、市場に介入するべきではありません。JALのような大企業が倒産する場合も同じです。

しかし電波(放送局・携帯キャリア)のような、政府の許可と、特定の周波数帯の電波の貸与を要する事業は、業界発足時から自由競争を阻害する条件が組み込まれています。市場参加者は、そのような阻害条件を最大限に利用して、自社の利益を増大させる事は合理的な行動といえます。自由競争の結果として市場に歪みが発生している場合、政府は参加企業が中長期的に健全に成長し、消費者へ適正なサービスを提供し続けられるような方向へ、誘導する努力を行うべきであると私は考えています。

松本徹三氏はアゴラに、国策決定に必要な三要素という記事を投稿されました。その冒頭で、「国の将来を変えるような大きな決定をしようと思えば、そのベースとして、大雑把に言って三つのことが必要です。先ずは「ビジョン」、次に「発想(戦略・戦術)」、そして最後の一つは「検証」です」と述べています。

日本の携帯電話業界(特にソフトバンクとドコモのW-CDMA)が歪んだ市場を発達させて、グローバリゼーションが進む世界から置き去りにされようとしています。この歪みのもとになっている自由競争阻害条件は、限られた特定企業への、無線アクセス方式と関連した電波周波数帯域の割り当てであると思われます。

企業が「市場の事は市場に任せろ」と主張するのは合理的な行動ですが、民の財産である電波をつかっている市場では、政府がユーザーである人民の中長期的利益を考えた市場デザインを行う事もまた、合理的な合同であると考えています。私の目には政府が、国内携帯市場のグローバル化を「ビジョン」とし、その戦略として携帯端末のポータビリティー獲得、更にその為の戦術がSIMロック排除と周波数帯域を海外と合わせる事のように見えます。

ガラケーという言葉に、国内携帯市場の歪みの問題が集約されています。この歪みを正す為に、原口総務大臣がSIMロック排除を検討しています。ガラケーの問題は「SIMロックとは関係ない」とは松本氏が繰り返し主張していますが、「SIMロック排除」を前提とした自由競争を行えば、結果として、市場は専用サービスのアンバンドルへ向かわざるを得ず、最終的には国内と海外の端末機能にほぼ完全な互換性が生まれる事で、携帯業界のグローバル化が加速し、ユーザーの便益も更に向上するでしょう。

2 comments - What do you think?  Posted by bobby - 2010/05/04 at 11:42

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人口知能へのアプローチ

elm200さんの機械翻訳は語学学習の代用にはならないのコメント欄で、人工知能についてshiro宛てに書いた人工知能に対する考察が(我ながら)面白かったので、内容を少し修正して、こちらへも残しておく事にしました。

wikiを見ると、人工知能の実用化への前途は極めて厳しいようです。我々の業界では、「人口無能」と揶揄する人も少なからずいるようです。多くの有能なリソースと時間を注ぎ込みながら、いまだに人工知能が実現できない理由はどこにあるのでしょうか。素人が勝手な考察を巡らせてみました。

外部記憶装置に格納されたプログラム(データを含む)と、それを実行する演算装置が分離されている事(ノイマン型コンピュータの定義そのもの)が、現在抱えている人工知能の実現の限界を示しているように思えます。

少ないコードで効率良い判断を行う為には、個別の事例の集積から一般化を行う、帰納的判断機能が不可欠のように思えます。しかし、個別の判断と、一般的な判断は別次元になるように感じますので、個別判断のコードをいくら蓄積しても、それを一般化させるアルゴリズムにはなりません。帰納的判断機能を獲得するには、個別判断の事例をもとに、自身のアルゴリズムを追加できるような機能を要するのではないでしょうか。ところが、学習結果をもとに自身を構築し直して事象へ最適化する能力自体がすでに人工知能の能力に相当すると思われますので、学習によって帰納的な判断を行うプログラムは、ノイマン式では存在し得ない事になります。

