Archive for January, 2009

もっと広い視野で世界を見てみよう

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小倉氏がこの記事で指摘される雇用の流動性の高い社会においては、製造業は景気の良し悪し応じて工員の増減を行います。その具体的な例を、広東省東莞市にある日系企業にも見る事ができます。昨年の北京オリンピック前までは、東莞では工場間で行員を奪い合い、良質の工員は慢性的に不足し、給料は最低賃金よりかなり上昇し、工員の離職率は年間で(工場により)30%から60%もありました。そもそも外資工場の大量誘致は、中国政府が人民を富ませる為の政策ですから、企業努力には限界があります。しかし中国は21世紀の大きな市場でもあるので、大企業は撤退もできません。その為に生産拠点を分散し、人件費がより低いベトナムへも工場進出する事で、企業はリスクヘッジを行い、利益のバランスを取ろうとしています。現在のようなグローバリゼーションの発達した時代には、一国の国内のパラメタだけで決まらない物事は多いのです。

さて、この雇用と生産の問題を、土地も市場も狭い日本をベースにして、長期的に考えた場合はどうでしょうか。労働者は工場の工員という職に縛られる必要はありませんから、工員という職の相対的な価値が下がれば、大局的には、この職に流入する新人は減り、既存の工員も「業種間の転職」によって流出し、労働者は自己の利益を守ろうとするでしょう。企業は、人件費が低いアジアへ工場を移転する事で利益を守ろうとするでしょう。企業が一部の工場を国内に残す理由は「終身雇用」という慣習を守ろうとする為ですが、これは先に述べたように経済的に不合理であるので、企業の体力を消耗させます。

日本が数十年間も終身雇用を維持する事ができたのは、悪い言い方をすれば、米国人の過剰消費癖に付け込んで商品を大量に売り付ける事が出来たのと、グローバリゼーションの波に乗って途上国の工員を搾取する事が出来たので、輸出産業が右肩上がりの成長を維持してこれたからです。はっきり言えば日本の工員のほとんどは、20世紀の後半から今まで、アジアの工員を搾取する事で雇用を維持し、給料をもらってこれたのです。しかしながら日本企業が成長する事ができる有望な途上国市場はどんどん少なくなり、米国の過剰消費社会はいまや危機の淵にいます。世界市場での競争は激化し、日本企業の体力は日に日に失われています。もはや生産技術の進歩やアジア工場の人件費搾取だけでは、国内の終身雇用を維持する体力は限界に来ているのです。

米国が産業構造を転換して、多くの工員を別の業界へ誘導したように、日本の政府も新しい時代に適合した新しい産業を振興し、新卒者と既存の工員達を吸収する受け皿を生み出さなければなりません。池田氏が事ある毎に、放送業界や通信業界の時代遅れの技術と利権にしがみ付いた既得権者を攻撃し、規制撤廃と新規企業の参入を叫ぶのは、日本には雇用の受け皿になる新しい産業が必要だからです。いま既に始まっている「現状維持社会」で日本企業が淘汰されない為には、もはや終身雇用は企業の足枷でしかないのです。技術の進歩を利用して国内の産業構造を大きく転換をしない限り、輸出型企業が衰退すれば、日本の経済は間違いなく衰退し、「みんなが平等に貧しい」社会になる事は明らかでしょう。


Be the first to comment - What do you think?  Posted by bobby - 2009/01/30 at 12:27

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終身雇用が日本を駄目にする

池田氏がアゴラ記事でメディア企業について「要するに日本的雇用慣行のもとでは、専門知識を蓄積するインセンティブがなく、専門家を育てるシステムもない」と述べています。その事は、IT企業や会計士事務所など、専門技術に特化した企業を除く、ほぼ全ての大企業にもそのまま適用できる問題です。

大企業に入社した新入社員は、技術部門からキャリアを開始しても、部署全体が閉鎖されて全員が営業職へ配置転換されたり、やっと管理職になったと思ったら海外工場の総経理をさせられたり、日本に帰れば机がなくて総務部で冷や飯食わされたり、自分が次にどのような仕事をさせられるのか、本人にはまったくわかりません。中途採用の社員でも、2回目の人事異動からは、同じ条件になります。

日本の憲法22条で職業選択の自由が保障されていますが、日本の労働者はこのように、(面接する)会社を選ぶ権利はあっても、入社後の職種を選ぶ権利は事実上ありません。この問題の根本にあるのは終身雇用という慣習です。大企業は沢山の部署と大勢の社員を抱える一方で、不況時や部門閉鎖時の人員調整ができないので、専門分野で人を育てる事よりも、余剰人員の再活用の方が優先されてしまうのです。

大企業が終身雇用と配置転換を止めて、部門単位で職種別の採用と人員調整を行うように(行えるように)すれば、求職者は会社と職種の両方を(面接時に)同時に選択する事ができ、あとから不本意な職種へ異動させられる事もなくなります。企業側も部門毎に職種別の専門家を育てる事ができます。この方法において企業側が最もメリットを得られるのは、有能な専門化を得やすくなるという事です。

その中でも特に重要なのが経営者という職種です。経営者は専門知識と経験を有する、もっとも有能な専門職であるべきなのですが、日本では知識よりも経験、能力よりも人間性に重きが置かれているようです。本社の社長は別として、支社や工場長、それに海外法人の責任者は、経営の素人である中間管理職から選ばれる事が実に多いといえます。もう一つ、有能な専門職であるべき、(工場や事業所の)新規立ち上げ責任者に、これまたずぶの素人をあてる事が多いのです。新工場の企画立案や予算書作成、稼動開始までのプロジェクト管理は非常に専門的な業務です。また、せっかく貴重な経験を積ませた人材を、次の異動ではまったく関係無い部署へ送り、人材の大いなる浪費をしています。

もはや日本の大企業は、人材の浪費をしている余裕はありません。1日も早く部門別、職種別の採用と解雇調整が行えるように人事を改善し、社内で専門家を育て、役立てる体制を構築すべきです。

Be the first to comment - What do you think?  Posted by bobby - 2009/01/29 at 22:56

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失業予備軍への指南書

香港に住んでいても、日本のテレビがリアルタイムで見られる世の中です。日本の自宅に置いたスリングボックスと、遠く離れた香港パソコンをインターネットでつなぎ、パソコンとテレビをつなげば、日本のテレビを香港に家のテレビで見られるのです。グローバリゼーションが生きる世界が広げ、ネットがその世界を狭くしていると言えます。今週日曜から昨日まで、香港は春節(旧正月)休みで、ずっと家でごろ寝しながらテレビとビデオ三昧で過ごしていました。その間にも新たに解雇された非正規労働者のニュースを毎日のように報道されていました。

いま非正規労働者である人は、たとえまだ解雇通告を受け取っていなくても、以下の備えを行って、解雇通告を受け取った場合のダメージを最小限にする用意をしてください。
1)住民票の有無

現在居住している街に住民票を移していない人で、失職後もその街周辺で求職活動を行いたいと希望する場合には、すみやかに住民票を今すんでいる街へ移してください。

2)ハローワークカードの取得

こちらで説明しているように、都合をつけて最寄のハローワークへ行き、求職申請してハローワークカードをもらいます。 まだ失職していない人の登録理由は、「より良い仕事」を見つけて転職する事が(失職するまでは)当面の目的です。

3)安いアパートの確認

工場の寮を追い出された場合、すぐにアパートへ移れるように、不動産屋をまわって安い賃貸物件を探して目安をつけておくべきです。あなたの街周辺の賃貸住宅の相場や、入居に必要な初期費用も明確になります。 こちらから雇用促進住宅の空き室検索ができます。あなたの近くに空き室があれば、ぜひ転居の候補に加えてください。

4)貯蓄の確認

有る適度の貯蓄を持っている人は、定期があるなら解約し、すぐにつかえる普通口座へ移しておく事をお勧めします。また、もしも失職して会社の寮を追い出された場合を想定して、アパートへ入居した生活した場合、何日間・何週間・何ヶ月間生活できるかをエクセル表(*1)でシミュレーションしておく事を強くお勧めします。

5)失業保険申請の用意

あなたの雇用契約に失業保険が含まれている場合、どのような手順で、どこへ行けば申請と給付が受けられるか、最初に給付されるまで何日必要かを認識しておく事は大事です。 こちらにも簡単な手順があります。
6)生活保護申請の用意

貯蓄がほとんど無く、生命保険にも加入しておらず、生活を支援してくれる有力な親族もいない人は、生活保護の申請の用意をしておくべきです。生活保護は申請から承認まで2週間から1ヶ月くらいの期間が必要なようですから、少なくとも1ヶ月間の住居と生活費をいまからすぐに工面しておくべきかと思います。生活保護に関する詳細は、こちらをご覧下さい。
7)攻撃的求職活動

ここまでの用意が整ったあなたに必要なのは、人生に対するより積極的な態度です。攻撃は最大の防御と言いますが、仕事についても同じ事がいえます。より良い仕事を見つけようと思ったら、就業中のいまから転職活動を開始しましょう。企業の人事担当者は、失業者より現在勤め人の方により良い印象を持つのは事実です。ここからネットで求人情報検索できます。

8)ハローワークについての理解を深める

こちらはハローワークのインターネットサービスです。 ハローワークがどれだけあなたの役に立つか、いまのうちに良く理解しておく事はきっとあなたの為になるでしょう。

9)緊急用の臨時職を検討しよう

解雇された後アパートに入居し、すぐに転職先が見つからない人は、生活費を補填するための臨時の職を検討しましょう。具体的にはコンビニや飲食店のアルバイトです。 臨時職の検討場所は、あなたが住んでいる生活圏の中が良いと思います。時給と就業条件と給料日を確認して、臨時職を得た場合にどれだけ生活費の足しになるかを確認しておきましょう。

