Archive for April, 2010

クラウドへの道は無線で舗装されるべき

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原口総務大臣の提案した「光の道」に対して、池田氏が異論を唱えています。

池田信夫blog:情報通信政策フォーラム(ICPF)のUstream緊急中継
アゴラ:通信に「ユニバーサル」は不要
アゴラ:ブロードバンドは「光の道」より「電波の道」で
池田信夫blog:ソフトバンクの「光の道」は第二の地デジになる

ソフトバンク(松本氏)が提案している「光ファイバーをNTTから分離して各社と統合し、5000万世帯の銅線を全面的に光ファイバーに取替える」という案は、1段階理論では「悪くない」と思わせる内容があります。しかし池田氏が指摘しいていますが、技術革新の激しいIT通信業界で通信インフラ投資に30年もの償却期間をかける事は正しい選択か、光ファイバー(高速有線通信)をユニバーサル・サービスにする必然性があるのか、という大きな疑問を私も感じています。香港では、家庭用の100Mサービスが始まって数年で、今度は家庭用ギガビット回線のサービスが開始されました。

松本氏は以前のアゴラ記事で、無線通信は光ファイバーの速度に勝てないと主張されました。技術的には正しいのですが、実際に家庭への導入はベストエフォートの契約になるでしょう。つまり、回線の最高速度で比較しても意味はありません。私の実家は四国山地の田舎の街で、かろうじてADSLが利用可能ですが、遅いと感じた事はほとんどありません。加入者が少ないのですから当然です。

「光の道」の対象は静止した受信者、つまり家庭を想定しているのだと思います。しかし、インターネット・ユーザーは既に家庭から個人へと細分化の方向へ向かっています。我が家は長年、居間に共用パソコンを設置していました。息子が中学へ入学した昨年から妻と息子と私が一人1台のノートパソコンを所有するようになり、共用パソコンの稼動時間は激減しました。

さて、ユーザーが個人単位になり、みながネットブックやiPadやPDAを持つようになると、出かけた先でも家と同じようにネットへ接続したいというニーズが強くなります。なぜなら、身の回りにある情報や機能が、どんどんクラウド化しているからです。私の場合は、メールとブラウザの「お気に入り」だけでなく、業務や日常生活で必要な多くの情報をクラウド可能な「しくみ」へ移行済みであり、2台のノートパソコンとiPhoneですべて共有できるようにしています。どのパソコンへ保存しても、同じ情報を共有できます。WiFiの無い公園や乗り物の中でも、携帯用小型HSDPA/WiFiモデムを持ち歩き、パソコンやiPhoneで、どこでも情報を引き出す事ができます。無線インターネットがより高速化し、より低価格化すれば、アウトドアで利用できるアプリケーションはもっともっと増える事でしょう。

では30年後の未来には、この世界はどうなっているでしょうか。荒唐無稽な例を持ち出して恐縮ですが、これまでに書かれた多くの近未来SF小説では、クラウドという言葉は出てこないものの、高度にクラウド化された社会が描かれています。人が肌身に付けられる小型で小さいクラウド端末があり(場合によっては脳と直インターフェースされていて)、センターの超高速電脳で処理された情報を無線通信により受け取って、人工知能による支援が受けられたり、視覚や聴覚の情報をリアルタイムに処理・分析させたり、機械や乗り物をリモート制御したりしています。

それらすべての前提となるのは、超広帯域の無線通信技術の普及です。


Be the first to comment - What do you think?  Posted by bobby - 2010/04/27 at 15:43

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MMSメールをインターネットへ移行せよ

携帯メールのポータビリティーを生み出す為に、MMSメールをインターネットメールへ変更するべきと書いたところ、heridesbeemerさんからこちらのような批評を頂きました。そこで今回は、移行後のしくみについて簡単なイメージ図を示したいと思います。

まずは、現在の状況を類推したイメージ図を作成しました。もし間違いがあれば訂正しますので、ご存知の方がおられればご指摘ください。

キャリアは、データセンター側にあるMMSベースのメールサーバーを、下記の図のようにインターネット側へ移動させます。もちろん、MMS用のメールサーバーをそのままインターネットで使えという事ではなく、別途にインターネットメールサーバーを用意しなさい、という意味です。私のまわりにいる、日本の携帯電話の知識がある人に聞いて廻ったところ、携帯間のメール送信のメールアドレスは、xxxxxx@docomo.ne.jpのようにインターネットメールと互換性がありますから、大きな問題は無いと考えます。

このようなしくみへ移行すると、旧型端末(MMSベース)と新型端末(POP3/SMTPベース)の混在が可能となります。その上でメールアドレスのサービス契約を携帯電話の契約と分離させるように、政府による「行政指導」を行います。そうすれば、携帯キャリアを他社へ変えても、メルアドは旧キャリアと契約したメールサービスを使い続ける事が可能となり、携帯ユーザーの「流動性」を高められるのではないかと考えます。

