Archive for February, 2009

三カ国の不況の原因を比較する

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米国と日本と香港で、不況の原因を比較してみました。結論から先に延べれば、原因はどこも精神的な問題なのですが、当事者や背景が少しずつ違うところが興味深いですね。

米国が不況になった理由:

消費者は楽観的でいまでもお金を使いたいのですが、銀行が極度の心配性に陥り、消費者がお金を借りられなくなりました。それで、現金を持っていない人は家や車が買えなくなり、それで消費にお金が廻らなくなりました。だから銀行の心配性が治れば、米国の消費は持ち直し、経済は好転するでしょう。

日本が不況になった理由:

そもそも消費者に悲観的な傾向があり、バブルが弾けて以降、内需は不景気だし年金問題や医療保険問題など社会は停滞ムード。それでお金はあるが銀行や箪笥に眠っていて市場に回りません。そこへ来て、昨年秋から大量の派遣切りで消費者のムードは一気に底に落ち込んでしまい、ますます財布の紐が硬くなっているようです。つまり派遣切りで貧乏人が増えたからという訳ではないのです。

香港が不況になった理由:

香港人は家庭の主婦もオフィスの事務員もみんな株へ投資しています。金持ちは不動産に投資しています。株価が上がると庶民も金持ちになったような気持ちになって、高いレストランで食事したり、高いワインを飲んだり、車を買ったり、どんどん消費にお金を使います。しかし今は、ハンセン指数(日経平均のような株価指数)が下がり、消費者の気持ちもシュンとなっているので、消費にお金があまり廻りません。

上記の理由を見て頂ければお分かりのように、米国も日本も香港も、実際にみんなが貧乏になってしまい不況になった訳ではないのです。もしも失業率が30%とか40%になれば、多くの人が貧乏になって、本当の不況が訪れるでしょう。しかし工場のワーカーが全員解雇されたとしても、そんな失業率にはなりそうもありません。


Be the first to comment - What do you think?  Posted by bobby - 2009/02/28 at 22:26

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本末転倒の経済鈍化議論

資本主義と市民社会という池田氏の記事に対して、小倉氏が例によって重箱の隅をつつくような批判を繰り返していますが、これまでの批判のほとんどは、自ら取り上げた議題に足をすくわれるカタチで議論が終了しているようです。今回の表題はこちらのように「歴史はむしろ,資本家の欲望を規制することこそ経済の持続的発展を促す」事を示そうとして、「不平等を拡大する方針に転換して以降の日本は,経済成長が鈍化」していると述べていますが、小倉氏が言わんとする「「不平等を拡大する方針に転換して以降」とは何時の日本を指しているかが不明です。

もし小泉政権の経済自由化政策を指しているのであれば、本末転倒な議論だという事になってしまいます。そもそもバブル崩壊以降の経済停滞と、重厚長大なばらまき政策が何回も不発に終わった後の事ですから、もともと経済は停滞していた訳ですから。もしバブル景気が崩壊した直後の事を指しているのであれば、wikiによれば、これもまた違うようです。

2 comments - What do you think?  Posted by bobby - at 15:34

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小倉氏は神の見えざる手を否定するか

麻生内閣の政府の成長戦略について池田氏は、こちらの記事のように、「成長産業を決めるのは経産省でも日経新聞でもなく、市場である。政府がやるべきなのは、特定の産業に「重点投資」する産業政策ではなく、私が先週の週刊東洋経済に書いたように、成長産業に人的・物的資源が移動できるような制度設計である」と述べました。

その記事に対して小倉氏はこちらの記事のように、「介護への新規参入を阻害しているのは,低すぎる介護報酬であって,それは政府の福祉予算の拡充なくしてはあり得ません。また,「医療への参入」云々については,労働市場を改革したところで,衰退部門からおいそれとやってこれるようなものでもありません。」と否定しました。

しかしながら肉団子氏はこちらの記事で、建設業や製造業などから医療介護分野(プラス32万人)に人が流れ込んでいる現実を指して、「個々の労働者は自分で合理的に動いているだけだが、需要がある分野へと労働力は自然に移動するのだ。まるで神様がそのようにはからっているかのように、資源配分の最適化が行われている」述べています。つまり小倉氏が言下に否定した事が、神の見えざる手によって実現してしまったようですね。

4 comments - What do you think?  Posted by bobby - 2009/02/27 at 17:57

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不況に強い社会をつくるのは政治家の仕事です

こちらの日経記事によれば、「厚生労働省は27日、昨年10月から今年3月の間に職を失ったり、失う予定の非正規労働者数を発表した。失職者数は15万7806人と1月調査と比べ約26%増加」して、初回の11月調査と比べ5.2倍に膨らんだそうです。また、「契約を更新しない雇い止めや解雇などに踏み切る事業所は2316と1月調査と比べ約500事業所増えた」そうなので、今年の新卒者の就職もかなり厳しい状況になるでしょう。

ところで、この報道における「 雇い止めや解雇などに踏み切る事業所は」という表現は、読者へ、企業に対する負のバイアスを植えつけようという意図を感じてしまいますが、不況になったのは企業の責任ではありません。また、不況時に企業が人員整理や雇用抑制するのも企業が悪い訳ではありません。企業の経営者は、毎月の収支で、黒字(利益)を出す経営責任を負っています。黒字が不可能な時には、赤字を減らす為に最善をつくす(不要と思われるあらゆる経費を削減する)義務を資本家(株主)に対して負っています。

それでは、かわいそうな労働者を解雇する資本家は悪かというと、そういう認識も間違いです。不況になりにくい社会を構築するのは政府の仕事(責任)であり、不況時に解雇された労働者の「生存権」を考慮するのもまた政府の仕事です。それではどうやって、政府が不況に強い社会を構築するのかといえば、輸出産業と内需産業とのバランスのとれた産業構造に構造改革したり、付加価値の高い産業へ労働者を誘導する為の教育制度を実施したりする事ではないかと思います。池田氏がアゴラでこのように述べていますが、長期的に日本が成長できる政策を考えるのが政治家の使命であり、そういう構造改革や新制度の為の法律をつくるのが役人の仕事です。

大手新聞はもっと明確に、自民党と民主党の責任を追及するべきではないでしょうか。構造改革を放置した責任、不況に弱い社会を放置した責任は重大です。

Be the first to comment - What do you think?  Posted by bobby - at 17:23

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未確認巨大生物の死体

Searchinaによれば、福建省の漁船が体長8メートル、体重5トンの怪魚を捕獲したそうです。オリジナル記事はこちらです。元記事消滅した時の為に、写真を下記に残しておきます。

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1 comment - What do you think?  Posted by bobby - 2009/02/26 at 16:59

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超円高が終わった(かも)

円が98円台まで戻している。1月10日前後に89円前後から下がり始めた円が、ついに98円台まで下がってしまった。このままなし崩しに円高が終了すると、せっかく数十年に一度の構造改革の機会が失われてしまうようで複雑な心境だ。

超円高が終了して、輸出産業が息を吹き返すと、いままで議論してきた内需拡大だとか構造改革だとかの議論が、すべて過去の記憶になってしまいそうで怖い。

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貿易会社を経営する友人のK氏は、3月末にはもう一度、円高が来るという。日本の輸出産業の決算期にあたるので、日本企業が円を買う為らしい。3月末に再度の80円台になれば、市場はそのまま70円を目指す可能性もあると言う。さて、どうなるのであろうか。

5 comments - What do you think?  Posted by bobby - at 15:16

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技術者の雇用の流動化と下請けメーカーの活性化

雇用のルールをどうすれば良いかという山崎元氏のブログ記事のコメント欄で、技術者の転職についての話題が盛り上がっています。

あるコメントは原子力技術者を例にとって、指名解雇できるようになった場合の危惧を述べています。

技術者がその会社でしか通用しない高度な専門技術を見つけようと努力することの対価は、長期雇用の保証やその技術が必要でなくなったときに方向転換できるまでの面倒を見るという約束だと思います。そもそも会社がそんな約束を果たすと期待している技術者がバカなのでしょうか?