帰納的判断能力をギブアップした場合、個別の学習結果から、あらゆる個別の判断コードを自己増殖させ得るようなノイマン式コンピュータは可能性がありそうです。しかし、実世界において無限に近い個別判断コードを蓄積するには、無限に近い外部メモリと演算処理能力を要するので、これもまた困難と言えそうです。

ところで人間の幼児は知能ゼロで生まれますが、脳が本能(ROM?)として備えていると思われる学習機能によって、後天的に知能を獲得するようです。その際に、脳は判断アルゴリズム(プログラム)と演算機能が一体になっているように感じられます。

つまり、データは記憶領域へ分離可能だとしても、アルゴリズムと演算機能は一体化したような新しいコンピュータ方式であって、自発的好奇心を持ち、好奇心にドライブされた学習機能の結果により演算アルゴリズムを自己増殖させられるような能力を付与できれば、学習によって後天的に知能を獲得するコンピュータが実現可能かもしれませんね。(勝手な妄想で失礼しました)

2 comments - What do you think?  Posted by bobby - 2010/05/03 at 22:56

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ガラケーが日本経済を駄目にしている

日本では最近、自動車が売れなくなったそうです。(参考1参考2)その理由をいろいろ推測する人がいるようですが、ガラケーが若い人の文化を変えた結果、自動車ローンの原資がケータイの通信費に流れている、と指摘する人もいるようです。若者の自動車離れの理由がガラケーの通信費であるのなら、日本経済にとって困った状況と言わざるを得ません。

自動車1台(200-300万円)がローンで販売された場合に経済成長への波及効果(この言葉自体が胡散臭い響きをもっていますが...)は、ガラケー1台(8万円)よりも(GDPを押し上げる)効果がはるかに高い大きいと推測します。自動車はケータイより、部品点数と種類が1桁以上多いと思われます。製造に関わる下請け業者の数もそれだけ多いでしょう。更に、完成品入手後の消費を見ると、ケータイの場合は月額費用の大部分をキャリア1社が吸い上げるのに対して、自動車の場合は、ローンの金利は銀行へ、ガソリンはスタンドへ、週末にドライブすれば観光地の飲食店へ、と広範囲の消費が期待できます。ガラケーの普及によって、それらが失われているとしたら大変な事です。

さて、ガラケーを(扶養家族である妻や子供を含む)若者へ浸透させた最大の原因は何でしょうか。アゴラで松本氏が繰り返し述べているところによれば、高額で多機能の端末を安価で普及させる事ができた理由は、高額の販売奨励金をキャリアが払う事ができたからだそうです。(参考3参考4)また、キャリアの販売奨励金を可能にしたのは、SIMロックとキャリア専用端末と専用サービスのバンドルによるユーザーの長期囲い込み戦略のようです。

先の仮定(ガラケーが人々を内向きにし、ガラケーの月額費用が自動車ローンの原資を喰っている)が正しいとすれば、政府はルールの変更等により、消費文化の誘導が必要なのかもしれません。

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iPhoneは結果として携帯業界の黒船だったのか

山根氏の香港携帯情報局Blogで紹介されたSIM LOCK Japan ケータイ・ITジャーナリストによる討論の前半を見た感想は、今回のSIMロック排除議論は、結果としてみればiPhoneによって引き金が引かれた可能性があります。

ソフトバンクのiPhoneはSIMロックして売られているのですが、ガラケーと違ってキャリア専用サービスにほとんど依存していないので、ドコモのSIMを挿してても専用サービスの問題がありません。そしてソフトバンクのiPhoneにドコモのSIMを挿したい潜在ユーザーがかなり多いのではないかと推測されます。

更にiPhoneを受け入れた多くのユーザーが気づくのは、日本の専用端末+専用サービスのバンドル・パッケージという閉ざされた世界は「必然ではないのだ」という認識が広がりつつあるのではないでしょうか。

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