追伸:

移行後の図に説明を加えました。(2010-04-26)

11 comments - What do you think?  Posted by bobby - 2010/04/24 at 11:39

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携帯メルアドを人質開放せよ

真野浩さんがアゴラでSIMロック論争への素朴な疑問を述べ、そのコメント欄で松本氏が5番のコメントで述べた「、ロックなしは値段が高くならざるを得ない」について微力ならが反論を行っている最中です。更に19番のコメントで「SIMロックは通信事業者に長期間の回線利用を保障する為の道具」についても、他にも方法があるのに、なぜSIMロックでなければならないのかについて、松本氏へ質問を投げかけています。(これで何回目かの挑戦なのですが、ずっとスルーされていてちょっと寂しいです)

さて、松本氏の言う「SIMロックの必要性」について、香港に居ながら日本と世界の携帯電話の事情に詳しい某知り合いの一人と話していたところ、「キャリアを変えても、前の携帯のメルアドを使い続けられる方が、ユーザーにとっては有用だ」と指摘されました。たしかにこれは、ユーザーにとってSIMロックより切実な問題かもしれません。

日本では携帯のメールアドレスは、時には身分証明として使用されており、単なるメールアドレスという訳にはゆきません。ミクシーの新規会員登録は、携帯電話のメルアドがないと取得できません。ネットを何年も徘徊していると、携帯メルアドで登録したサイトやサービスがたくさん発生します。そうなるとドコモからソフトバンクへ移りたくても、メルアドを捨てられないので移れない、なんていう人が実際にはかなり居るのではないでしょうか。

携帯電話のメールアドレスは、いまは携帯端末の契約と一体となっているようですが、これを「行政指導」で強制的に(携帯電話とメールサービスの)契約分離させ、携帯キャリアをソフトバンクからドコモへ移っても、メルアドだけはソフトバンクのものを使い続けられるようにするのです。もちろん、メール・サービスの料金は、携帯電話の料金とは別途に支払えるようにします。

この為には、携帯端末で使用されているメールのしくみ(現在はMMSをカスタマイズして使用しているのでしょうか?)をSMTP/POP3を使うインターネットメールサーバーへ変更します。端末側のソフトも、同様に変更します。ついでにgmailなど外部のメールアドレスでも登録可能にしてほしいですね。

こうして電話番号とメールアドレスの契約を分離可能にして、ユーザーが同じメルアドを(キャリアを変更した後も必要に応じて)使い続けられるようにする事で、キャリア間を移動するユーザーの流動性が増すと考えられます。更にSIMロック排除により国内端末を海外標準へ誘導する事と合わせると、日本の携帯市場の「特異性」が著しく解消し、欧米キャリアの日本市場へ戻ってくる可能性が高まります。またノキアやサムソンなどの世界的端末メーカーも日本市場へ戻ってくるでしょう。日本の携帯市場は参加プレーヤーが増えて混沌としてくるでしょうが、そういた市場競争がユーザーの利益を高め、日本の国力も中長期的には増してゆく事と考えています。

5 comments - What do you think?  Posted by bobby - 2010/04/23 at 00:22

Categories: コンピュータ及び科学全般ネタ, 1.政治・経済   Tags:

iモードは「英国方式」で

総務省(原口大臣)が携帯業界へ、SIMロック禁止にすると恫喝してから、業界関係者が大慌てで反論を試みている一方で、禁止論争への素朴な疑問も出されています。たとえば「ドコモ端末のSIMをソフトバンク端末へ入れても、iモードが使えない」という意見がありますが、真野浩氏も「強引すぎる」と述べています。

ところでiモードですが、実は技術的にはWAPとの親和性が高く、コンテンツの移植も比較的容易です。ググってみたところ2001年前後にiモードとWAP2.0を融合させるというような記事が多くみられました。ドコモはWAP版のiモードのシステムを完成させ、海外へ展開を開始しました。

英国での事例
キャリア:O2 (UK) Ltd.
2005年10月1日

香港での事例
キャリア:Hutchison Telephone Company Limited
導入日:2007年5月30日

たとえば、下記は英国と香港の例です。こちらによれば、海外の14キャリアがiモードの導入を行った(終了したものも含む)ようです。しかし同記事を見ると、海外端末でiモード対応機種というのがあるので、単純にWAP2.0対応機種ならどれでも可能という事ではないのかもしれません。以前にiモードのコンテンツをWAPへ移植した事がありますが、携帯端末は画面の解像度が多様なので、サーバー側で機種を自動識別して、それに対応した画面解像度で画面情報を出力するようになっていたような記憶があります。