10)共同生活は個人の生活費を低減できる

昨今の人員整理は、一度に大量の労働者を解雇するようです。あなたが解雇される時は、あなたと同じ身分の同僚も同時に解雇される可能性が高いでしょう。日頃からあなたと相性が良く、金銭感覚や経済状況が似ている人(あるいはもっと良い人)を選び、もしも一緒に解雇された時には、共同生活のパートナーとして、アパートや生活費の経費を折半するような約束をしては如何でしょうか。 困難に立ち向かう時には、1人より2人での方が容易な場合が多いようです。(但し、あまり多いと仲間割れするので要注意)

11)最後に
人がパニックになり合理的な行動がとれなくなくなるのは、それが不測の事態だからです。今から失職にたいする備えがあれば、ある日突然に解雇通知を受けても、淡々とダメージコントロールプランに従って行動する事ができます。

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*1:生活シミュレーションで検討すべき生活費項目

【アパート入居時初期費用項目】 敷金、礼金、初月の家賃、布団一式(敷布団、掛け布団、まくら、毛布、シーツ、布団カバー、枕カバー)、炊飯器(米さえ炊ければ食費はかなり抑えられる)、テフロン小型鍋(インスタントやレトルト食品用)、テフロン小型フライパン(料理できる人は、自炊すれば更に食費を抑えられる)、缶切り(缶詰類は調理不要なおかず)、食器(何でも使える大型丼、マグカップ、広い皿、箸、スプーン)、タオル類(バスタオル、タオル)、石鹸、シャンプー、リンス、食器洗剤、歯ブラシ、歯磨き

【毎月の生活費用項目】  家賃、朝食代、昼食代、夕食代、電気代、ガス代、水道代、通勤の交通費、ネットカフェ代、予備費

Be the first to comment - What do you think?  Posted by bobby - at 12:20

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社会が活気に溢れ、底辺が最小限になるしくみを考えよう

明けない夜はありません。今の大不況もいつかは終わります。しかし途上国という経済発展の「のりしろ」もどんどん少なくなっている。これからは何十年も続く右肩上がりの発展は見込めません。年金問題にしろ雇用問題にしろ、日本企業の体質にしろ、循環する景気に対応できるように変革しなければならない。

小倉氏はこの記事で新自由主義が時代遅れだと言うけれども、健全な企業があるからこそ労働者の生活が守られるという事に異論はない筈です。景気が萎んで、必要な生産力が絞られる不況時には、企業が人員整理するのは合理的な行動です。不景気に失業者が増えるのは当然で、無職の失業者の生活を守るのは(個人の努力は必要だけれども)最後は政府の仕事です。

終身雇用の現在の制度は、必ずしも職業選択の自由が守られているとはいえない。特に大企業では、社員の職種や配置転換は人事が決めます。工学部の修士課程を出た研究職志望者が、不本意ながら営業にされる事も多々あります。営業職から総務に配置転換される事もある。「嫌なら転職すれば良い」という理屈は、小倉氏がこれまでずっと否定してきた事ですね。企業は雇用を守るかわりに、多くの労働者へ不本意な職種を押し付けている。終身雇用という慣習は、単に労働者の流動性を低めているだけでなく、雇用を守るという名のものとに、職業選択の自由を奪っているのです。雇用の流動性が高まり、企業が職種別の求人募集を行うようになれば、労働者は「嫌なら止める」という権利を行使する事もできるようになるのです。

池田氏が述べている事は、企業が発展する力を守るだけではありません。より多くの労働者の権利と福祉を改善する「しくみ」でもあります。小倉氏は「企業擁護=労働者搾取」という負のバイアスを捨て、冷静に考えてみるべきだと思います。

3 comments - What do you think?  Posted by bobby - 2009/01/28 at 12:59

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飲食業者はみんな過労死するのか

小倉氏は前の記事に対する反論記事で、「労働基準法を無視して長時間労働を強いていることが広く知られている飲食店チェーンの仕事」と非難し、「結局のところ、bobbyさんは、日本に居住する一般労働者に対し、「飢え死にするか、過労死するか、どちらかを選べ」と仰りたいのでしょう。」と決め付けています。小倉氏は飲食業に恨みでもあるのでしょうか。全国の飲食業で働いている人は何十万人もいると思われます。ブラックな例をひとつふたつ挙げて、「派遣切られた人が飲食業へ行くのは自殺行為」というのは如何なものでしょうか。

過労死110番によれば、過労死が発生する職種は学校、病院、事務職、店舗と広範囲に渡っているようで、飲食業が特に札付きの悪者という訳ではないようです。どんな業界にも労働基準法や労働安全衛生法など、法律を守らないブラックな企業はあるものです。小倉氏は飲食業界を攻撃されますが、この記事を読むと勤務医なんか地獄の職業ですね。金融関係のプログラマも月に150時間から200時間残業している人は多いようです。法曹界だって、この記事を読むと、過労死する人はいるようです。だから小倉氏は法曹界をブラックだと言われますか?

こうして見ると、世の中に「過労死」するかもしれない職業は頭脳労働から接客業や肉体労働まで多岐に渡っており、小倉氏の「飲食業は危険」という理論は成り立しません。派遣切りされた失職者がその日の食にも困るような時に、とりあえず飲食業で食いつなぐという理屈は依然として合理的であると思われます。

6 comments - What do you think?  Posted by bobby - at 00:02

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「選り好み」する前に自活して下さい

労働者がより良い会社、より良い職業を選びたいという気持ちは十分に理解できます。職種に好き嫌いがあるのは当然だし、仕事内容に興味が持てる事は楽しく働く上で重要だし、賃金が高い方がモチベーションも上がります。

しかしながら誰もがベストな職種や会社に入れる訳ではありません。良い職は多くの求職者と競合しますので、学歴、資格、能力、経歴、面接時の印象などの条件を比較し、会社にとってより好ましそうな人が選ばれるのは道理です。なかなか良い職につけないという事は、書類選考で落とされるのであれ、面接試験で落とされるのであれ、そのような条件において他の求職者より魅力に乏しいからに他なりません。

小倉氏はブログ記事で、「失業者の希望水準が高すぎる場合にはどこかで現実と折り合いを付けさせることは必要だと思いますが...飲食店チェーンの仕事とか,数ヶ月で雇い止めされることが分かっているお役所仕事等にまで飛びつかないということを非難しても始まらない」と述べられています。このような労働者が折り合いを付けるべきは、自分の生活ではないかと思いますが如何でしょうか。

飲食店の仕事がやけに低く見られているようですが、飲食店で働いている人は全国に沢山います。私のはじめての仕事も中華料理の皿洗いでした。手っ取り早く始められて、すぐに仕事を覚えられるので、誰でも出来ます。客から聞いた注文を紙に書いて厨房へ渡すのに、接客能力なんて不要です。留学生のバイトでも務まる。それも嫌なら皿洗いもある。賄いがあるので食事にも困りません。数ヶ月のお役所仕事にしても、それで生活が一息つける。今日の飯にも困るような失業者は、「選択の自由」を要求するよりも、まずは自分で自分の生活をなんとかすべきだというのは、はたして暴論なのでしょうか。

Be the first to comment - What do you think?  Posted by bobby - 2009/01/27 at 17:51

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中小企業が活力を失った理由

小倉弁護士とのバトル記事を書いていて閃いたのですが、日本の中小企業が活力を失った一つの大きな理由は人材難だったのではないでしょうか。なぜ人材難になったのか、その理由は終身雇用と解雇規制が原因です。

戦前から高度成長期までの間、高い技術力を持つ町工場が数多く生まれ育ちました。当時、どんなに優秀でも大学まで進学できる人は多くはありませんでした。普通高校や工業高校を出て町工場へ就職する学生の中にも、優秀な人間がけっこう沢山いました。戦前から高度成長期までの町工場を支えていたのは、そういう高卒の優秀な人材達だったのではないでしょうか。

いまの日本では、良い人材のほとんどは有名大学を志望し、大企業がブラックホールのように吸収し、終身雇用により社内で飼い殺しにされています。ゆえに中小企業には良い人材が廻ってきません。良い人材が集まらなければ、新しい技術の開発も、新しい町工場を起こす人も現れません。ただ昔の技術をフォローしているだけの現状では、中小企業は衰退してゆくばかりです。

香港では、こちらで書いたように、良い人材は最初は大企業に集まりますが、転職を重ねる事によってシャッフルされて広い範囲へ拡散してゆきます。ある人は大企業に残り、ある人は中小企業で活躍し、またある人は起業して独立します。

日本でも雇用が流動化されれば、人材が大企業からいろいろなところへ拡散して行くので、既存の中小企業が活性化される機会を得るだけでなく、あたらしく起業される零細企業がどんどん生まれて、その中から次世代の中小企業が育つのではないかと思います。中小企業の雇用は全体の8割を占めるそうですから、中小企業が活力を取り戻せば、日本の多くの労働者にとって大きなメリットになるのではないでしょうか。

2 comments - What do you think?  Posted by bobby - 2009/01/25 at 00:17

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低所得者対策は政府の責任

小倉氏はしきりに、香港の貧困層を強調しています。香港の経済発展を否定する事で、雇用流動化も否定したいようです。ところで、入手された情報は正しく分析・評価すべきではないでしょうか。

香港の路上生活者は2007年の政府資料(ここ)によれば327人で、人口比0.0047%です。日本の路上生活者は貧困の救急箱ブログによれば2万人で、人口比で0.0143%です。終身雇用と社会福祉の整備された日本の方が、自助自立で生きる香港より、路上生活者が人口比で3倍も多い事がわかります。ソウルの例を出す前に、もっと足元を見たほうが良かったようです。

路上生活者の話題が出ましたが、小倉氏に教えて頂いた(ここここの)資料に詳細な調査報告が出ています。香港における野宿生活者の実態と自立支援事業の進展プロセスによれば、「香港における野宿生活者支援への取り組みは,日本の政令指定都市やそれを抱える府県にとっても,ある意味で参考になるシステムを有している。」と香港方式を評価しています。

