3.中国ネタ

生産技術の海外移転は容易ではない

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今朝の産経新聞によれば、シャープが鴻海の傘下に入る事について、ジャパンディスプレイの本間会長は、「シャープの生産技術が海外へ流れれば脅威になる」と述べたようです。鴻海の競争相手だった官民ファンドの産業革新機構は、シャープとジャパンディスプレイを統合させる計画があったようなので、本間会長の負け惜しみとも取れますが、この発言が本気であったとするならば、日本の生産技術についてかなり誤解しているのではないかと思われます。

シャープ・鴻海の“決裂”を期待、未練隠せぬ革新機構…“成立”なら日本勢に脅威

日本の製造技術を支えているのは、一にも二にも、日本的に優秀で定着率の高い現場の作業者達です。海外の製造現場では、現場作業者の流動性が高いところが多くて、教育する端から転職して行きます。たとえば中国の華南地区の多くの工場では、1年で半分近くの工員が入れ替わると言われています。工員の流動性の高い工場では、教育を定着させるのは容易ではありません。

また、日本の生産技術は「日本の文化に根ざした」ものが多く、一般的なノウハウとして切り出す事が難しいのです。一般化しやすいものの中で、3S(整理・整頓・清潔)や5Sなどがあります。これらの活動は、既に多くの海外の製造業が導入しているようですが、形を真似るだけでは、その目的とする効果を得る事ができず形骸化しています。

上記のような問題があって、海外の日系工場の多くでは、現場の指導をする日本人技術者を常駐させなければ品質や技術を維持できないところが多いようです。もしも鴻海のような大規模EMSがシャープの製造技術を導入したいのであれば、シャープの現場技術者を大量に鴻海へ移籍(出向?)させて、現場に貼り付けるしか方法は無いでしょう。

もしそのような状況になると、鴻海の現場が日本人技術者に依存する事になり、生産技術を改善させる一方で、組織が混乱して弱体化する(中国の企業文化は強いトップダウン志向であるのに、日本の企業文化はボトムアップがベースとなっており、折り合いが悪くなる)可能性があるのかな、と推測します。

異なる企業文化を持つ2つの企業が、お互いの長所を活かして合併するというのは、過去の例でもなかなか難しいようです。鴻海がシャープをどのように活かすのか、悶え苦しむのか、今から楽しみです。

【参考文献】

1)歴史の中の5S

2)生産管理講座 – トヨタ生産方式

 

 


Be the first to comment - What do you think?  Posted by bobby - 2016/02/22 at 11:40

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雨傘革命へ至る道

オキュパイセントラルという団体が香港の政府ビル周辺を占拠し、80発の催涙弾がデモ隊に向け発射され、多数の学生を含む数十万人の香港人が参加するに至り、ついに「雨傘革命」なる名前まで付いてしまったこの騒動の本質はどこにあるのでしょうか。

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いろんなメディア関係者が香港を訪れているようですが、はっきり言って、現場を取材するだけでは、いま起きている騒動の本質を知る事は困難です。デモ隊の現場はいくつかの団体とその周辺を埋め尽くす烏合の衆的な賛同者という構成になっており、どこにも中心がありません。

いま起きている事をどう理解したら良いか頭を抱えていたところ、非常によい資料をネット上で見つけました。香港の日本人社会向けに発行している「香港ポスト」というフリーペーパーで、数ヶ月前からの解説記事を見つけましたので、時系列的にならべ、(どの記事も専門的でけっこう長文なので)私なりに要約してみます。各記事の内容はかなり専門的ですが、本騒動を追いかけておられるメディア関係者の方にはぜひ各記事の精読をお勧めします。

1)セントラル占拠の主導権を急進派が穏健派から奪う
(香港ポストの記事はこちらから)

2017年の行政長官普通選挙に関して、香港で社会的地位のある学者達が学術的な議論を重ね、平和的な抗議活動として「佔領中環」(オキュパイセントラル)が慎重に計画されました。この運動は、不法行為でありながら、極めてオープンかつ計画的に準備されている点が特徴です。主催者はまず各方面から普通選挙の実施案を募り、その中から国際的な基準に照らして民主的な普通選挙案と認められる3案を、運動の賛同者による投票で選出します。続いて、ここで選ばれた3案を市民の投票にかけ、最多の票を得た案を「佔領中環」運動としての普通選挙案として確定します。この案が政府に無視された場合、座り込みを発動するとされています。

穏健民主派からは「公民提名(市民による候補者の指名)」を含んでいないものもありましたが、3案として残ったものはいづれも、公民指名を含んだ急進的な案でした。結果として、オキュパイセントラルが目指す目標は、公民指名を含む直接選挙という事になってしまいました。

2)実現不能なスローガンを叫ぶ
(香港ポストの記事はこちらから)

香港には穏健派と急進派(本土派)の2つの民主派グループがあります。穏健派は北京政府と妥協を探ろうとしています。対して急進派は共産党打倒を叫び、穏健派を「偽民主派」と呼んでいます。

「香港を優先せよ」という急進派の主張は単純明快で、表面的にはより「民主派」らしく見えます。しかし、驚くべきことに、急進派の行動は逆に中国共産党を助けているという分析もあります。「香港人の六四集会」の参加者数は主催者側発表7000人、警察発表で3060人でした。現場は大盛り上がりでしたが、彼らが党員数9000万人の中国共産党を倒すことなど到底できません。実現不可能なスローガンを叫ぶだけの急進派は北京にとって実害が少ない一方、本来政府との対抗上団結を必要とする民主派は、分裂の危機に大いに悩まされています。このため一部からは、急進派は「北京の意を受けて中央政府を助けている」とさえ疑われているのです。

どのような中央政府との関係がより香港の利益になるのかという点において、香港の世論の多数派は極めて慎重です。スローガンを叫ぶことは憂さ晴らしにはなりますが、実利をもたらすことができなければ、市民の支持を集めることは難しいと言えそうです。

3)「袋住先」とりあえずもらっておけ
(香港ポストの記事はこちらから)

香港基本法第45条は、行政長官選挙の方法について「最終的には普通選挙で選出するという目標に到る」と規定しています。このため、これまでの議論では、2017年の普通選挙の実現は目標の達成を意味し、その時点で採用される選挙方法は香港の政治体制の最終形となると考えられてきました。2010年1月に民主党が中心になって成立した民主派の組織が「終極普選連盟」と名付けられていたことも、そのような発想の表れと言えます。

これに対し、親政府派は最近、2017年に行政長官普通選挙が実現した場合も、それが最終的な香港の政治体制として固定化されるとは限らないとの立場を示しています。7月20日、中央政府の対香港政策担当の最高指導者である張徳江・中央港澳工作協調小組長は深セン市で香港の親政府派の代表者たちを前に、「世界的に民主の発展にはいずれも過程があり、一歩一歩進めねばならない」と発言しました。在席していた范徐麗泰・全国人民代表大会常務委員は、張徳江氏が2017年の行政長官普通選挙を最終形とは考えず、2017年以降も一歩一歩改革を進めるとの意思を示したと解釈しました。「2017年は最終形ではない」ことを前提に、親政府派は民主派に対し、まずは不完全であっても妥協して政府が提案する普通選挙を「袋住先」し、その後にさらに理想的な民主主義に向けた改善を求めるよう、呼びかけを始めたのです。

4)衰退の時代到来?
(香港ポストの記事はこちらから)

「オキュパイ・セントラル」運動を主導している戴耀廷氏が、8月31日を指して香港の一国二制度と民主化運動の「最黒暗的一天」(最も暗い一日)と表現しました。同日、全国人民代表大会(全人代、国会に相当)常務委員会は、2017年の行政長官選挙についての決定を行いました。

戴耀廷氏は、すべての対話の道は閉ざされたとして、香港は正式に「抵抗の時代」に入ったと宣言しました。9月には様々な民間団体と協力して抗議活動の波状攻撃をかけ、最終的には「オキュパイ・セントラル」を断行するとしています。民主派が30年賭けてきた希望が潰えた今、確かに香港政治に新しい局面が到来する可能性は高いでしょう。

それでは、戴耀廷氏の言う「抵抗の時代」はどのような時代になるでしょうか。一つの可能性は「持久戦の時代」です。民主派に言わせれば、出馬もできない普通選挙よりも、少なくとも出馬はできる現行の制限選挙のほうがましという論理になります。5年後、10年後と、北京は民主派を排除する案を出し続け、民主派は否決を続けるという持久戦が当面続くと想定されますが、民主派は普通選挙の早期実現を望む世論に抗し続けられるのか、多様な民主派内部の団結を維持できるのか、そもそも選挙に勝ち続け、否決に必要な立法会の3分の1の議席を維持し続けられるのか、試練は相当厳しく、持久戦では中央政府に分があります。持久戦で北京が払う代価は少なく、ダメージも小さいからです。

最悪の場合、香港は「衰退の時代」に入るかもしれません。政争が香港の国際競争力を低下させるかもしれませんし、過激行動が「我慢の限界」を越えた時には、中央政府は自由の抑圧や、果ては実力行使、一国二制度の停止まで視野に入れます。こうなると、衰退を超えて香港の死を意味します。

(以上で記事の要約は終了)

上記で使用した4つの記事と、オキュパイセントラルへ至るまでの、香港ポストの関連記事を参考文献として改めて以下に列挙します。香港デモの根本原因に興味のある方はご参照ください。

1)セントラル占拠の主導権
2)「偽民主派」(ニセ民主派)
3)普通占拠は棚上げか
4)1国2制度白書の衝撃
5)民主派の一部を妥協させ可決へ
6)普通占拠の枠組み
7)香港政治の新しい局面

Be the first to comment - What do you think?  Posted by bobby - 2014/10/09 at 19:27

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雨傘革命の現場へ行ってみたー銅鑼湾編

中環には学生たちが居ました。少し話しただけで彼らの事が好きになりましたが、この先どのように政府と戦うのかという戦略を持ちあわせておらず、「私たちは最後までここで戦います」と述べるだけでした。ちょっと暗い気持ちになりながら、最後の訪問場所である銅鑼湾へ向かいました。銅鑼湾は旺角に引けをとらない、香港島いちばんの繁華街です。中環が政治と金融の街ならば、さしずめ銅鑼湾はショッピングの街でしょうか。銅鑼湾のデモ隊の拠点は、ちょうどそごうビルの真ん前の大通りにありました。

 

 

 

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そごう前の通りに座り込んでいた若い女性二人連れに声をかけました。英語の文字がいっぱい書かれたノートを持っていたので、きっと大学生だろうと思ったからです。ところが話をしてびっくり。彼女たちは高校生でした。このすぐ近くの高校が、この騒ぎで休校になった為、路上でのデモに加わったとの事でした。

次に声をかけた数人の若者のグループは大学生でしたが、テントの中から救急セットをかき集めて、医療ブースへ運んでいる最中でした。医療ブースの中で、リーダー格の女性から少し話しを聞く事ができました。要約すると、だいたいこんな感じです。

「私たちにリーダーは居ません。最初はいたようですが、いまは大勢が集まったので、誰がリーダーという事にはなっていません。政府ビルの前の広場は、以前は私たちが抗議をしたりデモをする事ができましたが、新しい行政長官になってから閉鎖されました。私たちは最初はもっと少ない人数で、その広場を取り戻すためにデモをしました。ところが警察に逮捕され、48時間勾留されました。でもそれだけです。すぐにまた外に出る事ができて、デモを続けました。今度はもっと大勢の人達がネットを見て集まってきました。政府ビルの前の広場を取り戻すまで頑張ります。」

今朝から医療担当者がみんないなくなってしまったとかで、忙しそうにしているので、私はその短いインタビューを終えてその場所を離れました。大通りを湾仔方面へ数十メートル歩いていると、反対車線の側で大勢の人が集まっているのを見つけました。

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バリケードを背にして、中年の目つきの鋭い人達が列を組んで人垣をつくっています。その手前に10人くらいの警察官の向き合う感じで向かい合い、対峙していました。さきほどの学生たちのいた場所とは違い、ピリピリした雰囲気があります。警察官と激しく口論している中年の人も何人か居ました。そのうちに、1人と2人くらいの中年の男性が、警察官に両側を挟まれてしょっぴかれかけていました。公務執行妨害でしょうか。なんだか、89年に天安門事件が起きた時に、香港の旺角で起きた旺角油麻地騒乱を思い出しました。あの時は、この数十倍の数のチンピラ風の若者達と、10数人の警察官が対峙していましたが。

旺角・中環・銅鑼湾の3箇所のデモ拠点をまわってみましたが、どこもそれぞれ他とは違う特徴がありましたが、やはり出発点である中環の学生たちに一番好感が持てました。

以上で、今日の現場訪問を終わります。

他にも沢山の写真を撮りましたので、銅鑼湾編の写真をご覧になりたい方は(ここ)をクリックして下さい。

 

 

Be the first to comment - What do you think?  Posted by bobby - 2014/10/04 at 16:42

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雨傘革命の現場へ行ってみたー中環編

旺角には、学生がほとんど見当たらず、目つきの鋭い中年のおやじ達の集団が占拠していました。さて、中環ではどうでしょうか。以下に報告します。

2)中環(セントラル)

ここは政府ビルや金融街で有名な街です。その名の通り、香港の中心と言えます。そして、オキュパイセントラルや学生たちがデモと占拠を始めたのがこの場所です。旺角のデモ拠点を見た後、香港人ビジネスマンとデモについて話す為に尖沙咀で昼食を取り、午後2時半頃に地下鉄でセントラルに来ました。駅が閉鎖されているかと思ったのですが、特にそういう気配は無く、大勢の人が普通にこの駅で下車していました。駅の外へ出ると、先ほど瞬間的に大雨が降ったようで、コンクリートの地面はかなり水浸しの状態です。デモの学生たちはどこにいるのだろうかと少し探したところ、昔のスターフェリー乗り場近く、ザ・香港クラブのあるビルの側面に、デモ隊の拠点がありました。