使い回しの利きにくい特殊な技術の開発にかかわる場合、技術者には高いリスクが生じ、転職できない袋小路に陥るのではないかと危惧しているようです。それに対して別のコメントが反論を行っています。

その分野でしか使えない技術なんて、極めて少ないのではないでしょうか。原子力発電所に関連した技術で申しますと、核分裂の制御そのものは、特殊でしょう が、他の蒸気発生・冷却系、タービン、制御、等々は随分と広い分野で活用できる技術でしょうし、何よりも特殊な知見よりも、技術的問題を解決するセンスの 方が重要です。個別の特異的な知識等は、経験者の指導を受けることが出来れば、入社して1年ぐらいでキャッチアップできる場合が多いのではないでしょうか。

つまり本当に特殊な技術などは少なくて、残りの技術は他企業でも転用が利くものが多いだろうと言っています。また、技術者にとって開発した技術そのものより、それを生み出した問題解決能力がより付加価値が高いのであり、特殊な技術を開発し得る能力は、それ自体が転用の利く価値の高いものであろうと。私もその通りだと思います。新しい技術というものは、それを開発する過程がもっとも大変で、知識や能力を要するのだと思います。そういう創造的な技術者は、どこの分野の企業も高給でヘッドハントしたいと考えているのでしょう。

ところで技術者の雇用流動化は製造メーカーにとってどのようなインパクトを与えるでしょうか。企業側が技術者の指名解雇ができるようになれば、企業は不要な技術者の為に無理して配置転換ポジションをつくる必要がなくなり、大手企業は現在不要な人員の整理により人件費予算に余裕が生まれます。この予算で、事業に必要な高い能力を持つ技術者を、外部の労働市場から(高給で)調達できるようになります(これまでの話しはすべて大手企業が前提です)。山崎氏も技術者の賃金に関して、下記のようなコメントを行っています。

制度がどうなるにせよ、将来世代の技術者は、もっと労働条件の契約に関してシビアになるべきだと思います。一般論ですが、日本の企業は、有能な技術者に対して、もっと多額の報酬を払うべきだと思います。

日本のお家芸といえば自動車や半導体・電子部品や電気・電子製品などの製造メーカーです。これら企業内で、製品開発や高密度実装に関わる技術者の賃金は、彼らが生み出してきた高い付加価値に比較して、これまで非常に低い賃金だったと思います。しかし、雇用の流動化がはじまり、転職組の高給技術者が社内に登場すると、指名されない(企業が必要だと考えている)技術者の中には、労働市場に目を向けて、自分の技術の価値をより認めてくれる(より高い報酬を払ってくれる)企業へ転職する者も現れるでしょう。そのようにして必要な技術者の流出が始まります。

その結果、外部労働市場より調達した即戦力の技術者と(人員整理で生き残った)プロパーな技術者の賃金体系に整合性を持たせざるを得なくなり、社内技術者の賃金が必然的に上昇します。社内における技術開発コストが上昇すると、企業は技術投資を絞り込むようになり、これまでのように「何でも自社で開発」する事ができなくなります。

日本の大手メーカーは、社内の技術者の賃金をこれまで非常に低く抑えてきたおかげで、「何でも社内で開発する」事ができました。「何でも」の範囲には、国内の下請け製造メーカーが独自で開発した部品の技術コピーも含まれています。昔は、下請け部品メーカーが新しい技術開発を行い、それを最終メーカーが採用して製品に組み込み、両社が儲ける構造がありました。今は、技術者の賃金抑制により、下請けが開発した部品技術でもオファーが高ければ大手メーカーは自社で真似して社内開発する方が安いので、下請けメーカーは儲ける事が困難になっています。技術者賃金が上昇し、開発コストが高まる事で、大手メーカーは下請けメーカーの開発した技術や部品に相応の対価を払って購入せざるを得なくなるでしょう。そうなれば下請けメーカーの技術者は、自分の得意分野への開発投資をもっと積極的に行えるようなるでしょうし、大手メーカーの優秀な技術者がスピンアウトして起業するケースも増えるかもしれません。そのようにして、日本の製造メーカーと技術者全体がレベルアップできる可能性があると思います。

Be the first to comment - What do you think?  Posted by bobby - 2009/02/25 at 23:45

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弁護士はリスクを評価できるか

改正建築基準法の問題で、構造計算書偽造問題を改善する為の最も有効で効果的なソリューションは改ざん不能な構造計算プログラムにする事でした。またこの方法であれば、業界の混乱はプログラム改善するまでの一時的なものであり、現在のような官製不況を招く事もなかったと考えられます。

木村氏のこの記事や、建築基準法改正リンクさんのこの記事を読めば、小倉氏が擁護している(ようにみえる)改正建築基準法は、実は人命を守る為の役に立っていない事がよくわかります。この法律は役所が天下りを増やす為のが目的のようです。
小倉氏はこの記事で下記のように池田氏のこの記事を批判していますが、

「重要なのは、リスクと便益のトレードオフの中で何を選ぶかという目的関数の設定である」としても,「阪神淡路大地震クラスの大地震にあった場合に建物が 崩壊して人命が損なわれるリスク」に目を瞑ってまで選択すべき「便益」があることを,池田さんは説得的に主張し切れていません。

プログラム改善(それと大臣のプログラム承認手順の改善)で済んだ問題を、いまの改正建築基準法にしなければならなかった理由が何処にも見当たりません。リスクと便益のトレードオフの観点から、問題ある改正建築基準法を改善する議論をする事が、なぜ人命が損なわれるリスクを高めるのか、具体的かつ合理的に述べるべきではないでしょうか。この問題における小倉氏の批判は観念的であり、まったく説得力がありません。

6 comments - What do you think?  Posted by bobby - 2009/02/22 at 15:41

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都市国家の時代

池田氏のアゴラ記事によれば、これからは都市国家の時代です。人口を都市に集中させる事で経済を効率化させて内需を拡大させるのです。それならば、香港は世界有数の人口密集都市であり、しかも香港は、こちらの表によれば、香港は14年連続で自由経済ナンバーワンとされているので、日本が都市国家モデルを目指すのであれば参考になるのではと思います。

香港の街の特徴は多数の大規模高層マンション、繁華街と大規模高層マンションの混在、街と自然(山や海)と空港などが一体となっている事です。東京も23区の中に大規模高層(しかし比較的安価な)マンションを大量に建造すれば、行政に言われなくても地方の人口が自然に東京へ移動するのではないかと思います。こちらの記事にあるように、現在は建築業界も不況のようですが...

Be the first to comment - What do you think?  Posted by bobby - at 15:07

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悪法を批判するのは不道徳か

こちらの記事にもあるように、改正建築基準法は多数の建築技術者が非難し、かつ多くの建築会社が倒産している悪法のようです。これに対して批判する池田氏を、小倉氏はこちらのように「新自由主義って,人命に特段の価値を見出しません」と、悪法を批判する事自体が悪であるかの如くに述べています。問題がある事を指摘する池田氏を逆批判するのであれば、構造計算書偽造問題の解決の為に、改正建築基準法がなぜ必要性であり、経済を損なわない道が他に無かった事を合理的かつ具体的に述べるべきではないでしょうか。

wikiの構造計算書偽造問題によれば、官が行っていた建築確認・検査事務がそもそも「事実上検査が行なわれなかったり、検査が行なわれた場合でも、ずさんだったり、おざなりな検査であったりしたケースが多発し、欠陥住宅災害が発生する原因となっているとする指摘があった」と述べられています。もともと官もいい加減であったようです。そういう事もあって、官だけでなく民へも確認作業が開放されたようです。

さて、構造計算書偽装問題の原因は、同じくwikiの文章を引用すると、「藤田東吾は自らのmixi上で、「この問題の制度上の原因は、「『建築物の確認検査制度』にあるのではなく、『構造計算プログラムの大臣認定制度』。偽装(改ざん)可能なプログラムを十分に検証しなく認定してしまった国交省(旧建設省)と(財)日本建築センターに責任がある。そして、この大臣認定制度の不備を悪用した構造設計士が偽装を行なったのが原因である。 」と述べた。 」とあります。

今のところ私もその意見に賛成です。構造計算書偽造問題を解決するには、プログラムを改ざん不能にするだけ十分に効果があると思われ、現在の改正建築基準法の合理的な必要性が見出せません。もし他に理由があれば、小倉氏にぜひお聞きしたいものです。

池田氏が述べているのは、建築基準法の問題でもサラ金の金利問題でも、一部の不心得者の為に経済全体に影響を及ぼす制度を歪めるのは問題があるという事だと思います。不心得者は勝手に人殺しをすれば良いという内容はどこにも見当りません。 根拠なく他人の悪口を言う事をwikiでは中傷というようです。

2 comments - What do you think?  Posted by bobby - at 12:35

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産業別労組による組合員の為のセーフティーネット

池田氏の記事によれば、北欧諸国の中でも「雇用の柔軟性(flexibility)と保障(security)を両立させることを目標にしている」のがデンマークとオランダだそうです。昨年見たNHKの北欧の特集番組でも、大手工場が大規模な人員調整する時に、(産業別)労組が支援して、他の企業の工場への転職を促し、失業者がほとんど出なかったという事を強調していました。これは日本が参考にすべき一つのモデルです。