政府の支援が必要な低所得者が増えた理由は、残念ながら雇用の流動化とは関係ありません。政策的に受け入れている新移民(中国大陸からの移民)が2007年の(この記事)によれば50万人(人口比7%)を超えました。香港ドリームを求めてやってくるかれら新移民の多くは広東語が話せず、技術もスキルもない昔ながらの移民第一世代なので、香港では月給4万円から6万円の低賃金の職しか得られません。新移民の問題解決には時間が必要ですが、年々毎年増え続ける新移民を止める事もできません。せめて新移民の人達には頑張って夢を掴んでほしいものです。

九龍城とは懐かしいですね。日本から友達が来ると、探検と称して城内観光に行ったものです。ここの生い立ちは、雇用流動化とは何の関係もありません。詳しい生い立ちについては、(wiki)を読んで香港の歴史を勉強してください。ところで私は、現在の香港について述べています。そこのところご理解頂ければと思います。

ところで昨今の大不況の中で、香港政庁の低所得者対策はどうなっているのでしょうか。China Loopによれば、香港政庁は昨年11月に、低所得者へ食事を提供する為に1億ドルの融資を発表したそうです。昨年9月から家庭の電気代を2ヶ月毎に8000円程度、政府が補助しています。おかげで我が家の11月から1月までの電気代は0円でした。終身雇用の国の低所得者対策とは、決断の速度といい対策の内容といい、えらい違いではないでしょうか。

4000万円のマンション購入について、月額24万円の支払いが必要との事ですが、住宅ローンには頭金が必要です。香港の銀行では購入額の30%を求められます。小倉さんの計算方法がわからないので、月額24万円から逆算して30年で支払い総額8640万円。これを4000万円+金利と仮定すると元本の2.16倍。そこで30%の頭金を除いた2800万円 x 2.16倍を30年で割ると、月額16万8千円。ところで私は前の記事で「大卒でオフィス勤めの月給20万円くらいの普通のサラリーマン夫婦」と申し上げました。つまり、夫と妻の給料だけで月額40万円の収入です。日本では、もっと辛い返済をしているサラリーマンの方は多いのではないでしょうか。

小倉氏が擁護する「終身雇用」がきちんとワークする為には、右肩上がりの経済を必要としていますが、いまや世界は非常に不安定な状況です。日本の企業は、「労働者の福祉」を企業に押し付ける無能な政府と、「事後の正義」を掲げる裁判所のおかげで、人員調整できない「正社員」を山ほど抱えています。円高と不況が続き、何年も赤字が続いた時の対策を考えれば、経営者は可能なかぎり内部留保を積み増す他に方法がありません。労働者の正義をかざして、正社員保護とか派遣切り反対を訴えるのは自由ですが、企業は「打ち出の小槌」を持っていません。人員調整もできず、赤字が何も続けば、内部留保を吐き出し終えたところで自主廃業するしかないでしょう。そうなれば困るのは誰でしょうか。

追記1:

記事の表題を、失業者対策...から低所得者対策...へ変更しました。

追記2:

頂いたコメントを読むと、変更した表題が別の誤解を与える可能性があるので、以下に補足説明します。小倉氏が香港の低所得者の多さを指摘されたので、私もつい調子に乗っていろいろ書きましたが、50万人を超える新移民の問題は、日本のなまっちょろい(仕事があるのに選り好みして働かない)派遣村の人達とは条件がまったく違います。新移民の人達は自ら望んで移民し、何でも出来る仕事を全力でやって、全力で生きている人達です。そういう人を不況下に政府がフォローするのは間違っているとは思いません。香港はすっかり豊になってしまい、どん底から這い上がる強力なハングリー精神がだいぶ廃れてしまいました。新移民の人達は、そういうエネルギーをたくさん持っています。香港の活力が失われないようにする為にも、政府がこういう人達を社会へ適合させる為にいろいろ行う事は必要かつ有益であり、長期的に香港の為になる事だと考えます。

それから、小倉氏は私の考え方を新自由主義と呼んでいるようですが、私は全体(企業と労働者と失業者とその他の人々)の利益を最適化する合理的な選択をするべきだと考えているだけです。 目先の「可哀想」な人を助けるのは医者や弁護士の使命かもしれませんが...

12 comments - What do you think?  Posted by bobby - 2009/01/24 at 20:15

Categories: 1.政治・経済, 3.中国ネタ   Tags:

香港の繁栄を支える人材循環と起業精神

香港の経済が繁栄している大きな理由の一つは雇用の流動性が高い事です。みんなが頻繁に転職するメリットは、単に労働者が自分の給料やスキルをアップするだけではありません。良い人材が社会のなかをぐるぐる廻り、大企業から中小企業まで、広い範囲で会社の発展に影響を及ぼしているという事があります。

積極的に転職するのは、自分の能力に自信を持つ人が多いのですが、その中には、実際に有能な人も多く含まれています。日本では、大企業が良い人材を集めてどんどん発展して行きますが、その後ろで中小企業は置き去りにされつつあります。香港でも、良い人材は、最初は大企業に集まりますが、転職によりだんだんシャッフルされ、中小企業を含めて社会の広い範囲に拡散してゆきます。

香港は狭い社会なので、良い人材を吸収する会社は限られています。大企業では歯車になり、中小企業ではリーダーとして実力を発揮し、最終的に自分で独立して会社経営を始める人も(昔ほどではないですが)けっこう多いのです。能力と野心をもった人材が、30歳代から40歳代になる頃、溜め込んだ貯金(HKDで数十万ドルくらい)を投資して、100平米くらいの事務所を借りて、自分の会社を始めます。

香港ではこのように、独立・開業が非常に容易なので、本人に野心と実行力さえあれば、障壁はあまりありません。会社を設立して事務所を借りれば、最低でも会計担当を雇わなければなりません。前の会社から自分のスタッフを引き連れてくれば、前の会社は穴を埋める為に求人募集します。毎日のように新しい会社がどこかで事務所を開くので、香港では常に、正社員の求人募集が溢れています。

その一方で、香港でも日本でも、幕を閉じる会社も毎日のようにあります。香港の場合、経営者はできるだけ損を出す前に事業を閉じようとします。起業の目的はお金を儲ける事ですから、資本金を食いつぶす前に自主廃業するし、他にやりたい人がいれば会社を転売します。ゆえに、倒産して高額の借金を残すケースはあまり多くありません。会社をギブアップしても個人の資産は余力があって、再びサラリーマンにもどって次の機会を得る為に雌伏します。

日本の経営者はどうでしょうか。金を儲けるという事の他に、社員の雇用を守るという義務感のようなものがある為か、事業がうまく行かなくても無理をして借金経営を行い、倒産時には逆に多くの社員に金銭的な迷惑をかているケースが極めて多いのではないでしょうか。経営者の「社員の雇用を守る」という義務感の出所は、硬直した労働市場です。

まとめると、香港では転職により労働者はスキルと給料をアップさせ、会社は良い人材を得て発展する機会が増えます。更に能力と野心を備えた人材は独立・起業する事で新たな雇用を創出しています。たとえ最初の起業がうまく行かなくても、2回でも3回でも起業のやり直しが効くので、何度か目には要領をつかんで軌道にのせる経営者も少なくありません。ひとつの職、ひとつの会社、ひとつの起業に拘らず、自助自立の精神に溢れている精神が、香港の繁栄を支えているのだと思います。

2 comments - What do you think?  Posted by bobby - at 12:24

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転職でランクアップさせるスキルと給料

香港の新卒は、どうやって知識とスキルを身につけ、給料アップを目指すのでしょうか。有名大学で成績優秀な生徒は、いきなり大企業の良い職種へ就職するので、話しとして面白くありませんから、この話しから除外しましょう。条件は、中クラスかそれ以下のレベルの大学を卒業して、普通に求職活動する人を例にします。

香港で就職するときは、面接される側も採用する側も、ある程度職種を指定してきます。求職者の選択条件は会社名優先ではなくて希望職種優先が一般的です。採用する側も職種を指定して面接します。香港は狭くて、大企業といわれる会社の数は多くないですし、その中の営業やマーケティングやエンジニアなど人気の高い職種の募集数は少ないですから、ほとんどの新卒は、中小企業に入社します。

入社しても社風や仕事内容が気に入らなければ、数日から数週間で辞めて、別の会社を探し出す人もいます。新卒の就職開始期間はだいたい7月から9月くらいと幅があるので、多少のやり直しが効きます。最初の会社で1年から3年くらい仕事を続け、自分の受け持ち業務で1人前の知識と経験を身に付けたと自己判断できたら、次の転職先を探します。

香港では、雇用の流動性が高く、社員の多くが3年から5年で転職するので、大企業から中小企業まで、いつでも多くの会社が求人募集しています。また、常に新しい会社が生まれ、即戦力の人員を求めています。ですから厳しい不況時でもない限り、今より良い待遇の会社への転職はそれほど難しくありません。

新卒で入社すると給料は当然低いです。多くの会社は、社内での昇給速度は遅いですし、能力の上昇に見合ってもいません。ある分野でとりあえず1人前の知識を身につけて即戦力になれば、その能力をベースに、今よりワンクラス高い給料をオファーしてくれる、今より大きな会社を探して転職します。

似た業種への転職であっても、会社毎に商品や仕事のやり方が違いますので、いろいろ新しい事を学べます。自分の居る業界に先が見えたり、別の可能性を試してみたくなった時は、今より少し給料を下げてでも、別の業界へ転職する事も検討します。長期的に考えて、そちらの方が面白そうだとか、給料の最終到達点が高いという事を考えます。事務職からIT関係の職へ進路変更する為に、夜学に通って資格を取る社会人は非常に多くいます。弊社のエンジニアの多くは、専門分野の知識を高めるために夜間制の大学や大学院へ通ったり、MBAのコースに通っています。そうしていつかはもっと大きな会社へ転職してゆくでしょう。

小さい企業は(給料を除けば)社員を大切にするので、会社が傾きでもしない限り、人員調整による解雇もめったにありません。10年とか20年も継続して勤めている人がけっこうな比率でいたります。会社のサイズが大きくなるほど、好況と不況での仕事量の差が大きいので、不況時に人員調整される可能性が大きくなります。また、大きな会社は合併や提携で部門の新設や廃止が頻繁に起こるので、長期雇用のリスクは高まります。