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先ほどの大雨のせいで、最初は人気が非常に少なかったのですが、現場をうろうろしている間に人が集まりだして、雨の後の整理を始めました。ここにいる人の多くは、学生と思しき若者達です。上の写真にある物資站で荷物整理していた数人の男女に話しを聞いた内容を、Q&A形式でまとめてみました。Qは私で、Aは学生です。

Q:ネットでブログを書いている者ですが、このデモに興味があって来ました。よかったら少し話しを聞かせて頂けますか。

A:はい、いいですよ。

Q:あなた達の組織について興味があるのですが、リーダーやコアになるメンバーというのは居るのでしょうか。

A:最初は居たのですが、いまはリーダーというような人は居ません。ネットで見て応援に来てくれた人が集まって、みんなで政府に抗議しています。

Q:私はここへ来る前に、旺角に行きました。この後は銅鑼湾へ行こうと思っています。これらの離れた場所にある人達は、相互に連絡を取り合っているのでしょうか。

A:いいえ、違います。私たちはこの通りにいます。この通り中では、仲間との通信にウォーキートーキーを使っています。

Q:あなた達は政府と戦うというか交渉しているのですよね。具体的にどのような戦略があるのでしょうか。

A:そういうものは特にありません。

Q:それでは、もし交渉がうまく行かなかった場合の撤退戦略(どうやって終了させるか)というのはあるのでしょうか。

A:それもありません。政府が我々に向けて催涙弾を打ちました。その時点で、私たちが考えるポイント・オブ・ノーリターンを越えました。私たちは最後まで戦います。

聡明そうな男性と女声の学生が、だいたいこんな感じで答えてくれました。彼らはとても良い雰囲気の学生達でした。ちょっとの間話していただけですが、なんだか彼らの事が好きになりました。しかし、海千山千の古強者である北京政府が背後で操る香港政府との戦いであるにも関わらず、この学生たちには優れたリーダーも居なければ戦略も無いようです。交渉の妥協を探る事もできないし、撤退戦略もありません。

なんだか、話していて悲しい気持ちになってきました。いまからでは遅すぎるかもしれませんが、彼らの良き参謀になり、交渉の妥協点を探る手助けをする人は居ないのでしょうか。

くれぐれも、警察の催涙弾には気をつけるように伝えて、この場を後にしました。

他にも沢山の写真を撮りましたので、中環編の写真をご覧になりたい方は(ここ)をクリックして下さい。

(銅鑼湾編へ続く)

 

 

 

 

Be the first to comment - What do you think?  Posted by bobby - at 10:58

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「香港を助けて!」ってどういう意味?

前の記事に続き、香港の民主化運動について書きます。ハフィントン・ポストの記事で、デモを行っている学生(と思われる女性)の一人が、youtubeで「香港を助けて!」という画像をアップしました。

「香港を助けて!」デモ参加者の女性、YouTubeで訴える【動画】 <The Huffington Post>

私は香港特別行政区の民主化が進む事に反対するものではありませんが、この記事で女性がが述べている意見には、ちょっと違和感を感じました。以下に、記事中から意見の和訳した部分を引用します。

「私たちは、この動画を見ている皆さんと同じく、何の罪もありません。私たちはただ香港行政府の人たちに抗議しようとしているだけなんです。私たちは、これまで世界で一番安全だった街で繰り広げられる惨劇を見たくなんかありません。シリアやウクライナ、そして中国で起きているような惨劇はごめんです」

これの何処に違和感を覚えるかというと、

1)ただ香港行政府の人たちに抗議しようとしているだけ
セントラル、コーズウェイベイ、旺角など中心的な市街地を大量のデモ隊が占拠して機能麻痺させる事を「ただ抗議しようとしているだけ」というのはどうかと思います。

2)これまで世界で一番安全だった街
香港という街(擬似都市国家)は英国の植民地として誕生し、植民地政府の総統が統治していました。中国へ返還後は、行政長官を任命していたのは、事実上は北京政府でした。香港は昔から、経済第一、政治は二の次。多くの香港人がレッセフェール(政治が経済に首を突っ込むな)を信奉し実践する事で、「世界で一番安全な街」として発展してきました。そういう歴史をきちんと認識しているのでしょうか。

2)シリアやウクライナ、そして中国で起きているような惨劇はごめん
シリアやウクライナ、そして中国で起きているような惨劇というのは、そもそも、彼女達がいま行っているような「過激な民主化運動」が引き金となっている事を、きちんと認識しているのでしょうか。

学生たちは、台湾学生による立法府占拠の影響を受けているのかもしれませんが、台湾と香港は、政治的な環境がまったく異なります。台湾は北京政府からかなりの政治的な距離があります。香港人の自由を反保している「一国二制度」は、北京政府によって生み出され、維持されています。これ以上の運動の過激化は、「金の卵がもっと欲しくて鶏を殺す」ような状況になってしまうのではと危惧しています。

Be the first to comment - What do you think?  Posted by bobby - 2014/09/30 at 15:39

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香港の民主化運動は誰の為?

香港では今、2017年の行政長官(香港特別自治行政区のトップ)を選ぶ選挙の方法を巡り、北京政府が出した条件に反発して、若者を主体とする大規模なデモが「あちこち」で発生して大騒ぎとなっています。大規模な民主化デモは、これまでも定期的に行われてきましたが、特定の時間帯に定められた径路を大勢で歩く、行儀の良いものがほとんどでした。なので、今回の騒ぎは例外的なイベントとなっています。私は香港に85年から住んでいますが、記憶にある限り、89年の6月に起きた、北京の天安門事件に呼応して発生した大規模デモに迫る「勢い」が感じられます。

今回の民主化デモの経緯をご存知ない方は、下記の記事を参照下さい。要点がよくまとまっていると思います。

香港民主化デモ、知っておきたい5つのこと <The Wall Street Journal>

昨日聞いた話しですが、知人が日曜の夜にセントラルで飲んでいました。夜の10時頃に帰ろうとしたところ、セントラル地区の地下鉄入口がデモの為に閉鎖されており、地下鉄に乗れません。1駅先の金鐘駅まで歩いて、やっとタクシーを拾って、旺角へ行きました。その時点で、既に12時を回っており、地下鉄は営業を終えています。しかし香港は、夜中まで繁華街で飲んで帰る人の為に、深夜ミニバスというのが在り、そのバス駅へ行こうとした訳です。ところが、旺角の手前でタクシーを降りてネーザン道を歩いていると、どんどん人が増えて行き、旺角の中心部はやはりデモの人で大混乱。深夜ミニバスもやってません。仕方なく、もう1つ先の太子駅まで歩き、そこでようやくタクシーを拾って、夜中の2時頃に帰宅でしました。「めちゃくちゃ大変だった」と笑いながら話してくれました。

また、昨日の昼前は、HSBCという香港の最大手銀行の(弊社に近い支店)へ行く用事がありました。綺麗なオフィスビルの12階にある、コーポレートアカウント専用のオフィスです。そのドアを入ったとたん、いつもと違う「雰囲気」を感じました。受付前の壁にある大型液晶TVで、商品宣伝のビデオではなく、旺角のデモのニュースを流していました。その前にHSBCのスタッフが6人くらい集まって、深刻そうな表情でニュースを凝視していたのです。TVの画面には旺角のHSBCのビル前に集まっている群衆が映されており、旺角エリアは閉鎖されてしまい、HSBCの旺角支店も営業できずクローズしたとの事でした。

先に、89年の大規模デモに迫る「勢い」があると書きましたが、違う点もあります。

89年の天安門事件の時には、若者だけでなく、大企業から零細企業まで、中年のヲヤヂ経営者達が社員を先導して、デモや集会に参加したり、新聞に抗議広告を出したりしていました。当時は20代だった私は、うちの社長の友人である中国人経営者達が、ミーティングの後で、「これから社員を連れてデモに行くんだ」と言うの聞いて、大きなショックを受けた事を覚えています。それまで私は、香港人のビジネスマンは政治には関心が薄いと聞いていたからです。

その中年ヲヤヂの経営者達からは、今回のデモでは共感を得ていないようです。私と同年代(中年)の友人で、レッセフェールを信奉する香港ビジネスマンにSNSで聞いてみたところ、今回のデモ騒動には「興奮」しているものの、それではデモに参加するのかというと、彼も、そのビジネス・フレンド達も「NO」でした。「あれはKIDS達のものだ」という認識のようです。その辺をうまくまとめた下記の記事も一緒に参照下さい。

香港、抗議行動で露呈した世代間格差 <The Wall Street Journal>

記事では経済的な視点から述べており、私も同感です。40歳から上の香港人では、月曜から金曜まで広東省(深センや東莞など)の工場で働き、週末に香港の自宅へ戻る生活を続けている人が多くいます。こういう人達は、中国あっての香港経済であり、政治は二の次だという事を肌で知っています。

一方で、香港の30歳前後までの若者はどうかというと、理屈の上での国籍は「中華人民共和国」ですが、アイデンティティーは「香港人」という人が多いと思います。多くの若い香港人は、香港と深センの間に横たわる擬似国境から向こう側(大陸側)へ行きたがりません。「怖い」と感じている人が(弊社の香港人社員を含めて)たいへん多いのです。

香港の中で、世代間のギャップについて述べましたが、それでは大陸側の中国人は、今回の騒動をどのように見ているのでしょうか。

ほぼ全ての大陸側中国人は、「香港は昔から中国の一部である」という価値観を持っています。香港独自の「民主化運動」は、香港を中国から分離させる運動と捉えて、心理的に反発するようです。また、香港人が大陸側中国人を「見下す」発言がしばしばあり、それに対して大きな反発心を抱く人が多い状況があります。更に、「お上」意識が強く、直接選挙や政治的な権利への関心が薄いのです。その結果として、今回の件で香港人の若者達に共感している人は多くないようです。

最後に、香港と大陸中国でビジネスをしている中年ヲヤヂ世代である、私の個人的な意見を述べます。香港がより民主化される事は歓迎します。しかし、そのプロセスとして治安を悪化させ人々の生活を脅かすような「過激な運動」が起きる事は望みません。どんな政治体制も、人々が幸せに生活する為の「道具」でしかないからです。より良い道具を追求する事で、生活が悪化したり市民の人命が失われるのであれば、それは本末転倒だと言わねばなりません。過ぎたるは及ばざるが如し、です。

Be the first to comment - What do you think?  Posted by bobby - at 15:01

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政府の意思をいかに世界へ伝えるか

今日は午後からポテンシャルカスタマーの事務所でERPソフトのデモを行う為に、深圳から広州へ向けて、開通したばかりの広深沿江高速道路を高速バスで移動中です。この高速道路は、昨年末に知人に聞いたところによると、1日に1億元を売り上げる広深高速道路の料金が高すぎるために作られたそうです。新しい高速道路は揺れも少なく快適なので、3G Wifi Routerを使って車中でアゴラの記事を読んでいましたら、興味深い記事を見つけました。

良い日本人と悪い日本人-イタリアの小学校の作文集より 仲宗根 雅則

イタリアには日本が好きな大人や子供が多くいて、日本のアニメ・日本食・文化に興味を持つ者も少なくないが、最近は安部首相による日本の右傾化をみんなで心配しているという内容です。本当に小学生の作文なのかブログ著者の書いたネタなのかは不明ですが、いかにもありそうな内容であり、ケーススタディーとして適していると思われるので、この問題について考えてみました。

まず最初に押さえておくべきは、茶の間レベルでいえば大半の日本人は、日本が戦争に向かって邁進していると危惧しているなどとは考えていないという事です。その上で、大半の新聞とネット上(ブログ等)では、安全保障会議と秘密保護法の成立、中韓政府との問題、首相による靖国神社の訪問などをとらえて、安倍政権が日本を戦前の先軍政治へ回帰させようとしているという記事が多数あり、更に中韓政府が国際メディア向けに同様の批判を繰り返す事で、偏向した記事が世界中に流れています。このような状況を前提として考えてみれば、イタリアの小学生の作文の記事はまさに、中韓および日本のマスコミの偏向記事が世界の末端まで浸透しているという問題を表しています。

日本のマスコミも世界のマスコミも、ジャーナリズムうんぬんなどと立派な事を言っても、しょせんは「売れてなんぼ」の商売ですから、情報を正しく伝達する媒体として信用する事などできません。それではどうすれば日本政府の意図を世界の末端へ、情報を正しく届ける事ができるのでしょうか。

方法はカンタン(ただしそれなりの予算が必要)です。政府の意図を世界へ向けて発信するブログ記事を、専門の広報チームを立ち上げて、世界の主要言語で発信するのです。靖国問題、尖閣問題、慰安婦問題、日韓併合問題などは、歴史的な経緯や現在直面いている問題などを含めて、情報発信してはどうでしょうか。政府側の書き手以外に、国内外の専門家に記事を書いてもらう事も効果的だと思われます。

韓国はいまだに日韓併合は日本による侵略との立場から世界中で意見を述べていますが、日韓併合の国際法的な正当性を確認する為に、たとえば欧米の国際法や歴史学者による専門的かつ客観的な記事を書いてもらう事は効果的ではないでしょうか。日本政府の戦略として、日韓併合の合法性と、第二次大戦終了まで朝鮮半島の国民は日本人であったという事を世界中へ周知の事実として知らしめる事ができれば、慰安婦問題や賠償問題などで、韓国政府は多くの対日カードを失う事になると予想されます。

第二期安倍政権でも戦後レジームからの脱却という想いを胸に秘めていると考えます。自らの理を貫き、世界に理解してもらう為には、政府直轄の多言語広報装置が必要です。このような装置として、ネットでブログ発信という器は非常に効果的です。ただし器は器。器にどんなコンテンツを入れるかが勝負。その為には国際的なネット広報の専門家、専任の編集者、上質の記事が必要です。それを実現するには、それなりの予算が必要です。