上記の内容から思ったのですが、日本も企業別労組を全面的に産業別労組へ構造改革し、労働組合の目的を企業(搾取)との対決から、組合員の失業対策に置き換えるようにしてはどうでしょうか。「労働者の搾取に対して資本家と対決する」というのはもはや合理的でも必要でもありません。時代錯誤な内容を目的にしているから、日本の労組は目的を失って衰退しているのだと思います。日本にいる友人も、「今時、ストライキなどある筈もなく、組合費は無駄だから払いたくない」といっていました。

労働組合を企業別から産業別へ変更し、更に設立目的を「資本家と対決」する事から組合員の「セーフティーネット」になる事へと変更すれば、不確実な時代のニーズに適合するのではないかと思われます。

とはいえ、企業別労組から利益を得ている労組幹部にとって、産業別労組になる事は自らの利益を喪失させるものですから、大きな反対が予想されます。これは政府主導で力強く労組改革を行う必要があるでしょう。
労組は毎月の組合費から、以下のようなセーフティーネット・サービスを行います。

1)組合費の徴収

労組は組合費を徴収して、本サービスを維持する費用に宛てる。
2)失業した組合員への生活費補填

組合費の一部を失業保険としてプールし、解雇された組合員が再就職できるまで一定期間の生活費補填を行う。

3)失業した組合員の職の斡旋

労組が職安の機能を持ち、労組に加盟する企業全てから募集情報を集めて、職の斡旋を行う。また、産業別労組の各企業代表は、産業内で大きな人員調整がある場合には、自分の企業の経営者と話し合い、体力のある企業へ失職者を吸収できるように活動する。

4)職業訓練

労組が職業訓練の施設と能力を持ち、自分の産業で現在必要とする職業訓練を、失職した組合員へ行い、組合員を産業内で再活用する効率を高める。

就業中の組合員であっても、企業が新工場を建設したり新しい技術を導入する場合には、これらの職業訓練施設を利用して労働者の再訓練ができるようにする。

最終学年の学生や非組合員の失業者に対して、労組が無料の職業訓練を行う事で、新しい組合員(企業にとっては新入社員)を獲得する活動を行う。
他の産業別労組の企業が大きく縮小して、ひとつの産業別労組で労働者の再吸収が困難な時には、産業別労組間で労働者の移転を行い、それらの労組間を移転する労働者へ職業訓練を行う。

産業別労組が組織の目的を変更し、日本の企業労働者人口の7-8割をカバーするようになれば、政府は社会福祉サービスのコストが著しく低減するでしょう。逆に言うと、このような状況では、政府は労組に対して労働者の福利厚生サービスをアウトソースし、費用の一部を税金から支援する事も合理的ではないかと考えます。

高度成長期のある時期から現在まで、雇用の維持は産業界が自発的に担う事で実現されてきました。雇用の維持は企業の責任ではないが、企業にメリットがあったので実行されてきました。更にそれは長期の経済成長によって支えられてきました。しかし今後、日本企業はこれまでのように成長する事は無いでしょう。雇用の維持は産業界にとって重荷になるだけなので、雇用の流動化を支持する声が主流になるでしょう。これからは、雇用の維持と失業者の支援は、労働者の組織である労組が担うというのは、ひとつの有効な方法ではないかと考えます。

Be the first to comment - What do you think?  Posted by bobby - at 10:51

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解雇のルール

山崎元氏が雇用のルールをどうすればいいかにいて、「正社員の解雇の仕組みを整えるべきだということと、転職の際に不利や障害のない仕組みにした方がいいということの二点」について述べています。

1)正社員の指名解雇について

会社にとって望ましい人的資源配分をなるべく低コストで且つ予想できるコストで達成できるようにするためには、正社員であっても、会社が任意に選んだ社員を解雇できることを手続きと補償を含めて明確にルール化することが必要だ。」

特定の社員を「経済的理由」により解雇する合理的なルールを作成する事に賛成です。会社は不要になった人材を総務や資料課で飼い殺しにしたり、圧力を加えて自己都合退社にしたりせず、正面から補償を払って解雇する事が、両者の利益にかなうと思います。

2)解雇の際の手続きと最低補償額について

正式な解雇通告の日から1ヶ月後の退社を提案します。被雇用者は、会社から特別の指示がなければ退社日まで出社して引継ぎ等を行います。有給休暇が残っており、被雇用者から請求があれば、その期間に有給休暇の消化を認めます。会社側が退社日まで出社を希望し、被雇用者が受け入れる場合は、消化されなかった有給休暇は会社が買い取りするようにします。

解雇補償は、直近の給与3か月分を提案します。これは最後の月の給与とは別に支払われます。

3)退職金に対する税制上の優遇廃止について

賛成です。

4)退職金・年金の勤続年数による差別禁止について
賛成です。退職金は、すべての会社について、勤続年限 x 最後の基本給で算出された退職金を支給するように提案します。(中国では昨年1月に、これと良く似たルールができました。)このベース部分の上に各企業が金額を上乗せする事は可能とします。但し、勤続年数の差で上乗せ率や余分なオプションの差別をつけてはいけない事とします。

5)退職理由による退職金(あるいは年金)の差別禁止について

懲戒による解雇を例外として、自己都合でも会社都合の解雇でも、上記4の退職金を支払うようにする事に賛成です。どちらの理由でも会社は被雇用者に退職金を支払わなければならないとしたら、自己都合で退職させようという動機を無意味にします。

6)副業の原則自由を明確化について

賛成です。副業を届け出る事も不要にするべきです。但し本業と副業の会社が競合するか、あるいは利益背反する場合には例外として、予め本業と副業の双方の会社から許可を得るようにするオプションを設けます。

7)徴税を容易にする国民背番号制度の導入について
一人の労働者が複数の会社で働く事を前提とする場合、税金や社会保険を管理する為に、国民背番号を有する身分証明書を国から全国民へ発行する事を提案します。 また徴税は、給料天引きではなく、労働者がすべての会社の収入を記入て年度末に自己申告する方式を提案します。税務署は、労働者からの申告書と、企業からの報告書の双方の集計額を身分証番号で名寄せして漏れや間違いの無い事を確認するようにします。

8)企業年金は確定拠出年金へ、政府年金はベーシックインカムへ移行

年金制度をベーシック・インカムに改変して、国民全てが「ベーシック・インカム&確定拠出年金(DC)」という共通の制度を利用するように整理したい」という意見に賛成です。年金の基本部分(およびすべての社会保障費用)は政府支出のベーシックインカムへ統合し、経済的に余裕のある労働者は更に確定拠出年金をオプションとして持てる用にすればよいと考えます。

9) 失業保険もベーシックインカムへ内包

失業保険についても、ベーシックインカムへ内包する事を提案します。

Be the first to comment - What do you think?  Posted by bobby - at 00:44

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僕らはLibertarianか

派遣村騒動以来、経済問題の記事を書き続けています。香港に住んで20数年になるからかもしれませんが、自分の価値観に一番フィットするのが、池田氏が提案する、規制緩和や雇用の流動化といった経済自由化政策です。それでいわゆる「新自由主義的政策」を自分のブログ記事でプッシュしてきましたが、おかげで小倉氏からこのように「新自由主義者」とのレッテルを貼られました。

今日、小倉氏はイデオロギーとしてLibertarianの条件をこのように書いているようですが、私は自身が新自由主義者だともLibertarianとも考えていません。私にとって経済問題の議論は、あくまで結果を重視した合理的手法の選択が最優先であり、小倉氏のこの記事のようにイデオロギーの話しをされても迷惑です。イデオロギーは有害なバイアスを生み出して心を曇らせ、合理的な思考の妨げになるだけでなく、根拠の無い思い込みによって人々を不幸にする事を歴史が証明しています。

優秀な頭脳を持つ小倉氏の(新自由主義に対する批判の)一連の記事が、いづれも的を外している事を見ても、イデオロギーが心を曇らせ合理的思考の妨げになるという良い証明になっているように思えます。

2 comments - What do you think?  Posted by bobby - 2009/02/21 at 01:00

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経済格差の緩和

経済格差(貧富の格差)とは何かについて、こちらの記事に書きました。それでは経済格差を緩和させるにはどうしたら良いでしょうか。その方法について考えてみたいと思います。

結論から先に述べると、貧富の差を格差たらしめている(富裕層を固定化している)装置であるところの様々な規制を取り去って、自由度と透明度の高い経済を実現する事です。これで貧富の格差を緩和させる環境が整います。ここで緩和させるという意味は、貧富の差をなくすという意味ではありません。新興勢力が新しく富裕層へ入る事を容易にし、既存の富裕層が生存競争に負けて退出する事を可能にする。つまり富裕層の新陳代謝を容易にする事です。

Heritage FoundationとWall Street Journalが作成しているIndex of Economic Freedom historical rankingsというものがあります。世界の国を下記の10項目について評価して国別ランキングを作成しました。