このようにして新卒(月給1万香港ドル)からはじまり、30歳前後で給料2万香港ドル、35歳までに給料2万5千~3万香港ドルにまで到達します。35歳前後になると、さすがに給料やポジションの問題で転職しにくくなりますので、そこそこの給料で人員整理リスクの低い会社の管理職に滑り込んで、あとはできるだけリタイア(住宅ローンを払い終わり、子供全員が大学卒業する)までその会社に留まれるように頑張ります。

余談になりますが、リタイア後の話もします。香港には長期雇用者の退職金制度というのがあり、2年以上継続して働くと下記のような計算で退職金を貰う事ができます。35歳から55歳まで20年間働いた場合で、退職時の給料が3万5千香港ドルならば、70万香港ドル(およそ900万円)の退職金がもらえます。

それからMPFという401Kタイプの退職積立金があり、60歳になったら被雇用者が現金化できる退職積立金です。月給の5%を被雇用者が、同じく5%を雇用者が出して、株や債権などを組み合わせたファンドを、業者を経由して毎月購入します。この分の金額は所得税から控除できます。

香港では中流のサラリーマン家庭の多くは共働きですので、退職後はローンの払い終わったマンションに住み、2人の退職金とMPFあわせて数千万円程度の金額を、少なくとも老後の生活の原資とする事ができます。

Be the first to comment - What do you think?  Posted by bobby - at 00:34

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アジアで一番に夢のある経済都市

香港のジニ係数0.52はアジア1位であり、貧富の差がすごく大きいとこの記事で報道されています。 一方、こちらの記事では、ジニ係数が高い理由について、ほとんどの人が月収19万円(*1)で、清掃員やサービス業など低収入の人はその半分以下である事が突出した富裕層との貧富の差となっていると述べています。香港で月収6万4千円(*1)に満たない低収入の人が42万人(人口の6%)いるとこちらの記事で述べられているが、残りの654万人(94%)は普通かそれ以上の暮らしをしているという事ですね。

雇用の流動性が高い香港では「経済がこんなに繁栄していますよ」という私のこの記事について、小倉さんから、ジニ係数がアジア1高い事などを理由に、「bobbyさんとか新自由主義が好きな方は、そういう若者が我が世の春を謳歌する反面、末端労働者が路上やカゴの中で寝泊まりする社会が望ましいと考えておられるのでしょう。 」(ここ)というリプライ記事を頂きました。

そこで、香港社会と、6%の貧困者と残りの94%の人たちについて、20数年間の個人的な体験と、弊社の社員から聞いた生情報やネット情報をもとに意見を述べさせて頂きます。

香港のジニ係数0.52と高いのは、約94%の中産層が、活発な経済でマンションなどを所有するなど富を増しているからのようです。もちろん香港は富豪も多いので、最低層と富裕層を比較すると貧富の差は大きいのですが、香港に住んでいる人にとっては、「貧富の差」があるが故に、社会に活力が満ち、経済が繁栄しているのだという事を理解しています。経済格差が(日本のように)親の財産や受けた教育によって固定されず、「俺もいつかは高級マンションに住んで、大型ベンツに乗るぞ」という夢を、多くの人がかなえている事が、低所得者の生きる励みになっています。この事は、私が20数年前に香港に来てから現在まで、変わることの無い香港社会の特徴です。

マンション購入について。30代前後で4000万円(*1)のマンション購入について誤解を与えたようですが、富裕層の事ではありません。大卒でオフィス勤めの月給20万円(*1、*2)くらいの普通のサラリーマン夫婦が、銀行ローンで購入しています。香港のオフィス勤めサラリーマンの給料は男女格差があまり無く、ほぼ夫婦共働きで、更にアルバイトや株式投資など昼間の仕事以外の収入を持っている人も多いので、世帯収入が大きく、このようなマンションをローンで購入できるのです。実例ですが、弊社の20代後半の独身社員君(普通の家庭出身)も既に小さなマンションを銀行ローンで購入しています。

福祉について。昔から自助自立の精神が強く、香港人自身の希望によって英国式の福祉社会を避けて来ましたので、外から見える福祉制度は、10年くらい前に開始した401K方式の退職金積み立てくらいのものです。しかし内側から見ると、日本より貧困層に優しいのです。政府病院の外来は無料で治療が受けられます。普通のマンションが買えない低所得世帯向けのマンションも政府かなり沢山建設しました。金持ちになる夢破れ高齢で貯蓄も無い貧困層の人達の為に、政府の貧困者用住宅がありますし、更に病気や高齢で就業できない人には政府が生活費を支給しています。非常に寒い冬の年には、政府がそういう人たちに毛布を配布しますし、現在のような大不況で働きたいが収入が途絶えた人の為に、1億HKDの予算を計上して食料を配給(ここを参照)しています。ですから東京やニューヨークと違い、路上生活者はほとんどいません。特筆すべき貧民街もありません。

このように、何も無い極貧者の生活を支援する為の福祉予算はすべて、活発な経済がもたらす税収で賄われています。日本のような社会福祉制度がなくても、企業が栄え、税収が豊富にある香港では、弱者の為の予算を組んで、セーフティーネットをきちんと用意しているのです。

*1:為替レートは、HKD7.8=USD1.00、JPY100=USD1.00(極端なレートを避けました)
*2:一般的な香港人の月給の目安ですが、清掃員や食堂のウェイトレスなど最低収入でHKD3000(3万5千円)から、大卒初任給がHKD8000(10万円)から、30歳前後の大卒事務職でHKD16000(20万円)前後、35歳前後の中小企業の管理職でHKD30000(38万円)。MPFという401K型退職金積み立てで月給の5%を天引きされる。所得税は、月給HKD7700(9万8千円)までゼロ。

Be the first to comment - What do you think?  Posted by bobby - 2009/01/23 at 19:12

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雇用の流動化が経済を繁栄させる実例

世の中、なぜにかくも短絡的な思考の方が多いのでしょうか。経済学者の池田氏が雇用の流動化を促進する制度が必要(ここ)だと説いているのに対して、弁護士の小倉氏は「雇用の流動化=失業と貧困」説(ここ)からいまだに抜け出せません。小倉氏はぜひ、「雇用の流動化=経済活性=繁栄」の実例である香港を一度ぜひご覧いただきたいものです。以下、私の住む香港を例にご説明致します。

香港では、雇用の流動性は極めて高いのですが、平均的な所得水準は高く、貧民街もなく、街には高級車が溢れており、30代前後で4000万円くらいのマンションをローンで購入する若者はとても多いのです。

終身雇用などだれも気にしない香港では、自分の能力や経験を磨く事にだれもが貪欲です。大学卒業して目当ての業界(会社)に就職しても、1年から3年おきに転職を繰り返します。一つの会社で習得する知識や経験は限られていますし、一つの会社の中での昇給幅も限られています。転職する度に、当然、今より高い給料を要求します。新卒給料の相場は、20年前からあまり上がっていません。どこの大学を出ても、新卒は知識も経験も無いからです。しかし、ほんの数年で、良い職を得た人と、そうでない人の給料の差はどんどん広がります。職業による差もありますが、能力の方がはるかに重要である事は言うまでもありません。

香港人が転職を繰り返し、給料とスキルアップを急速に増やすのは、だいたい35歳までです。それ以降は、求める給料やポジションの関係で転職が難しくなりますので、できるだけ安定した職場を見つけて、あとは定年までなるべく大人しくしようとする人が多いようです。

香港人が転職する理由は、昇給とスキルアップの他に、もう一つ大事な理由があります。会社の自分に対する支配力をなるべく減らすという事です。現在の日本の労働者は、そういう意味で、あまりに他者に依存し過ぎています。高度成長期以前の日本は、そうではありませんでした。今の日本人は、あきらかに会社に甘えすぎています。

香港で夫婦共働きが多い理由は、いくつかあります。一つは住宅ローンを短期(5年から10年)で返済する事。もう一つは家族の収入源の分散化の為です。収入原の分散といえば、一人で複数の収入源を確保している人も多いようです。株への投資であったり、夜間のアルバイトであったりします。香港の納税申告書(香港では全員が税務署へ青色申告する)には、複数の収入原の会社を書く欄が複数あります。会社はアルバイトを禁止しても、税金さえ納めれば税務署は関知しません。夫婦がそれぞれ、複数の収入原を持つのが理想的なようです。(妻の視点から見れば、共働きの理由として、夫から経済的に独立している事も含める事ができます。男の方が統計的に早く死ぬし、離婚対策もあるのでしょうか。)

香港を見ていただければ、小倉氏の懸念が杞憂である事がご理解頂けると思います。

追記1:

小倉氏が記事の追記で、自由に解雇できる「解雇条件」について池田氏に噛み付いています。しかし池田氏は、雇用流動化の議論について、法律上は禁止されていない人員調整など経済的理由が判例によって困難になっている現状を改善する事についてずっと話をされていました。これは彼のブログを読んでいる読者には周知の事です。このような失態を招く前に、私が書いた(TBさせて頂いた)「 雇用の流動性と不当解雇は別次元の問題」(ここ)をぜひ注意深く読んで頂ければ良かったのですが...