安倍政府が世界の理解を得る為に、ぜひともブログ発信を検討されては如何でしょうか。

 

追伸:

首相官邸のページも、日中英だけでなく、少なくとも欧米アジア主要国の言語をサポートするべきではないでしょうか。

6 comments - What do you think?  Posted by bobby - 2014/01/14 at 13:21

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グローバル経済の行方

世界の経済はいまのところグローバル化を続けていますが、このトレンドはいつまで続くでしょうか。12月7日にインドネシアのバリ島でWTOの閣僚会議が開かれ、そこで「画期的」な進展が見られました。この会議では2つの点で画期的でした。1つ目は、WTO発足以来はじめて、すべての参加国による合意に達したという事です。これまでのWTOは、先進国主導で行われ、途上国との溝を埋める事ができませんでした。2つ目は、WTOの主導役が米英を中心とする先進国からBRICSへ変ったという事です。今年9月にWTOの事務局長に就任したブラジルのロベルト・カルバーリョ・デ・アゼベド氏の尽力によるところが大きいですが、BRICS諸国がアゼベド氏の調整交渉を支えたという見方があります。

WTOで画期的合意、「税関手続きの簡素化」など3分野

次期WTO事務局長にブラジルのアゼベド氏、メキシコの候補を破る

WTOの主役が米英からBRICSへ移るというのはどういう意味なのでしょうか。良くも悪くも、経済のグローバル化を先進国の先頭に立って牽引してきたのは米国(1極)でした。これがBRICS(多極)へ移行すると、現在のグローバル化の波は静かに世界的なブロック経済圏へと収束してゆく可能性があると考えます。

さて、そこで我々の日本がある東アジアへ目を向けてみましょう。日本は第二次大戦の敗戦を経て21世紀の今日までに、おおきく経済成長しました。(*1)

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この20年間、経済成長が停滞していると言われますが、家の中は家電製品で満ち溢れ、贅沢な生活を維持しています。贅沢度を図る尺度として1人あたりのエネルギー消費(*2)で比較すると、北米が飛び抜けて高く、日本を含む先進諸国がそれにつ続き、インドのような途上国との差が大きい事は明白です。

 

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ところで世界には、1日あたり1ドル未満で暮らす貧困層が途上国(中国・インド・南米・アフリカ・中近東)(*3)を中心にかなり存在します。このまま経済のグローバル化が進展したとして、すべての途上国が、日本人のように贅沢な生活をするようになる事は可能なのでしょうか。

スクリーンショット 2013-03-24 1.01.01 PM

アゴラで辻元氏は、不都合な真実から目を逸らさない勇気を持とう(*4)と述べ、地球上で生み出される食料生産とエネルギー生産は有限であるから、途上国が経済発展の道を進めば、必然的に日本や欧米先進国は今より貧しくなると主張しています。その一方で池田信夫氏は、資源の物理的制約は本質的な問題ではない(*5)と述べ、非在来型ウラン(*6)がエネルギー問題を解決し、農業技術の進歩は人口増を上回っており、ほとんどは所得配分という経済問題に過ぎないと述べています。

辻氏と池田氏の意見はそれぞれ耳を傾けるべき内容ですが、実は両者の意見には重要なポイントが欠けているように思われます。途上国が経済発展する為には、輸出により経済発展する国力が必要ですが、国力は国によりまちまちです。先進国の市場は既に先進国が抑えていますので、途上国が大きく経済成長するには、他の途上国を輸出市場として搾取する必要がありますが、たとえば中国・インド・インドネシア・ブラジルのように人口が億を超える大国が、先進国と競争を続けながら、一人あたりのGDPで先進国の仲間入りをするに十分な規模の経済フロンティアが、この地球上に残されているかは大きな疑問です。

また、非在来型ウランの埋蔵量が世界中の人口を長期間まかなうだけあり、農業技術が進歩し続けるとしても、原発を十分に建造し、原発燃料や食料を輸入し続ける経済力の無い途上国は、貧しいまま発展から取り残され続けます。つまり、途上国のすべての貧しい人々が、いつかは米国人や日本人のような豊かな暮らしができるような経済発展というのは、実現は極めて困難であろうと考えられます。

経済発展できる国はどんどん発展するが、国力の無い途上国は貧しいまま取り残された状態で世界が均衡する遠くない未来のある時点で、グローバリゼーションは非効率となって停止します。世界のそれぞれの地域で経済均衡が進むと、その地域の中でほとんどのモノやサービスの需給が完結するようになります。すると地球の反対側から船や飛行機で運んでくるような物流経費を売価へ転嫁する事が難しくなるでしょう。そして世界の経済は地域ブロックを中心に、ブロック経済へと移行する可能性が高いと推測します。欧州は既にEUによるブロック経済が確立しています。北米3国は北米自由貿易協定でブロック経済化しています。ではアジアはどうなのでしょうか。

アジア諸国にとって、アジア最大の市場といえば中国でしょう。人口は13億を超え、さらに2億を超える中産階級があり、安ピカ物から高級品まで幅の広い巨大な市場を形成しています。そこで2005年に、中国とASEAN10カ国によりACFTA(*7)が開始されました。ACFTAは域内人口19億、域内GDP6兆ドルという世界最大のFTAです。(*8)その結果、ASEAN諸国は対中貿易を中心にして発展を続けています。(*9)

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更にACFTAでは、加盟国間での加工貿易や第三国(工場の本社がACFTA非加盟国の日本・韓国・台湾など)を経由した輸出入にも対応しており、製造についてはジャパン・パッシングに対応しています。(*10)

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経団連は TPP加盟を要請しているようですが、輸出メーカーの主力工場の多くは既に中国とASEAN諸国に移行しており、日本がTPPに加盟するメリットより、ACFTAのNormal Track品目が2015年に関税ゼロになる事の方がよほど重要性が高いのではないかと思われます。

2005年に中国主導ではじまったACFTAですが、輸出メーカーを中心に発展を続けると、いづれACFTAに日本・韓国・ロシア・オーストラリア等が加入を余儀なくされ、気がつけば中国主導のブロック経済圏が完了している、という事になりかねない状況がある事をみなさまにお知らせ致しつつ、結びの言葉に代えさせて頂きます。(合掌)

 

参考資料:

1)日本の実質GDPの推移
2)一人当たりのエネルギー消費量の推移(主要国)
3)Percentage population living on less than 1 dollar day 2007-2008
4)不都合な真実から目を逸らさない勇気を持とう
5)資源の物理的制約は本質的な問題ではない
6)非在来型ウランの埋蔵量について
7)開始後1年のASIAN – 中国 FTA(みずほ銀行)
8)急速に構築が進む東アジアの自由貿易・経済圏
9)ASEAN と中国の FTA(ACFTA)と経済関係の深化(三菱東京UFJ銀行)
10)ASEAN‐中国自由貿易協定(ACFTA)の 物品貿易協定 (JETRO)

3 comments - What do you think?  Posted by bobby - 2013/12/12 at 12:09

Categories: 1.政治・経済, 3.中国ネタ   Tags:

防空識別圏が東アジアへ広げる波紋

アメリカにとって東アジアには適度の緊張と平和が望ましいのかもしれません。日中韓があまり仲良くなると、アメリカがアジアから閉めだされるかもしれないからです。しかしながら、適度の緊張というのはなかな調節が難しく、ともするとどちらかへ大きく振れようとするものです。

中国が尖閣諸島を含む防空識別圏の設置を発表した事で、日中間の緊張が高まっています。ところで中国の防空識別圏には尖閣諸島だけでなく、中韓間の領海問題である離於島(中国名:蘇岩礁)(*1)が含まれています。今回の騒動で、韓国の防空識別圏に離於島が含まれていないだけでなく、なんと日本の防空識別圏に含まれている事が韓国のメディアと国民に知れ渡ってしまいました。当然、政府には強い突き上げが来ます。そこでついに、韓国政府は離於島を防空識別圏に含めようと決意したようです。いよいよ韓国政府も東アジアの防空識別圏の騒動へおっとり刀で参戦です。

韓国の防空識別圏拡大案、きょう確定へ

日本は「防空識別圏」で韓国に譲歩すべきだ―米メディア

さて、こうなると日本の対応が更に注目されます。中国は日本へ尖閣諸島を、韓国へ離於島を含める事を要求し、韓間は中国と日本へ離於島を含める事を要求しています。では日本はというと、安倍政権の性格および国民とメディアからの圧力によって、韓国に対して離於島を譲歩する代わりに、竹島を防空識別圏に含める事を要求するのではないかと推測されます。当然の事ながら韓国では政府と国民とメディアをあげて、大絶叫状態となる事は容易に予測されます。

アメリカには、日中・中韓の緊張状態を望む勢力はあるでしょうが、日韓間の緊張がこれ以上高まる事は誰も望まないでしょう。にもかかわらず、中国が防空識別圏に尖閣諸島と離於島を含めた事で、日・中・韓・米の4国間へおおきな波紋を広げているようです。

もともと、日本の防空識別圏はGHQ(アメリカ)が設定したものをそのまま引き継いています。(*2)日韓間の防空識別圏問題の火種は、占領時代のアメリカが残していったもののようです。いったいアメリカは、日韓間のこの騒動をどのように収束させてゆくのでしょうか。

参考資料:
1)蘇岩礁
2)防空識別圏

3 comments - What do you think?  Posted by bobby - 2013/12/07 at 12:15

Categories: 韓国, 1.政治・経済, 3.中国ネタ   Tags:

TPPと日中韓FTAの相互関係

米国主導の通商協定であるTPPについて、日米政府間で事前協議がまとまったようです。TPPでは、「交渉にすら参加するべきでない」という不思議な意見が議員や民間の中に多くあり、大きな違和感をもって様子を眺めておりました。それが安倍政権になって、やっとまともな方向へ舵取りができるようになり安心しています。

TPP日米事前協議で合意…7月にも交渉参加へ

ところで、TPPは日本の輸出入産業とってどれほどのメリットがあるのでしょうか。日本から見たTPPにおける主要な大市場は米国だけです。米国の景気は上向きのようですが、民間の極端な消費傾向がみられなくなった現在、米市場はそんなに魅力的なのかという疑問があります。おおきな下請構造をグローバルに展開している自動車や電機メーカーにとって、生産国としてマレーシアとベトナムしか交渉参加していないので、どれほどの利用価値があるのかもやはり疑問です。

やはり日本がTPPに参加する真の目的は、米国の対中政策という政治的な目的が強いのではないかと感じられます。

その一方で日中韓FTA交渉がつい先日、3月28日に行われたようです。こちらの方が、自動車・電機・鉄鋼など製造メーカーにとってはより関心の高い通商交渉ではないかと思われます。日本のグローバル製造メーカーが工場を展開している中国とASEAN諸国には、中国主導でACFTAが存在しており、以前に書いた「中国が仕掛た東アジア経済ブロック圏」(ここをクリック)で紹介したように、参加国間の関税はかなり下がってきています。このACFTAにとって重要だが除外されているのが日本と韓国です。日本と韓国は、このエリアにたくさんの工場をもっていますが、ACFTAでは日本と韓国は商品を経由する事しか許されていません。

しかし日中韓FTAが成立すると、日本・韓国から中国工場へのコア部材の輸出の関税がゼロまたは低減され、製品のコストをより低減させる事ができます。また、中国工場で製造した製品をASEAN諸国へ無・低税率で輸出する事もできるようになります。

最終的に日中韓FTAがACFTAに融合すると、東アジア経済圏の下地のようなものが出来上がるのではないでしょうか。

ところで、日中韓の国家間関係はかならずしも良好とは言えません。そんな状態で、日中韓FTAの交渉がまとまるのでしょうか。そこで鍵になるのがTPPの交渉です。日中韓FTA交渉とTPP交渉は相互に影響を及ぼし合っているようです。米政府はTPPを中国に対する牽制に使いたいようです。中国から見ると、日本が米国に取られる前に日中韓FTA交渉を早く成立させたいようです。そういった綱引きをうまく利用して、日本政府は通商および外交的な政策を進めるべきではないか思いました。

2 comments - What do you think?  Posted by bobby - 2013/04/09 at 14:41

Categories: 1.政治・経済, 3.中国ネタ   Tags:

日本式の生産管理はグローバル化に適応できるか?