Business Freedom (営業の自由)
Trade Freedom (貿易の自由)
Monetary Freedom (金融の自由)
Government Size (政府のサイズ)
Fiscal Freedom (財政の自由)
Property Rights (財産権)
Investment Freedom (投資の自由)
Financial Freedom (金融の自由)
Freedom from Corruption (腐敗からの自由)
Labor Freedom (労働の自由)

この表によれば、14年連続で香港が1位、シンガポールが2位をキープしています。2008年度のランキングによれば、米国は5位、チリが8位、日本は17位、池田氏が記事にとりあげた北欧の代表選手であるスウェーデンは27位です。

大量の新中国移民による貧困層の増大という問題をかかえて、貧富の差が大きい(ジニ係数が南米なみに高い)香港ですが、中国返還後も大方の予想を裏切って経済成長を続け、社会は依然として安定しています。その理由は、このように自由度と透明度の非常に高い経済を背景として、旺盛な起業家精神と高い雇用の流動性によって、経済を発展させながら、同時に経済格差の緩和を実現しているのです。

逆に日本は、米国よりもチリよりも自由度と透明度の低い経済環境と評価されています。その実例のひとつが、こちらの実例のような不透明な政府の規制です。これを見ても分かるように、政府は規制によって既得権企業の利益を守ろうとする傾向が強く、このような規制が内需の拡大を妨げ、日本における貧富の差を固定させているのです。

既得権企業を守ろうとする規制を緩和・撤廃して、新興企業がフェアに競争できる経済環境を整えようというのが、新自由主意義的な経済政策であるといえます。

Be the first to comment - What do you think?  Posted by bobby - 2009/02/20 at 00:42

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貧富の格差とは何か

昨日の記事で、格差社会とは「階層間格差が大きく、閉鎖性が強くて、階層間の遷移が不能もしくは困難な社会」と言いました。ところでwikiを読むと、格差にはいろいろな種類があるようです。格差の代表例は貧富の格差(経済格差)です。これはどうして生まれるのでしょうか。また格差が生じる事は悪い事なのかという事について考えて見ます。

貧富の差はいろいろな要因によって生じますが、富の蓄積は(犯罪を除けば)経済活動の結果ですから、善悪とは関係ありません。経済活動が活発であればあるほど、貧富の差は開きます。その結果生じた富裕層が社会的に固定されてしまう事が貧富の格差(経済格差)です。

貧富の格差は貧困層を生み出す傾向があり、これが進むと大量の失業者による極貧層となり、更に進むと(歴史を見れば明らかなように)社会不安や革命や戦争を生み出す事もあります。しかし貧富の格差は本来、大きな貧困層の発生を意図していません。富の蓄積には(良い)労働者と安定した社会が必要であり、社会不安や革命や国有化を招く貧困層の増大は、富裕層にとって益が無いからです。つまり経済格差自体に善悪は無いが、それが結果として貧困層や極貧層を生み出す「効果」は悪であるといえるかもしれません。

それでは貧富の格差と貧困層増大の相関関係は何でしょうか。考えられるのは労働者のモチベーション低下、つまり直接的な経済的要因でなく心理的な要因です。しかもそれは今日の衣食住に関するものではなく、未来への閉塞感という心理的要因です。学生や若い労働者にとって、一生が低賃金労働と最下層の生活に固定された将来しか無いと知る事は、学習や向上意欲の喪失、勤労意欲の低下に直結し、生活の質は益々低下して、最後は大量の失業者と極貧層を生み出すのではないかと考えます。

日本はバブルが弾けた後で社会に閉塞感が高まりました。経済的には問題ない世帯収入があっても、良い大学を出ても就職できず、正社員であってもリストラされ、社会保障費はいつかはパンクし、いくら頑張っても金持ちになれないという閉塞感が、無気力な学生と労働者を大量に生み出して、引きこもりや非正規労働者の問題へと繋がって来ました。

つまり貧富の格差とは、富裕層を固定するしくみそのものではなく、その結果生み出される国民全体への閉塞感が学習や向上や労働の意欲を低下あるいは喪失させ、経済を停滞させてGDPを低下させ、結果として失業率を増大させ、社会不安を起こしてゆく負のフィードバックという「悪い効果」が問題のようです。

Be the first to comment - What do you think?  Posted by bobby - 2009/02/19 at 15:53

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格差の無い社会は幸福か

格差社会とは何でしょうか。wikiの定義(*1)を要約すると、「階層間格差が大きく、社会の閉塞性が強くて階層間の遷移が不能もしくは困難な社会」と述べられています。金持ちが金持ちであり続け、貧乏人の息子が一代で金持ちになる可能性が極めて低い社会、つまり日本は、バブルが弾けるずっと以前から、安定した格差社会だったのです。

そういう意味では、私が「アジアで一番に夢のある都市」で紹介したように、香港は金持ち層の新陳代謝が激しいので、小倉氏が反論記事でいくらジニ係数や貧富の差を非難しても、日本より香港の方が「格差社会度」は低いようです。

それでは格差の無い社会とはどのような社会でしょうか。

一つは、貧富の差はあるが、入れ替わりの比較的容易な社会です。規制の少ない自由経済社会では、このような事は比較的容易なようです。(しかし、小倉氏は貧富の差が激しい香港や、新自由主義的経済政策の柱の一つである「規制緩和」はお嫌いでしたね。)

一つは、高率の累進課税を行って貧富の差を無くし、能力の高い労働者から、能力の低い労働者へ、国が所得移転を行ってくれる社会の事です。これに一番近いのは北欧でしょうか。池田氏がちょうど北欧モデルについて書いていますが、要するに「北欧の労働生産性が高いのは、解雇自由で労働移動がすみやかなことが原因」という事のようです。(そうえば、小倉氏は「解雇規制の緩和」もお嫌いでしたね。)

一つは、個人の労働生産性によらず職種と年齢によって賃金が決まる(昔のソ連や中国のような)社会主義社会です。 (ここには貧富の差も雇用の流動化もない、全員が国家公務員の社会です。しかし経済的な繁栄は難しいので、国民全員が等しく貧しい暮らしになりそうです。)

小倉氏に最後にお聞きしたい。上記3つの例のうち、どの「格差の無い社会」が、労働者にとって幸福だと思われますか。

【補足説明*1】

格差社会(かくさしゃかい)とは、ある基準をもって人間社会の構成員を階層化した際に、階層間格差が大きく、階層間の遷移が不能もしくは困難である(つまり社会的地位の変化が困難、社会移動が少なく閉鎖性が強い)状態が存在する社会であり、社会問題の一つとして考えられている。

wikiのこの定義に従えば、貧富の差があっても、階層間の入れ替わりが不能でも困難でもなければ、格差社会とは言えないようです。つまり貧富の差は格差社会の本質ではなく、入れ替わりの困難さが格差社会の本質であると言えそうです。

それでは貧富の差を固定する社会的な装置とは何でしょうか。それは政府がつくる「規制」だと考えます。規制こそが既存の大企業の安定を保証し、新興企業の殴りこみを防ぐ防御装置なのです。規制緩和は、先行する大企業の「既得権」を奪い、後ろから追いかける新興企業との生存競争を強制する事で、結果として格差の固定を壊す機能があるのです。

Be the first to comment - What do you think?  Posted by bobby - 2009/02/18 at 21:45

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新自由主義は魔法の杖ではない

小倉氏が新自由主義の例を語る時、経済破綻した途上国への導入例ばかりあげています。チリは例外ですが、アルゼンチンやほかの国は、IMF主導(融資と再建案の抱き合わせ)で始まる事が多いようです。IMFの再建案はなぜ、新自由主義的な経済政策のかたちをとるのでしょうか。分かり易くする為に、国を企業に置き換えて考えて見ましょう。

倒産しそうな工場へ融資する事を例として考えてみましょう。融資は返してもらう事が前提です。倒産しそうな工場にはかならず問題がありますから、問題を解決しなければ経営再建はできません。製造の問題、営業やマーケティングの問題、経営の問題などです。将来的には、売れる商品を、良い品質で、儲かる値段で製造し、営業力を強化すれば工場を立ち直らせる事ができるでしょう。しかしまずは、大きな経費削減を行い、月次の赤字を縮小させないと、融資したお金がすぐに底をついてしまいます。経費削減は、経営者の報酬カットだけではありません。無慈悲に見えるでしょうが、社員の賃金や手当てのカット、社宅を売りに出し、社員数を最小限まで減らす事も含まれるでしょう。最初の期間は痛みばかりが目立つでしょう。痛みの時をやりすごして、改良された製品を売って、月次の利益が出るようになるまでは、何年も時間がかかるかもしれません。ですから経営者の手腕次第で、最後に成功する場合もあるし、途中で挫折して倒産してしまう場合もあります。つまり融資を得られたとしても、経営再建とは成功された約束の道ではありません。会社再建が大変な事は、経営の経験があればお分りの事と思います。