他にも、ネット上の文献をいろいろ漁ってみましたが、現在FOMAのiモード・システムは、WAP2.0のブラウザで完全互換で動作する訳ではないようです。池田信夫氏が地デジは「南米方式」での記事で、

「先月、エクアドルが「日本方式」による地上デジタル放送の採用を決定した。総務省は、これを機に「日本方式」を世界に売り込みたいと意気込んでいるが、結構なことだ。せっかくだから、この「日本方式」を日本でも採用してはどうだろうか。」

と述べています。ドコモもFOMAのiモードをWAP2.0ブラウザへ完全互換になるように、「英国方式」を日本でも採用してはどうでしょうか。ドコモの技術なら、端末がiモードブラウザかWAPブラウザかで、記述されたコンテンツをリアルタイムに自動翻訳するミドルウェアの開発は可能ではないでしょうか。端末側の画面フォーマットは多少乱れても、ユーザーがそれなりに使えれば良いのです。また非互換端末用に、iモードブラウザを開発して、ユーザーがダウンロードして使えるようにする手もあります。

最後に一言。iモードは、電話のデータ通信帯域が遅かった頃に、コンテンツ産業を構築する為に設計された「遺物」です。3G以降の高速なデータ通信が可能な現在、WAP2.0ですら「遺物」になろうとしています。これからは、データ通信の帯域は更に高速化されるでしょう。「携帯回線用にパケット効率を最大化するように」などとプロトコルのカスタマイズへ走るのではなく、普通の端末用インターネット・ブラウザで、汎用のインターネット通信接続上に、(良い例とはいえないが)iPhoneのApple Storeのように課金可能なサービスをデザインするべきではないでしょうか。

3 comments - What do you think?  Posted by bobby - 2010/04/21 at 10:13

Categories: 1.政治・経済   Tags:

和をもって企業統治は可能か

日頃から効率的なシステム設計を行う為に努力を重ねている「システム屋」は、システムの使用者たる組織の効率化にも興味を持ちます。ベトナム在住のシステム屋であるelm200さんは、日本的組織内部の村落共同体を破壊すれば合理性を回復できるにおいて、組織論的なアプローチから、日本社会の改善方法を考察しています。しかしながら各論に入り込みすぎて、全体の論旨が見えにくくなっているように感じたので、一般論として下記にまとめてみました。

組織の構成員が、自分の所属する末端組織の利益(効率性)を最大化しようとするのは、組織構成員にとって「合理的」な行動です。小さな組織の集合体が大きな組織です。個々の組織が自己の利益の最大化を追求すると、他の組織との間で「利益のコンフリクト」が発生します。全体組織が一定以上に大きくなると、全体としての組織と、個々の内部組織との「利益の「コンフリクト」も発生します。

内部組織の本来の存在目的は、「全体組織」の利益を追求する為です。全体組織の存在目的が、「全体組織の利益の最大化」であるとしましょう。しかし、内部組織間の利益のコンフリクトが、「全体組織の存在目的」とコンフリクトする事は大きな問題です。そしてこの問題は、人間が構成する組織に普遍的に存在するのではないかと考えます。では、この問題に対するソリューションとは何でしょうか。

解決方法は、ある意味、単純明快です。合理的に考えれば、下記をきっちりと行うだけです。

1)全体組織の存在目的を明確化する。

2)内部組織の存在目的が、全体組織の存在目的の実現である事を明確化する。

3)組織統治者は、1と2を組織全体で共有させる。

4)組織統治者は、1の目的が最大化されるように、個々の内部組織の機能と利益を調整する。

すなわち組織のトップ統治者は、自己の目的を明確化し、その目的に向かって組織全体が効率良く機能するように、組織の最適化を行い、内部組織の「統治」をしっかりと行う、という事ではないでしょうか。欧米や中国に限らず、全体組織が効率よく目的を達成している会社や組織においては、「トップダウンによる意思決定」という名のものとに、上記の1から4が行われていると考えます。

ではなぜ、多くの日本の企業や組織でそれができていないのでしょうか。elm200さんのもうひとつ別の記事では、日本では組織統治者によるトップダウン統治が苦手なようだと指摘しています。そのような文化的傾向に対して、elm200さんは「日本の組織に「強烈な異物」を強力に注入するしかない」と述べ、大規模な移民政策を提案しています。

しかし文化自体を変える事は、時間が必要であり、即効性がある解決法とはいえません。移民法が成立するには多くの時間が必要です。移民が増えたとしても、文化が大きく変わるには更に何世代もの時間が必要でしょう。トップダウンによる組織統治法の他に、日本的な「和」を利用した、即効性のある合理的な統治法はないものでしょうか。私は過去の経験に基づき、下記の方法を提案します。