追記2:
香港では、部門閉鎖や縮小などの「経済的事」を理由にした解雇は認められていますが、年齢・容姿・性別・結婚や出産・宗教・上司に嫌われるなどを理由にした解雇は禁止されています。渡辺千賀さんが米国事情を述べていますが、香港でも大企業や大きな工場の方が、「経済的事」による大量解雇が頻繁です。それ以外の中小企業では、「経済的事」による解雇はあまりありません。

追記3:

ぜひ日本でも見習って欲しいですが、香港には労働者の駆け込み寺があります。解雇された労働者が解雇理由を不満に思う時は、すぐに労工署(Labor department)に駆け込んで苦情を申し立てます。労工署は両者を呼んで調停を行いますが、労工署は十中八か九は労働者側へ見方します。会社が一人だけ解雇する時には、会社が客観的な証拠を揃えるのは非常に困難なので、たいていは労働者が勝ちます。その場合、労工署は解雇された労働者に給料数ヶ月分のお金を支払う事を勧告して和解させます。私の会社でも2回、解雇した社員に駆け込まれて、相手側へお金(給料3ヶ月分くらいだったでしょうか)を支払いました。解雇から和解終了まで1-2ヶ月くらいと比較的短期に解決します。

追記4:

労工署の調停を蹴って裁判に持ち込む事もできますが、消耗する時間とお金は労工署の調停の比ではありませんので、よほど意地か恨みが強くないと、そこまでもつれる事はありません。労働者はお金と名誉の回復が必要なのであって、自分をクビにした会社の職にしがみ付く必要はめったにないからです。

15 comments - What do you think?  Posted by bobby - 2009/01/22 at 12:43

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雇用の流動性と不当解雇は別次元の問題

雇用の流動性を高める事の是非について小倉秀夫氏とブログ記事の中で議論しています。私は賛成で小倉氏は反対の立場です。小倉氏が「労働法を改正して、企業が気分次第で解雇しても国は何もしないというふうに変えていこうというわけです」(ここ)という意見を述べられました。(*1)私は、企業にとって労働者は大事な資産ですから、企業が労働者を大量に解雇する事は、大量の血を流すのと同じ事なのです(ここ)と反論したところ、小倉氏が「労働者を気分次第で簡単に解雇するような経営者はいる」(ここ)という事例付きの記事を書かれました。(以上、ここまでの経緯をまずは説明させて頂きました)以下は小倉氏が挙げられた事例です。

「女子労働者については,①容姿が衰えたから解雇,②経営者(の子息)の求愛を拒んだから解雇,③結婚したから解雇,④出産したから解雇,という事例が頻発し,労働者が泣きを見ることになりそうな気がします。また,男性労働者を含めても,①平日に病欠をとったから解雇,②有給休暇を消費したから解雇,③残業代を請求したから解雇,④経営者の私用を無償で手伝わなかったから解雇,⑤給料の引き下げに不満を漏らしたから解雇,⑥特定の政党,政治家,宗教団体の集会に参加しなかったから解雇」

残念ならが、これらは基本的に現在の法律で禁止されている事例であって、個別に法律で取り締まるべき問題であり、雇用の流動性を高める事とは関係ありません。わざわざ池田氏の不当解雇事例まであげておられるようですが、会社と労働者がともに利益を得る為の労働市場全体の話しと、それを悪用する個別の法律違反を防ぐ話しは、分けて考えたほうが良いと思われます。

しかしながら、せっかくですので上記のような法律違反慣行について私の意見を述べさせて頂きます。雇用の流動性が高まり、労働者が自由に転職できるようになった社会では、そのような筋の悪い会社からは良い人材が流出し、経営者は株主から責任を問われる事になるでしょう。ネットの発達した現代において、このような悪質な会社は、ブログや掲示板でたちまち悪名が広まり周知の事実になるからです。最終的に経営者はそのような慣行を改善し、懸念されるような悪い慣行は消滅する事になると考えられます。

*1:現在この文章は削除されたようです。

2 comments - What do you think?  Posted by bobby - 2009/01/21 at 16:56

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労働者はなぜ転職を恐れるか

労働者にとって、自由で流動的な労働市場が創生される事は大変に望ましい事です。雇用主が労働者に及ぼす支配力が減り、労働者は将来の選択の幅が広がり、労働力の市場価格が形成され、自分の労働力の本来の価値を知る事ができるようになります。また、転職により賃金や能力が高まる可能性が増します。良い事は多々あります。しかし、多くの労働者は、「雇用の流動化=失業と貧困」と悪いイメージしか思い浮かべません。いくらメリットを語っても聞く耳を持ちません。賃金をアップしろ、利益をもっとよこせと不満を募らせながらも終身雇用にしがみつく理由は何故なのでしょう。労働者は何故、合理的な選択をしなたがらないのでしょうか。

渡辺千賀さんが大変興味深いNew York Timesの記事を紹介しています。経済神経学者の記事ですが「将来に恐れを感じていると、人間は現状維持に走り、新しいものを探索する、リスクを取るといった行動は抑制される」ということ。そんなの当たり前じゃないか、と思うかもしれないが、ポイントは「非論理的なまでに」現状維持を図り、「非論理的なまでに」新規探索を拒む」のだそうです。

労働者が転職を恐れ、流動性の高い労働市場を恐れる理由は、まさに「恐れが非論理的な決断を産む」典型的な例である事がわかります。前の記事で触れましたが、終身雇用は労働者に「小さな自己満足」を与えて社内に囲い込む手段であって、労働者が自分の価値に見合った賃金をもらう為の手段ではありません。池田信夫blogで述べられているように、「彼らが自由に企業を移動することを支援する制度が必要」なのですが、それには労働組合の圧力を跳ね返す事ができる強い政治家を待つ事になるのでしょう。

Be the first to comment - What do you think?  Posted by bobby - at 13:43

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資本家の搾取は労働者の幻想(続2)

資本家の搾取は労働者の幻想(続)について、A Workeさんから再び反論を頂きましたので以下のようにお答えします。

ご回答頂きありがとうございます。上記コメント1の質問内容が理解できました。販売原価に含まれる労賃の下限は日本でもアジア途上国でも、労働生産性ではなくて(ベーシックインカムのようなしくみが無い場合は)政府が決めた最低賃金によって決まります。最低賃金が低めに設定された途上国では、インフレ等により金額が年1回程度更新されます。これにより、フルタイムで就労した時の最低賃金は、A Workeさんが指摘される「さらなる1日間の労働力の再生産を可能にする原資」に相当するものと思われますから、それ以上に会社の利益の配分を要求する合理的な妥当性は見当たりません。

労働者が生活する最低限の収入を現在の賃金から得ている場合、インフレにより物価が上昇して、労働者が「昨年並みの生活」を維持できなくなったとしても、会社は労働者の生活の質を維持する法律上の「義務」は無い(それは政府にある)ので、春闘などで会社が賃金アップを行う必然性はありません。しかしながら、春闘などでのベースアップは、「政治的に正しい」ので、政府は業界へ政治的な圧力をかけますし、会社も労働力という資産の低下を防ぐ為に「妥協」して賃金アップを認めます。その為の原資として利益が用いられるだけの事です。

10 comments - What do you think?  Posted by bobby - at 05:46

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企業が正社員を保護したかった理由

企業にとって熟練労働者は、生産手段であると同時に財務諸表からは見えないが重要な資産でもあります。企業は雇用契約によって労働者を確保し、教育という投資を行って熟練労働者に仕立て上げます。そうして熟練労働者の労働力(スキルや生産性)を所有します。

熟練労働者は企業にとって、育て上げたコスト(時間と費用と労力)であり、将来得られる利益(高い生産性から得られる成果物)です。ですから、ひとたび労働者が企業の資産になると、企業としてはその資産を保全しなくてはなりません。

ゆえに、育て上げた熟練労働者が自己都合で辞められるのは(内心)困ります。労働者に正社員という称号を与えて企業への帰属意識を高めるのは資産保全の手段です。しかし企業から見ると、雇用契約は労働者に一方的に有利(労働者はいつでも一方的に辞める事ができ、それが理由で罰を受ける事もめったに無い)に出来ており、企業が雇用契約によって労働力という資産を十分に保全する事ができません。

池田信夫blogによれば、「経営者(プリンシパル)と労働者(エージェント)に情報の非対称性があるとき、労働者が怠けるのを防ぐために、中核的な労働者には限界生産性より高いレントを与え、怠けたら解雇されて、外部労働市場では限界生産性に見合う低い賃金しかもらえないようにすると、労働者は自発的に会社に忠誠をつくす」そうです。

労働者が終身雇用という「神話」を自ら信じる事で、自由な労働市場が作られない時、「経営者(プリンシパル)と労働者(エージェント)に情報の非対称性」が生まれて、労働力の客観的な価値を知る手段が失われ、企業は労働者の賃金をローカルルールで制御する事ができるようになりました。企業がはじめからこれを意図して「終身雇用」という慣行を作り上げたかどうかは判りませんが、労働力という資産を保全する為に、十分に活用した事は確かでしょう。少なくとも1997年にバブルが弾けるまでの長期に渡って。

Be the first to comment - What do you think?  Posted by bobby - 2009/01/20 at 18:42

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熟練労働者は企業の資産

小倉秀夫氏は大統領の就任演説の名言の記事の中で、「労働法を改正して、企業が気分次第で解雇しても国は何もしないというふうに変えていこうというわけですから」と言います。しかし企業は労働者を弄ぶ為ではなく、合理的に利潤を追求する為に生まれ、活動しています。

企業にとって労働者は生産手段の一部なのですが、機械と違って教育が必要ですし習熟に時間がかかります。 雇用してから1人前になるまでは、賃金分を労働者に投資しなければなならない。熟練労働者となれば、バランスシートからは見えないけれども貴重な資産です。そのような労働者を気分次第で簡単に解雇するような経営者が何処にいるでしょうか。企業が労働者を大量に解雇する事は、大量の血を流すのと同じ事なのです。

企業を経営するのは(時に感情に流されやすい)人間なのですが、様々なルールで縛られ監視されているがゆえに、全体としては合理的に行動しようとします。好況になれば雇用を増やし、不況でものが売れなくなれば、貴重な労働者であっても人員調整せざるを得ないのも合理的な行動の結果です。

「上に政策あれば、下に対策あり」と言いますが、国が解雇規制を行うので、企業に認められたルールの範囲内で非正規労働者の雇用を増やしたに過ぎません。企業が国内で生産を続ける限り、捩れた解雇規制の下では、捩れた雇用関係がいつまででも続くでしょう。そして最後には、国内の工場は淘汰されるかもしれない。日本の経済を支える製造業がみな海外に移転したら、IT業界も壊滅的な打撃を受けて、小倉氏の得意な知的財産権の仕事も大幅に減るのではないでしょうか。それこそ、多くの国民が貧しくなる早道かもしれません。製造業が逃避した後の日本は、観光立国でも目指しますか?