日本が戦後に飛躍的な成長を遂げたのは1954年から1973年までの19年間です。そして1968年に国民総生産が当時の西ドイツを抜いて2位になりました。(*1)この期間に貿易赤字から貿易黒字に転じた事から、経済成長が輸出主導で行われたことは異論のないところだと思います。(*2)輸出主導とは、経済成長の主な源泉が、製造業の製品(完成品や中間財)を海外へ輸出して稼いだお金が、国内の経済発展を牽引したという意味かと思われます。2002年から2009年のいざなみ景気も、輸出主導であったと考えられます。(*3)この事から、日本の企業の中で、海外と比して優位であるのは製造業であろうと考えられます。では、日本の製造業は何が優秀なのでしょうか。

 

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1)製品開発力で優れているか:

日本のメーカーが自社開発して販売している製品(完成品や中間財)の多くは、先行する欧米メーカーの製品をキャッチアップしたものやその発展形に過ぎません。トランジスタラジオ、商用ビデオレコーダー、ウォークマン、青色発行ダイオードなど創造的な製品開発力が無いという訳ではありませんが、それは一部企業の特徴であって、日本企業全体の普遍的特徴とは言い難いと思われます。ただし、既存製品を改良してより良い製品を生み出すという意味での開発力は、普遍性があると考えられます。

2)技術力で優れているか:

日本が輸出で稼ぐ事ができた主要な理由は、欧米の先行メーカーに比して低価格・高品質であった事から、工場における技術力が高いレベルである事は間違いないと考えられます。

3)経営力で優れているか:

日本は国際的に見て収益性が低いようです。(*4) 政府も経営者もオワコンの具体例で説明しましたが、経営者は、せっかくの高い技術力と品質を収益力の向上に結びつける事が苦手です。(*5)長い間、日本製品の競争力は低価格と高品質の組み合わに依存していました。経営者は技術力を販売価格へ転嫁する為の経営力で劣っていたと言えます。また、プラザ合意から現在に至るまでの円高の流れの中で、経営努力として評価できるのは中国その他の東アジアへの工場移転です。その結果、国内工場から消費国への輸出は減少しましたが、特に中国工場から消費国への輸出がどんどん伸びました。(*6)

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上記をまとめると、日本の製造業は技術力や製品開発力では優れているものの、経営力では劣っており、欧米企業と比べて低収益であるという事になります。更に近年、日本の製造業は韓国や中国メーカーとの激しい競争に晒され、サムソンの液晶テレビやスマートフォンなどが日本製品をデザイン・機能・価格で日本製品を凌駕している事を見ると、商品開発力でも日本の優位性は徐々に失われている可能性があります。では、技術力ではどうなのでしょうか。

日本の技術力には、高密度実装のような技術力、品質を高める技術力などがありますが、特筆するべきは製造におけるオペレーション効率(生産する時の効率)であったと言われています。しかし、欧米企業だけでなく中韓などアジアを代表する製造業もオペレーション効率の向上に務めた結果、それほどの差はなくなっています。(*7)

工場で製品製造の品質・原価・工程を管理する為に生産管理という概念があります。(*7)そして、日本国内の工場では、生産管理の作業を現場がボトムアップで支援して成立させる企業文化があります。これを外から見ると、顧客の納期に間に合うように「阿吽の呼吸」で製造が行われているかのようです。私が思うところ、日本の製造業がオペレーション効率で他国に優っていた最大の理由、日本の技術力の正体とは、まさに製造現場の労働者の総合力(技術力と管理力)であったと考えられます。(故にでしょうか、日本の大学で生産管理やSCMを学部や大学院で教えているところは非常に少ないようです。また、日本の本社から来た生産管理の方の話しを聞くと、生産管理は現場で覚えるものであって大学で生ぶものではないという考え方が強いようです。)

ところが日本の製造業は、円高の進行に背中を押されて、1990年代から工場をアジアへ移転させ始めます。特に2000年以後はこの流れが加速し、いざなみ景気を背景として、日本の製造業の空洞化と、特に中国への工場移転が進みました。私は1990年代後半から広東省へ移転した日本の工場の生産管理システムに関わり始めて現在に至っていますが、一貫して感じている事があります。中国に移転した工場は、合弁先の現地企業が主体で製造を行う以外、先に述べた日本式の企業文化を持ち込んでオペレーションしている為に、継続的かつ根本的な問題を内在させています。

中国(アジア)の工場では、労働者の転職率は非常に高く、たとえば中国華南エリアでは一般的にラインワーカーの半数以上が1年から2年で新人に入れ替わります。いくら日本式の企業文化を刷り込んでも、短くて数ヶ月、長くても数年で大半の労働者が転職で入れ替わるので、日本式の企業文化を維持する上で、日本人の技術者の駐在が不可欠になります。これは工場経営にとって大きなコストアップとなり収益を低下させます。

更に、日本の企業文化に不可欠な、現場の労働者による自発的なボトムアップでの管理というのが海外ではうまく機能しません。日本と中国(他のアジアの国でも)では労働者の気質(文化的背景)が日本と大きく異なり、管理と製造の分業が明確になっているのです。「ところ変われば品変わる」あるいは「郷に入りては郷に従え」で、中国の文化に適合した生産管理と製造のやり方が求められます。しかしながら私の知る限り、日本企業が主体的にオペレーションしている全ての日系工場の経営者や管理責任者が、「日本式生産管理」を行なっており、その結果として在庫の問題や生産性が改善しない事で悩んでいます。

それでは中国の工場はどうしているのかといえば、工場のオペレーションは経営者によるトップダウンで行う事が一般的です。大企業では更に、経営者はマネージャーを管理し、マネージャーは部門配下の労働者を管理するというヒエラルキーが存在します。(日系企業にも名目上のヒエラルキーは存在するが、権限と責任がきちんと定義されておらず、その一方で結果責任を追求される傾向があり、効率的にワークしているとは言えない会社が多いと感じています。)

生産管理(品質・原価・工程)も中国の工場では生産管理課のマネージャーが「司令塔」としての大きな権限を持っており、製造計画や日々の製造の指示などは生産管理課が明示的な指示を出し、製造課はその指示に従って製造する事だけに集中しています。日本のボトムアップな方法とはかなり異なるやり方です。その為に、中国では2000年代のはじめから生産管理や狭義のSCM(工場内の受発注在庫管理)を教える大学が増加しはじめ、現在では100校を超える大学が学部や大学院で教えています。中国の企業も、大学や大学院で生産管理を専攻した学生を積極的に採用する事で生産管理のレベルアップを図り、10年前と比べてオペレーション効率を飛躍的に高めています。中国では生産管理の人材は豊富であり、私の会社でもERPチームのコンサルタントとして生産管理やSCMを専攻した大学院の修士をどんどん採用しています。

現在、日本の電機メーカーの弱体化が懸念されています。これらの企業の収益悪化の原因のひとつとして、中国をはじめとするアジアへ工場を移転したが、現地工場のオペレーション効率を思うように上げる事ができない事が、収益の足を引っ張っていると考えます。日本式の生産管理手法は、日本人の工場ワーカーがいる事が前提条件であり、世界中でユニバーサルに成立する方法ではないという事を1日も早く自覚するべきです。私の会社では、そういった問題意識を持った日系の中小企業工場に対して、中国に適した工場オペレーションの標準化と効率化を行うコンサルテーションを行なっています。(最後は自社の宣伝になってしまいました、すみません。)
参考情報:
1)高度成長期 (wikiより)
2)対GDP比で見た輸入・輸出・純輸出の推移(1955-2010年)(三度の飯より統計データ)
3)いざなみ景気 (wikiより)
4)年次経済財政報告 (内閣府)
5)政府も経営者もオワコンの具体例 (Mutteraway)
6)世界市場における日本の輸出シェア(内閣府)
7) 生産管理概要(中小企業診断士 藤原敬明)

Be the first to comment - What do you think?  Posted by bobby - 2013/02/25 at 00:26

Categories: 1.政治・経済, 3.中国ネタ   Tags:

中国との関係改善の必須条件

このような表題にすると、「中国と付き合う必要はない」という意見が返ってきそうですが、日本の置かれた地理的状況を見れば、そういう訳には行きません。

中国の対米防衛戦略として第一列島線、第二列島線というものがあります。下記の図(こちらのブログより引用)を見れば明白なように、日本列島は中国沿岸へ接近する米艦隊に対する「塀」として、防衛戦略の中にガッチリ取り込まれているのがわかります。どこの国でも防衛戦略というのは死活問題の類ですので、日本がほっといてくれと言っても、中国政府に聞く耳があるとは思えません。

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経済的な視点から見ても、巨大な市場と生産力を持つ中国と隔絶し続ける事はできません。市場となり得る途上国は急速に減少しつつあり、グローバル化の流れは、どこかの時点でブロック経済圏へ収束して行くと思われます。その時、東アジアではどう見ても、中国をコアとしたブロック経済圏となる可能性が高いでしょう。そうなれば、日本、韓国、ベトナム、ラオス、ミャンマー、タイ、カンボジアあたりまでは東アジアの経済圏へ吸収されてしまうでしょう。

上記で述べた2つの問題を回避する為には、日本列島を海底から切り離して、太平洋の反対側へでも移動させる事ができれば良いのでしょうが、そんな事は(今のところは)不可能です。逃げる事ができず、無視する事もできないならば、中国との長期的で良好な関係を構築するのは日本にとって合理的な選択です。

日本と中国の長期的な関係構築において、根本的な問題となっているのは、中国人の反日感情だと思われます。私の個人的な経験では、いままで会った中国人(タクシーの運転手や食堂の服務員も含めて)で、面と向かって「お前は日本人だから嫌いだ」と言われた事はありません。中国には13億を超える人がいますので、無条件に日本人が嫌いな人も探せばいるのでしょうが、全体としては少ないと考えています。(その証拠に、日本製品の売上は反日騒動のあと、現在は回復傾向にあります)個々の中国人は、積極的に日本人が嫌いという人は多くないとしても、それでも反日騒動という社会的な現象が発生する理由は、中国政府による継続的な反日教育が人々の心の深層へ偏見を埋め込んでいるからだと考えます。

さて、反日教育という言葉はよく聞きますが、実際に学校でそういう教育をしているのかというと、実は良く解りません。うちの会社の社員の何人かに個別に聞きましたが、高校や大学でそのような授業は記憶に無いとの事でした。学校での反日教育というのは、過去にはあったのかもしれませんが、いまは明示的には行われていないのかもしれません。では、反日教育はどこで行われているのでしょうか。

考えてみれば、13億人を超える人口の7−8割は農民戸籍の人達です。彼ら彼女らの大多数は学校の勉強には興味が無く、中卒か高卒で社会へ出て、農家を継いだり、出稼ぎ労働者となって工場や食堂や運送関係など社会の底辺の職場で働きます。その底辺労働者の最大の娯楽といえばテレビ放送です。

中国へ出張した経験のある方ならご存知かもしれませんが、中国のテレビでは毎日必ずと言って良いほど、日本の軍服を着た「日本鬼子」が登場して、可哀想な中国人を騙したり殺したりするドラマをやっています。子供から老人まで、テレビが大好きな中国人の大多数が、この手のドラマを文字通り毎日毎日見て生活しているので、ごく自然に、日本人(日本軍)は残酷な人でなしであると刷り込まれてしまうのではないかと思われます。(そういえば私が子供時代に、テレビで放映していた米国製の戦争映画やドラマには、かならず悪逆非道なドイツ軍兵士が登場していましたが、あれも米政府が米国民に向けての洗脳だったのでしょうか。)

そこで安倍政権(と未来の政権のみなさん)へお願いなのですが、中国政府に対して根気よく、日本軍を悪役に仕立てたテレビドラマの放映を止めるように交渉して頂く事はできないでしょうか。中国のテレビと新聞は、特に政治的プロパガンダについては中央政府の意向がダイレクトに反映するメディアであるので、中央政府が「やめろ」と通達すれば、あっという間になくする事ができます。

とはいえ中国政府は一枚岩ではなく、面子を失えば国家主席といえども任期半ばで交代劇というのも有り得るので、方針転換は簡単にはゆかないでしょう。たとえ時の政権が理解し、内々に合意を得られたとしても、周到な準備が必要であり、実現には何年も要するでしょう。

そのような時間と手間と膨大なエネルギーを要したとしても、2国間を長期的に良好な関係に改善するという目的を果たす為には、必要な事であると考えます。

 

5 comments - What do you think?  Posted by bobby - 2013/02/10 at 11:47

Categories: 1.政治・経済, 3.中国ネタ   Tags:

トリクルダウンは詐欺か?

内田樹氏の「国民国家とグローバル資本主義について」でトリクルダウンを詐欺的理論と述べています。これはwikiによれば、「富める者が富めば、貧しい者にも自然に富が浸透(トリクルダウン)する」という意味で、新自由主義の代表的な主張のひとつだそうです。1981年にレーガノミックスと言われるトリクルダウン政策を始めた米国のレーガン大統領は、大統領の2期を通じて景気や失業率を改善させたようですが、財政赤字が膨れ上がらせてしまい、トリクルダウンの効果は疑問視されているようです。

トリクルダウンの説明を読んで真っ先に思い出したのが鄧小平の「先富論」です。鄧小平が新自由主義だったとは思いませんが、なんらかの影響を受けているのかもしれません。鄧小平の先富論のもとになっている改革開放政策は、レーガン大統領より少し前の1979年の年末に開始され、およそ5年後の1985年に先富論が述べられました。しかしその効果を見るにはかなりの歳月を要しました。15年後の2000年、江沢民政権の末期には中国沿岸部の経済が目に見えて発展するようになりました。次の政権である胡錦濤の時代を通じて、中国は財政赤字をそれほど膨らませる事なく、GDP世界第二位の経済大国へと躍進しました。結果として資本主義国である北米ではなく、社会主義国であった中国が資本主義国化する過程においてトリクルダウンが実現したというのは、ある意味で皮肉と言えるかもしれません。

中国でトリクルダウンが実現した理由について素人なりに考えて見ると、

1)主な投資は外国企業の流入資本であり、中央および地方政府は財政の圧迫を免れた。

2)流入した外国資本は投資目的である工場や不動産を介して、政府、企業、労働者を同時に富ませた。

3)中国政府は市場に任せず、外資の流れを厳しく管理したので、流入した外資による富が大きく偏らなかった。

4)ゆっくり発展したので、流入した富による国内企業による実体経済の自立的発展が可能になった。

よく、中国は都市部と農村などの田舎で大きな経済格差があると言われています。たしかにそれはありますが、改革開放が始まる30年前の、みんなが平等に貧しかった時代と比較すれば、現在の貧しい農民でさえ、30年前の都市部の一般市民より遥かに良い生活を送っている事は間違い有りません。単に、比較の問題として、都市部のバブリーな生活をしている人とくらべて質素であるとううだけの事です。

しかし、経済が大きく発展して複雑化した結果、これからの中国は必ずしも実体経済の成長を伴わない富の集積が起こる事が予想されます。株式市場や保険会社など、必ずしも実体経済の成長を伴わずにお金を儲けられる経済的なしくみが導入された結果、欧米にみられるトリクルダウンの弊害(富が下から上へ流れる現象)が既に始まっているようです。温家宝の経済スキャンダルなどはまさに、その典型例かもしれません。

政府が家父長的な意図のもとに国民や社会へルールを押し付けるのが大好きな中国では、いづれ金融業界への規制が始まるかもしれません。

Be the first to comment - What do you think?  Posted by bobby - 2013/01/13 at 18:39