1)全体組織の存在目的を明確化する。

2)内部組織の存在目的が、全体組織の存在目的の実現である事を明確化する。

3)統治者は、内部組織の個別問題を「組織間会議」で共有させ、問題解決が全体組織の利益を最大化する方向へ誘導する調整者となる。

実現する事ができれば、どちらの方法にせよ、結果は同じです。

Be the first to comment - What do you think?  Posted by admin - 2010/04/18 at 16:13

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iPadの衝撃

亜州モバイル人柱隊のYKK氏からiPadを触らせてもらいました。iPadの第一印象は、「こいつはすごいや」という衝撃でした。頭の中では、大きなiPod Touchだという理解はあっても、実際に触ってみた感想は、ネットブックでした。

表現の悪さを承知の上で言わせていただくと、「デジタル障害者をデジタルに繋ぐインターフェイス」がiPadではないだろうか、という印象を強く持ちました。これなら80歳になる私の母親でも、ネットにつながる事ができるのではないかと思いました。デジカメが操作できるだけの能力があれば、iPad(iPhone)の操作は可能かと思われます。

Mac OS Xは、素人には複雑すぎるインターフェイスになっているし、Windowsベースのネットブックも簡単とは言い難い。そこへゆくとiPhoneと同じインターフェイスのiPadは極めて簡単なUIで、素人でもすぐに操作を覚えられます。こんなに簡単な操作なら、Windowsベースのネットブックで四苦八苦している多くのデジタル障害ユーザーの多くが、障害を乗り越えられるのではないかと直感しました。

あとは値段だけでしょう。iPadの値段は、ネットブックの価格帯よりUSD200くらい高いようです。この微妙な価格差が解消すれば、iPadがネットブックの市場を喰ってしまう可能性は極めて高いのではないだろうかと予想します。

ところで池田信夫氏が起業したアゴラブックスのAJAXビューワーにトライしてみました。ネイティブなリーダーに比べると書籍の表示エリアが(画面一杯にならず)かなり狭い。狭いので文字の表示が小さくて読み難い。ネイティブなリーダーではキンドールより表示速度や画面の反応がすごく早いのですが、AJAXビューワーは比較するとかなり遅いという印象を受けました。

1 comment - What do you think?  Posted by bobby - 2010/04/11 at 01:58

Categories: 1.政治・経済   Tags:

日本でSIMロックの強制排除が必要な理由

政府がSIMロック排除(解除ではない)を検討している事について、松本徹三氏がアゴラで、えっ、これが政治主導?と憤慨しています。松本氏は、日本の携帯ビジネスを、「端末」、「通信ネットワーク」、「付加サービス・コンテンツ」、「流通・マーケティング」の4要素と述べています。私は、この中の「付加価値サービス・コンテンツ」が、キャリア専用端末でないと使えないようになっている事が、日本の端末が特殊化し、競争力が弱くなっている元凶であると指摘します。

もしソフトバンクの端末をSIMロック解除してドコモのSIMを挿しても、電話以外の「各種」サービスがほとんど使えないのでは、SIMロック解除の意味がありません。この状況を解消せずに、「SIMロックの無い端末を増やそう」といった議論は欺瞞です。日本の携帯ビジネスが、このような「おかしな」状況になった原因は、下記図のように、「はじめにSIMロックありき」で、キャリアが端末内臓ROMの仕様をいじくれるようにしたからであろうと推測します。

この状況を改善して、SIMロックを外したドコモ端末がソフトバンクでも「同じように」使えるだけでなく、アジア仕様の海外端末でも同じように使用できるようになれば、日本の携帯ビジネスのガラパゴス化は終わり、ノキアやサムソンやレノボが、アジア仕様の端末を日本で販売できるようになり、国内メーカーも中国やアジアへ販売し易くなります。その為のステップとして、下記の図のように、端末ハード(内臓ソフトを含む)と、キャリアのサービスを分離させる必要があります。更に、メールなどのインターフェイスを国内各社で共通化するのではなく、あくまで世界標準(WAPかGPRS/HSDPA等のデータ回線を通したインターネットメール)で共通化するのです。

更に、行政によりSIMロック排除して高額の販売奨励金をなくし、端末のキャリア別カスタマイズを困難にさせて、ソフトバンクとドコモの端末を一気に「世界標準化」へ押し出す事が重要です。

W-CDMAの「付加価値サービス・コンテンツ」が世界標準化される事で、中長期的には、ユーザーもメーカーも必ず利益を得る事ができます。

11 comments - What do you think?  Posted by bobby - 2010/04/07 at 00:19

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