追伸:

小倉様。私のような無名のブログTBに何回もご返事頂き有難うございます。派遣切り問題以降、小倉氏のブログに度々TBさせて頂いておりますのは、小倉氏の記事内容がいろいろな意味で興味深いからであり、他意はありません。それと、何故かコメントがうまく入れられません。もしコメントを許可されているのであれば、ブログの何処かにコメントの仕方を日本語か英語でご指南頂ければ幸いです。

2 comments - What do you think?  Posted by bobby - at 14:39

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雇用規制の捩れを正せ

池田信夫blogによれは「規制を撤廃して解雇のリスクがなくなれば、企業は最低限必要なコアの労働者は長期雇用し、それ以外の労働者は高コストの派遣ではなく雇用関係でやとうようになる」とあるように、派遣労働者は企業にとっていまでもコスト高である。「非正規労働者の時給はほぼ限界生産性に見合ってる」のだが、企業自身が派遣業者に支払う派遣料はそれより数十%多い。

企業自身が直接雇用した方が支払う総費用は低いが、「合理的な効率賃金を超えて正社員を過剰に保護する解雇規制」があるために、企業は人員調整できないというリスクを抱えてしまい、経費を一番抑えたい不況時に高コスト(生産量に見合わない高い人件費)が発生してしまう。企業にとって、それは明らかな経営者リスクであるので、本来は不要な派遣業者のマージンを「必要悪」として受け入れる他にない。

企業がこのような雇用戦略を取らざるを得ないのは、 「合理的な効率賃金を超えて正社員を過剰に保護する解雇規制」がある為だ。政府は企業に対して、「派遣切りを止めよ」という前に、この捩れた規制を改善するべきである。麻生首相はただの「政治バカ」ではなく、一応麻生グループ企業の経営側に立つ人間であるから、身内のグループ経営者たちからよく事情を聞いて勉強すべきである。

ある部分(非正規雇用)に焦点を当てて最適化すると、かならず全体から見ると捩れが生まれる。(雇用)全体を最適化する事で、合理的で効率のよい(労働市場)が生まれる。現在の問題は非正規労働にあるのではない。正規労働の側に問題があるので、その捩れが非正規労働市場に湧き出ているだけなのだ。

Be the first to comment - What do you think?  Posted by bobby - at 08:44

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資本家の搾取は労働者の幻想(続)

資本家の搾取は労働者の幻想について、A Workerさんから反論を頂きましたので以下のお答えします。

>「そうでなければ、労働者にはそのような権利はまだ無いといえます」
この件は私の勘違いのようです。私はA Workerさんが、労働者が自由に転職する権利(上記のその前の段落)について言及されているのかと思いました。A Workerさんが指摘されたもとの文脈に沿って改めてお答えすると、19世紀であろうと、労働三権が認められている現在であろうと、労働者が利益配当を求める法的な権利は今も無いと思います。労働三権は会社へ賃上げ要求を保障する権利でもありますが、これは会社に利益があろうとなかろうと交渉する権利を保障しています。故に、労働者の賃上げ要求の権利は、利益配当を要求する権利とは異なるものです。もし私の理解が間違っているようであれば再度ご指摘ください。

>搾取は幻想ではありません。...労働力商品の価格(賃金)と現実に労働者が産み出した労働の対価との差額がムダに使われた花火なのです。

この件については、A Workerさんと私にはかなり基本的なところで価値観の相違があるのかもしれません。会社が生産して販売し利益を生み出すとき、労働者は単なる生産手段の一部です。単純化すると、販売した金額から販売原価を差し引いた利益(付加価値)は原則として会社(経営者(役員報酬)と株主(配当))で分けるものと考えています。会社が利益をどれだけ社内留保しても、それは労働者からの搾取ではない、というのが私の意見です。

ただし、会社が利益をあげた場合、労働者からの賃上げ要求圧力は当然高まるでしょう。会社が譲歩して賃上げに応じた場合、これは労働者に逃げられたり、生産が止まったりする事を危惧する経営者の「妥協」にすぎません。
賃金が低止まりしている理由は、終身雇用に頼る労働者自身の選択によるものですから仕方がありません。

>再就職が可能な場合もあれば、そうでない場合もあります。それは必ずしも本人の才能だけに依存して決まるわけではありません。

労働者が離職してから次の会社に入社できるまでの期間、蓄えが尽きたり病気にかかったりした場合の為に、生活保護があります。その件については、こちらの記事に書きましたのでご参照ください。また、ある特定の場所に就職先がなくても、別の場所に移動する事で就職は容易になります。終身雇用が定着する前の日本では、職を求めて国内を移住する事は普通でした。

>労働法制が整備されていくことでしょう。それは企業が与えてくれるものではなく、自ら労働者が要求すること

中国では昨年1月に(日本に良く似た)労働法が整備されました。これは労働者ではなく政府の要求によるものです。現代の途上国では、国が発展すれば労働者が団結しなくても労働環境は政府によって整備されてゆくようです。

3 comments - What do you think?  Posted by bobby - 2009/01/18 at 20:00

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なぜ誰も生活保護に触れないか

テレビやブログで派遣村を擁護する人たちは、「派遣切りされた人は可哀想」、「そこに困っている人がいるのに何故助けようとう思わないか」、「月収8万では毎晩ネットカフェに泊まる事もできない」、「このような不況を招いた責任は国にあるのだから、どんなに税金をつかっても救済すべきだ」という意見が多い。

このような人たちは、国が憲法25条2項に従って、生活保護という制度を設けている事を知らないのか。いや、知っているが口にしたくないだけなのだろう。ネットカフェ難民になる前に生活保護を受給してアパートに定住し、ハローワークで職業訓練を受けて就職すれば良い、と論を進めれば、そのとたんに議論が終わってしまうからだ。

派遣村に来た人達は、「みなさんのおかげで生活保護を申請し、一息つけました」というが、みなさんのおかげがなくても生活保護は申請できたはずだ。それともこれらの人たちは生活保護がある事を中学校までに習わなかったのだろうか。

生活保護には暗いイメージがまとわり付くかもしれない。受給すれば自分で負け犬と認める事になるかもしれない。だからプロ市民やボランティアのお世話になって、テレビの前で国中に恥を晒すのだ。そちらの方がよほどみっともない事がわからないのか。生活保護を受給しても自分が自分に対してみっともないだけだ。しかし、自分がいまは「負け犬」である事を認めなければ、そこから抜け出す事はできない。

派遣切りで日比谷公園に来たり、日雇いネットカフェ難民になった人達の問題は、基本的には「心の弱さ」にある。彼らを助けたいというボランティアがいるのなら、衣食住の世話は依存心を強くさせるので良くない。それよりも彼らに必要なのは、

生活保護の受給-アパートに定住-ハローワークでスキル習得-正社員探し-入社-定着

このような手順で社会的な自立ができるようにサポートする事ではないか。具体的には、その日暮らしの生き方を変えるように説得し、生活保護の申請を行うように説得し、申請を助け、アパート探しを手伝い、就職訓練や職探しや入社後の規則正しい生活に耐えられるように、定期的に訪問して精神的な励ましを行うべきだ。

12 comments - What do you think?  Posted by bobby - at 11:21

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賃金原資が一定だと雇用数は増えるか?

桜チャンネルで、池田氏の「賃金原資が一定」という説明に突っ込んでくる意見が多いようです。私は「ロジックを明確にするための仮定」は当然の事であるとおもいます。その辺のところを私なりに考察してみました。

利益の算出は単純化すると販売額、間接経費、販売原価(製品在庫、仕掛品在庫、製造原価(直接材料費+製造費+直接人件費+間接材料))という変数の組み合わせで下記のような計算式になります。
production-cost-for-china-account-2008-01-12.jpg

販売額(生産量)と、人件費を含むその他の販売原価の変数が一定と仮定すると、直接人件費の単価(賃金)が下がれば、雇用可能数は当然大きくなります。

あるモデルを数式化してシミュレーションする場合に、池田氏が述べられたように「ロジックを明確にするための仮定」は、当然の事です。もしこれに突っ込みたければ、どの変数をどのようにいじるかを明確にするべきです。そうでないとシミュレーションできません。

次に、シミュレーションではなくて、現実世界で直接人件費の単価が下がった場合の影響について、私の経験から考えてみました。ただし、販売額(生産量)は直接人件費単価が下がる前と後で変化しないものとします。

日本国内のように直接人件費が高い場所で生産する場合、工場は利益を確保する為に、経営者から生産現場へ、直接人件費予算を抑制する圧力が高まります。つまり、生産現場で本来必要とする人数を確保できず、少ない人数で無理して作業するなどの状況が常態化しています。

このような状況で直接人件費の単価が下がると、雇用できる労働者枠が(本来必要とされる人数まで)増えるというロジックは成り立つでしょう。つまり現実世界でも雇用数は増える可能性が高いのです。

4 comments - What do you think?  Posted by bobby - 2009/01/17 at 23:11

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資本家の搾取は労働者の幻想

前の記事で書いた通り、労働者に利益配当を求める権利はありません。会社法の観点から見た場合、会社がどれだけ利益を上げようと、それと労働者の賃金は無関係です。会社は労働基準法に従って、国が決めた最低賃金を下回らない賃金を支払えばよい。もしも労働者が現在の賃金(あるいは雇用契約条件)が気に入らない場合、辞めて転職する事ができます。会社はこれを実力で阻止する事はできません。

しかしA Workerさんは、 「労働者は雇用されないと自らの生存を脅かされることになる」ので、「労働者にはそのような権利はまだ無いといえます」とコメントされました。労働者が会社を選ぶ権利はほんとに無いのでしょうか?私の結論は、「労働者は雇用されなくても生きて行く事ができる」だから「そのような権利はある」というものです。

産業革命当時の欧州とは異なり、現在の日本では憲法第25条第2項に従って国が用意した国民の生存権を守る為のサービス(ハローワークや生活保護もその一つ)があります。退社あるいは解雇された労働者は、転職先がみつかるまで最低限の生活を国によって保障されています。