Categories: 1.政治・経済, 3.中国ネタ   Tags:

ここ最近の中国ネット事情

週末でブログを書く時間があるというのに、ハードに響くようなネタがありません。という訳で、今日も閑話休題的な中国の身辺記事です。今日は、最近特に海外へ繋がり難い中国のネット事情について、つれずれなるままに書いてみます。

今年は北京で政権の入れ替えイベントがあったせいか、10月くらいから香港へVPNが繋がり難くなったり、ライブドアやヤフーなどのサイトが数日間アクセスできなかったり、弊社の香港サーバーから提供している業務用クラウドシステムが、ある特定のお客さんで数日間くらいアクセスが不安定(速度が遅くなり、特定のJavascriptが動作しない、PDFレポートがダウンロードできない等)になったり、いろんな事が起きていました。それが12月中旬から現在まで、更に厳しい状況になっています。それもこれも、中国の公安内にあるネット監視部門の警戒レベルが高まっているからと考えています。

日本で公安というと、思想犯やテロ組織を追いかけるような特別な警察組織です。ところが中国で公安というと、街を巡回しているような普通のお巡りさんの事を指します。事件が起きた時に出てくる刑事なども、もたぶん公安組織に含まれます。ちなみに街中にいる警察には、他に交通警察と武装警察があります。交通警察は大きな交差点で人間信号機をやったり、速度違反や右折禁止違反などを取り締まったりを専門にする警察官です。武装警察というのは喧嘩がめちゃ強い(脳みそまで筋肉で出来ている)荒くれ男の集団で、大規模な喧嘩や暴動の鎮圧が専門です。上海の日本領事館前でデモ隊が押し寄せた時に、ヘルメット被って盾をもってずらっとならんでいるのが、武装警察官さんたちです。

横道に逸れましたが、この公安組織の中にネット公安(仮称)の人達がいて、ネット上を飛び交うデータパケットの中から、社会秩序を乱す輩の通信がないかどうかを見張っています。中国には法輪功や先日の新興宗教騒ぎをはじめ、共産党を敵視する非合法結社がいくつかあり、中国政府はそういう団体の活動を大変恐れています。それで、そういう人達のものと思われるデータ通信を傍受して手がかりを見つける為に、ネット公安所属の金盾(グレートファイアーウォール)という自動監視装置がインターネット・プロバイダーのルータの向こう側に設置されています。この金盾は、私の知る限り誰も実物を見た事はありませんが、ネット業界では周知の事実となっています。

この金盾の図を見ると、すごいファイアーウォールがネットの中央にデンと居座っているように感じられますが、私の経験では、非常に沢山の台数の量産型の監視専用ファイアーウォールが、各地のプロバイダーのマシンルームに分散して設置されているのであろうと推測しています。たとえば、事務所ではVPN接続をブロックされるのに、数キロ離れた自宅では問題ないとか、そういう状況が多い事が経験的にわかっています。ADSLの線は最寄りの基地局から3−5キロくらいが限度です。また地区が異なると、物理的に近くても別の基地局に接続されます。たぶん、金盾はADSLの各基地局ごとに設置されているのだろうと思われます。

そういう意味で、昨日は興味深い経験をしました。東莞市長安鎮のあるお客さんから、うちの香港サーバーで提供しているクラウド型の業務システムでPDFレポートのダウンロードが遅くて使えないと連絡がありました。電話を受けた時にたまたま近所にいたので、帰り道のその奥さんに寄り、中国移動(携帯電話会社)のポータブル3G Wifi モデムを持ってゆきました。そのお客さんは事務所では中国電信のADSLを使っていて、中国内のサイトへのアクセスはまったく問題ありませんが、うちのクラウド型業務システムにアクセスするとめちゃ遅いのです。私のMACを社内のLANにつなぎ、香港のサーバーにPingを打つと100ミリ秒(わりと速い)の反応があります。ところがウェブ画面、PDFファイルとエクセル表のダウンロードはめちゃ遅です。そこで、先に述べたポータブル3G Wifiモデムをユーザーさんのパソコンの1台に接続したところ、普通の速さでファイルのダウンロードができるようになりました。中国移動は中国電信とは別のしくみの金盾をつかっていて設定内容も異なるので、問題なくアクセスできたという事だと推測しています。

いろいろ書きましたが、公安(中国政府)は、海外との通信には常に神経質になっているが、いまは特に警戒レベルがとても高いので、海外サイトへのアクセスはIPSecVPNを使う事を検討された方が良いと思います。更に、駐在員の方は、日本本社のメールサーバーへ直にアクセスするのではなく、中国内のメールサーバーへ転送してもらった方が良いとおもいます。その方がメールの送受信が速いし障害が少ないでしょう。

1 comment - What do you think?  Posted by bobby - 2013/01/12 at 00:09

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中国は高速バスが安くて便利

昨日の記事で、私が広東省をあちこち移動するので中国のビジネスホテルを頻繁に利用するという事をお話しました。今日は、広東省のあちこちへどのように移動するかについてお話したいと思います。

以前に2年ほど長期コンサルタント契約で、ある日系企業の上海事務所に勤務していた事があります。その時は上海の事務所から上海郊外、蘇州、無錫あたりまでは社用車を使って移動していました。ある程度以上の規模の会社なら、会社から半径数十キロ程度の範囲は社用車を使う事が多いと思います。

しかしながら弊社のような零細企業だと、社用車はコストが高いので使えません。車の購入費用だけで10万元から15万元、毎月のガソリン代が4000元程度、更に駐車場代や修理代などが必要です。運転手付きの長期レンタルだと、ガソリン代別で毎月1万元くらい必要です。交通費がその金額以上にならないと、社用車を使う経済的メリットがありません。

社用車を使わないならどのようにして移動するかというと、中国はどこでも高速バスが発達しており、事務所から車で1時間くらいの距離まではタクシーで、それ以上の距離の場合は高速バスを使って移動しています。高速バスの移動時間と値段はどれくらいかというと、深圳の羅湖から恵州市まで1時間40分で50元程度、東莞市南城まで1時間30分で50元程度、拂山市まで2時間30分で100元弱くらいです。

高速バスはその名の通り市街地をぬけると高速道路を使って目的地のすぐ側まで移動します。しかも、常時100キロ以上の速度で走るので、速度違反で切符を切られるのが怖い社用車やタクシーよりよほど早く目的地へ着く事ができます。速度違反を検知するレーダーをものともせずに走る事ができるのは、もしかしたら地元の警察と裏取引でもあるのかなと推測しています。

以前に上海から寧波市までの高速バスを何度か使ったときは、4時間くらい要するので、途中で1−2度、トイレ休憩がありました。広東省で普及している高速バスは社内にトイレが付いてるものが多いので、トイレ休憩というのはあまり無いようです。もしかしたら4時間を超えるような長距離の場合には、運転手の休憩のために休息時間があるかもしれません。

高速バスを使っていると、強盗にあったり怖い目に会う事はありませんかと聞かれる事がありますが、4年以上使っていて、一度もそういう目にあった事はありません。長距離を走るバスは、原則として切符を買う時に身分証を見せる必要がある場所が多く、また出発時に(保安目的のために)乗客の顔をデジカメ等で撮影している場合もあるので、客が強盗に変身する事のはなかなか難しいのでしょう。

バスの中は普通は静かなのですが、時々すごい常識はずれの人がいて、自分の携帯電話から大音量で音楽を流している人がいます。そういう人に限って、昔のオヤジソングだったりするので、オイオイ勘弁してくれよっていう時もたまにはあります。また、それと似た例で、携帯ゲーム機で音を出しながらゲームしている人もたまにいます。自分の座席の近くにいる場合には、相手の顔を確認した上で(怖そうなおっさんでない場合には)「音を消せ」と文句を言う事もありました。幸運にも、いまのところそれで揉めた事はありません。

バスに乗っているのと、つい眠くなります。しかし中国の高速バスは置き引きがいて、パソコン入りのカバンを眠っている間に取られたお客さんがいました。一人で乗っているときは、くれぐれも置き引きには注意が必要ですね。

高速バスは日本人駐在員にはわりと敬遠されがちですが、注意していれば危険という事もないし、お客さんの工業団地のあるところはほとんどカバーしていて、料金が安いし便数も多いので、中国に駐在している方はぜひ使ってみてください。

Be the first to comment - What do you think?  Posted by bobby - 2013/01/10 at 01:54

Categories: 3.中国ネタ, 海外子女教育   Tags:

中国のビジネスホテル事情

ここのところ連続でBLOGOSへ転載されたおかげで、年初から今日までの訪問者数の平均が毎日1000人を超えるようになりました。せっかく読者が増えたのに、これを書きたいというネタは毎日のようにある訳ではありません。ネタがみつかるまで書かないと、読者はだんだん減ってしまいます。そこで、経済や政治や地球温暖化など以外に、私が普段仕事および生活しているチャイナの周辺事情のネタも、混ぜて行こうかと思います。まずは中国のビジネス・ホテルについてです。

私は日系工場のお客さんの生産管理の改善やシステム関係の仕事が多いので、広東省のあちこちを移動して廻ります。普通は香港と深圳市(シンセン)と東莞市(トンガン)を行ったり来たりして、月に何度か、拂山市や恵州市などへも足を伸ばします。というわけで、行く先々で廉価なビジネスホテルを利用しています。

私はいつも7Days Innという全国チェーンのビジネスホテルを利用しています。料金は、同じチェーン店でも個々のホテルの立地や人気度により値段が若干異なります。立地の悪い場所の一番安い部屋で一泊127元(約1800円)。立地の良いホテルだと157元(約2200円)からです。私がいま泊まっているのは167元の広めの部屋です。

中国には他にも全国チェーンのビジネスホテルがいくつもあります。有名なところで、MOTEL168如家酒店錦江之星などです。一応この辺のホテルは全部会員になっています。初回利用時に100元から200元くらいの入会金を払うとその場で会員カードをくれて、会員割引値段で泊まる事ができます。全国にあるチェーン傘下のホテルは何処でもネットで予約や支払いもできます。7Days Innが他と比べてちょっとだけユニークなのは、会員カードが(昔はあったようですが今は)ありません。会員カードの代わりに自分の携帶電話の番号を登録して使います。7Day Innのロビーには必ずパソコンが何台か置いてあります。予約無しでロビーに来ても、みんなフロントではなくパソコンの方へ行って自分でネットから予約します。これはなかなか興味深いやり方です。フロントから予約業務を取り去る事で、お客は割引値段をゲットでき、会社側は従業員の業務効率を少し高める事ができますね。7Days Innはホテルの他にレンタカーのサービスもやっており、ホテルで車をピックアップできるメリットがあります。レンタカーの値段は、安い車で1日100元以下のようです。今度実際に使ってみたら、ここで記事にしたいと思います。

さて、ホテルの中の状況についてですが、7Days Innの場合には新しくても古くても、中はほとんど同じです。各部屋にIPTV式のテレビ、固定電話、インターネットのLAN線(壊れている事が多い)、お湯を沸かすポットと紙コップ、シンプルな木の椅子、暖房機能のついた各部屋独立式エアコン(中国も広東省や香港など南に下ると冬が短いので暖房のつきてないエアコンが多い!)、浴室は洋式トイレとガラスで仕切られたシャワー室、バスタオルは必ずビニール包装されている、などです。洋服ダンスの代わりに、壁からハンガーを4つ吊るせる棒が付いています。かなりシンプルな構成です。あと、7Day Innの特徴としては、蛇口をひねってからお湯が出るまで10秒とめちゃ早いのをウリにしています。真冬のめちゃ寒い時でも15秒もあれば熱いお湯が出てくるのは確かです。ベッドのマットレスが寝心地が良いのもウリの一つにしているようです。地方の無名の地元ホテルに泊まると、一番酷いのがベッドのマットレスです。板みたいに硬いのから、完全に死んでいるのようなベコベコのマットレスとかの経験があります。7Days Innは、ベッドのメーカーのシモンズとタイアップしていて、良いマットを安く調達しているようです。

7Days Innに比べると、MOTEL168や錦江之星は建物の新旧や地方によりかなり室内の様相に差があるようです。以前に上海古北のできたばかりの錦江之星に泊まった時は、300元と高目の部屋(上海の繁華街では7days Innも地方都市より値段が高い)でしたが、内装や調度がチェーンホテルにしてはデラックスで快適でした。そういえば上海万博の時に、全国どこでも168元がウリのMOTEL168で、1泊400元もした事があります。流石は上海の商売人だと思いました。

7Days Innや他の全国チェーンのビジネスホテルの部屋の出入りはカードキーを使います。7Days Innはチェックインタイムの時間制限というのが特にないようで、部屋さえ空いていれば午前中早い時間からチェックインできます。しかし、早目にチェックインした場合には、夜に部屋に戻る前に、フロントへカードキーを渡して、再度、アクチベーションしてもらう必要があります。たぶん連泊客がお金をきちんと支払っているか確認するのが目的ではないかと推測しています。

部屋はカードキーを差し込まないと電源が入らないようになっています。夏の暑い時など、食事などで外出する時にもエアコンをつけたままにしておきたいですよね。私の同僚はカードキーを紛失したと偽って20元で再発行してもらい、自分で余分に1枚もっています。そのカードを挿してエアコンつけたまま外出していると言ってました。チェックアウト時間は、普通は12時ですが、ゴールド会員は13時、プラチナ会員は14時という感じて多少の差別化がされています。

私のように常にあちこち移動していると、下着の洗濯は悩みの種です。7Days Innは各部屋にそれぞれエアコン室内機がありますが、室内の送風機にハンガーを掛けて、暖気の吹き出し口にシャツ、靴下、パンツを順番にかけて乾かしています。シャツはユニクロのヒートテック(化繊)だと1時間くらいで乾きます。食事が終わって8時か9時に部屋に戻ってから洗濯して乾かし始めても、12時までにはほぼ全部乾いています。