社会基盤も産業基盤もない途上国の場合も良く似ています。IMFは融資したお金をあげる訳にはゆきません。かならず返してもらう為には、合理的な再建案に則り、きびしい再建管理者になる必要があります。ここで言う合理的な再建案とは、予算削減して赤字を減らす事と、長期的に経済成長をもたらず為の合理的戦略であるところの、新自由主義的経済政策です。これは、倒産しそうな会社へ銀行が再建の為の融資を行うのと基本的に同じ戦略だと思います。

ところで経済破綻した途上国がIMFの融資を受け入れる条件は、先にも述べた予算削減です。どんなに厳しい財政状況であっても、IMFは、さらに厳しい予算削減を要求するので、社会保障費や教育費が削られる事もあるでしょう。産業道路や空港や港湾を整備するだけでなく、輸出入規制や産業規制を取り除いて外資導入を促進し、輸出産業の振興を迫るでしょう。社会構造が一気に変わり始めるので、最初の期間は失業者が大量に出て、経済格差が広がるでしょう。しかし、新しい産業構造が根付き、地元資本の輸出産業が拡大すれば、失業率が減るだけでなく、所得も増えて行き、最終的には多くの国民の生活が改善され、税収アップによる社会福祉予算を増やす原資もできます。税収アップで国の歳入が増えれば、いづれは国の国の借金も返済完了できるでしょう。

上記の説明をご理解頂ければ、新自由主義的な経済政策が魔法の杖でない事がお分り頂けると思います。池田氏がアゴラで述べていますが、新自由主義的な政策は経済成長する為の合理的な手段であって、それを運用する政府に十分な能力が無いとか、経済改革を途中で放棄すれば、借金と痛みの記憶しか残りません。

逆に、国を賢く経営し、国民の改革の意思を維持し、自身の結果やまわりの状況を見ながら逐次改善を加えて経済改革を継続すれば、最後には経済が発展して、国も国民の生活も豊かになる可能性は高いのではないかと思われます。

2 comments - What do you think?  Posted by bobby - 2009/02/17 at 12:51

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アルゼンチンの癌は通貨危機以降の固定相場制だった

小倉氏は新自由主義の失敗例を探す事に熱中するあまり、同様の戦術ミスを繰り返しているようです。先の記事では、チリのピノチェトの虐殺や失業増大と新自由主義を結びつけようとしましたが、この記事で明らかにしたように、新自由主義的政策は、結局は経済を復興させた事を明らかにしました。

小倉氏はこの記事で、「お隣のアルゼンチンも,新自由主義的な経済政策を取り入れたばかりに,経済,社会がぼろぼろになってしまったのです」と述べていますが、この認識も間違いのようです。wikiのアルゼンチンによれば「新自由主義的政策」が導入される直前の1988年にはハイパーインフレによって「富裕層の没落、中産階級の海外脱出が続くなど経済は混迷の度を深め」ていたようですから、そもそも経済ぼろぼろであった国が、新自由主義的政策により経済危機の余波で沈む1999年まで、経済は一旦は立ち直ったのでした。

こちらの記事によれば、アルゼンチンは1960年代以降、ペロン政権のポピュリズム政策によって経済混迷を極め、1988年に経済はどん底にありました。1989年に就任したカルロス・メネム大統領が、冷戦終結という時代の区切り目に「新自由主義的政策」とペソの為替相場を1ドル=1ペソにする為替相場固定化の導入によって経済拡大を図り、「90年代前半には年率8%近い高度経済成長」となって、模範的な経済体制だと言われるようになりました。

ところがアジア通貨危機が1999年に南米に飛び火し、ヘッジファンドがブラジルの為替制度(1ドル=1レアルのペッグ制為替制度)を襲いました。通貨危機の後、「アルゼンチンのペソは無傷で、危機に強いことが証明されたが、問題はその後に起こった。ブラジルもアルゼンチンも、輸出を増やして経済発展することを目指しているが、ブラジルのレアルが大幅に切り下げられたため、ドルで換算したブラジル製品の価格がかなり下がり、その分アルゼンチン製品の方が割高になった。通貨切り下げの後、ブラジル経済は立ち直り始めたが、アルゼンチンは逆に不況」になりました。

再びwikiのアルゼンチンによれば「このようにペロン政権以来、一貫した経済政策が採られなかったツケが周り、2002年には経済が破綻してしまったものの、2002年に変動相場制を導入してから輸出が拡大し、着実に持ち直しつつある」とあります。つまり通貨危機から先に経済が回復したブラジルと、その後更に経済のどん底を見たアルゼンチンの明暗境界線は、「新自由主義的政策」ではなくて通貨制度の差であった可能性が高いようです。

小倉氏はもしかしたら、新自由主義的政策ゆえに固定相場制は必須であったと、両者の強い関係を突こうとするかもしれませんので、あらかじめ両者の関係について調べてみました。1973年以降、先進各国は変動相場制へ移行していますし、南米で先に(ラディカルな)新自由主義的政策を開始したチリでも固定相場制はとっていませんでした。つまり固定相場制と新自由主義的政策に直接の因果関係はいようです。先に引用したこちらの記事によれば、「特にアメリカの投資家が、為替変動のリスクを気にせず、米国内の企業などに投資するのと同じように、安心してアルゼンチンに投資できるようになった」とありますから、主に米国の都合が強く影響したようです。

2 comments - What do you think?  Posted by bobby - 2009/02/16 at 16:03

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資本家が先か労働者が先か

国敗れて山河ありといいます。日本政府がなくなってもそこには依然として日本列島の山河があり、そこに住む人は残っています。ところで、企業がなくなったら、労働者は労働者でい続ける事ができるのでしょうか。

鶏が先か卵が先か、という話しがありますが、資本家と労働者はどちらが先なのでしょうか。小倉氏のメシの種は著作権のようですが、企業がなくなったら弁護士は何を保護すればよいのでしょうか。小倉氏はしきりに労働者の権利を擁護し、企業を目の仇にしておられるようですが、企業がなくなったら労働者はどのようにして賃金を得る事ができるのでしょうか。法律事務所も企業の形態のひとつなのではないですか?

もしも労働者が企業をしゃぶりつくしてしまったら、生存権を盾にして労働者の衣食住を税金で保障せよとでも言うのでしょうか。このような考え方は合理的と言えるのでしょうか。

16 comments - What do you think?  Posted by bobby - 2009/02/15 at 13:54

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新自由主義は結果としてチリに成功をもたらした

1970年代のチリは、国有化された銅山の富が国を養っているような状態だったのではないでしょうか。当時は輸出の70%をが銅が占めており、それ以外にはワインやアンチョビなど、第一次産業しか産業がなかった。そのような後進国で過激な経済自由化政策を行えば、小倉氏が指摘したような悲惨な状況が発生するのは(結果としてみれば)当然かもしれません。

wikiでチリの情報(チリ革命から最近までの歴史と産業欄)をざっと読めば、1970年代のチリにおける新自由主義政策の「一時的な失敗」は、新自由主義そのものにあったのではなく、当時の産業があまりに未熟であった事が理由な事は明らかです。

このような特殊な例をもって、池田氏に「新自由主義的」というレッテル張りを行えば、悪意ある攻撃と受け止められるのは当然かと思いますので、小倉氏は注意された方が良いのではないでしょうか。

「一時的な失敗」という表現に小倉氏が突っ込むかもしれないので、予め補足しておきますが、1970年代にシカゴボーイズがはじめた新自由主義的な政策は、後任の大統領により修正されながらも継承され、輸出額に占める銅以外の製品の割合が60%まで増加し、あと少しでOECDへ加盟するまでに経済が成長しました。新自由主義的な政策は、チリにおいてそれなりの結果を出した事は明らかです。悪人や腐敗は日本を含めてどこにでもありますが、wikiによればチリは、「世界の「透明度」の高い国の上位30ヶ国以内に過去10年間連続してランク付けされている」そうです。一部の悪人をもってその国の政策全体に「悪と腐敗」のレッテルを貼るのは無意味なだけではなく有害です。

そろそろ横道から本道へ戻りませんか。私たちの議論は、今とこれからの日本をどうするか、という事ではなかったでしょうか。今の日本には世界有数の民主的な政府と産業と福祉と資金という要素が揃っています。ピノチェトのチリとは違うのです。

補足1:

上記の記事は、経済の話しをしているのであって、いかなる意味でもピノチェトの圧制を肯定するものではありません。その点、誤解の無いようにお願いします。

Be the first to comment - What do you think?  Posted by bobby - at 13:00

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雇用の流動化は社会全体の人件費を下げるか

解雇規制を緩めて、雇用の流動化を促進させる政策を取ったとしたら、実際にはどのような事が起こるのでしょうか。小倉氏は「消費の原資が減少するので、当該社会に属する消費者は商品やサービスを購入しなくなる」と述べていますが、どうなのでしょうか。私の香港・フィリピンでの経験をもとにして考えてみました。

まず、解雇規制を緩めると、全員が派遣社員になって賃金が派遣並みに下がるというのは被害妄想です。企業の労働は、いつでも取替えが効く単純労働より、習熟を要する職種の方が多いので、全員を派遣労働者にするのは不可能です。更に、不況時の人員調整という合理的な理由で解雇できるとなれば、派遣会社へ余分な費用を払う事自体が大きな無駄になります。つまり長期的に必要とされる職種のフルタイム労働者は基本的に全員が正社員になるであろうと思われます。

次に、雇用の流動性について考えて見ます。その為には、企業(経営者)が雇用したり人員調整する理由を考える必要があります。企業を株主の違いで分類すると、株式市場へ上場している企業と、非上場(上場していない)企業に分類できます。私の個人的な意見ですが、上場企業と非上場企業では、解雇規制が緩和された場合の状況が異なると考えます。

上場企業の株主は一般に、株式市場で株を購入した投資家です。企業が上場する理由は、より多くの事業資金を株式市場から獲得して、事業を拡張する事です。経営者はその為に株主に対して、集めたお金でより多くの利益を得て、それを(配当または株価の上昇で)株主へ利益を返す義務を負っています。需要が増大する好況時には、集めた資本金を投入して設備投資や事業拡大(大量雇用)を行い、より多くの利益を得る努力をする義務を(株主に対して)負っています。需要が減る不況時には生産調整や事業縮小(大量解雇)して経費削減し赤字の減少に勤める義務を(株主に対して)負っています。また、上場する事ができた企業は、それ以外の企業にくらべて高い付加価値を生み出している事が多いので、賃金水準も高いと言えます。つまり、上場企業で働く事は社会的ステータスが高く、賃金水準が(付加価値労働生産性に応じて)高い反面、不況時に大量解雇されるリスクが高いといえます。

非上場企業の株主は、経営者自身や親族である事が多いので、上場企業のように短期間で株主へ利益を返す要求はかならずしも強くありません。むしろ家業のように、事業を行う事自体が企業存続の目的となっているような会社も多いのではないかと思います。非上場の企業は、一般に小資本であり、銀行から事業資金のファイナンスを得る能力も弱いので、大きな設備投資力がありません。つまり好況時と不況時の生産設備能力の振幅がすくないので、不況時の解雇も大きくありません。また新入社員の教育もシステマティックに行う事ができないので、教育された既存労働者を比較的大切にします。もうひとつ、非上場企業の中でも圧倒的に多くの小・零細企業(経営者が全従業員の顔を憶えられるくらいの規模)では、経営者と解雇する労働者との個人的な人間関係が構築されるので、日本の経営者は心理的に解雇しにくいという事情もあります。つまり非上場企業で働く事は、社会的ステータスは低く、賃金は比較的低いのですが、大企業よりも解雇リスクが低く長期的雇用関係を築きやすいと言えます。

上場企業と非上場企業で働く労働者数の比率は20%:80%くらいでしょうか。解雇規制が緩められても、労働市場の圧倒的多数占める非上場の小・零細企業では、人員調整の為に解雇する事態は少ないであろうと考えます。

Be the first to comment - What do you think?  Posted by bobby - at 00:00

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ピノチェト=新自由主義ではありませんよ

小倉氏はこの記事で、チリのピノチェト政権下での圧制と経済政策を結び付けて、池田氏木村氏の主張する意見を批判しておられるようですが、虐殺はピノチェトの責任であって新自由主義的政策そのものの責任ではありません。明らかに批判する対象を間違われているようです。

また、ピノチェト退陣後について、「その後,チリ経済は,フリードマンの弟子たちを追い出し,最低賃金制度と労働組合の団体交渉権を復活させ,銀行等の再国有化を果たすことで,回復していきました」と、あたかも新政権が新自由主義を捨て去る事で経済を回復させたように述べていますが、wikiによれば、「1990年に就任したエイルウィンの政策は基本的には軍政期からの新自由主義を継承するものであったが、市場原理主義の修正を図り、軍政期に拡大した所得格差や貧困問題解決への取り組みも進んだ。」とありますので、小倉氏の誤解のようです。

ウェブを検索すると、ピノチェトとシカゴボーイズ関連の記事は沢山見つかりますが、ピノチェト以降のチリと新自由主義政策についての記事を探すのはちょっと時間がかかります。あまり興味の対象にならないのかもしれません。現在のチリはどうなっているかというと、wikiによれば「、ラテンアメリカで最も工業化された国の一つであり、域内ではアルゼンチン、ブラジル、メキシコとともに中進国であり、2007年からOECD加盟に向けて交渉が進んでいる。」とあります。

小倉氏の示したこの記事の著者であるジャーナリストのGreg Palast氏は、チリの成功について口汚く罵っている(翻訳のせいか?)ようですが、彼の書いたいくつかの代表的な記事の内容をwikiで見ると、政府や大企業に対してかなり負のバイアスが入っているように思われます。チリの新自由主義的な経済政策や教育政策は、いろいろな問題はあるとしても、着実に実績を積み上げており、多くの市民に支持されているようです。

Be the first to comment - What do you think?  Posted by bobby - 2009/02/14 at 18:01

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労働生産性に見合った所得を望む人は多い

小倉氏は「労働生産性に等しい所得を得ることが公正だと思う人はいないのではないかという気がします」と否定的に述べられていますが、青色発光ダイオードの中村修二氏をはじめとする研究開発従事者、それに会社へ直接の収入をもたらす営業担当者の多くは、(それが正しいかどうかは別として)労働生産性に等しい所得を希望しているのではないでしょうか。

小倉氏が否定する理由は、ほとんどの単純労働者の賃金が、その労働生産性に見合っていない事実が背景にあるからだと思われます。しかし企業が存続する為には、労働生産性(付加価値)の総和が人件費を含む販売経費を上回らなければなりません。存続している企業の中では、労働生産性が賃金を大きく上回っている人も多くという事です。その事実から導き出される単純化された結論は、単純労働者は(逆差別により)高付加価値労働者の賃金を搾取しているという事です。この結論が正しいかどうかは別として、一口の労働者といっても、いろいろな立場や価値観があるという事です。

ところで、池田氏の記事にかみついたり、私のとんでもアイデアを「1万円ワーカー」とこき下ろす前に、どうしたら経済が良くなるか、小倉氏なりのアイデアを示されては如何でしょうか。ネガティブな記事は読者を集める事は出来ても、建設的な議論はできません。

ちなみに、小倉氏がリンク先の元記事で述べている労働生産性についてですが、「サービス産業において、従業員の給与水準が引き下げられたとしても、労働生産性は向上しません。」とありますが、サービス提供価格が同じなら、付加価値労働生産性は上昇すると思われます。

*経済学素人ですので、学問的な理解が間違っている場合には(あまり刺激的でない表現で)ご指摘頂ければ幸いです。

Be the first to comment - What do you think?  Posted by bobby - 2009/02/13 at 15:33

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地球温暖化というエセ科学

生物における進化の話しの多くは、単細胞のバクテリアから(生物進化の頂点である精神と知性を備えた)人類までの種の進化(こちらこちらの図を参照されたし)を前提として進められます。しかしながら統計的手法で生物進化を観測するとすれば、いつの時代にも計算の分母に来る圧倒的最大数の生物はバクテリアなど単細胞生物であり、人類もげっ歯類も甲殻類も魚類も、種の数で比較しても個体数で比較しても、単細胞生物の前には微々たるパーセンテージにすぎません。つまり地球生物の進化を語るならば、代表選手である単細胞生物の進化を語るべきであって、人間などは生物種の中の外辺部のそのまた一部にすぎないという事です。(先に示した図は、生物進化としてではなく、人類が誕生した歴史としては意味があるでしょう。)

多くの人間は、自分の属するグループを過大評価するバイアスがあります。固定観念を前提に観察対象を見る事で、短期的あるいは局部的な変異を、全体のトレンドと勘違いしてしまう傾向があるようです。スティーブン・ジェイ・グールドは著書のフルハウス(生命の全容)で以下のように語っています。

「明白に見えるトレンドでも、どこかに向かってまっしぐらに動いているせいではなく、システム内の変異の総量が拡大したり縮小したりする副産物か副作用によって、一見明白なトレンドが起生する事もある。」