労働者の立場から見た場合、労働者が(会社の都合が悪くならない限り)同じ会社に長く就労する事は、会社側の生産性にとってのメリットであり、逆に労働者にとってデメリットになります。長く就労する事で、労働者が会社に依存する度合いを強めるので、会社は労働者に対する交渉力が強くなるからです。しかしながら、A Workerさんのように転職する事に「精神的抵抗」を持つ労働者は、日本には多いのかもしれません。その理由はもしかしたら、高度成長期の後に定着した終身雇用がもたらした悪しき弊害なのでしょうか。

香港ではバス会社のような特定の業種にしか労働組合がありません。労働者は、会社側が自分の生活に支配的な影響力を持つ事を嫌うので、良い条件の職場でも3年くらいで転職します。転職で自分の能力と収入を向上させます。ですから、転職しようとする良い人材を慰留する場合には、会社側はよりよい条件を提示せざるをえないのです。それとは逆に、無能な社員ほど長く留まって安定を求める傾向にあります。

労働者は退職する事で会社側の条件に不満を示す事ができます。多数の工場労働者が一斉に辞表を出せば、会社は出荷の納期を守る為に、条件の見直しをせざるを得ないでしょう。会社は(全ての職種で)常に良い人材を求めています。条件の悪い会社に良い人材が集まらなければ、会社は条件を見直さざるを得ないでしょう。条件の悪い会社がインターネットなどでブラックリストに載るような事になれば、経営陣にとって大きな痛手です。

中国の東莞(華南)では、サブプライム問題で経済が落ち込むまでの10数年間、工場労働者の賃金は上昇し続けていました。理由は工員の転職(会社間で工員の奪い合い)です。経済が上向いている場合、労働者が一つの会社に定着しているより、工場間の移動が激しい方が賃金上昇の圧力が高まるようです。

2 comments - What do you think?  Posted by bobby - at 19:54

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息子に株のディーラーを薦めてみた

最近の若い世代のような無気力人間にならないように、自分の子供の教育には気を使ってきた。特に気を使ったのは、(子供だから欲しいものは沢山あるが)少しだけ買い与えるようにして、常に欲求が残るようにしてきた。そのせいだろうか、もうじき11歳(小学5年生)になる息子には強い物欲がある。

PSP3000などゲームマシンは当然として、スライド式フルキーボードのついたPDAとか、ソニーの最新型Pシリーズのミニパソコンのような、大人びたものも含まれている。そして、強い物欲を持っている為だろうか、将来の夢(職業)は「大金持ち」だそうである。妻は医者とか弁護士といったありきたりな職業を吹き込んでいるが、こういう職業はいまどきそれほど収入が良いとはいえない。おまけにかなりの激務になるので、稼いだ金を使う時間が無いかもしれない。

本人の希望は単純で、「身体的な危険の伴わない」安全な仕事で、給料がすごく良い職業が良いようである。昨日も息子から、「YouTubeの社長の年収は1億円ある?」と聞かれた。彼の望みはなかなか高そうだ。そこで、私が(仕事がら)あちこちの客先に出入りしながら見てきた中で、非常に良い給料の職業を薦めて見た。それは、銀行や証券会社のディーリングルームにいる、自己ポジションで株の売り買いをしているディーラーである。為替と違って株のディーラーは、地元の株式市場が開いている時にしか売り買いをしないので、実労時間は1日に4-5時間程度だ。昼飯は11時半から1時半までゆっくり食べれるし、残業も(管理職以外は)不要だ。祝祭日は100%休む事ができる。それでも良いパフォーマンスをキープできれば年収で数千万円くらいになるだろうと思っている。(もちろん、そこまで到達するのは大変だろうが...)

さて、株のディーラーと言っても、10歳の子供にはピンとこない。まずは株式会社と資本金の関係から説明を始めた。だれかが会社をはじめる為には、最初にまとまったお金がいる。そのお金が資本金で、お金を出してくれるのが投資家。しかし、身近なところで投資家を探すのは大変。そこで株式市場というものが出来て、会社のお金を出して欲しい人と、もうかる会社に出資したい人が集まって、株券の売り買いをするようになった。この株の売り買いをする人がディーラー。ところが10歳の子供には、資本金が株券になって、それが売り買いできる事が理解できない。こまった...

次に説明したのは、コロンブス船長の船。スペインから船を出して、遠い国の宝物を掠め取ってくるにはすごくお金がいる。一人の金持ちから全部のお金を出してもらうのは難しい。そこで、たくさんの人から少しずつお金をだしてもらい、無事に船が宝物を満載して港に戻ってきたら、出資額に応じて儲けたお金を払い戻すしくみができた。ところが、そこから株券の説明に結びつけられない。

最後に、ママが会社を作ったら、という非常に身近な例で説明を試みた。ママが会社を作るのにお金が10万ドル必要。でもママはお金が無い。そこで1枚10000ドルの株券を10枚刷り、農家の人が野菜を市場で売るように、ママの会社の株券を株式市場で売って、資本金を集める事ができた。ママの会社が1年で100万ドルの利益を出して、それを出資比率で分配したら、株券1枚につき10万ドルのお金(配当)がもらえた。そしたら1万ドルを出して10万ドルをもらえるのだから、この株券には10万ドルの価値になった。この株券を持っている人が、自分の家を買うためにお金が必要になり、他の人に1枚10万ドル売ったとすると、差し引き9万ドルの利益になる。このように、値上がりする前の株券を買って、値上がりした後で売れば大儲けできるだろう。

身近な例を出して説明した為か、(株券がお金になる事はあまり理解できないようだが)お金が儲かる事は理解できたようだ。息子は、「ようするに競馬のような事が延々と続くんだね」と言ってきた。ちょっと違うのだが、まあ10歳という事で大目にみよう。「だからYouTubeの社長より、倒産したリーマンの社長の方が給料が何倍も良いんだよ。ボーナスだって10億円くらいもらっているのだから」と説明すると、かなり興味を引かれたようであった。

彼が社会人になるまで、株のディーラーが魅力的な職場であり続けてほしいものである。さて、彼は将来、どんな職業につくのであろうか。

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Categories: 失敗から学ぶ株式投機体験談, 海外子女教育   Tags:

雇用とベーシックインカムとグローバリゼーションのまとめ

この数週間の間に、ベーシックインカムと雇用の問題とグローバリゼーションについての関連記事を書き続けてきました。まとめて読めるように、一覧表示ページをつくりました。

東莞は求人が難しい

東莞市(広東省の広州市と深圳市の間に挟まれた荒野のような工場地帯)にある事務所で、私のアシスタントを雇用する為に奮闘した体験談です。(結局、この時には雇えなかった。

ベーシックインカムの実現可能性

山崎元氏のブログへのコメントがきっかけとなり、日本にベーシックインカムを導入する場合の予算や具体的な実装方法についてかんがえみました。

内定取り消し、企業名公表で基準 厚労省、「10人以上」など

政府は内定取り消しを騒ぐけれども、内定とは会社にとってどんな身分なのでしょうか。「内定」という曖昧な契約を改め て、内定者と雇用者はきちんとした労働契約書を交わすべきではないでしょうか。

派遣は真っ先に切られるべき

製造メーカーにとって非正規雇用者は不景気になったときに雇用調整する為のバッファーです。派遣を切らずして、いったい誰を切れと言うのでしょうか。

ベーシックインカムの弱点を克服

ベーシックインカムを導入すると生活苦が減って、旧ソ連のように真面目に働かなくなる労働者や、欧州の高福祉国家のように自殺者が増えるを懸念する人がいます。そういう人への回答になれば良いのですが...

雇用拡大と企業農家

日本の景気が回復しない最大の理由は、生産性が低下しているからだという人がいます。農業へ企業が本格的に参入する事で、国内最大の非生産的産業の効率が飛躍的に高まり、なおかつ新しい労働需要が創出されるでしょう。

賃金を下げれば失業率が下がる実例

正社員の賃金を下げれば、有効需要が増えて失業が減る実例は東南アジアの組み立て加工業をみれば明らかです。日本の工場ワーカーをベトナム並みの賃金にすれば、欧米のメーカーがこぞって工場移転するでしょう。

負の所得税は新種の公務員を生み出すか

ベーシックインカムを新種の公務員と表現する人がいました。ベトナム並みの賃金になっても、工場ワーカーの生活はそれほど悲惨ではありません。独身者でも毎月6万円、4人家族なら21万円を貯金や小遣いにできるのですから。

ベトナムの給料と日比谷公園

ベトナムでも工場ワーカーとハイテク技術者とでは12倍の収入格差がある。この格差がバネになって、よりよい生活を得る為にみんなが努力している。 逆に日本では、アジアの工員と同じ仕事をしても、それなりに良い生活ができてしまう事が人々に努力する事を忘れさせ、派遣村などという馬鹿げたものが出来 てしまうのだろう。

グローバリゼーションに勝つ製造業の未来

FRBのバーナンキは論文で、「経済のグローバル化によって先進国の単純労働者の賃金が途上国に近づくという効果は、理論的にはある」と述べている。過激な思想だとは思うが、1万円工場ワーカーの実現は、日本が製造業で生き残る為に悪い政策ではない。

工場ワーカーの真実を見よ

1万円ワーカーのいる日本の未来像は、多くの人にとって悲惨な状況しか思い浮かばないようです。しかし実際には、みなさんが考えるほど悲惨ではありません。

国内工場はもういらない

アジアに工場を移転した中小企業の経営者は、国内に残る工場を重荷に感じている人が以外に多いようです。切るに切れない国内工場。しかし政府がこれ 以上、無茶な雇用規制を行えば、最後の決断に出る企業が続出するかもしれません。そうなれば国内から工場(雇用)が丸ごと消えてなくなってしまうでしょ う。

働者に配当は間違い

企業がより高い利益を得ても、労働者は利益の「配当」を得る権利はありません。配当を受けられるのは株主だけです。

因果は巡る派遣切り

憲法で認められた生存権によって、公園のテントで生活する派遣切られた人たちを救うのは国の責任でしょうか。それとも彼らが自立するのは自己責任なのでしょうか。

自己責任の意味

不景気による人員調整で失職するのは自己責任ではありません。しかし、自分が非正規雇用者である場合、失業時の対策と備え(貯金)を行う事は自己責任で行うべきです。その意味で、派遣村の人たちは無責任と言われても仕方がありませんね。

資本家の搾取は労働者の幻想

会社法の観点から見た場合、会社がどれだけ利益を上げようと、それと労働者の賃金は無関係です。会社は労働基準法に従って、国が決めた最低賃金を下回らない賃金を支払えばよい。

賃金原資が一定だと雇用数は増えるか?