思いつくままに書いてみたので、記事としてはまとまりのない冗長な感じになってしまいましたが、中国のビジネスホテルの感じを掴めていただければ幸いです。

 

Be the first to comment - What do you think?  Posted by bobby - 2013/01/09 at 01:29

Categories: 3.中国ネタ, 5.閑話休題   Tags:

尖閣諸島で1ミリも妥協できない理由

昨日の昼間、ブロゴス総合ランキングの1位(内田樹氏の中国離れについて)と2位(橘玲氏の尖閣問題で、海外メディアは日本に対して予想以上に厳しい)が、尖閣問題について冷静を説く記事である事は興味深い状況です。

アメリカの後ろ盾があり、強い自衛隊がいるという事で、日本のネット世論は戦後かつてないほど舞い上がり、「戦争の危機」に鈍感になっているのではないでしょうか。そういう方には、橘玲氏の記事のコメ欄に私が書いた内容を改めてご覧頂きたいと思います。

1)マスコミは日本に好意的な記事だけを国内で紹介し、あたかも中国人を除く世界中が日本の見方であるかのように印象操作している。(各社とも海外特派員がいる筈ですが、否定的な記事は日本側が握りつぶしているのでしょう)

2)多くの領土問題には正解も正義も無く、戦争以外で解決する為には互いが歩み寄る(互いが納得できる何処かで妥協する)しかない。(外交とはそういうものである)

3)印象操作された国民は、自国の主張(自国の正当性)を世界が認めていると思い込み、中国の意見の(客観的に見た)正当性の有無を考慮しなくなり、戦後最も好戦的な世論が形成されている。(と欧米のメディアも考えている)

4)仮に現在の状況がエスカレートして、尖閣を巡り日中で戦争が起きれば、先に撃ったのが中国だったとしても、国有化という「引き金」で中国を刺激し、外交交渉で妥協の余地を与えなかった日本は、欧米社会から見ると戦争に対する相応の責任を免れない。(と欧米のメディアは考えるだろう)(本件で太平洋戦争におけるアメリカの責任を持ってくるのは無意味である。)

5)マスコミ(特に本社で報道内容の選別に責任を持つ者)は以上の内容を理解して、売る為に煽るのはやめて、国民に対して正しく情報を提供し、国民が冷静に考える事ができるようにするべきである。

これはマスコミだけではなく、我々ブロガーにも同じ事が言えます。中国の軍艦が尖閣諸島の近辺まで出張っている時に、脳天気かつ無責任に戦争を叫び、反中を煽る事は戦前の東京朝日と同罪で、ネットメディアのひとつとしての我々の信頼性を損なう行為ではないでしょうか。

 

 

もう1点、内田樹氏の記事(こちらこちら)から下記の2つの文章を引用したいと思います。

外交とは両国の「利害の一致点」を探すことにあるのではない。「利害がずれるところ」を探すのである。

「尖閣なんかどうだっていいじゃないか」というのは中国を生産拠点、巨大な市場として依存している日本企業にとっては「口に出せない本音」である。

私は「尖閣なんかどうだっていいじゃないか」とは思いませんが、「外交とは両国関係の利害のずれるところ」はあるのではないかと考えます。その件について、以下に少し意見を述べたいと思います。

1)固有の領土って何?
固有の領土ってなんでしょうか。自民党や民主党だけでなく共産党までが、尖閣諸島は日本の固有の領土だと言っていますが、固有の領土って何でしょうか。国際法では固有の領土を説明できないらしいので、「固有」という言葉の意味を調べてみました。これは「本来もっている事」、「そのものだけにある事」という意味です。

では、日本政府の言う固有の領土の説明を見てみましょう。以下は外務省ホームページから引用しました。

尖閣諸島は,1885年から日本政府が沖縄県当局を通ずる等の方法により再三にわたり現地調査を行い,単に尖閣諸島が無人島であるだけでなく,清国の支配が及んでいる痕跡がないことを慎重に確認した上で,1895年1月14日に現地に標杭を建設する旨の閣議決定を行って,正式に日本の領土に編入しました。この行為は,国際法上,正当に領有権を取得するためのやり方に合致しています(先占の法理)。

上記の説明によれば、国際法的な手続き論として尖閣諸島は日本の正当な領土である事には疑いがありません。しかし、正当な領土の事を固有の領土というのはなんだかおかしい気がします。本州や四国が固有の領土であるという文章があるとすれば、それはそうだろうと思いますが。

2)尖閣諸島は歴史的に琉球の領土か?
いまは沖縄県という日本国の地方自治体ですが、明治政府による武力的威圧(琉球処分)で強制的に日本国に編入された琉球王国が、日本固有の領土でなかった事は事実です。

でも、それでは話しが終わってしまうので、100歩譲って、いまは沖縄県も日本固有の領土だと仮定して、尖閣の問題について考えてみましょう。

私の知る限り、釣魚島(中国人がつけた尖閣諸島の魚釣島の名前)は16世紀頃に明と琉球の双方の文献にはじめて出現し、「航路の途中の目印」というニュアンスで記述されているそうです。その後も釣魚島という名は時々文献に出てくるようですが、日本政府が述べているように、どんな国の支配も定住者も所有者もいなかったという理由で明治政府が沖縄県に編入した島を、実は琉球政府の領土でしたとは言えないような気がしていますが実際にはどうなんでしょう。

いや、法的支配ではないが昔から漁師や船乗りが利用していたというのであれば、それは日本だけでなく、中国と台湾でも同様という事になり、日本だけが強く主張できる正当な理由とは言い難い気がします。

3)領土としての尖閣諸島の価値とは何か?
領土って何でしょう?私は思うのですが、日本人が定住している訳でもなく、経済的なメリットも生まない領土というのは、領有しているメリットがあるのかと思います。ましてその島が隣国との火種になっているとすれば尚更に、領有し続ける経済的メリットは、失った場合の経済的メリットを上回らなければ意味がありません。政治(軍事)的なメリットの重要性を説く人もいると思いますが、それらも最終的には経済的なメリットに行き着くので、政治(軍事)と経済を分けて考える事に意味があるとは思えません。では、尖閣諸島を失った場合にどんなデメリットがあるのかについて考えてみます。

5)漁場の価値
わざわざ中国からも沢山の漁船が来ている訳ですから、この周辺の漁場には一定の価値があると思います。しかし漁業権というのは外交的な交渉の中でも、それほど難易度が高いものであるとは言えません。したがって尖閣諸島の領有が絶対に必要であるとは言えないような気がします。

6)海底油田の価値
尖閣諸島周辺の大陸棚には「非常に厚い堆積物がある」ので中東なみの油田・ガス田が眠っている可能性があるというのは1968年に国連のECAFEという下部組織の調査報告ですが、現在までに1本の試掘も行なっていませんので、巨大な油田・ガス田の有無というのは、実際のところはまったく不明です。仮に油田が見つかったとしても、自衛隊の護衛艦に守られながら石油を掘る会社は、日本には1社もありません。仮に中国からの武力威圧もなく、油田の開発に成功したとして、尖閣諸島から九州までの間には深い海溝があって海底パイプラインは無理なので、低コストで効率良く本土へ運んでくる事はできません。

そういう問題をすべて除外したとしても、もっとも大きな問題が残っています。国連海洋法では大陸棚条項と排他的経済水域のどちらが優先するか明示されていません。中国は沿岸から最大350海里までを権利主張できますが、沿岸から尖閣諸島までは195から220海里の範囲です。もし国連で中国の主張が認められれば、日本が尖閣を領有しつづけても、島周辺の領海(12カイリ)から外側の油田は、いまは日本の排他的経済水域として日本に権利が認められていますが、あとから中国に(国連海洋法に従い合法的に)取られるかもしれないという大きなリスクがあります。(これは春暁ガス田にも共通する問題です)

話しが長くなったのでまとめると、尖閣諸島周辺の大陸棚に中東なみの石油やガスがあるかもしれないというのは、「非常に厚い堆積物がある」というだけで、誰も実際に確認していません。もしあったとしても、中国の威圧や、あとから中国に取られるかもしれないというリスクがあるうちには、日本の会社は手を出す事はできません。あっても無いのと同じなら、何の意味があるのでしょう。

7)シーレーン防衛のリスク
尖閣諸島を取られるとシーレーン防衛に重大な問題が発生するという意見を目にしますが、実際問題としてどうなのでしょうか。中国が仮に尖閣諸島を領有して軍事基地をつくったとして、先島諸島と沖縄諸島の隙間が物理的に広がるという訳でもありません。この付近の海は内側から太平洋へ抜ける通路も限られており、潜水艦の出口には米軍の探知装置が見張っているそうなので、中国が尖閣諸島に潜水艦基地をつくったとして、何の意味があるのかわかりません。

6)台湾を中国の武力侵攻から守る為の戦略的重要性
中国の武力侵攻から台湾を守るのは自衛隊じゃなくて米軍の責任(仕事)だと思います。米軍から見て尖閣諸島を中国に奪われる事がそんなに大きな問題であるならば、10年も20年も前に、日本が安定して領有できるように、米政府による工作があってしかるべきではないでしょうか。米政府が「命がけで領土を守る覚悟が日本人になければ日米安保は発動しない」と言うのなら、そもそも尖閣諸島には、客観的に見て戦略的な重要性など無いという事かもしれませんね。

7)尖閣諸島の次は沖縄?
こういう事を言う人もいますが、意味不明です。日本国の一部である沖縄に武力侵攻すれば、日米同盟が100%発動する事は彼らも分かるでしょう。故に、そのような状況が起こる事はあり得ないでしょう。沖縄県が日本国から合法的に独立すれば話しは別ですが、どんな理由で独立するのであれ、独立した後でどうするかは沖縄人次第じゃないでしょうか。

8)尖閣で1ミリも譲歩できない本当の理由は何か?
上記で検討してきた内容に大きな間違いや見落としがない限り、実は日本が尖閣諸島を手放しても、経済的にも軍事的にもおおきなデメリットは無いのかもしれません。その一方で、尖閣問題で今後ともに中国と対立を続け、中国進出した日系企業の不利益や、日本企業が中国市場へアクセスを失う不利益を考えれば、日本側が尖閣で妥協するメリットは十分あり、日本の国益にかなうと感じられます。

現在のように反日騒動が大きくなってしまうと、中国政府は経済面よりも政治面のウェートが大きくなります。尖閣問題での(元の棚上げ状態へ戻るより大きな)妥協は共産党の敗北となり、一党独裁政権にとっては極めてまずい状況で、現時点では彼らの方が選択オプションの幅が狭いように思います。こういう時こそ、日本が尖閣の札を切って、別の利益を得るチャンスではないでしょうか。

しかし日本政府が妥協案を出すのを難しくしているのは、国益うんぬんという経済的な問題ではなく、ナショナリズムという感情問題ではないでしょうか。1ミリも譲れないというのは、実はここから来ているのだと思います。ところで、中国は最近、ロシアに実行支配されていた(もともと中国領土だった)島を、互いに譲歩する事で半分取り戻すという大きな成果をあげ、ロシアと中国は互いの国境線をすべて合意の上で確定しました。

反日騒動で盛り上がっている今のような時こそ、中国から見た尖閣カードの価値は、逆に高まっています。日本政府はそのカードをどのように切り、かわりに何を要求するのか。そういう事が、日本にとって本当の国益と言えるのではないかと思います。

2 comments - What do you think?  Posted by bobby - 2012/09/28 at 11:13

Categories: ブログ評論, 1.政治・経済, 3.中国ネタ   Tags:

尖閣の奪い合いは誰にとってもろくな事になりません

緊張が高まっている日中間の尖閣諸島問題で、中国とアメリカの政府関係者にぜひとも考えてもらいたい事について問題提起します。

日本でも中国でも、尖閣問題を巡って日中間で戦争(武力紛争)を行う事について肯定する意見が強まっているようです。大陸在住の香港人の友人と昼飯を食べながら話したのですが、中国のネット上では釣魚島(尖閣諸島)を武力で奪取せよという意思というか期待のようなものがものすごく高まっているのだそうです。これは非常に悪い兆候です。このような人民の熱気が高まると、政府は尖閣諸島への武力侵攻を踏み止まれなくなる可能性は低くありません。このような中国政府に圧力をかけられるのはアメリカ政府だけですが、米国の国債を世界で一番持っている中国ですから、アメリカは自国の国益をどのように守るべきか難しい判断があるでしょう。

そこで、中国軍が尖閣諸島への武力侵攻して実行支配を開始した場合にどのような事が起こるか、下記の2つの可能性について検討してみます。

1) 日本政府は武力による反撃を自衛隊に命じて、戦闘を開始する。

日本政府が開戦を決断すれば、自衛隊は短期勝負ではアジア最強なので、戦闘を開始すれば少なくとも1回は、短期間で尖閣諸島を取り戻せるでしょう。しかし中国がメンツにかけて物量にものを言わせた再戦を挑んでくると、双方とも消耗が大きくなり、少数精鋭の自衛隊だけでは苦しくなります。しかし自衛隊が戦い続けていれば、ついには日米安保が発動して米軍の戦力投入が始まり、物量と質の両方で勝る日米連合軍が最後には勝つでしょう。

この場合、日系企業と米系企業は中国大陸から叩き出され、日本とアメリカの経済は短期的に大きな打撃を受けます。その一方で、チャイナリスクの大きさに恐れを抱いた外国資本が中国大陸から撤退を開始し、中国の経済は日米より更に大きな打撃を受けます。中国の経済が悪化すると、人民の不満は極大化して大規模な暴動が主要都市で発生し、政府はもはや民意を掌握できなくなり、共産党政府が存亡の危機に立たされる事が考えられます。このように、日米連合軍が勝利しても、関係各国はおおきな不利益を受けます。