この事は他の多くの科学的事象にも適用できると思われます。たとえば現在騒がれている地球温暖化がよい例です。地球の歴史は46億年ですが、大気中の炭素増加と地球温暖化に相関関係がみられるのは直近のたった数百年に過ぎません。この状況だけを見て、すべての責任を人類由来の炭素のせいにするのは、グールド氏の言う「エセ科学」としか言いようがありません。
海面上層について言うのであれば、そもそも現在の海面を基準にする事が間違いのもとではないでしょうか。直近の数百万年の歴史でも、海面高度はかなりの範囲で変動しているようです。大氷河期には日本列島と大陸は陸続きになっていたようですし、温暖期のピークにはいまより5メートルから10メートルくらい上昇していたようです。

直近のIPCレポートが予想した海面上昇は100年先で20センチですね。しかも池田氏のこの記事によれば、これからしばらくは寒冷化(IPCCレポートでは言及されていない)が続くと予想され、100年後の海面上昇はさらに少なくなる可能性が極めて高いでしょう。

エセ科学による間違った政策により、莫大なお金が長期間に渡って浪費される事は、まったく無駄という他に言葉が見つかりません。人類の為というのであれば、このようなお金は、もっと優先順位の高い課題(アフリカ、アジア、南米における飢餓、貧困、疫病の改善)へ投入されるべきです。もし人々が本当に環境に気を使うのならば、いますぐエコ製品を買うのを止めて、いまある家電製品を節約しながら可能なかぎり長く使い続けるべきです。あなたは節約の「うたい文句」に騙されて、新エコ製品に買い換える事で、はるかに多くにエネルギー(新製品を製造し、あなたの家へ移動させ、古い製品を廃棄するエネルギー総量は、新製品が節約するエネルギー総量よりはるかに多い)を無駄にしているのです。

3 comments - What do you think?  Posted by bobby - at 14:34

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家計も企業も強いリスク回避傾向を改革すべし

小倉氏が述べた「1株あたりの純資産額を高めることは、株式の客観的価値を高めること」は低リスクが求められる業界や財務状況の悪い企業が株価を高める為には有効です。しかしながら、それ以外の健全な財務状況の企業にとって、余剰金を溜め込む事は経営資源の無駄であり、非効率な経営と言えます。

多くの上場企業の株主は、手元のまとまった余剰資金を(オペレーションに必要なキャッシュフローは除いて)できるかぎり(設備投資や企業買収などの事業拡張へ)投資して、将来に得られる利益をより大きなものにする事を望む傾向が強いようです。また、このように効率的な余剰金の活用の期待感によって、近い将来の株価は上昇し得ますし、その投資が実を結ぶ事によって株価は更に上昇します。

池田氏が述べた日本最大の構造問題は、家計だけでなく企業にもいえる事ではないでしょうか。企業が現金の内部留保を溜め込むのは、将来のリスクを軽減する為であり、それは家計が現金・貯金を溜め込んで株や投信の比重が低いのと同様の心理的な構造問題です。社会的責任や終身雇用慣行を肯定してきた経営者達が、なりふり構わぬ生産調整・人員調整を行っているのも、同じ理由によって、未知の金融危機への恐れから生じるリスク回避行動と理解し得えます。

更に言えば、日本の大手企業がグローバル戦略を優先し、積極的に内需喚起への投資を行ってこなかったのも同様のリスク回避行動といえるのではないでしょうか。

家計も企業も、リスクに対する嫌悪まはた強い恐れを乗り越えて、みずからリスクを取って内需拡大の為に投資するべきではないでしょうか。最終的には、自分自身の利益となって帰ってくるのですから。

5 comments - What do you think?  Posted by bobby - 2009/02/08 at 13:22

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企業はリスクを負って内需拡大の為に投資すべき

池田氏によれば、日本人の家計がローリスク・ローリターンの現金・銀行預金に大きく偏っており、結果として内需拡大を阻害している。最大の構造改革は、積極的にリスクを取った投資を行うようにする事だ、と述べています。この傾向は家計だけでなく、大企業の経営者にも言える事のようです。

今日の朝日新聞(ネット版)によると、ロームが福岡県の子会社を清算して正社員100人を解雇する。パイオニアは薄型テレビから撤退しテレビ事業部を大幅縮小するので数千人規模の正社員が解雇されるとの見込みです。

「社会的責任」を重んじてきた大企業経営者が、なりふり構わず生産調整と人員調整を強行している理由も、日本人が深層にもつ「冒険を恐れる心」から来るリスク回避衝動が、未経験の金融危機に対して過剰反応を起こし、オーバーシュートを起こしているではないでしょうか。

日本企業がリスクを恐れる傾向は、欧米企業に比べて、現金の内部留保をより多く溜め込もうする傾向を見ても明らかです。上場企業は本来、社内の現金はできるかぎり投資へ回して、より多くの利益を得る為に働かせようとします。ゆえに大量の内部留保は、株主から「経営者の職務怠慢」と非難されかねません。

米国が世界の消費マーケットとしての役割を終えようとしている現在、とくに日本の輸出型企業に求められるのは、内需部門の比率を大幅に増す事である。企業が自らが成長する為にも、リスクを負って、輸出に頼らない国内市場を構築するように努力すべきだ。

1 comment - What do you think?  Posted by bobby - at 12:04

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構造改革による内需拡大と雇用創出

ローリスク・ローリターンは今の日本人の国民性でしょうか。池田氏のこの記事によれば、家計ポートフォリオの国別比較で、日本の家計資産の50.4%は現金・貯金だそうです。日本人に必要な「最大の構造改革」は、株や投信など、もっとリスクを取った資産運用をする事だと述べています。私も同感です。それに対して、小倉氏はお決まりの一段論法で、「多くの投資信託の運用実績がマイナスである現在、預金を株式・投資信託に切り替えた家計がもっと多かったら内需はもっと落ち込んでいたのではないかという気がしなくもありません」と述べています。これは完全な論点のすり替えです。池田氏は、不景気の今こそ投信を買えと言っているのではなく、投資マネーが内需を拡大していれば、そもそも日本はずっと以前に「家計が実感できる」好景気になっており、今回の不況にあっても輸出企業がこけたら全国的な不況になるような事はなかったと言っているのではないかと思います。

まず小倉氏の「株や投信に切り替えたら内需がもっと落ち込む」という理屈について考えて見ましょう。下記の図を見てください。これが日本の現在の状況かと思います。株式市場が盛り上がっても、儲かっている企業は輸出型企業がほとんどですので、投資マネーはそこへ集中されます。しかしながら輸出型企業は、研究開発費を除くと、(高賃金の労働者と解雇規制などの為に)設備投資は新興国などへ行います。結果として内需は拡大されず、雇用も賃金も(輸出型企業以外に)増えず、それ以外の業種で働いている労働者の家庭では、好景気を実感する事ができません。

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ところがもし、輸出型企業以外の業種で、国内に儲かっている企業が多ければ、投資マネーはそういう国内企業へも分散されます。その結果、国内マネーは内需型企業へ再投資され、株式投資が内需をより拡大し、雇用を創設し、さらに外国の投資マネーを呼び込む事もできるようになります。それを表したのが下記の図です。

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このようにもうかっている内需型企業が多ければ、家計から株や投信へ貯蓄がシフトする事で、内需が拡大し、失業者が減り、賃金が上がる人が増えて、家計収入が増えるだけでなく、財産も増えるのです。

ところで下記は、家計あるいは企業の投資家が投資を行うに際して、リスクとリターンの関係を簡単な図にしてみました。リスクが大きくなる程、リターンも大きいくなります。図中で、もっともリスクとリターンが大きいのは起業家への直接投資です。極端な例ですが、アップルを創設した2人のジョブズに直接出資していれば、ものすごい大金持ちになっていたでしょう。ソフトバンクの孫氏は、初期のヤフーに直接出資する事で、上場後に非常に大きな富を得て、彼の事業拡大の弾みとしました。

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ここで、香港の例をご紹介します。香港人は非常に合理的なので、働いている会社の収益が自分の能力に依存していると思えば、どんどん独立して起業します。成功するか否かは別にして、会社を興すと社員が必要になりますので、経験者が募集され、いろいろな年齢層において雇用が創出されます。それだけでなく、会社を興すと事務所を借り、内装業者を雇い、机や椅子を揃え...と様々な出費が発生し、それが直接に内需を喚起します。また、これらの会社のいくつかは成功して、経済繁栄と雇用創出に貢献します。

日本人と香港人の環境は異なりますので、同じ事ができるとは思いません。しかしながら日本でも、企業内労働者であって、独立志向の強い人は少なくないでしょう。しかし日本では、事務所ひとつ借りるにも何百万円という金額が必要であり、なかなか個人の貯金だけで会社を興す事は難しいのが現状です。企業も、新しい取引との取引は消極的です。閉鎖的なこの状況を構造改革して、個人の起業と営業を容易にし、下記図のように企業の新陳代謝が高めると、内需が拡大され、雇用が創出され、結果として雇用の流動性も高まります。