販売額(生産量)と、人件費を含むその他の販売原価の変数が一定と仮定すると、直接人件費の単価(賃金)が下がれば、雇用可能数は当然大きくなります。

なぜ誰も生活保護に触れないか

派遣切りされて住居を失い、ネットカフェ難民になるという「可哀想」なシナリオを語る前に、まず生活保護を受給してアパートに定住し、ハローワークで職業訓練を受けて就職すれば良い。そうすれば、こういった問題は、そのとたんに議論が終わってしまうだろう。

資本家の搾取は労働者の幻想(続)

販売した金額から販売原価を差し引いた利益(付加価値)は原則として会社(経営者(役員報酬)と株主(配当))で分けるものと考えています。会社が利益をどれだけ社内留保しても、それは労働者からの搾取ではない、というのが私の意見です。

3 comments - What do you think?  Posted by bobby - 2009/01/16 at 18:28

Categories: 1.政治・経済, 3.中国ネタ   Tags:

素人にお勧めしたいPDA

そんな事言って、おまえが素人だろうと言われそうで怖いですが、意を決してお勧めします。Sony Ericson Xpreriaは、機能的には普通のWindows Mobile 6.1 (WM6.1)ですが、PDAヲタクやパワーユーザー意外の、素人の一般人でも素直に受け入れられる美しいデザインと完成度の高い実装(ケース)が特徴です。平たく言うと、携帯でメールやウェブを見たい素人ユーザーにお勧めしたい、初めてのPDAです。(使いこなせるかどうかは、この記事では責任を持ちません、あしからず)

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それでは、美しすぎるPDAの概観を心行くまでご覧下さい。(カメラの製造が良すぎて、ケース表面の埃まで写ってしまいました。)

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Be the first to comment - What do you think?  Posted by bobby - at 16:59

Categories: コンピュータ及び科学全般ネタ   Tags:

漢方鼻スプレーをアレルギー性鼻炎の友人が試してみた

私の友人T氏は、何年も前からアレルギー性鼻炎(本人自己申告)で、いつも少量の鼻水があり、鼻の少し奥の粘膜がひりひり痛いと言っている。ちょうど鼻風邪を引いて鼻水をかみすぎると、鼻が痛くなるような症状だ。その友人に、この漢方鼻スプレー(試供品用の小さいボトル)を試してもらった。

p1010749.JPG

3日目に会った時に効果を聞くと、鼻水も止まったし、鼻の粘膜も痛くなくなったと喜んでくれた。これからも使いたいという事で、私用のストックをひとつ譲った。

ところで一つ、気になる感想を頂きました。鼻スプレーをした直後に会った人から、「カレーを食べられたのですか?」と聞かれたそうだ。漢方成分のせいだろうか。鼻炎の人は臭覚も低下しているだろうから、本人は気づかないようだが、意外と強い芳香を発するようです。

Be the first to comment - What do you think?  Posted by bobby - at 12:03

Categories: 健康   Tags:

自己責任の意味

池田信夫blogで述べられているが、失業は「自己責任」ではない。その通りです。不況による人員調整は、被雇用者の自己責任ではありません。しかしながら非正規雇用という不安定な職を(自ら選択した人もいれば、しかたなく選択した人もいるでしょうが)得た以上は、事前の失業時対策(ダメージコントロールプラン)は自己責任で作成すべきです。

更に言うと、クビを宣告されてから路頭に迷うまで1ヶ月あれば、ハローワークで職を探す他にも、生活保護を申請する事だってできる筈です。有効求人倍率0.76といっても、ソバ屋や町工場の求人はいくらでもあるでしょう。生きる為に必死になるのなら、とりあえずそういう職も検討すべきでしょう。まさかそのような職まで払拭したという話しは聞いていません。

憲法25条1項で保障された生存権は、ソバ屋や町工場で「健康で文化的な最低限」の生活を保障しているのであって、寮つきで月収20万のよりよい職を得る探す為に、「選り好み」の権利を保留する人たちは対象外だと思われます。そういう意味で、日本のハローワークは憲法で保障された生存権を十分に満足していると思われます。

追記:記事冒頭にある、失業は「自己責任」ではない。そうではなくて...という接続詞の表現は誤解を招くので書き改めました。

2 comments - What do you think?  Posted by bobby - at 02:06

Categories: 1.政治・経済   Tags:

生存権はアプリオリか

久間氏がブログのコメント欄で、憲法で保障されている生存権はアプリオリ(経験的認識に先立つ先天的、自明的な認識や概念)であると定義されました。カントによれば「時間と空間はアプリオリな概念」だそうです。ある種の哲学を除けば、国があろうがなかろうが、人間がいようがいまいが、科学的に定義された時間や空間は存在し続けると思われます。しかしながら生存権は、国家があろうが無かろうが、自明的に存在するものでしょうか。「生存権はアプリオリである」と自分の心の中で強く念じても、野蛮人の荒野に1人で立っている状態では、何の意味も無さそうです。政府が生存権を保障し、「私」に対して最低限の生活を保障してくれる社会的なしくみを提供してくれて始めて、生存権がある事を確認できるように思われます。

2 comments - What do you think?  Posted by bobby - 2009/01/15 at 00:51

Categories: 1.政治・経済   Tags:

因果は巡る派遣切り

小倉氏は自身のブログ記事で、派遣切りを「企業のわがまま」と表現していますが、この理解はまずいのではないでしょうか。そもそも非正規雇用者(派遣社員や契約社員)は、正社員が解雇できないルールの為、景気が悪くなった時の人件費を調整するバッファーとして存在しているわけです。工場では予め与えられたオプションを選択したに過ぎません。また小倉氏が述べている「企業が低い賃金の非正規社員を雇用して人件費を浮かして利益を上げた」という認識もおかしいと思われます。非正規社員の賃金が正社員より低いのではなく、正社員労働者の賃金がその生産性に比して高すぎるという見方が正しいと考えます。日本では生産性の低い職種の人が、高い生産性の職種の賃金を搾取している構図を改めるべきです。

久間さんは自身のブログ記事で、池田氏木村氏の「派遣村」に対する記事を批判しています。「無責任な自己責任論は害にしかならない」のだそうです。日本国国民は憲法で生存権を保障されているので、たとえ怠慢で無気力な人であっても、国は彼らの生存を個別に保障しなければならないようです。

ところでこのこの生存権って何でしょうか。 wikiによれば、以下のようになっています。

* すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。(第1項)

* 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。(第2項)

国は、国民が健康で文化的な最低限度の生活が営めるように、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めよ、といっています。国は国民に義務教育の機会を与え、職業訓練所でスキルを身につける機会を与え、ハローワークで(選り好みしなければ)就職する機会を与え、自分で働けない人には生活保護というセーフティーネットを与えています。このように国が整えた環境の中で、五体満足の労働者が自活するのは、やはり個々人の自己責任ではないかと思うのです。

派遣村に集まった500人に対して、自己責任論で批判する人を「無責任」と逆批判する方は、具体的に何が無責任であるかを明確にすべきでしょう。ある1人の派遣社員が解雇されるケースは、今のような不況でなくても随時起こりえます。個別の派遣社員が、自分の生活を自己責任で守る事ができれば、その規模が1万人になっても10万人になっても短期的(数ヶ月間)には問題にはなり得ないはずです。解雇された人がそれぞれ自分の予定したダメージコントロールプランに従って、状況なりの生活に切り替えれば住む事です。

解雇された人が、もともと不安定な身分であったのに解雇時のダメージコントロールプランも無く、「あー、クビになっちゃった。あー、寮を追い出されちゃった。あー、毎月の給料は小遣いで全部消えちゃうからホテルに泊まるお金もない。あー、コンビニや蕎麦屋の店員はやだな。あー、誰か寮付きのいい職を紹介してくれないかな。」などと言ったら、あなたはどう思いますか。せめて生活保護の申請くらい自分でやってよ、と言うのが普通の人の反応だと思われます。

ところで大量派遣切りの理由を国の責任に転嫁するのは、まったくの筋違いであると思われます。金融恐慌の引き金を引いたのは米国ですが、米国不動産バブルの燃料(お金)を大量に供給したのは日本の円(円キャリー)です。そのおかげで日本円は実際より安い期間が長く続いて、輸出産業がたくさんの利益を稼いで国内景気を維持しました。今回切られた派遣社員達も、輸出企業が稼いだ利益の恩恵で職を得ていたと言えますから、米国のサブプライムローンと不動産バブル問題に対して、一方的に文句を言える立場ではなさそうです。円安時代の終焉と共に、大量の非正規雇用者たちが失職しました。

グローバリゼーションが発達したいまの世の中で、まさに因果は世界をめぐっているといえそうです。

Be the first to comment - What do you think?  Posted by bobby - 2009/01/14 at 23:14

Categories: 1.政治・経済   Tags:

中国会計における生産原価の算出方法

独資で進料加工を行っている輸出加工メーカーと、国内販売を行っている全てのメーカーでは、毎月の納税金額の算出の為に、会計では生産原価を算出する必要があります。日本から財務管理者が来て指導している場合は別として、現地の総経理が会計作業を現地の担当者に一任している場合には、私の経験では、10人中8人か9人は下記の方法(あるいはこれの簡易版)で行っていると思われます。

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Be the first to comment - What do you think?  Posted by bobby - 2009/01/12 at 15:39

Categories: コンピュータ及び科学全般ネタ, 1.政治・経済   Tags:

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