2)日本政府は「竹島」の前例に習い、抗議はするが武力による反撃を自衛隊へ命令しない。

現実に目を向けると、日本側の最大の問題点は、政府が自衛隊による反撃を決断できないのではないという事です。もし適時に決断できず開戦のタイミングを逸すれば、日米安保は発動せず、尖閣諸島は「第二の竹島」になって膠着してしまい、どうにもならなくなるでしょう。今の政府を見ていると、こうなる可能性は低くありません。中国政府もこのシナリオを想定しているのでないかと思われます。

このような状況が発生すると、中国政府はまんまと尖閣諸島を手にして人民は熱狂し、横で見ている韓国政府も「ざまあみろ」とほくそ笑むかもしれません。ところがどっこい、実はこちらの方が中国、韓国、アメリカにとって面倒な事態を生み出す可能性が高いのです。 日本は黒船ショックという外圧によって江戸幕府からアジア最強の帝国主義国家へ短期間に変貌しました。もし太平天国の日本が尖閣諸島を戦わずして奪われるような事態が発生すると、日本の国民は短期間に右傾化し、あっという間に憲法改正(9条破棄)して軍国主義へシフトし、最終的には日米安保を破棄して核武装まで行き着くのではないかと危惧しております。

中国も韓国も、自国の目の前にある日本が核武装した軍事大国になってしまうと、長期的に大変困るのではないでしょうか。 アメリカにとっても、アジアの盟友が仮想敵国の一つになる事態はなんとしても避けたいでしょう。中国とアメリカの政府関係各位は、尖閣諸島(釣魚島)の奪い合いは、誰が勝ってもろくな事が無い事を理解して頂き、中国の武力侵攻回避の方向で最大限に努力して頂きたいと熱望するものです。

11 comments - What do you think?  Posted by bobby - 2012/09/20 at 22:15

Categories: 1.政治・経済, 3.中国ネタ   Tags:

昨日の敵は明日の友

1)無能な政治家に期待してはいけない。
東アジアにおける日本の将来に不安を感じています。中国は経済力を梃子にして東南アジア諸国への影響力を強めるだけでなく、軍事力の急速な近代化によって周辺諸国への圧力を増しています。日本には日米安保条約がありますが、米国の経済力低下を背景に、日米双方で在日米軍は縮小の方向にあります。1992年にフィリピンが米軍基地を国内から追い出した数年後に、中国がフィリピン領南沙諸島を武力占領したような事件がありました。在日米軍が日本から撤退するような事になれば、中国海軍の日本に対する挑発行為が増大し、尖閣諸島などでおおきな事件が起こる可能性は否定できません。しかしながら日本政府の外交能力はといえば、2010年9月の尖閣諸島中国漁船衝突事件に対する日本政府の交渉能力を見ると、まったく期待する事ができません。日本はやはり、政治ではなく経済を主体として国家の方向性を決めるしか手段が無いという事かもしれません。

2)敵の敵は見方。
日本という国家が東アジアで生き残る上で、今後もっとも脅威となるのが中国である事に異論をとなえる人は少ないでしょう。中国は広大な国土と13億の民で構成される国家体制を安定的に維持する為に、常に経済成長し続ける必要があります。この要求を満たす為には膨大な量の化石燃料と大きな資本市場が必要です。中国が世界中のエネルギー利権を買い漁り、アフリカ等の後進国市場へ経済進出し、東アジアの漁場や領有権を強行に主張しているのはその為です。強引ともいえるそのような経済的拡張を支えていたのは近代化と拡張を続ける中国の軍事力でした。日本・韓国・台湾以外の周辺諸国は、中国の軍事力とまともに対抗できる兵力を持っていませんでしたので、この戦略はワークしていました。ところが最近になって、苦汁をなめていたベトナムはインドと手を結ぶ事で中国の圧力に対抗しようとしています。インドは中国と並んで急速に経済成長している最大のライバル国です。南シナ海へインドが進出してくるのは、中国にしてみれば自分の裏庭を荒らされたように感じているでしょうが、軍事力が拮抗し、ロシア軍とより強い関係を持つするインド海軍に対して、フィリピンやベトナムような対応はできません。米国の経済力低下と共に日米安保にも陰りが見える現在、米国一辺倒の安保戦略はそこまで持つのか正直不安です。そこで東アジアの中国圧力を牽制する為に、日本はもう一つの中国が苦手とする国をカードとして引っ張り込んではどうでしょうか。それは世界最大の陸上軍事兵力を持つ中国のお隣の国、ロシアです。

3)昨日の敵は明日の友。
幕末から第二次大戦終了まで、ロシアは日本という国家が存続する為に最大の脅威でした。ロシアは清の領土であった黒竜江の東の広大な領土をズブズブと侵食し、更に朝鮮半島へ進出しようとしました。日本よりも「固有の領土」に強くこだわる中国政府は、1960年代に中ソ国境紛争を起こしましたが大負けしました。中国は以降、ロシアに対して慎重な外交路線をとっていますが、ロシアが中国にとって軍事的に最大の脅威である事は間違い有りません。そのロシア(次期)大統領であるプーチン氏が、国内経済を発展させる為に日本との関係改善を強く望んでいる事がこちらで述べられています。東アジアにおける米軍のプレゼンスが長期的に低下する事が避けられない状況の中、日本が引ける対中牽制カードはインドとロシアです。しかし日本とロシアの国家間には、北方領土問題という深い谷があって、よほど強いリーダーを持つ政権が誕生しない事には、この谷を超える事はできないでしょう。それでは政府による正面からの交流によらずにロシアというカードを使う事はできるのでしょうか。

4)ロシアというカードのめくり方。
日本政府による対ロ経済援助とか、そういうアプローチがそもそも間違いです。そのような経済援助でプーチンが望むような経済発展が生まれない事は中国をみれば明らかです。中国の経済発展はODAで飛行場のような箱モノを作ったからではなく、民間企業の進出による雇用増、輸出加工貿易による外貨増、結果として生じた技術移転。これらの相乗効果によって中国の経済力の基礎体力が造成され、GDP2位の経済発展を遂げました。中国の発展を見れば、ロシアへのアプローチは明白です。日本企業が1990年代と2000年代に中国大陸進出したようにロシアへ工場進出して市場を開拓すれば良いのです。日本企業にとっての消費市場が分散する事は、中国政府の政治的影響力を減じる事ができます。サハリン等からパイプラインを引いて天然ガスを購入し、ロシア籍のLNGタンカーで輸送すれば、中国や北朝鮮が手出しする事はできないでしょう。このようにして、日本政府による国家間条約によらずに、ロシアカードをめくる事は可能であると考えます。

5)結論。
米国にしろ中国にしろロシアにしろ、どれか一つの国に依存する事は、すなわち自分の弱さを晒す事になるので長期的には相手につけ込まれます。日本が自衛隊の軍事力増強や独自の核保有によらず、都合のよいかたちで東アジアのパワーバランスを保つ為には、経済界が積極的に動いて、米国・中国・ロシア・インドそれぞれが日本から利益を得る事ができる経済関係を構築する事ではないでしょうか。

石水智尚 – Mutteraway

1 comment - What do you think?  Posted by bobby - 2012/03/19 at 12:07

Categories: 1.政治・経済, 3.中国ネタ   Tags:

米国と中国の二者択一

世界の文明史の中で日本の居場所を考えると、私としては言いたいことがある。歴史的にも地理的にも、日本は中国大陸の周辺であって、太平洋の向こうのアメリカと同盟するのは、非常に不自然と言うしかないのだ、とTPP問題で意見を述べているのは志村建世氏です。

TPPについて考えてみた

どちらかといえば、私も志村氏の意見に同調します。日本と米国が比較的相性が良いのは、米国による戦後の対日戦略の影響が大きい為と考えます。しかしながらこの状況は、中国と付き合ってきた長い歴史と比べれば微々たる期間に過ぎません。日本人のネトウヨが、どんなに中国は嫌いだといっても、客観的に見れば米国より中国の文化との共通点の方がよほど多いと言えます。そして地理的にも太平洋の向こう側の米国より、日本海の向こう側の中国の方がよほど近いのです。

そうは言ってもいまのところ、米国と中国の二者択一をせよ、という政治的状況でもありませんから、TPP交渉にも顔を出し、返す刀で中韓台でFTA協議をするといった強かさが日本の政府に生まれてほしいものです。

Be the first to comment - What do you think?  Posted by bobby - 2011/10/30 at 10:34

Categories: ブログ評論, 1.政治・経済, 3.中国ネタ   Tags:

商売上手な温州の内情

夏頃から浙江省温州では企業の倒産が夥しく、地元の新聞も「100社が倒産し、夜逃げした」と報じたそうです。夜逃げするのは高利貸しに手を出したからで、マフィアと組んだ高利貸しはトイチが常識、返済しないと容赦なく経営者を襲撃して、見せしめに死体を川に浮かべたりするそうで、こんな中国に進出する度胸のある日本企業は、よほど度胸があるんですねぇと、佐藤守氏が述べています。

中国の権力闘争に巻き込まれるな!

東莞で昼飯を食べながら、iPhoneでこの記事を読んでいたのですが、最後のところになんかひっかかるものがあったので、テーブルの向かいにいた香港人の友人に聞いてみました。彼は東莞で不動産の仕事をしており、奥さんの実家は話題の温州で漢方薬の工場を経営していますので、興味深い話しをしてくれました。

まず、中国内で温州の倒産がメディアで話題になる理由は、普段は中国有数の商売人といわれる温州人に対するやっかみによるところが大きいようです。温州人の不動産買い占めツアーがやってくると、その土地のマンンションがあっという間に値上がりするそうです。そういう温州で倒産が相次げば、他の土地の人は「ざまあみろ」と思わずにはいられないのでしょう。

次に、温州で倒産が多い理由は、温州の中小企業の商売人は政府(銀行)ではなく、闇金(個人の金貸し)で調達した資金で商売をする人が多いようなので、調達金利は当然の事ながら銀行よりずっと高く、景気の悪化により資金繰りがつかなくなった経営者が多い為ではないかとの事です。(蛇足ですが景気が悪化しているのは、インフレ抑制の為に政府が厳しい総量規制を実施しているので、銀行に貸す金が不足しているからと言われています。)

ではなぜ、温州人は政府(銀行)に依存せずに商売する人が多いかといえば、もともと政府からお金を借りたくても借りられない人達が多くおり、仕方なく、私的な資金調達に依存するようになったのだそうです。詳しくはわかりませんが、そういう歴史的な理由があるのでしょう。

最後に、どういう人が私的にお金を貸しているのかといえば、マフィアの専売特許という訳ではなく、お金を持っている人(金持ち、手元資金に余裕のある経営者、政府の役人)が副業として金貸しをしているそうです。賄賂を溜め込んだ地方政府の役人が、マンションや車を買うとすぐにバレて捕まるので、表に出ない闇金へ貸しているという話しもあるそうです。

これはあくまで友人の私見なので、佐藤氏の与太話と同様に眉に唾つけて「読み物」としてお楽しみ下さい。

Be the first to comment - What do you think?  Posted by bobby - 2011/10/19 at 10:36

Categories: 1.政治・経済, 3.中国ネタ   Tags:

経済的相互確証破壊は強力な抑止力か?

米中がそう易々と核戦争を含む全面的な戦争を起こすと考える人がいないでしょうが、朝鮮半島有事に起因して米中の戦争が勃発する可能性が高く、中国が、台湾や日本と交戦状態に入った際には、米国は中国に対して軍事行動をとることを断言している、と述べているのは海防ジャーナルです。

ランド研究所による米中衝突のシナリオ

中国政府が北朝鮮の国際的な保護者的存在である事は広くしられているようですし、これまではそのように振る舞ってきたと考えられます。ところが先の北朝鮮と韓国の紛争(北朝鮮が韓国の島へミサイルを打ち込んだ件)では、若者達の間で、「中国はなぜならず者の北朝鮮を守らなければいけないのか」という意見がネット上を賑わせた事は興味深い事実として記憶されるべきかと思われます。

ブログ主さんが翻訳したと思われる記事の内容を読むと、日本については、「断言している」のではなく、エスカレーションの危機を承知の上で、日米双方は中国本土への攻撃を考慮する「必要がある」と、提言しているのであって、米政府はかならず日本を全面的に助けてくれると断言しているようには読み取れませんでした。

ところで、このレポートで私が注目するべきと思うのは<経済的相互確証破壊(Mutual Assured Economic Destruction:MAED)>の項目です。両国経済は史上類を見ない程に緊密さを増しており、米中が衝突すると、双方ともに経済へのダメージが最も大きく、これが強力な抑止力になるという点です。

中国が様々な国内問題を解決して共産党政権を今後も維持する唯一の方法は、経済発展を続ける事です。中国から見た場合、日本との釣魚島(尖閣諸島)は地下資源という経済問題です。全体からみれば些細な経済問題の為に、米日を巻き込んだ軍事衝突を起こし、その結果として経済成長をぶち壊し、自ら政権崩壊の危機を呼び込むというのは、改革開放以来の政府の一貫した政策と矛盾します。つまり中国政府にとっては、経済成長を続けられる限りは、米を巻き込む可能性のある「戦争」は外交交渉の道具として使うブラフとしてしか機能しないと考えるべきではないでしょうか。

米国も中国も、戦争の為ではなく経済的利益の為に大きな軍事力を維持しているという事を、平和ボケしている我々日本人は忘れるべきではありません。

Be the first to comment - What do you think?  Posted by bobby - 2011/10/17 at 13:10

Categories: 1.政治・経済, 3.中国ネタ   Tags:

中国かと思ったら米国だった

チュニジアで始まったジャスミン革命は、エジプトやその他のアラブ国家へと広がり、「民主主義の革命」というのなら次は中国か、とネットでは一時期騒がれました。私はジャスミン革命は思想ではなく「若者が飯が食えない」という経済問題であり、高度成長期のど真ん中にいる中国に飛び火する理由は無いと以前に書いた事があります。ところがここへ来て、思わぬ国へ飛び火しました。米国です。