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このような新規の起業や、異業種からの参入を集中的に起す効率の良い内需拡大について、2つの例を考えて見ます。まずは下記の図に示す、規制緩和による内需と雇用の創出についてです。たとえば通信・放送業界で、インターネットによる全国的なテレビ放送を解禁し、簡単な申請で事業を起せるようにしたとします。テレビ番組の作成は、実際にはテレビ局ではなく下請け製作会社が非常に低い値段で作成しています。インターネット放送は通信インフラ費用と設備投資が非常に少ないので、数百万円から数千万円もあれば、オリジナルの番組を制作して放送する会社を始める事ができると思われます。すると、異業種からの参入や、自分で起業して参入する会社が増えて、電波主体の既存放送局とインターネットオンリーの放送局が競争し、視聴者を多く集めた会社が生き残る事になるでしょう。倒産する既存放送局が出れば、経験値の高い人材が放出されて業界内でシャッフルされ、発展が加速します。このようにして放送業界は電波主体から電波放送、インターネット放送、混合放送などへ発展し、新しい内需型産業へと発展してゆく事ができると思われます。

structural-reform-of-japan-3.jpg

もう一つの例は、建築業界など斜陽産業(しかしニーズはある)における既存の大手企業へ政策的な支援を止めて、自力で生き残れない企業はつぶれるに任せます。寿命を迎えた企業をむりやり延命しても、昔のような元気を取り戻すのは難しい。すると当然、倒産する大手企業が出てきます。そこから生まれた空白の市場へ、既存企業や隣接業種からの参入組みや、新規に起業して参入する会社が集まって、市場を奪い合う競争が生まれます。その結果、新興企業や零細企業が大きく発展する機会が生まれ、そこに雇用機会が広がり、元気のなかった業界に元気な企業が生まれて経済と雇用を牽引できる可能性が高まります。

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日本人の(ローリスク志向)精神に対する構造改革、規制緩和による構造改革、そして企業の新陳代謝を促す構造改革を行って、内需を拡大し、雇用を創出し、更に海外からの投資マネーまで呼び込んで、全体のパイを広げて、企業と労働者の収入が共に増すしくみが必要とされています。

2 comments - What do you think?  Posted by bobby - 2009/02/07 at 16:06

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小倉氏に必要とされる構造改革

池田氏はこれこの記事で、日本や新興国の過剰貯蓄が世界を不安定にすると述べています。つまり、「世界のGDPの2%にのぼる日本や新興国などの過剰貯蓄が行き場を失い、新たなバブルを引き起こすリスクも大きい。特に日本は、国内で投資機会を増やさないかぎり、長期衰退は避けられない」そうです。

小倉氏がこの記事で指摘するThe Economistの記事の引用部分は、「庶民にさらなる北風を吹き付けるような構造改革ではなく、セーフティネットを張り巡らせて庶民の不安を安らげる構造改革だ」と述べられていますが、これは小倉氏の誤解であって、The Economist記事の意図は、日本を含めてアジアの国が、自国内で貯蓄の投資対象や消費対象を生み出すように社会構造を変革し、世界的バブルの燃料とならないようにすべきだ、という事ではないかと推測します。

また、「人件費を削減することで生じた内部留保」は間違いで、蓄積された利益は円高差益とアジア工場からの利益によるものであり、国内の低賃金派遣労働者によるものではありません。木村氏もこちらで述べているように、搾取論からの議論展開は何も生み出しません。小倉氏もそろそろ「脳内構造改革」して、建設的な議論ができるように戦術転換された方が良いと思います。

最後に、ベーシックインカム論をベースにした1万円ワーカーの記事は、グローバリゼーションの世の中で日本が世界の製造工場として生き残る為にどうすれば良いか、という派生的な思考実験記事です。現実の雇用流動化の問題の議論とは別筋のものです。意図的なラベル張りを行って読者を誤解させようとしているのでもない限り、記事の引用は正確に行わないと、小倉氏の識別能力が疑われる事になると思われます。

Be the first to comment - What do you think?  Posted by bobby - 2009/02/06 at 10:37

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派遣切りはサブプライムローン問題が原因ではない

派遣切りを非難する人の中には、米国の不動産バブルやサブプライムローン証券(CDO)の破綻が原因だから日本の労働者は無関係だと述べている意見をしばしば見かける。しかしリーマンの買収を行った野村證券を始め、日本の金融機関は、CDO証券による被害が軽微だった事を覚えているだろう。

日本の今の不況は、サブプライムローン問題と相関関係はあるが、直接の原因はそれではなくて極端な円高である。まず、なぜ直接関係しないかを示すので下記図を見て欲しい。

why-japan-economy-going-down-2009-02-08.jpg

国内で輸出関連企業による大規模派遣切りの原因は、現地生産の進んでいる自動車産業を別にすると、急速な円高が業績悪化の原因である事がわかる。 また、円高の原因は池田氏のこの記事によれば円キャリーの巻き戻しによるものであるが、そもそも輸出関連企業が繁栄したこの期間の円安が、米国不動産バブルが原因であるから、それが元に戻っただけだとも言えるのである。故に、この円高も米国に文句を言う筋合いとはいえない。
次に、急速な円高の状況を、下記のドル円為替グラフで示す。

usd-vs-jpy-5yr-graph-2009-02-05.jpg

この5年間の対ドル為替レートは105円から115円であった。それが短期間のうちに20%以上も上昇した。例えばの話し、あるメーカーが単価US1ドル(ほんとうは115円)の商品を米国へ販売していたとする。急速な円高で、ドル建て単価を日本円へ換算すると売価が20%(25円)下落してしまった事になる。今時のグローバルビジネスでは、輸出販売価格に20%も利益を乗せられる(おいしい)商売はめったに無いので、メーカーとしてはドル建ての販売単価を10数%から20%値上げせざるを得ない。しかし米国のバイヤーも、景気の悪いこの時期に20%もの値上げ要求をのむ筈が無い。結果として日本や中国からの輸出商売はとまってしまったのである。

これまでの話しを要約すると、日本の派遣切りは米国サブプライムローン問題とは直接関係がなく、急速に進んだ円高によりドル建ての販売価格を維持する事ができず、かといって米国バイヤーも値上げをのむ事ができず、その結果、国内からの輸出商売が止まり、注文が激減したので工場の生産調整の煽りを食って派遣社員などの非正規労働者が大量解雇されたのである。

これを輸出型企業のせいにするのは酷である。国内の不動産バブル崩壊から立ち直った後の「かげろう景気」を牽引してきたのは、誰あろう輸出関連企業だったからである。もしあえて悪者を探すとすれば、国内需要の創生を怠った政府であろう。

追伸:文中の図に理論的な問題があればコメント欄でご指摘ください。

2 comments - What do you think?  Posted by bobby - at 00:45

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香港の自由経済は150年の実績がある

小倉氏が指摘されたジニ係数ランキング表を見ると、香港はワースト16です。香港の上下には、高インフレや社会不安が蔓延するアフリカや南米諸国の名前が連なっています。

労働者が勤労意欲を失うのは何故でしょうか。南米やアフリカの多くの社会では、先に金持ちになった人達(先行者)が、政府に働きかけていろいろな規制を設け、経済格差を固定化しようとします。どんなに頑張っても貧困から抜け出せないと思えば、労働者は将来に絶望し、日々を無気力に生きるようになります。これは南米やアフリカ諸国だけの話しではありません。昔の社会主義諸国は、搾取する富豪や資本家はいなくても、共産党か軍で出世する以外に夢の無い社会であり、それゆえ労働者の勤労意欲は最低でした。そこで結論を言うと、貧困や所得格差は、勤労意欲を低下させる直接の原因ではありません。どこの国のどんな社会体制のもとであろうと、どのような経済状態であろうと、社会層が固定され、労働が夢につながらない社会には希望が無く、それゆえ労働意欲を喪失するのです。

さて、香港はどうなのでしょうか。香港はイギリス統治領であった頃から現在まで、規制の少ない自由経済政策を150年近くも続けてきました。その自由経済の下で成功した金持ちは、宗主国から来た英国の貴族や資本家ばかりではありません。香港の富豪の多くは、身一つで、大陸から戦争や革命を逃れてきた大陸系香港人です。香港には今でも成功の夢が残っています。だから香港は、世界有数の所得格差があるにもかかわらず、人々は勤労意欲を失わず、元気に働き続ける事ができるのです。

2 comments - What do you think?  Posted by bobby - 2009/02/05 at 20:49

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