マルチスピード化する世界の中で

ウォール街で始まったOccupy Wall Streetといわれるデモは1ヶ月も続いており、全米各地へと広がりを見せています。1%の大富豪が20%以上の富を独占していると言われる米国で、富を象徴するウォールストリートがデモの対象となっている状況について池田氏は、「デモ隊が金融機関を悪玉にするのは間違っている。彼らが高い収入を得ているのは、この格差の原因ではなく、結果に過ぎないからだ」と述べています。しかし投資銀行がロビー団体、議員、高名な経済学者へお金をばらまいて、金融緩和(特にデリバティブへの規制阻止)を長期的かつ組織的に行い、サブプライムローンの証券化によってリーマンショックを引き起こしたという意見もあります。故に米の金融機関が大不況の主犯と疑われても仕方が無いのかもしれません。

インサイド・ジョブ

リーマンショックの後、経済の牽引車であった輸出産業が大打撃を受けた中国政府は、なんとしても経済成長を止めない為に、リスク覚悟で内陸部のインフラ整備への大きな投資を始めました。大きな賭けだったと思いますが、これまでのところは結果良好です。今まで発展から取り残されていた内陸部へ急速にお金が回り出し、出稼ぎ労働者を生み出していた田舎の街がどんどん裕福になり、出稼ぎ労働していた人達が戻ってこなくなってしまいました。おかげで沿岸都市周辺の工業地帯では、工場ワーカーの求人不足が常態化しています。

もしもOccupy Wall Streetがジャスミン革命の余波のひとつであるとするならば、なかなか興味深い皮肉ではないでしょうか。

1 comment - What do you think?  Posted by bobby - 2011/10/16 at 12:26

Categories: 1.政治・経済, 3.中国ネタ   Tags:

中国当局がマイクロブログを規制

最重要課題である社会の治安維持の為に情報統制を行ってきた中国政府ですが、経済発展に伴うネット人口の増大と、情報伝達技術の急速な発達により、ネット情報の統制に綻びが生まれ、状況への適応に苦労しているようです。

中国当局のマイクロブログ検閲は実を結ぶのか

中国政府のネット検閲技術は政府レベルでは世界最先端といわれ、その代表例であるグレートファイヤーウォールは有名です。しかしながら、4億8500万人という世界最大のネット人口を持つ中国で、膨大な情報量をリアルタイムに処理し、更に高度に政治的な判断を自動的に行わせるのは現実的に困難です。故に、情報がネット上にアップされてから、記事削除やサイト閉鎖などの判断がおこなれるまでには、見たところ数時間から数日のタイムラグがあるようです。

以前の公衆的なネット検閲はホームページ、掲示板、ブログなど比較的「静的」な情報が検閲対象で、社会的な騒動が起きてから政府側がアクションを起こしても一定の鎮静効果があったようです。ところが2億人のユーザーを獲得した新浪微博のマイクロブログは、即時性の高い通信手段であり、話題性を持つ情報は数時間以内に広範囲かつ多数のユーザーへ情報が伝達し、別のブログや掲示板に次々と拡散して行きます。故に、以前のような検閲方法で、数日後にもとの情報を削除しても沈静化の効果が得られないのです。

ところで隈井孝雄氏によれば、今年の8月22日に中国共産党政治局担当者が新浪微博を訪問して、「情報をミスリードするようなニセの噂などを排除し、新しいメディアであるミニブログの正しい発展を図って欲しい」と申し入れ、すぐ後に26日に新浪微博はデマを投稿した2人に、「ニセの噂を流したため、一ヶ月間投稿とフォロワーの追加を禁止」のペナルティーを与えたそうです。

中国版Twitter最大手Weibo(新浪微博)に政府が規制要求後、記事2件削除、共産党劉宣伝部長「管理は必要だが、実際には不可能」と語る、果たして中国市民のネット言論の自由はいかに

中国で会社登記する場合、企業は営業許可証に事業内容を具体的に明記する事が求められ、事業内容がその範囲から逸脱すると、(会社登記を行う地方政府は)営業許可証を取り消して会社を潰してしまう事が現実的に可能です。そして最近興隆しているネット上の多様なサービス(たとえばマイクロブログ等)は、私の経験によれば、登記時に要求される「旧世代」の文言で厳密に定義する事は困難です。つまり新浪微博は、出版社などと同様に、政府を敵にまわすと潰されるリスクが高いと言えます。

中国政府(特に地方政府)から見ると、新浪微博は「目の上のたんこぶ」のような存在に映るでしょう。しかしその一方で、2億人のネットユーザーを持つ新浪微博は、潰す事自体が社会不安の要因となり得ます。ユーザーへのペナルティーというのは、苦悩する政府による苦肉の策と言えるかもしれません。

Be the first to comment - What do you think?  Posted by bobby - 2011/10/01 at 15:32

Categories: コンピュータ及び科学全般ネタ, 1.政治・経済, 3.中国ネタ   Tags:

市民革命が起きる条件

中国共産党1党独裁北京政府の胡錦涛国家主席に近い筋から漏れ出てきた情報として、政治体制の崩壊が近づいていると観測されているそうです。中国の全土で暴動が多発し、大きな事故が立て続けに起こり、マイクロブログの普及でそういった情報を隠蔽する事ができなくなったせいで、若者達の不満はいづれ近いうちに爆発するという可能性を語るのは板垣英憲氏です。

中国「市民革命」は、共産党1党独裁北京政府が生み出している諸矛盾から必ず起きる

ネタとしては面白のですが、「ジャスミン革命」のような市民革命が起きる為の必要条件が、いまの中国には見当たりません。中東で起きた革命の原動力は、貧くて腹一杯の飯も食えない大勢の若者達でした。中国には、そういう貧しい若者が極めて少ないのです。高度成長の恩恵を真っ先に受けているのが、若者と都市生活者と地方の土地持ち農家だからです。

先週訪問した華南のある日系工場では、会議に出席した20代そこそこの担当者の中で、iPhoneを持っている者や、1万元のパソコンを買う者などを散見しました。別の小さな日系工場では、会社の前の駐車場に、現地の中堅社員のマイカーがずらっと並んでいます。その一方で、工場ワーカーの最低賃金がどんどん上昇しているのに、沿岸都市周辺の工場はどこも求人難で困っています。

共産党はいつの時代も、政権の崩壊や治安の悪化を常に懸念しており、それが人権問題やネットの監視につながっているのですが、いまの高度成長が続く限り、大多数の若者・都市生活者は自分の生活に満足しており、市民革命が起きる可能性は皆無であろうと思われます。

2 comments - What do you think?  Posted by bobby - 2011/09/30 at 09:07

Categories: 1.政治・経済, 3.中国ネタ   Tags:

中国で農業の企業化がはじまった

日本の高級な農産物は、香港や上海や北京では人気の高い商品です。見た目も味も良い。林檎、ミカン、梨、葡萄などのフルーツの他、コシヒカリなどの米も輸出額を伸ばしているようです。しかし、それらを生産している日本の農業に目を向けると、そこにあるのはいかにも残念な状況です。政府は農協と兼業農家を優遇する政策を続け、専業農家は苦戦を強いられています。そんな専業農家に驚愕のニュースがお隣の中国から伝わってきました。どうやら中国の山東省で、農業の大資本参入がはじまったそうです。

山東省、大企業による農業投資ブーム

山東省は土地が肥沃で水資源が豊富である為に大規模農業に適しており、大企業による農業への投資がブームになっているそうです。大資本を持つ企業なら、日本から有能な農業技術者を高給で引き抜き、日本の優れた農産物を短期でキャッチアップしてしまうかもしれませんね。そうなったら、日本の農業はどう転んでも将来はありません。そうなる前に日本の農業をなんとかする必要があります。

いま政府がやるべきは「補助金」で守る事ではなく、「規制緩和」して農業へ大資本を集め、市場のグローバル化を後押しする事です。

Be the first to comment - What do you think?  Posted by bobby - 2011/09/29 at 07:50

Categories: 1.政治・経済, 3.中国ネタ   Tags:

グローバル化とは産業拡散化

日本の製造業の人件費は周辺国に比べてずいぶん高くなり、円高なのでドルベースの見積もり価格はますます高くなり、おまけに3・11による電力不足と電気料金値上げで原価上昇と、輸出産業は3重苦に喘いでいるようです。ここまで来れば、国内工場をたたみ、海外へ「完全移管」する為の条件は揃い過ぎるほど揃ったといえます。そういう訳で、これから「産業の空洞化」に拍車がかかるのでしょう。しかし、産業の空洞化を止める為に訳の分からないカンフル剤を打つのはもう止めようというのは、大西宏のマーケティング・エッセンスさんです。

大西 宏のマーケティング・エッセンス

以前にも書きましたが、グローバル化が進む21世紀に、国境というしょーもない線を引いて、その内外の経済収支を考えるのは建設的とはいえません。日本の輸出はGDPの14%しかないそうですが、それは国内から海外への出荷と、海外工場から日本経由の再輸出を補足しているに過ぎません。中国にあるたくさんの日系部材メーカーは、中国に進出した日本のセットメーカーの下請けが事業の中心なので、出荷も販売も中国内で完結しており、日本の輸出統計では補足できません。国境の内外に線を引いて、日本企業の活動を補足しようという考え方自体が陳腐化しているのです。

このような状況に対応する為にには、日本政府は、国内産業の活性化を考えるより、日本企業がアジアや世界で活躍しやすいような方向で、環境整備を進める方が良いのではないでしょうか。重要なのは産業空洞化を防ぐ事ではなく、日本企業の産業拡散化を支援し、海外から国内へ、お金(利益)の流れを増やす事だと思います。

1 comment - What do you think?  Posted by bobby - 2011/09/28 at 21:05

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マイクロブログで変化する中国政府の情報公開

9月1日から中国外交部の記者会見制度におおきな変更がありました。これまで週2(火曜と木曜)に行われていた外交部記者会見が、今後は月曜から金曜までの週5回開催されるようになったそうです。これまで中国政府は、可能な限り情報統制する方向で「情報公開」してきました。それが急に、記者会見を毎日行うようになった背景には、いま中国で急速に普及しているマイクロブログがあります。新幹線やおの他一連の鉄道事故、渤海湾の原油漏出事故、大連の石油化学工場の火災といった国内の重大事故・事件はすべてミニブログから第一報が報じられ、その後をマスメディアや政府の公式発表が後を追いかけるような展開になっています。中国政府としては、マイクロブログを止められないならば、政府の対応速度と頻度を上げざるを得なかったという事でしょうか。

情報公開の「一元化」を重視する中国政府

この記事を別の視点で見ると、facebookやTwitterの中国産類似ソフト(とその技術)が普及したおかげで、中国政府のグレートファイアーウォールがネットの情報統制において機能不全状態になっており、問題情報を隠すよりも、情報公開して正面から問題に取り組まざるを得ない状況に追い込まれている、と読む事ができるかと思います。

いまでもしばしば、中国はネットもメディアも政府の情報統制によってまったく自由がなく、政府を批判すればたちまち公安に逮捕監禁され、国民はこのような状況に苦しんでいるというステレオタイプの意見を目にする事がありますが、中国の実情はまったく異なっているというという状況を、この記事から垣間みる事ができるのではないでしょうか。

Be the first to comment - What do you think?  Posted by bobby - 2011/09/25 at 14:55

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なぜ公務員の犯罪は国家機密なのか?

中国の河南省洛陽市にある技術監督局執法大隊で働く公務員の男が、マンションの地下室に風俗嬢4人を最長2年間にわたり監禁し、性奴隷にしていたという事件が起きました。

風俗嬢6人を地下室に監禁、「性の奴隷」としていた男を逮捕―河南省

さて、話はこれだけで終わりませんでした。事件を報道した新聞記者のところへ、洛陽市委員会を名乗る者が2名現れて、「あの事件報道は国家機密を冒した」と述べたそうです。記者は念のために二人の写真を取っており、中国のマイクロブログに流した事で、ネット上では大反響だったそうで、そのおかげかどうか、記者はいまでも無事なようです。

中国の性奴隷事件と国家機密漏洩罪

中国内外の多くの人にとって、この事件がなぜ洛陽市委員会にとって国家機密に相当すると判断されたかに疑問を感じるでしょう。この鍵は、犯人の男が洛陽市の公務員だったという事です。 中国政府(地方自治体を含む)の破廉恥な犯罪を国民が知る事で、政府への不満が高まり、社会の治安が乱れる可能性があると考えているのだと思います。

さて、中国政府は(共産党の政権維持が目的なのでしょうが)社会の治安維持を何よりも最優先と考えており、国民の人権が制限させているのもその為だという事を以前の記事に書きましたが、事故った新幹線を穴に埋めたのも、この事件も、基本的に「社会の治安維持」という文脈で読めば理解できるかと思います。

そしていったん情報が社会(ネット)に漏れた場合、社会の不満を納める為に、当該地方政府や国営企業の幹部を更迭するのも、まったく同じ理由と考えられます。

Be the first to comment - What do you think?  Posted by bobby - at 11:58

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吉林省の間島は韓国領か?

朝鮮半島から中国の東北地方で栄えた高句麗について、「中国の東北地方の国のひとつの国」だったという主張を紹介したばかりなのに、今度は真逆の話題が韓国から飛び出してきました。中国の東北地方にある、吉林省の延辺朝鮮族自治州(通称は間島)について、韓国から、「実は間島は韓国領である」と主張しているようです。

韓国「中国の延辺朝鮮族自治州はわが領土」、日清の協約無効を主張

地図を見ると、この辺りが高句麗の領土であった事は確かなようです。

しかしながら、自国の土地に歴史上存在した国家について、現在の政府をその延長線上に置き、過去の領地にあたかもなんらかの権利を有するかのような意見を主張する事は、あまりに20世紀的な思考かと思います。日本も中国も韓国も、そろそろそういう事はやめにしませんか?

4 comments - What do you think?  Posted by bobby - 2011/09/21 at 20:43

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